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YAMAZAKURA 
SINGLE MALT JAPANESE WHISKY 
ASAKA 
“YOIYO EDITION“ 
Aged 5 years 
Distilled 2017 
Bottled 2023 
Cask type Bourbon Barrels (5 Casks)
700ml 48% 

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:トップノートはややドライだが、角の取れた酸と黄色系の果実香、グレープフルーツやレモン、麦芽やナッツの香ばしさも感じられる爽やかかつリッチなアロマ。

味:柔らかい口当たりから、オーキーな華やかさとクリーミーなフルーティーさ。煮た林檎や柑橘のような酸味、仄かに果実の皮を思わせるほろ苦さと麦芽風味。
余韻は果実のシロップ漬けのようなしっとりとした甘酸っぱさを感じた後、徐々にビターで軽やかな刺激を伴い長く続く。

5樽バッティングのシングルモルト。ロッテのウイスキーチョコレート”YOIYO“の第12弾、第13弾に使用されたモルトウイスキーそのもの。蒸留年の記載はないが蒸留所で確認。
本品は48%加水であるが、濃縮感のあるフレーバーが特徴的で、加熱調理した果実のような酸味と麦芽風味、安積蒸留所の個性はまさにここにありという構成。バッティングと加水でこなれた味わい、バーボン樽由来のフレーバーも後押しして、2017年蒸留の原酒としては一つのピークに到達している。

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2016年にウイスキー蒸留を再開した、笹の川酒造・安積蒸留所から、ロッテとコラボしたシングルモルトウイスキーとウイスキチョコレートがリリースされました。
YOIYOは「日本に酔うチョコレート」をテーマに、日本のクラフト蒸留所とコラボして酒チョコを展開するブランド。これまでウイスキーでは6蒸留所から計9作品。ウイスキー以外に、ジンや日本酒を使ったものもリリースされてきました。

チョコレートとウイスキーの相性の良さには異論を挟む余地が…無いわけではないのですが、一般的には間違いないとされる組み合わせ。
安積蒸留所とのコラボとなるYOIYO第12弾は2023年9月のリリースで、こちらは通常のウイスキーボンボンタイプですが、本日11月21日にはガナッシュタイプのウイスキーチョコレートも発表され、今回レビューするシングルモルト安積 YOIYO Editionはそれらのチョコレートに用いられているものと同じもの、度数で言えば原液となります。

企画にあたってはロッテの担当者が安積蒸留所を訪問し、リリースできる原酒を確認した上で、方向性を指定。笹の川酒造が原酒のバッティングを行ったと聞いています。

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※11月21日に発表された、YOIYO 酒ガナッシュ 安積EDITION。使用されている原酒は今回のレビューアイテムと同じ。画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002139.000002360.html

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※クラフト酒チョコレートYOIYO EDITION 12th
4%にまで加水されているが、チョコレートの甘くほろ苦い中に安積モルトの爽やかな酸味が感じられ、ちょうど良いアクセントになっている。新たに発売されたガナッシュタイプは一層安積の香味を感じられそうで、個人的に期待大。

安積のモルトウイスキーの個性は、なんといっても“湿り気を帯びた酸味”です。例えばそれはみずみずしい果肉をイメージさせるものだったり、あるいはそれを加熱調理したジャムやシロップのようなものであったり。
熟成年数によって感じ方は異なりますが、少なくとも2017年から2020年までの蒸留・熟成原酒からは共通の個性が感じられます。特に、2019年には木桶発酵槽が導入されたため、香味の傾向が変わるのかと思ったら、厚みや複雑さは増してる一方でベクトルは同じだったのは驚きました。

また、既存の原酒も熟成を経て馴染んでいくのかと思いきや、逆に樽感と合わせて個性が濃縮されていくような感じもあります。郡山の気候によるところなのでしょうか…。
今回のボトルは2017年蒸留の5樽バッティング。加水によってちょうどいい塩梅にまとまってますが、シングルカスクで無加水だと、近い年数&スペックのリリースはその濃縮感や上述の酸味をだいぶ強く感じます。個人的に安積のモルトは、シングルカスクより複数バッティングで少量加水の方が良いという印象があるのはそのためかもしれません。

今回のYOIYO EDITIONはその意味もあって、自分好みな1本でした。
今後、2017年のみならず2018年、2019年と最初のピークを迎えたリリースが増えてくると思いますが、安積はどんどん仕込みの質が良くなって、美味しくなってきているので、さらなる熟成によって一層の複雑さと美味しさを纏う原酒が育ってくることを楽しみにしています。

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余談:安積蒸留所には、2023年夏の改修で蒸留棟内の発酵槽があるスペースを区切る壁が設置され、中に空調が入るようになりました。温度管理は発酵の際に大きなポイントとなる要素。地球温暖化の影響で、夏場が長く、暑くなってますからね。これでさらに仕込みが安定し、木桶の良さと、酵母の力を引き出せるのではと期待しています。