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ウイスキーラバーズ名古屋2018 IANブースまとめ+α

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いよいよ開催を明日に控えたウイスキーラバーズ名古屋2018(WLN2018)。
昨年は入場時に若干の混乱があり、今年は会場のキャパを増やしたそうですが、当日券は既に若干数しか残っていないとか。。。今夜は全国各地の愛好家が前日入りし、名古屋の夜はさぞ盛り上がっていることと思います。

さて、WLNの目玉の一つと言えるのが、ウイスキーにとにかくこだわっている愛好家らが出展する「ディープラバーズ」ブース。昨年よりも規模を拡大し、参加者の酒量も財布も限界が試される布陣に・・・(笑)
既に一部の出展者のラインナップが公開されており、注目を集めていますね。

deeplovers
(Deep Lovers ブースの出展者情報
https://wln.themedia.jp/posts/3324797

このブログでは、昨年に続き出展するY's Land Bar IANが開催した"Whisky Lovers 名古屋2018出展用ボトル 先行テイスティング会"で試飲したボトルを中心に、記事を更新してきました。
イベント開催前日となる今日は、そのまとめとしてオススメと感じたボトル。そしてIAN以外では、個人的に繋がりのある方々のラインナップについても一部紹介していきます。

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IANブース出展ボトルのテイスティングレビューはこちらから→#WLN2018
目玉のプライムモルトシリーズ→#プライムモルト

IANブースは20本以上のボトルがラインナップにあり、目玉はなんと言ってもプライムモルトシリーズですが、個人的にはそれ以外にも2枚目の写真にあるボトルも捨てがたい。
スプリングバンク15年、グレングラント30年、ミシェルクーブレ21年は現行品とは異なるオールド系のシェリー感が、ラフロイグはスモーキーさと華やかなフルーティーさ、ブラック&ホワイトはオールドの魅力とも言える現行品にはないピーティーさが楽しめるボトルです。

シェリー感で言えばグレングラント30年は頭一つ抜けています。
加水でバランスも良く、何より最近は見られないベリーのニュアンスを伴う、所謂リアルソレラシェリー樽と思われるその味わい。
当日数多あるラインナップの中では地味目なボトルだと思いますが、中身は心癒される一本です。

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続いて荻窪モルトクラブことOMCブースのボトルの一部は以下。
昨年のウイスキーラバーズ名古屋2017では、そのラインナップはIANブースと2強だったという評価もあるOMC。
今回も突き抜けたボトルをぶっこんできてますね。
ボウモア、グレンファークラス、スプリングバンク。。。中身の解説は不要とも思える実に愛好家のツボを抑えているラインナップです。


続いては世界有数のウイスキーコレクターにして、最近は積極的に対外的な活動を展開されてる山岡さん。
ウイスキーは名古屋に送ってしまって写真があまりなかったそうですが、ラインナップの一部はアードベック1976-2002イタリア向けシングルカスク、GMロングモーンリザーブラベル1965-2009日本向け。言うまでもなく激ウマです。

そしてそれ以上に山岡さんは昨年スペインのシェリー酒製造の現場をまわり、ウイスキーのシェリー樽についても様々な情報、ある種真実と言えるネタを数多く掴まれてきました。
この2本含のキーワードは「リアルシェリー」。そうした情報を伺ってみるのもいいかもしれません。


名古屋で本イベントの調整にも関わられているBARよっちさん。
各種オールドブレンデッド、オールドモルトを中心に得意のジャンルでのラインナップ構成となるようです。
この手のウイスキーは、カスクストレングスの合間の箸休めにも、そしてメインとして飲んでもしっかり仕事をするので、普段気になっていたボトルを存分に楽しむ機会と言えそうです。
ちなみに個人的に右側のアードモア、結構好きです(笑)。


最後は博多から参戦、BARキッチンさんのブースラインナップ。同BARはイチローズモルトカードシリーズの聖地とも言えるBARであるわけですが、今回のラインナップもそこを中心に攻めてきています。
ブームで超絶高騰してしまったカードシリーズは、最近飲み始めたドリンカーは、なかなか飲むことが出来ない高嶺の花。。。ですが、ここでの試飲価格は10ml1000円とのこと。
これを機会にカードシリーズを経験、あるいは久々に復習するのも面白いと思います。


なんと言うか、凄いとしか言いようがないラインナップですね。
東京開催のイベントでここまでのものはなく、ちょっとジェラシー感じてしまいます。
まして自分はパパ業務真っ盛りで遠方のイベント参加は非常に厳しいところ。。。うーん、時間が欲しいなあ。
くそう、羨ましいぞ!(笑)

参加される皆様、前夜から名古屋入りされてる皆様、適度にはめをはずし、素晴らしいウイスキーとイベントを楽しんで頂ければと思います。

(補足:当日配布される予定のパンフレットは以下です。開場前に目を通されておくとよさそうです。)



プライムモルト セレクションNo,1 ラフロイグ 12年 1980年代流通 45.7%

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PRIME MALT
SELECTION No,1
LAPHROAIG
Unblended 12 Years old
1980's
750ml 91.4proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:灰や土っぽさが主体的なピーティーな香り立ち、ほのかなヒネ香。スワリングしているとマスカットや林檎を思わせる爽やかな果実香からトロピカルなフレーバーが奥から開き、うっとりするような陶酔感が感じられる。

味:オイリーな口当たりで存在感のあるピート、乾いた麦芽とやや干し草的な植物感。鼻腔に抜けるスモーキーさとヨード香。
そして熟したグレープフルーツ、フィリピンマンゴー、トロピカルフレーバーが土っぽさのあるピートと混じり合って余韻に広がる。

古き良き時代のラフロイグの魅力が充実したボトル。若い熟成年数だからこそ、経年と加水で落ち着いてなお存在感のあるトロピカル系の果実感と灰っぽさの混じるピート、そして厚みのあるオイリーな飲み口。是非ストレートで。


1980年代にアメリカ向けで流通した、プライムモルトシリーズ3種のテイスティング。トリを飾るのは、やはりこのラフロイグ表記の12年を置いてないでしょう。
これまでも紹介してきましたが、プライムモルトのセレクションNo,1シリーズは、ファイネストアイラシングル表記の12年、15年。今回のラフロイグ表記の12年がグリーントールとクリアボトルで2種類確認されています。

ファイネストアイラシングル表記の2本は、パフューミーなボウモアっぽいモルトやノンピートのブナハーブンと、少し変化球的なラインナップだったわけですが、ここにきてこの年代のアイラに求めるものはこれだよと。
今回のボトルにはファンがラフロイグに求める姿とはこういうことと感じる香味がしっかり備わっていて、思わず口角が上がってしまいました。

トロピカルフレーバーと言えば近年のラフロイグやボウモアでも語られることがありますが、自分が経験する限り、1960年代から70年代前半のそれとはピートの性質やフルーティさの傾向が異なる。
口当たりでなく、余韻にかけて広がるのも近年のモルトと異なるポイントだと感じています。

プライムモルト セレクションNo,1 ブナハーブン? 15年 1980年代流通 45.7%

カテゴリ:
PRIME MALT
SELECTION No,1
(BUNNAHABHAIN?)
Finest Islay Single Whisky
Unblended 15 Years old
1980's
750ml 45.7%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:華やかな香り立ち。林檎を思わせるオーク香、シリアルや乾いた麦芽の香ばしさ、ほのかに青みがかったニュアンス。

味:軽やかな香ばしさのある味わい。合わせてオークフレーバー、薄めた蜂蜜、りんご、青みがかった牧草のアクセント。後半にかけてスパイシーな刺激が感じられる。
余韻は香ばしい麦芽風味、淡く植物系のえぐみ、染み込むように長く残る。

ホグスヘッドあたりのバランスが取れた樽感、麦系の風味が香ばしいハイランド的なモルト。余韻に少し野暮ったさ、引っ掛かりを感じるものの全体的に味わい深く、程よくライトで飲みやすい。


アメリカ向けに現地企業がボトリング、リリースしたプライムモルトシリーズの一つ。流通時期は1980年代前半と推定。シリーズ全容は今となっては不明確であるものの、コレクター情報でSelection No,1シリーズはファイネスト表記が12年と15年で2種類、ラフロイグ表記が1種類(ボトルの色違い含めると2種類)が確認できるところです。

これらは全て"ラフロイグ"であるという情報もあったようですが、このボトルは明らかにピート感が。。。先日紹介したファイネスト表記の12年は1970年〜1971年頃のボウモアと思える構成からも察するに、プライムモルトシリーズはラフロイグ以外もボトリングされているのではないかと。
そしてこの中身、ブルイックラディも一瞬頭をよぎりましたが、この野暮ったさのある麦感や草っぽいフレーバーは、ブナハーブンに一票です。

(プライムモルト15年の裏ラベル。One of the most famous distillery in Islay.の記述はどうとも読める内容。ブナハーブンはアイラの中でノンピートスタイルで最も有名とは言えるが。。。)

それにしても、ファイネスト表記のプライムモルトは12年、15年共どちらも謎が残る結果になりました。特にこの15年は衝撃ですね。

仮にブナハーブンとするなら、ピートフリークやFoLな方々には衝撃と多少の落胆を持ってこのボトルが迎えられることと思う一方。
普通にうまいモルトであるのが一つ。
そして蒸留時期として1960年代後半から1970年代のブナハーブンは、オフィシャルボトルだとシェリー系統の仕上がりが多く、ボトラーズも樽をしゃぶってるような長期熟成が中心です。
シェリーではないナチュラル寄りな系統で短熟のボトルを飲めるというのは、なかない経験だと感じます。

グレンファークラス 20年 1978-1998 カスクストレングス 58.1% ドイツ向け

カテゴリ:
GLENFARCLAS
CASK STRENGTH
Distilled 1978
Bottled 1998
For Karstadt Müllerstraße 20 Jahre
Bottle No,60/96
700ml 58.1%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ハイトーンで強いアタック、黒砂糖やチョコブラウニーを思わせる甘い香り、ほのかに古酒感も伴う。スワリングでドライプルーン、アーモンドを思わせるニュアンスも。

味:しっかりとパワーのある口当たりで、香り同様に刺激も強い。ほのかの青みがかった甘みのある樽感、薄めた黒蜜やドライプルーン。
余韻はハイトーンでドライ、ヒリヒリとするアルコール感。淡いウッディネスを伴うビターなフィニッシュ。

強いアタックで奥行きを感じ取りにくいが、加水すると蜜っぽい甘味が開き、ふくよかな香味に変化する。適量の加水がオススメ。


ドイツのデパート、カールシュタット(Karstadt)が、その地域での開業20周年を記念して発売したと思われる、プライベートボトルのグレンファークラス・カスクストレングス。
なんでそんなボトルが極東の島国にあるのか、酒の縁を感じるところですが、これも該当するウイスキーを長きにわたって収集してきたBARだからこその出会いと言えるのかもしれません。

ドイツ向けのファークラスは過去良いリリースがいくつもあり、このボトルも来るか!?と身構えましたが、今回のリリースは荒削りというか、割と近年寄りのスタイル。
淡くオールド系の香味が漂うものの、例えば樽がリフィルホグスなのかシェリー感が全体的に少し薄めで、そこにハイプルーフなファークラスらしいハイトーンでアタックに強い酒質を感じます。

この手のウイスキーは少量加水すると真価を発揮することが多く、今回ボトルもその部類。加水していくことで好ましい変化が感じられ、バランスが取れてきました。
こういう酒質だからこそ、30年以上の熟成にも耐えうるし、濃厚なシェリー感と43〜46%の加水の中でバランスが取れて来るんですね。
近年、短期間での仕上げを目指してか、クラフトを中心に柔らかくてスムーズな、綺麗なニューポットを作るスタイルが増えてきた気がしますが、こういうモルトを飲むと熟成期間と酒質と樽とのバランスを考えさせられます。


BAR IAN WLN2018先行試飲会、いよいよ本命プライムモルト3連発と見せかけて、更新し損ねていたファークラスです。
飲むタイミングが難しいですが、どちらかと言えば締めの方ですかね。
ただ当日は更新の順番で飲んでいたわけではないですが、まさに締めの方で飲んだところ、度数とアタックも合わせて結構舌にきました(笑)。

ラフロイグ 10年 アンブレンデッド表記 1980's 45% アメリカ向け

カテゴリ:
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LAPHROAIG
10 Years old
Umblended Islay Malt Scotch Whisky
1980's
750ml 25.4fl oz 90US.Proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(7ー8)

香り:スモーキーで燻した麦芽香、干し草、魚介系の出汁っぽさ。薄めたキャラメルを思わせるほろ苦くも甘い香りに、ほのかにオレンジピールの要素も感じられる。
  
味:滑らかでややオイリー、コクのある口当たりからヨード、柑橘系のドライフルーツ、粘性のある土っぽいピートフレーバーが広がる。
余韻はピーティーでスモーキー、舌の上を包み込むようなニュアンスの柑橘、グレープフルーツ、ナッツの香味がピートと共に長く続く。

オフィシャルらしいバランスの良い飲み口に加え、厚みもしっかり感じられる完成度の高いボトル。43%仕様よりオイリーさが強い印象。現行品より強いラフロイグの個性が堪能できる1本。

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アンブレンデッド表記に時代を感じる、ラフロイグのオフィシャル旧ボトル。流通時期から推察するに、蒸留されたのはスコッチウイスキー業界初の女性マネージャーであるベッシー・ウィリアムソンの時代。

流通地域の関係か45%と度数が高めの仕様であり、イタリア向け43%仕様のほうは以前も何度か飲んだことがありましたが、今回のボトルとは樽構成が違うのか、単に保存状態の違いなのか。2%の度数違いとは思えないテクスチャーや香味の違いを感じます。

記憶が確かなら、43%のほうが華やかで土っぽさ、フルーティーさがメインにあり、今回の45%のほうはオイリーでコクがあるといった具合。ただ当時のラフロイグは向けや年代で多くのリリースがあり、度数では一概に測れない話でもあるわけですが、少なくとも今回のボトルがNGという話ではなく、総じてレベルは非常に高い。当時はこれらがスタンダードレベルだったという点に、ただ驚愕するばかりです。

ここ1週間強をかけて紹介してきた、BAR IANのウイスキーラバーズ名古屋2018向けボトル。イベントはいよいよ今週末開催。自分が紹介する予定のボトルは、そこまでに全部掲載していく予定です。
当日のIANブースのメインは、何と言ってもこのラフロイグ10年を筆頭に、上記写真のプライムモルトシリーズ。
一部ラフロイグではないと思われるものも混じっていましたが、それをあれこれ考えるのも面白い。また、複数のオールドラフロイグを世代毎にテイスティングできることは、現代では得難い経験だと思います。

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