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ラフロイグ 20年 エリクサーディスティラー 53.8% MOS

カテゴリ:
LAPHROAIG
Single Malts of Scotland
Director's Special
Age 20 years
Cask type Oloroso Sherry Butt
700ml 53.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会@NTさん
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ダークフルーツケーキ、黒砂糖を思わせる濃い甘みとほのかな香ばしさ、スパイシーで強いアタック。合わせていぶりがっこのような酸味、レザー、微かに焦げたようなニュアンス。スモーキーさがヨードを伴って感じられる。

味:口当たりは強いピートを伴うリッチなシェリー感。とろみがあり、燻した魚介、キャラメリゼ、ドライプルーン、徐々にウッディーなタンニンを感じる濃厚な味わい。
余韻は熟したパイナップルを思わせるトロピカルなフルーティーさが、キャラメルと土っぽいピートを伴って長く続く。

良質なアイラシェリー。樽そのものの良さに加えて、ラフロイグらしいピーティーさとフルーティーさが合わさったしたナイスリリース。度数もあってかややアタックが強い印象を受けるものの、むしろ10年以上瓶熟させることでさらに良くなりそうなイメージもある。


コアなウイスキードリンカーにはお馴染み、MOSことモルトオブスコットランドのハイエンドラインナップとなるディレクターズ・スペシャルからリリースされたラフロイグ20年。MOSをリリースするスペシャリティドリンク社は、今年に入ってエリクサー・ディスティラーと名前を変えたため、このラフロイグは通称エリクサーラフとも呼ばれています。

。。。まあ、この辺は今更前置きの必要もないですね。
このラフロイグは昨年末頃から美味いと愛好者間で話題になっていたボトル。
ラフロイグは80年代のみならず90年代蒸留もレベルが高いですね。モノとしては日本にも入ってきたようですが、例によって即完売しており、現在はプレミア価格のものが市場に残るのみです。5万前後のボトルが飛ぶように売れるこの状況・・・数年前じゃ考えられません。

一方、それだけ評価の高いボトルだけに、どんなもんかときたいしてましたが飲んで納得。樽は近年にしては良質なシェリー樽で、ベリー炸裂というタイプではありませんが硫黄系のニュアンスがないのは勿論、古酒っぽさの混じるコクと深みのある甘み。酒質面では強いピートと、余韻にかけてのトロピカルなフルーティーさが"らしさ"として感じられる、レベルの高い1本だと思います。

このエリクサー・ラフと近いスペックであることなどから、引き合いに出されるであろうリリースが200周年記念のラガヴーリン25年です。
シングルモルトとシングルカスクで、使われている熟成年数も表記以上に差があると思われるため、単純に比較することは出来ませんが、ラガヴーリンには長期熟成とバッティングによる複雑さ、奥行きがもたらす香味の妖艶さ。ラフロイグは上述のようにはっきりとした樽と酒質それぞれの個性、好ましい要素。
ラガヴーリンは開封後即ピークという感じですが、ラフロイグはまだ先がありそうなイメージで、将来的な可能性を秘めた前評判通りの1本でした。

ポートエレン 32年 1982 モルツオブスコットランド ダイヤモンド 57.9%

カテゴリ:
PORTELLEN
MALTS OF SCOTLAND
Aged 32 Years
Distilled 1982
Bottled 2014
Cask type Bourbon Hogshead
700ml 57.3%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(マッスルKさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:スパイシーでピーティー、バタークッキーを思わせる甘み、奥には麦芽香。徐々にグレープフルーツ、林檎を思わせるエステリーなフルーティーさもあり、時間経過で強く感じられた。

味:オイリーでピーティーな口当たり。序盤は乾いた麦芽風味やナッツ、昆布出汁、磯っぽさ、出汁をとったスープのようなクリアなニュアンスから、後半は蜂蜜やエステリーさが香り同様に盛り上がるように広がる。
余韻はスパイシーでキレが良く、乾いたウッディネスやスモーキーフレーバーを伴う。

やや荒削り感はあるが、バーボンホグス樽由来のフルーティーさに、クリアで出汁っぽさと1980年代のポートエレンらしい強いピートフレーバー。シングルカスクだからこそのはっきりとした樽感と強い個性を楽しめる、ボトラーズに求めているような1本。


ドイツのボトラーズ。モルトオブスコットランド(MOS)のハイグレードモデルである、ダイヤモンドシリーズ。最近はアメージンングカスクやエンジェルシリーズなど、新しいハイエンドクラスが展開されていますが、調べてみると海外では2016年にポートエレン等がリリースされていた模様。
MOS全体としてはこれまでも様々なリリースがあったところですが、自分の中では多くは安定しているが、たまに「ドイツらしい」妙なリリースがあるというイメージです。

その筆頭がダイヤモンドシリーズでリリースされた、グレンゴイン1972でした。ウイスキーエクスチェンジなどドイツ系のボトラーズは「不自然にフルーティー」だったり、リキュール系のフレーバーがあるようなウイスキーをリリースすることがあり、グレンゴイン1972も海外評価は高かったものの、ブラインドで飲んだ時はコニャックなんだかよくわからないようなシロモノで、びっくりしたのを覚えています。

そのため、このポートエレンをウイスキー仲間のマッスルKさんから勧められた時は、思わず警戒してしまったところ。しかし飲んでみるとこれが中々。テイスティングの通り、1980年代のポートエレンらしい強いピートフレーバーがあり、樽でやや強引にバランスをとったような印象はありつつも、開封後の変化で良い具合にまとまり、麦芽風味も開いています。
この辺りのビンテージのポートエレンは近年もたまにリリースがありますが、過去のボトルから総じてアタックが強い印象があり、長期熟成や瓶熟(但し加水を除く)に向いているのかもしれません。

(1983年の閉鎖以降、精麦工場として稼働しているポートエレン。敷地内のウェアハウスはラガヴーリンなどの熟成に使われている。蒸留所として稼働はしていないが、立ち上る煙に哀愁が
漂う。。。Photo by T.Ishihara)

ポートエレン蒸留所はウイスキー業界の不況の中で、需要と供給のバランスを取るために閉鎖された背景があります。
現ディアジオ社(当時のDCL)はカリラかポートエレンかで天秤にかけたそうですが、ジョニーウォーカーなどの主軸だったカリラを生かすのは、確かに納得の処置でもあります。

ではその味わいはというと、決して悪くない、むしろ良いボトルが多いです。個人的に今すぐ飲んでバランスが取れているのは1970年代後半あたりで、キレの良い口当たりにピート、そして塩気、ボトルによってはスペイサイドのような柔らかい麦感もあり、単に閉鎖蒸留所としてだけでなく、人気があるのも頷けます。
他方、このMOSのリリースは当時国内流通価格で10万円を越えており、モノを見たときは「とんでも無いことになってるな〜」と感じたわけですが、今にして見ればポートエレンで10万円越えはザラ。
ますます高嶺の花となってしまい、飲めるうちに飲んでおかなければならない酒になってしまいました。

貴重なボトルをありがとうございました!

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