I.W.ハーパー 101Proof 1980年代流通 特級表記 50.5%
- カテゴリ:
- ★6
- アメリカンウイスキー(バーボンなど)
I.W.HARPER
101 PROOF
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON
1980's
750ml 50.5%
グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(6ー7)
香り:干し草のようなウッディネスを伴うメローなアロマ。スパイシーでライ麦パンを思わせる酸と穀物感、チェリーシロップのような甘味とメープルシロップ。リッチで力強い香り立ち。
味:香り同様にリッチでパワフル。粘性のある甘味を伴うスパイシーな口当たり。キャラメルっぽさや熟したバナナ。合わせて若干の植物っぽさの軽いニュアンスも一瞬顔を出す。余韻はウッディでビター、ひりつくようなアタックの強さの中に、序盤のチャーオーク由来の色濃い甘味が長く続く。
ストレートでは香味ともリッチで力強いが、多少まとまりに欠ける部分があり、それが逆に全体としての力強さを強調している印象。加水するとふわりと甘い香りが広がり、口当たりもマイルドに。通常品よりも上質な味わいに変化するが、このブーストアップは長くは続くない。
日本市場向けに販売されたという、IWハーパーのハイプルーフ版。8~10年程度の熟成を感じさせる原酒がメインで、所謂ボンデッド仕様。樽感はリッチで、度数の高さが各フレーバーのアタックの強さ、スパイシーさを後押ししています。
加水では柔らかくマイルドだったハーパーが、実は猫を被っていただけだったことを思い知らされる。パンチのあるハーパーということで、結構人気のあるブランドだったようですね。
リリースは1980年代後半からで、まさに今回のボトルから。当時日本がバブル景気の真っ只中かつ、バーボンブームもあった時代ですから、日本向け限定品がリリースされるのも自然な流れのように思います。
一方で、1990年代に入ると、今回の金色のハーパー伝統のラベルから、濃い銀色のメタリックカラーにチェンジ。流通期間はこちらの方が長かったのか、ハーパー101proofというと、イメージはこのボトルという方が多いのではないでしょうか。
変更の経緯は、推察ですがスタンダード品であるゴールドメダルと見た目で区別がつきにくかったためではないかなと。実際、トップ画像に90年代流通のゴールドメダルが写り込んでいますが、メダル部分が101Proof表記になってるだけで、あとはほぼ同じ。
一般の、それもお酒に興味関心がない方が見たら、全く同じものに見えてもおかしくありません。
なお1980年代は、先日投稿したハーパー・プレジデントもリリースされており、同じく日本市場向けとされるボトルです。
こちらは15年以上熟成させた長期熟成原酒がメインと考えられる構成で、加水ですがしっかりとした熟成感とマイルドでメローな味わいが売り。
金が動くところにヒト・モノが集まるのは摂理とはいえ、本国の皆様はこんな良いもの飲まないでなに飲んでたのっていうと、ライト路線が主流で、濃い味はあまりウケていなかったそうで・・・。(なんて贅沢なw)
以下、余談。
ヘブンヒル系列の話ではありませんが、先日ジムビーム蒸留所の貯蔵庫で火災が発生。2棟40000~45000樽が焼失(一部は河川に流入し、川の色が変わってしまったと)するニュースがありました。
火災のあった貯蔵庫は、若い原酒を貯蔵していたものだったこと。また、同社が貯蔵する樽数は約330万樽であり、今回の焼失は1%強にしか過ぎないため、影響は軽微。
むしろ、燃え残った原酒が、瓦礫の中から河川に流れ込み続けないように、しばらく燃やし続けるなんていうアナウンスに、蒸留所としての規模の差を見せつけられる形にもなりました。4万って数字のインパクトに加え、燃えなかった樽の回収しなくていいの!?とか思っちゃいますよね。
アメリカの蒸留所では、落雷による火災がこれまでもあり、有名なのが1996年旧ヘブンヒルの火災焼失。またジムビームでの2003年にあった火災は、火炎旋風まで発生するインパクトのあるものでした。
なおこの時の動画が、2015年ごろに何故かTwitter等で拡散したため、今回のジムビームの一見を「また?」と感じる人もいるかもしれません。
いずれにせよ、影響は軽微で何よりでした。
画像引用:https://www.apnews.com/a5f382c5eff7430eb3f6fdc7b47bce6a