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カティサーク 25年 2010年頃流通品 45.7%

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CUTTY SARK 
Blended Scotch Whisky 
Aged 25 years 
2010's 
700ml 45.7% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:黒蜜やかりんとうを思わせる、色濃い甘さと軽い香ばしさを感じるアロマ。ドライプルーンやデーツ、少しツンとしたスパイシーな刺激もシェリー感と合わさって感じられる。

味:とろりとしてリッチな口当たり。香り同様のシェリー感だが、味の方がマイルドで、飲みやすく仕上がっている反面、少しボディが緩く単調気味でもある。色濃い甘味からウッディでビター、ほのかに混じる枯れたニュアンス。カカオチョコレートや黒土の香りが鼻孔に届く、まったりとして長いフィニッシュ。

旧ボトルのマッカランを思わせる、濃厚なシェリー感がメインにあるブレンデッド。使われているモルトの個性か、香りでは少し刺激を感じるが、味わいはマイルドでグレーンによる一体感も感じられる。ロックで飲んでも案外悪くない。高騰する旧世代のモルトウイスキーの代替品となりうるボトル。

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カティサーク25年の3世代目にして、通常品としては終売前のラベルデザイン。ファーストリリースは2003年で、それが旧WWA(Best of the Best)での全エントリー中最高評価を受けたことで知られています。

元々、年間生産量が限られていたスモールバッチタイプのブレンデッドですが、キャップシールの色が赤・金・紺とリリース時期で異なるので違いが分かりやすい銘柄です。(厳密に言えば、ラベルの表記も多少異なる)
海外市場では定常的にリリースが継続していたようですが、今回のボトルデザインで一旦打ち止め。その後、2012年に5000本限定発売されたタム・オシャンターが最後となっています。

これは原酒の確保が出来ていない。。。というか、親会社の販売戦略がシングルモルト重視に変わったからと考えられます。
カティサークは、2010年にエドリントンがBBR から版権を取得(2018年に放出)しており、近年のエドリントンの方針からすれば、長熟の良質な原酒はシングルモルトのハイエンドにまわしてブランド戦略に使うでしょうし。また、BBRもシングルモルトのボトラーズリリースを積極的に展開した時期でもありました。

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(カティサーク25年の初期ボトル。恐らくブレンデッドモルトか、あるいはモルト比率の高い構成で、リッチではっきりとした味わい。紺ラベル同様に、旧ラベルのマッカランを連想させるシェリー感が特徴であるが、紺の方が少し緩く、こちらのボトルのほうがフレーバーが多彩。)

タム・オシャンターは飲めていませんが、この当時までのカティサーク25年の構成原酒はマッカランやグレンリベット、グレンロセスとされ、これらの濃厚なシェリーオーク熟成原酒がメインと言われて違和感のない、リッチな仕上りです。
今回のボトルもまた、丸瓶時代の旧オフィシャル・マッカランを連想させるような黒砂糖や黒蜜っぽい甘さが印象的で、近年のリリースだとここまで濃くは出ていない。懐かしい味わいでもあります。

海外レビューではオールドファークラスと比較する声もありますが、それも納得。
主に入手可能なリユース市場相場は5年前と比べて約2倍弱に上がっていますが、1980年蒸留のマッカランやリベットのシェリー樽熟成を買ったと思えば、近年のモルトの相場と比較してもまあ納得感のある買い物かもしれません。

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新年明けましておめでとうございます。
令和だから。。。2020年だから。。。ということもなく、いつも通り親類集まって実家で年越しです。
最近は、ワインとウイスキーを持参するのが自分の担当のような感じになっているのですが、昨年めでたいことがいくつかあったので奮発し、ワインのスターターはドンペリ2000につとめて貰いました。

爽やかな果実感を伴うしっかりとした酸に加え、蜜っぽいコク、酸味にくどさはなくするすると飲める。うん、美味しい。熱劣化も特にしてないし泡も残ってる。。。けど、これはやはり貴族の飲み物だなあと。
なお、ウイスキーはこのカティサーク。ロックで緩く飲んで貰えればと思ったのですが、シェリー感の強さが最近のライトなブレンド路線と異なることが影響してか、あまり飲み進まなかったようで、チョイス失敗でした(汗)。

ブルーハンガー 25年 1stリリース 45.6% 

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BLUE HANGER 
YEARS 25 OLD 
LIMITED RELEASE SCOTS WHISKY 
Bottled 2003 
”First Release"
700ml 45.6% 

グラス:テイスティンググラス
場所:ー
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:しっとりと角のとれた柔らかい甘さのなかに、やや枯れた要素のあるオールドシェリー香。サルタナレーズンやドライアプリコット、あるいは林檎のカラメル煮。微かにナッティーでシナモンのようなスパイスも仄かに漂う、多層的なアロマ。

味:香り同様に枯れた印象を感じさせるドライな口当たりだが、同時にダークフルーツや黄色系の果実に通じるフルーティーな甘味が、樽由来の濃い紅茶を思わせるニュアンスと共に感じられる。
徐々に徐々にウッディでオーキーさもほのかにあるが、タンニンが強めに残るビターなフィニッシュ。

リフィルシェリー樽で熟成したスペイサイドモルトの風味そのもの。圧殺ではなくほどよく効いたシェリー感、年数表記より長い熟成期間を感じさせる枯れた要素がフルーティーさのなかにあり、系統としてはGMのケルティック等で見られたタイプ。今のリリースには見られない味わい深さ、美味。

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2003年、英国で最も長い歴史を持つワイン商として知られるBB&R社が、所有する原酒のなかでも特別なものを使って仕上げたというブレンデッドモルトのリミテッドエディション。
この時期のBB&Rは、カティサーク25年に加え、シングルモルトボトラーズとしてのリリース開始するなど、ウイスキーのブランド戦略を大きく変更。ブルーハンガーは同社におけるブレンデッドの最高峰として、2019年現在で11作を数えることとなります。

ブルーハンガーのブレンドは同社が保有する原酒を用いるものの、シリーズを通じて必ず使う原酒が決まっておらず、ロット毎に異なる仕様や味わいに仕上がっているのも特徴です。
初期のものはシェリー樽熟成の内陸原酒を中心にブレンドしており、真偽は不明ながら1stリリースは僅か700本のみで、構成原酒はグレングラントとグレンリベット。2ndリリースについても蒸留所は同じ構成で、こちらは1974年蒸留の原酒で構成され、樽はシェリーバットとホグスヘッド、1000本限定。ここから徐々に使用する原酒の種類、生産本数が増えていくこととなります。

仮に今回の1stリリースを上記の構成としても、香味の印象からあまり違和感はありません。古き良き時代を感じさせる贅沢な構成が、しみじみと美味しい。
自分が飲み始めた頃に市場にあったブルーハンガーは4th~6thあたりで、既にその頃にはあまり良質なシェリー感とは言い難い状況になっていおり。当時の自分はこれがフラグシップなのかとも疑問に感じていましたが、こうして1stリリースを飲んで見て納得。これは確かにレベルが高いです。

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なお、同じ時期にBB&Rからリリースされたものでは、写真上のカティサーク25年のファーストリリースも、シェリー系の原酒のキャラクターが強く感じられるブレンデッドモルトです。
ただカティサークのほうがシェリー感が強く、ブルーハンガーはリフィルシェリーオークで熟成したようなフルーティーさもしっかりと備わっていて、原酒の系統の違いとして感じられます。


普段立ち寄らない遠方の地で、素晴らしいボトルに出会うことが出来ました。しかもモノは貴重なファーストリリースかつ、当時の価格を基準にしたと思われる1ショット設定は、都内じゃ考えられません。良いもの飲ませて貰いました。
店名については公開の確認をBAR側にしていませんでしたので伏せさせて頂きますが、外観、内装とも雰囲気あるBARで、チャームもご当地の旬のもの、縁のものが使われる我々外部の人間にとって嬉しいサービス。次の日がなければ看板まで腰を据えて楽しみたかった。。。

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グレングラント 30年 1972-2000 BBR 46%

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GLEN GRANT
BERRYS’ OWN SELECTION
Years 30 Old
Distilled 1972 or 1973
Bottled 2003
Cask type Sherry #8239
46% 700ml

グラス:シュピゲラウ グランドテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封後半年程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:酸味と果実味のあるリッチなシェリー香。ベリーや枝付きレーズン、ほのかに黄桃を含む色濃いフルーティーさ、柔らかいタンニン、若干のラッカー香が経年を感じさせる。 

味:スムーズでリッチな口当たり。シェリーの濃さとフルーティーな香味はカラメルソース、リンゴのカラメル煮、レーズンチョコレート。徐々に黒葡萄を皮ごと食べたような苦味が口の中に染み込んでいく。
余韻はドライで渋みとほのかな土っぽさに、オールドシェリーの濃厚な甘みが長く残る。 

BBRは1960年代、や1970年代初頭を中心に、さすがワイン商と思わせるシェリーカスクをリリースすることが多いのですが、このグラントもベリー感の漂う素晴らしいシェリー感で、余韻がただ渋くドライなだけで終わらない、甘美な甘味の戻りを感じる、実に充実の1杯でした。これですよ、こういうシェリー感が欲しいんですよ。

蒸留時期は記載が無いので不明ですが、逆算して1972か1973であることは言うまでもなく。グレングラントと言えば一時期当たり年として1972が多くリリースされましたが、これは72だから良いわけでもなく、グラントは全体的にこのあたりのビンテージまで安定して旨いんですよね。
バーボン樽でもシェリー樽でも輝く、本当に素晴らしい蒸留所です。


余談。
最近持寄り会の際に、ボトルをグラスの中で少量ずつバッティングして即興ブレンドを作ることが多いのですが、今回は自分が持ち込んだリンクウッド1973に、ベンリアック1975、そしてこのグレングラント30年を加えた3種バッティングが素晴らしい味わいで感動してしまいました。

先日記事にしたロングモーン1964バージョンも作ったのですが、グラントのほうがシェリー感のフルーティーさが良い方向に作用しており、完成度は上。
なんとも贅沢な遊びですが、これもまた持ち寄り会の楽しみ方ってことで。。。いやー良い夜でした。

カティサーク 12年 1970年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:
CUTTY SARKS 
12 Years Old 
1970's 
86proof 4/5quart 
(43% 760ml) 
構成原酒:グレンロセスなど 

グラス:SK2、創吉テイスティング 
量:所有ボトル
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ほろ苦く甘いカラメルやシェリーの香り立ち。奥にはモルティーな華やかさもあり、アプリコット、トフィー、焼き芋の穀類を思わせる甘みと焦げた苦味もある。 

味:まろやかな口当たり、ブラウンシュガーを思わせるオールドシェリーの甘み、カラメル、シロップ漬けのチェリー、熟した洋梨、濃いめに入れた麦茶。徐々にスパイシーで奥にはグレーンの軽やかな甘さも感じられる。
余韻はドライで微かにピーティー。僅かに感じられる焦げたような苦味が、全体を通してアクセントになっている。


カティサークブランドの上位モデル。ノーマルなカティサークがあっさりとライトなブレンドなのに対し、12年は色を見て頂けれ違いは一目瞭然、シェリーやカラメル系の風味が効いた甘くモルティな味わいに仕上がっています。
このボトルは2本目の抜栓で(本当は3本だったけど、1本は抜栓直後に某BARに里子に出て行ってしまった)、今回のボトルは1本目の時よりヒネ香が無い代わりに口当たりに辛みを感じました。
流通時期の微妙な違いか、それとも保存状態によるところか。まあ数ヶ月後にはさらにこなれてくると思いますが、この辺がオールドボトルの面白さであり、難しさです。
それ以外の要素については合格範囲で、この時期に家でまったり飲み進めるにはちょうどいい塩梅。ハイボールはイマイチですが、ロックは気分で選んでも良いかもしれません。

なお、同ボトルの見分け方は、1980年代はキャップが黒く赤字の12年表記が無いのが特徴。
1990年代流通は特級表記が無くなり「スコッチウイスキー」なるシールが張られるようになります。ウイスキー全体を見ても色が薄くなるため、仮にシールが無くても見た目で違いが分かると思います。
キャップの裏側は紙(牛乳瓶に使われているような)タイプで、金属タイプ等に比べてオフフレーバーの心配が少ないのも好印象。これで物量が多いためかそこそこ安く買えるってのも、オールドラヴァーには嬉しいですね。

カティサーク 1980年代流通品 ウイスキー特級

カテゴリ:

CUTTY SARK 
Blended Scots Whisky 
1970-1980’s 
43% 760ml 
構成原酒:タムデュー、ハイランドパーク、グレングラッサ、ブナハーブン、グレンロセスなど
評価:★★★★★(5) 

香り:サトウキビや乾いた牧草のような植物感のある甘い香り立ち。微かなヒネ香、パンケーキ、ドライアップル、ジャイアントコーンを思わせる香ばしさ。

味:オールドらしい粘性のある口当たりだが、使われた原酒の若さからか舌触りは硬さがある。ザラメ、薄めた蜂蜜、ドライアップル、コーンシリアル、クラッカー、樽感の少ないニュートラルなモルティーさに穀物風味。
余韻はあっさりしているが染み込むように残る。


1970年代後半、あるいは1980年頃に流通したと思われるカティサークのスタンダード品。
スコッチのスタンダード品として国内には相当な量が流通していたため当時からウイスキーを飲まれている方にはなじみ深い銘柄だと思います。
また、通量が多かったということは、市場に在庫が残っているということでもあり、比較的手に入りやすいところの筆頭です。

カティサークはBBRのブレンデッドでも、普及価格帯をターゲットとした造りがされています。先日紹介したベリーズベストやカティ12年が濃厚なブレンドであるのに対し、カティサークはライトであっさり。樽感は控えめで原酒由来の穏やかな甘味、麦芽風味、グレーンを思わせる穀物の風味も感じられます。
また、カティサークはカラメル添加を行わない、ナチュラルなブレンデッドとする同社の方針が、このライトな味わいに繋がっているようです。

しかしライトなだけではないのが原酒の良さか、その辺の零細ブレンデッドとは違う味の深みがあり、良い意味で1杯目のブレンデッドウイスキーです。
これから何杯か飲んでいくぞと言う中で、ストレートでよし、ハイボールで飲んでも良い。気軽に肩肘張らない味わいが堪能できると思います。

スコッチウイスキーは年代によって、今のスタンダード品が当時は高級グレード扱いという変化から、味が大きく変わることがあります。ジョニーウォーカーなんかがいい例ですね。
ではカティサークのスタンダードはというと、60年代のコルクキャップ時代を飲んでも同様にあっさりした味わい。新しい時代については粗さも増して言わずもがなで、日本で手に入る範囲のオールドはあまり差が無いなというボトルでもあります。

なお、カティサークが採用している"Scots whisky"表記は、ゲール語としてはこちらが正しいスコッチウイスキーの表記であるという同社のこだわりから。ラベルを彩る手書き風の文字は、1923年にカティサークが誕生した際のラベルデザインのものを、そのまま使っているのだそうです。

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