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サントリー 響 21年 2017-2018年流通品 43%

カテゴリ:
HIBIKI
SUNTORY WHISKY
21 years old
2017-2018's
700ml 43%

グラス:サントリー響テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★★(6-7)

味:ドライで乾いたオーク香、徐々に香木、ドライフルーツはオレンジやアプリコット、林檎のカラメル煮を思わせる複雑さが開いてくる。多数の原酒の仕事を感じる。

味:香り同様ドライでオーキーな口当たり。バタークッキーや黄色いドライフルーツ、干し柿、淡い香木香。最初はほろ苦く軽めの口当たりだが徐々に粘性のある甘み。
余韻はドライでほのかに焦げ感を感じるウッディネス、高い華やかさで長く続く。

オーク香主体でシェリー感は薄いが、多彩な樽感、ウッディさが織りなす香味は渋すぎず軽すぎず、ブレンダーの技を感じる。少量加水すると華やかさが増し、ブレンデッドとして高い完成度。姿は変わったがこれはこれ。


お久しぶりです、響さん。山崎、白州に次いでこれまた最近飲んでなかったので、久々にテイスティング。ひょっとすると今後さらに出会えなくなってしまうかもしれないので、飲めるうちに飲んでおきます。

サントリーのブレンデッド、それも上位グレードにおける樽構成をざっくり分析すると、厚みと華やかさを出す鍵となるのがシェリー樽とミズナラ樽。そこにホワイトオークの原酒でモルティーさのバランスを取るという印象があります。
近年はシェリー樽の代わりにワイン樽や、華やかさもホワイトオークで代替。グレーンも作り分けて総合力で新しい形を作るような動きが見られますが、ブーム前の21年は逆にシェリーやミズナラのニュアンスが強く、17年の方がストレートで飲む分には全体のバランスが取れていると感じたほど。しかし多彩な香味が数滴の加水で解き放たれる様など、21年もまた、まさにブレンダーの技を感じさせる仕上がりでありました。

では直近ロットはどうかというと、シェリー系の香味が減った分、ボディが軽くなったようにも感じますが、その分構成がバランス寄りになっています。レーズンを思わせる香味はオーク香由来の林檎、アプリコット系に。違う形の多層感はありますが、ミズナラ香もほどよく効いて、それはさながら、かつての17年がそのまま21年になったような印象。
日本らしさがあるブレンデッドとして高いレベルにあることは変わりなく、これはこれなんじゃないか?と思える味わいです。


ちなみに、一昨年の年末に限定リリースされた響の最高峰となる35年は、とてつもない香木香、濃縮されたミズナラとシェリーの古樽のような甘さと苦味のミルフィーユのようなウッディな香味。ほんの数滴舌の上に乗せて解き放たれる香気を楽しむような。流石にあれはやり過ぎと感じつつも、サントリーのブレンデッドで何が鍵になっているのかを学ぶ上でいい経験になりました。

サントリー 響 17年 2017-2018年流通 43%

カテゴリ:
HIBIKI
SUNTORY WHISKY
17 years old
2017-2018's
700ml 43%

グラス:サントリー響テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:直近開封
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライな香り立ち。乾いたオーク、バニラ、干し草のようなニュアンスに加え、ドライアプリコット、干し柿、淡い香木感。微かに青みがかった要素もある多彩なアロマ。

味:まろやかだがややドライな口当たり。蜂蜜や杏のジャムを思わせる粘性のある甘み、乾いた木材、微かに青みがかったオーク、焼き芋の皮。
余韻は焦げたようなウッディさ、ほろ苦くドライなフィニッシュ。

バランスの良いブレンデッド。アメリカンホワイトオーク主体と思わせる構成に、奥から開いてくる淡い香木感が"らしさ"に繋がっている。
ややドライな口当たりだが、少量加水するとまろやかさに加え、香味の一体感が増す。


日本が世界に誇るブレンデッドウイスキーブランド響。多彩で複雑な香味、しっかりとしたボディ、滑らかで長い余韻。1989年の誕生から改良を重ね確立した、ブレンデッドスコッチのそれと異なるキャラクター。
香味の上で日本らしさ、サントリーらしさを備えたブレンデッドウイスキーの到達点と言える構成なのですが、ここ最近はちょっと様子が違うようです。

聞けば、一時期に比べて味が変わっているという話。まあこのウイスキーブームで原酒不足に拍車がかかり、出荷規制がかかっているくらいですから、構成原酒の傾向も変えざるを得ないわなぁと。
それを確認すべく、白州や山崎18年の最近のロットをテイスティングしたついでに、響の最近のロットも飲んできました。

まず、純粋に現在の響17年単体としての味わいですが、依然として安定した美味しさがあるのは事実。多少樽感が乱暴というか、テイスティングでも触れたようにアメリカンホワイトオーク由来の香味が強く、フレーバー同士の繋がりがギスギスしているようにも感じますが、少量加水での変化し、幾多の原酒が織りなす香味の多彩さは健在です。
ただ、かつての響17年に比べると、原酒の割合に変化が生じていることも間違いなく。熟成した原酒によるクリーミーな口当たり、シェリー樽由来と思しき甘みや、ミズナラの香木系の厚みがそれぞれ軽くなっているように感じました。
確かに以前と違うと言うのも頷けます。

最近のロットでの山崎、白州、そして響の近い熟成年数のテイスティングをそれぞれ行ってみて思うことは、山崎は樽で、白州は熟成した原酒の総量で、どちらかと言えば山崎が特に苦労している印象を受けます。
そうなると、同一の原酒が使われている訳ではないとは言え、シングルモルトの構成原酒が変更(あるいは仕上がりの変化)を余儀なくされている以上、ブレンデッドである響も同様の影響を受けても不自然ではありません。

しかしながら、原酒が苦しいとされる今、これだけのウイスキーを安定して量産するサントリーのブレンド技術は流石というほかはなく、精一杯の仕事はされているのだと理解しています。
9月には新しい響であるブレンダーズチョイスがリリースされる予定ですが、その技と経験を活かして安定した品質のブレンデッドを作って欲しいと思います。

サントリー 響ブレンダーズチョイスを発表 ラインナップ整理の動きも

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昨日、サントリーが響ブランドの新商品となる「響 BLENDER'S CHOICE」を発表しました。
また、これに合わせて響や白州などの既存ブランドに休売、再編の動きも伝え聞くところ。
今月末にはエッセンスオブサントリー3種も発売される中で、今年は同社の動きに注目する必要がありそうです。

(※リリースされたブレンダーズチョイスについて、既存ラインナップとの比較を含めたテイスティングを掲載しました。)

(※5/15日追記 販売休止について、メディアを通じた情報公開がありました。)


【響 BLENDER'S CHOICE】
発売予定日:2018年9月4日(火)
希望小売価格:10,000円
仕様:ブレンデッドウイスキー
容量:700ml
度数:43%

<構成>
・様々な樽や様々なエイジングの原酒を厳選し、ブレンダーの匠の技でブレンドした特別な一品。
・平均酒齢15年程度、一部30年を超える高酒齢原酒を使用。
・ワイン樽後熟原酒を使用し、甘くまろやかで深みのある味わい。


響ブレンダーズチョイスの新発売は、昨日サントリーが都内で開催した、酒販関係者向けのセミナーで発表されたようです。今後、プレスリリースなども行われると思われます。
ここ最近、サントリーウイスキー絡みではニューリリース、休売、終売、様々な情報が噂レベルで飛び交っておりましたが、まず一つ動きが明らかになったと言うことになります。

その新商品は、現在リリースされている響ジャパニーズハーモニー(JH)のリニューアル・・・というわけではなく、完全に上位グレードとしてのリリースになる模様。メーカー希望小売価格的には現行品の17年とほぼ横並びになるグレードです。
平均酒齢という表現が引っかかりますが、若い原酒から長期熟成原酒までを幅広く使い、どのような味を作り上げるのかは素直に興味があります。
サントリーのノンエイジといっても、美味いブレンドは本当に美味いですからね。

ただ、これを見て思うのは、原酒不足の中で必要な原酒をどこから持ってくるのかということ。そして2015年に響JHがリリースされた後の流れです。
当時も12年が響JHとほぼ同等くらいのグレードにありましたが、その後のラインナップ整理で12年が終売となり、響JHが残ることとなったのは記憶に新しいところ。
同セミナーで響17年が終売になるという発表がされたわけではありませんが、近年のウイスキーブームによる原酒不足から響ブランドのエイジング表記は山崎、白州同様に出荷調整が行われ、入手困難な状況が続いています。
単純な話、12年以上、17年以上という熟成年数や、◯◯樽などという縛りがない方が広く原酒を確保できるため、メーカーとしては品質確保と大量生産がしやすい状況となります。
暫くは様子を見つつ片方をフェードアウトさせる。。。この流れに既視感を感じるのは、自分だけではないはずです。


またこの他、先述の出荷調整に端を発し、一部酒販店舗やBAR等には一部ブランドの再編に関する情報が伝えられ、それが噂として愛好家間を飛び交っているようです。
しかしサントリー社内でかなりレベルの高い箝口令が敷かれているのか、そんな情報は聞いたことがないという説明があったと思えば、酒販サイドによって異なる情報が聞こえてきたりで、はっきりとしない状況が、様々な噂に繋がっているようにも感じます。

その中で、比較的確度が高そうなのが、今回ニューリリースが発表された響の17年と21年の休売、あるいは終売。そして白州エイジングシリーズの順次休売です。(リニューアルするという話もあります。)
あくまで予想ですが、現在のサントリーのブレンデッドの主軸が白州蒸留所の原酒にあり、ニューリリースのブレンダーズチョイスの原酒を確保するため、響の2銘柄と白州のエイジングシリーズを休売とするのは違和感がなく、自然な流れのようにも感じます。
なんせ原酒が仕込まれたのは2000年代初頭、あるいは1990年代後半。生産量を大きく絞っていたウイスキー冬の時代なのですから。
原酒不足が解消されるのはまだまだ先。。。ということなのでしょう。

いずれにせよこの話は、メーカー、ないし酒販店に問い合わせても確たる情報はまだ得られないものと思われます。
何より物不足感も手伝ってブームが過熱しきっているところ、冷静に対応する必要があります。
ニューリリースの響も気になりますし、引き続き自分もアンテナを張っていきたいと思います。

サントリー 響 17年 50.5% ノンチルフィルタード

カテゴリ:
IMG_3035
SUNTORY WHISKY
HIBIKI 50.5
NON CHILLFILTERED
Aged 17 Years
700ml 50.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかな熟成香、林檎のカラメル煮、ややアルコール感を伴うアタック。加水すると天津甘栗の香ばしい甘み、エステリーなニュアンス、ほのかにタバコ葉を思わせるウッディなアロマが開いてくる。複雑で多彩な香りだが少し野暮ったさもある。

味:とろりとコクのある口当たり、カラメルソース、アプリコットジャム、干し柿を思わせる甘み、ジンジンと舌を刺激するウッディネス。徐々に甘栗を思わせる香ばしい穀物風味。ミズナラを思わせるオーキーな熟成香が鼻腔に届く。
余韻はスパイシーで微かなピートを伴い長く続く。

ストレートはコシの強い香味が魅力的だが、ぜひ少量加水を試してほしい。より多彩な香味を引き出すことが出来る。
グラスは大振りのワイングラスを使っても面白い。

サントリーが2004年から2009年までの短期間、ノーマルの17年と並行する形で発売していたノンチル、ハイプルーフ仕様の響。2009年12月まで有効のマイレージ倶楽部シールが貼られているので、おそらく終売間際のボトルと思われます。
新年早々友人とのトレードで入手したボトルですが、トレードしたその場で「新年あけまして〜」のノリで開封しました(笑)

ウイスキー不況の時代、その打開を目指した動きをそのまま表すかのようなリリースで、販売価格は43%加水の17年(通常品)とほぼ同額。現在のラインナップからは考えられない設定でしたが、当時はそこまで話題にならず。
時期的にハイボールブームが起こり出したあたりで、角の原酒が足りない、山崎の原酒が足りないとなり、ふと気がつけば市場から消えていました。

香味の系統はノーマルの17年と同じですが、さすがに度数の高さに比例して香味が濃く、重層的という表現はまさにしっくりくる反面、野暮ったさすら感じるところもあります。(ノーマル17年の方が華やかで、洗練されている印象も。)
当時からノンチル仕様で香味を多く残していることがPRされると共に、飲み方はハーフロックや、トワイスアップなどの加水系が推奨されていますが、響の良さはそのバランスはもとより加水で開く香味にあります。
この17年50.5も少量加水することでブレンドの妙、香味の多彩さを楽しむことが出来る、まさに銘酒です。


余談ですが、自分が社会人になった2008年4月、初任給で初めて買ったウイスキーがこの響17年50.5%でした。
学生時代5000円以上のウイスキーは中々手を出せなかったので、よし買ってやるぞと。ノーマルの響17年と50.5ノンチル、どちらを買うか悩んでこの50.5を買ったわけですが、パワフルなその香味に「ノーマルにしておけばよかったかな」なんて感じてしまったのも、今にしてみれば懐かしい話です。

サントリーウイスキー 響 1990年代流通 43% 第2期ボトル

カテゴリ:
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SUNTORY WHISKY
HIBIKI
(No Aged)
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:最初はみたらしや干し柿を思わせる濃い甘さのあるアロマだが、徐々にオーキーで華やかな熟成香が開いてくる。林檎のカラメル煮、熟した洋梨。加水すると奥にあった華やかな要素が前に出て軽やかに香る。

味:とろりとリッチな口当たり、鼈甲飴を舐めているような甘みから、ウッディーで心地よいほろ苦さ。中間は少し軽いが余韻は軽くスパイシー、干し柿、ドライフルーツを思わせる粘性のある甘みが口の中に張り付くように残る。加水すると香り同様華やかさはあるが、やや水っぽさが出てしまう。

経年由来か若干のヒネがあり、また原酒構成も少々乱暴な印象を受けるが、現行品の響17年に共通するブレンデッドらしい多彩な香味が感じられる。香りは加水、ロック共に良い変化があった半面、味はやや水っぽくなってしまった。レーズンなどとあわせると甘みが補われて良いマリアージュとなる。
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ファーストリリースの響(1989年4月)から約1年後、1990年に入ってから市場流通した響です。
この時期のボトルの特徴については、金色のヘッド、ネック部分に金のワンポイント、そして大きく書かれた響の文字と、一目見ていただければ判ると思います。
ではファーストリリースとの違いはというと、それは1箇所、ラベルの"SUNTORY WHISKY"の上にあるロゴマークが、1989年まで使われていた"向獅子"から"響"に変わっているところにあります。
これは1990年に"人と自然と響き合う"が企業方針として採用されたことを受けて変更されたもので、ここだけ見ればある程度時期の特定が出来てしまうのが、サントリー製品の見分け方のポイントとなります。

その中身ですが、リッチで美味しいブレンデッドウイスキーであるものの、初期ロットの響に比べてミズナラ系の香味や濃い熟成香が薄くなり、ややバランス型に移っているように感じます。
また、テイスティングにも記載したように、加水で中間が弱く水っぽくなってしまうのが惜しいですね。これはノンエイジ時代の響に共通する特徴で、最初は現行品以上にぶわっと口の中にモルティーなフレーバーや熟成香が広がるのですが、それが長続きせずにボディや余韻が先細りしてしまうのです。 

ロックやハイボールなどの変化も同様。現行品が良く考えられて作られているなと感じるのはこの部分で、おそらく当時は熟成年数の長いモルトは使えたものの、グレーンや原酒の種類、あるいはブレンドの技術という点では、まだまだ手探り状態だったのではないかと。
あくまで主観ですが、響のラベルはNA時代から現行品まで5パターンくらいリリースされている中で、17年表記となる2000年頃にかけて完成度が高まっていく印象です。 

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(響の初期ラベル。ロゴマークは向獅子が採用されている。)

なお、先にも少し触れましたが、響のノンエイジ時代はギフトとして相当数が出回り、多くの酒販、個人宅などで保管されていたモノが多数中古市場に出回っています。
そのため、数年前までは非常に安価で手に入れることが出来、普段使いや会社の飲み会への持ち込みなど、随分使わせてもらいました。
一方で、そうした保管状況の違いから横置きコルク臭や温度変化などから来るヒネ香など、ボトル毎の状態にかなり差もある印象。今回のボトルはヒネはそれほどでもないものの、少しコルク臭が感じられました。 

今なお、古い酒屋で当時のボトルを見つけたと、発見報告を見ることも少なくないわけですが、1990年代のボトルはだいぶ"やられている"ものもあるので、保管状態はよくチェックされた上での購入をオススメします。

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