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グレンフィディック12年 スペシャルリザーブ 40%

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GLENFIDDICH 
OUR ORIGINAL TWELVE 
Aged 12 years 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)

トップノートにはやや硬質感があるが、青りんごや洋梨を思わせる華やかなオーク香、微かにレモンピールを思わせるニュアンス。時間経過で奥から麦芽由来の甘さも混じる、爽やかなフルーティーさが心地よい。
一方、味わいは香りに比べて少々広がりが乏しい。麦芽由来のほろ苦さ、柔らかい甘みが舌の上で感じられ、余韻は砂糖漬けドライレモンピールを思わせるビターなウッディネス、ほのかにオーキーな華やかさが鼻腔に抜けていく。あっさりとしたフィニッシュ。

ラベルにはオロロソシェリー樽とバーボン樽で12年熟成と記載があるが、色合い、香味から察するに熟成はほぼバーボン樽で、シェリー樽はアメリカンオークのリフィルか。香りはオークフレーバーがしっかり感じられるが、40%加水の普及品ということもあって、味わいは小さくまとまっている。やや硬さもある。しかし柔らかく甘みのある麦芽風味主体の素直な酒質と、アメリカンオーク由来のオークフレーバーという、定番の組み合わせから流行りを外さない安定感は、このボトル最大のポイント。何と言ってもハイボールがオススメ。

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先日、酒育の会のWEBマガジン「Liqul」に投稿したウイスキーコラム、”Re-オフィシャルスタンダードテイスティング”で紹介したグレンフィディック12年です。
昨年市場に出回り始めたリニューアル後の現行品ボトルで、いつかコラムで取り上げようとボトルだけは買ってあったのですが、年明けの更新に回ってしまいました(汗)。

グレンフィディック12年スペシャルリザーブ 平凡にして非凡な1本:Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.10 | LIQUL - リカル -

コラムにも書いたように、グレンフィディック12年は味、価格、流通量、それらのバランスが優れた、定番品として申し分ない1本だと思っています。
勿論、万人向けオフィシャルスタンダードとして突き抜けた仕様にはなっていないため、嫌なところが少ない反面、良いところも控えめで。。。だから面白みがないし、1杯の満足感としてはそこまでと感じる方も多いと思います。

ですが、軽やかな熟成感と爽やかなフルーティーさは、近年のスペイサイドモルトのキャラクターど真ん中であるだけでなく、若さも目立たない点は好感がもてる仕上がり。
ハイボールとの相性はバッチリであるだけでなく、同ブランドにおける上位グレードにも通じる、フルーティーさが備わっているのもポイントだと思います。
ちゃんとハイエンドへのステップ、エントリーグレードとしての役割も果たしているんですよね。

どこにでもあり、目立った仕様もないため平凡すぎて軽視されがちですが、改めて飲んでみると、なんだ結構良いじゃないかと、その非凡さを感じる銘柄の代表格。年間100万ケース以上販売しながら、このクオリティが維持されているのは凄いことです。

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一方で、2015年から販売されていた(日本市場では2016年頃から)、写真の1世代前のボトルと比べると、リニューアル後の今回のボトルは、麦由来の甘みがプレーン寄りになって、その分樽由来のフレーバーに硬さが目立つようになったと感じています。

これはさらに古い世代のボトルと現行品を比べると、一層華やかに、しかし麦芽風味はプレーンに、という変化が感じられると思います。
理由はわかりませんが、やはりあれだけ量産しているので、多少なり品質や樽使いに影響があっても仕方ないのかなと。それはが今回はた、またまハイボールに合う仕上がりだったというだけなのかも。
ですがそんなことを言ったら、同じく12年のシングルモルトで売り出している某静かな谷のように、リニューアルする毎に樽感が薄く若さが目立って、いったいどうしたのかという銘柄も散見されるなか。他社スペイサイドモルトがリニューアルする度に、グレンフィディックの安定感が際立つ結果になっているようにも感じます。

我々ウイスキー飲みって、常にフルコースの満足感を求めているわけでも、波乱万丈の展開をグラスの中に求め続けているわけでもないんですよね。食中酒や風呂上りにさっぱり飲みたいという時に、このハイボールはピッタリなのです。
ノーマルなブレンデッドで、例えば角やデュワーズのように、同様にオーキーなフレーバーを備えたものとも異なる、ハイボールでのバランス、味わいの深さと満足感。適材適所、デイリーウイスキーってこういうヤツだと思います。

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余談:グレンフィディック蒸溜所の蒸留器については、写真のように異なる形状のもの、加熱方式も間接だけでなく一部直火蒸留があるなど、複数のタイプが存在します。
これらで蒸留されたニューメイクは、同じタンクに混ぜて貯められるため、スチル毎で見れば原酒の造り分けが行われているものの、全体としては均一化されている蒸留所であるのだそうです。
なるほど、香味のブレの少なさはそこにあるのかと、安定感の裏付けに加え、時代時代で味が変わってきているのは、麦芽品種の違いだけでなく、この一団を構成するスチルの形状や蒸留方式が時代で一部変化し、樽詰めされるグレンフィディックの原酒を構成するピースが変わってきているからかもと、予想しています。

LIQULコラム 5月号はブルイッラディ&ポートシャーロット レビュー

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酒育の会発行のフリーペーパー「LIQUL(リカル) 5月号」が発行されました。
もう前置きは不要かと思いますが、自分は昨年から、Re-オフィシャルスタンダードテイスティングというタイトルで、新たに発売した銘柄やリニューアルして味が良くなった銘柄等、オフィシャルボトルにおける注目銘柄の紹介記事を寄稿させてもらっています。

同誌は酒販店やBAR等協賛店舗での配布と合わせ、今年2月からWEBマガジンとしても展開されており、類似の内容(WEBマガジンのほうが字数制限が緩いので、内容が濃い場合もある)が、隔日程度の頻度で1記事ずつ更新されています。
そして先日5月9日、5月号向けに寄稿した記事がWEBマガジンのほうに掲載されましたので、記事中では書かなかった話等と合わせて紹介していきます。


Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.5
ブルックラディ”アイラバーレイ&ポートシャーロット10年”
(LIQUL本誌の内容は、上のWEB版を800文字程度に要約したものとなります。)

今回のピックアップは、アイラに島あってアイラ由来の個性と異なる特徴を持つ蒸留所、ブルックラディ

同蒸留所の日本名称は「ブルイックラディ」だったのですが、親会社であるレミーコアントローのブランド再編により、2018年頃から「ブルックラディ」に名前が変わっていました。
蒸留所は1995年からの休止、2001年の再稼働、そしてその後のラインナップ整理を経て、再稼働後の原酒は
・クラシックラディ(ブルックラディ):旧世代のキャラクターを引き継ぐノンピートタイプ
・ポートシャーロット:ヘビーピーテッドモルト
・オクトモア:世界最強のピーテッドモルト
主に以上のブランドに整理され、リリースされています。

”ブルイックラディ”時代は、休止前に仕込まれたライトピートタイプの原酒が一部で使われているなど、若干ピーティーな銘柄があったように記憶していますが(例えば、2000年代にリリースされた17年など)、再稼働から時間が経ち、原酒の熟成が進んできたことで、各ブランドの住み分けが一層はっきりしてきました。
クラシックラディは90年代のクリアトール時代に通じるベクトルで、懐かしい味わい。オクトモアは相変わらずぶっ飛んでいる(というかぶっ壊れている)。そしてこの数年内、上述の3ブランドのうち最も完成度を向上させたのが、ポートシャーロットだと感じています。

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(現行品のクラシックラディからイメージ出来る、クリアトール時代のラディ。洗練された印象のない素朴な麦芽系で、それが逆に良さでもあるが、個性に乏しい。まさにブレンド向けの原酒という時代の1本。)

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(2020年時点、ポートシャーロットのオフィシャルスタンダード。度数が50%あり、飲み応えもある。アイラバーレイ仕様もリリースされているが、こちらはまだ熟成10年未満の原酒で構成されている。)

今回の記事を書くきっかけは、なんといってもこのポートシャーロット10年。
2018年にリニューアルして10年表記になってから、これまでの若さが先に来る香味構成に熟成感が伴うようになり、内陸系のスモーキーさとこだわりの麦芽風味、それぞれに繋がりが生まれてバランス良く楽しめるようになっていました。
実はリカルの執筆を始めるに辺り、紹介しようと決めていたうちの1本でもあります。

一方、記事化にあたって最も表現で悩んだのは、「ピートフレーバーの違い」でした。
ブルックラディは麦芽風味にこだわり、アイラ島やオークニー島で契約農家による栽培を行うなど、ワインで言う”テロワール”をウイスキーでも表現することをブランドモデルに掲げています。
その麦芽由来のフレーバーは確かにしっかりとしており、それはノンピート仕様のブルックラディ・アイラバーレイやベアバーレイを飲むことで理解出来ると思います。

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(クラシックラディとは異なり、しっかりとした麦芽風味の主張、麦由来のフルーティーさが楽しめる、バーレイシリーズ。ブルックラディ再稼働計画のなかで、オーガニックで地場生産のモルトはプランの1つに掲げられていた。なおこのリリースはノンピート仕様のはずが、微かにピート香がするような。。。?)

ブルックラディは再稼働後から「生産からボトリングまでを一貫してアイラ島で行う唯一の蒸留所」ということもPRしてきました。
しかし、この”生産”にはモルティングが含まれておらず、ピートもアイラ島のものではありません。スコットランドの内陸にある設備で仕込まれた麦芽が、現在のブルックラディでは使われているのです。
そのため、ポートシャーロットは、アイラ産のピートが持つヨード系のフレーバーをほとんど持たないキャラクターとなります。

冒頭、「アイラ島にあってアイラらしくない」と書いたのは、まさにこのピート由来のフレーバーの違いにあります。
その土地の風土や気候、環境の違いを意味する”テロワール”をブランドのモデルとしながら、ウイスキーのフレーバーにおいて重要な役割を担うピートがアイラ島産ではないというのは、ちょっと整理が難しい。
ご存じの通り、単にピートフレーバーやスモーキーさといっても、ピートの成分によって得られるフレーバーは大きく異なるのです。

ただし、味が悪いという話ではなく、あくまでPRにおける整理の問題です。
これを香味の点から好意的に解釈したのが、コラム中に書いた、ヨード香は麦芽由来の風味を邪魔してしまうこともあるため、ブルックラディの素朴かつ熟成によってフルーティーさを纏う酒質由来のフレーバーとスモーキーさを両立させるため、内陸のピートを使っているという考察です。


率直に言えば、これはブルイックラディの「妥協」だったのではないかと思います。
理想的には一貫して、麦の生産、仕込みもアイラ島で全て行いたいが、ウイスキー産業が今ほど勢いづいていない再稼働当時の状況では、資金調達の難しさに加え、アイラ島の農家で指定の麦芽をつくってもらうという試みも、理解が得られず首を縦に振ってもらえない。
”ウイスキー・ドリーム”にも書かれていた時代背景の通り、ピートと麦芽を確保し、アイラ島で精麦することまではたどり着けなかったのではないかと考えられます。

しかしブルイックラディはその後現地の農家との関係を構築。現代のウイスキーブームを後押しに、ついに2023年までに精麦設備をオープンさせ、オールアイラ島産のウイスキー作りに着手する「一貫生産計画」を発表するに至っています。

親会社であるレミー・コアントローから発表された、ブルイックラディ蒸留所に関する投資計画のプレスリリース(2019年5月17日)

これが現地のピートも使った仕込みに繋がるのか、あるいはアイラ島で作られた麦芽の使用比率が全体の42%と増えてきたので、単なる生産効率化のためなのか、現時点で詳しいところはわかりません。
某蒸留所のマネージャーから伺った話では、アイラ島のピートの採掘権(採掘場所)はかなりいっぱいいっぱいで、まとまった量での新規参入は難しいという話もあります。

個人的に、このオールアイラ島産のモルトに興味がないわけではありません。今回のコラム記事で、苦手なのでついスルーしてしまったオクトモアも、アイラピートで仕込んだらどうなるのかなど、リリースの幅がさらに広がることは間違いありません。
しかし、ブランド全体としては、既に他の蒸留所で作られているモルトと似てきてしまうのではないか。ブルックラディ(ピーテッド)は今のフレーバーの系統で良いのではないかと思ったりもします。

先に述べたように、売り方の整理はありますが、バーレイシリーズで作られる麦由来の風味のしっかりした原酒、特にベアバーレイなどは大きな可能性を感じるものですし、ピーテッドタイプの原酒が熟成を経た先の姿もまた楽しみです。
何より、他のアイラモルトと異なるのは、再稼働後に誕生したポートシャーロット等のピーテッド銘柄には、1960~70年代の黄金時代の縛りがないことです。
例えばボウモアのトロピカルなフルーティーさといった、昔を意識するものがない、求められるのは常に成長し続ける今の姿です。
今後どのようなリリースが行われていくのかはわかりませんが、アイラ島のなかで独自のブランドを作り上げていく、そんな存在であり続けてほしいなと個人的な希望を書いて、この補完記事の結びとします。

蒸留所外観

以下、LIQUL5月号繋がりで余談。
リカルでは毎号ピックアップ特集記事のテーマが決まっており、この5月号は「もっと洋酒を楽しむためのファーストステップ・ブランデー編」です。
そのフルーティーさ、奥深い独特の甘味、ウイスキー愛好家からも関心が寄せられているブランデージャンルの全体像を知るには、ぴったりな内容となっています。(1st Stepと言いつつ安易な入門記事ではない、蒸留方法から生産地域の特徴まで、幅広く網羅されている記事です。)

緊急事態宣言に伴う自粛生活で、夜の街に出歩けない日々が続いているとは思いますが、SNSでは7bookscoverなる取り組みが広まっていたりで、夜の時間で読書や勉強をされる方も少なくない模様。
まだまだ涼しさを感じる5月の夜。こちらの記事を、ブランデー片手に宅飲みのお供にいかがでしょうか。

LIQULコラム WEB掲載開始とアラン新商品のレビュー

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昨年から連載させてもらっている、酒育の会の広報誌「LIQUL(リカル)」。
元々は紙媒体&電子書籍として隔月配布・公開されていましたが、今年からWEBマガジンに媒体を移し、日替わりでライターの記事が投稿される形式になりました。

実は、媒体としては1月下旬頃から公開されていたのですが、すっかり見落としていたというこの不義理っぷり。
2月1日に公開された自分のコラムは、昨年入稿していたアラン特集。大幅リニューアルされた、アラン蒸留所のスタンダード銘柄の新旧比較と、新商品にフォーカスした内容となっています。

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酒育の会 ”Liqul”
Re-オフィシャルスタンダードテイスティングVol.4「アラン」
・アラン10年新旧比較テイスティング
・ニューリリース:バレルリザーブ 43% 
・ニューリリース:シェリーカスク 55.8%
コラムページ:https://liqul.com/entry/2526

2019年9月、アラン蒸留所は既存ラインナップの大幅リニューアルを発表。10年や18年等の熟成レンジは継続しますが、ご存じの通りラベルデザインが全く別物にシフトするという、大きな動きが起こっていました。
それらに対するレビューはコラムにまとめていますので、ここでは記事中に書かなかった雑感、執筆していて思ったことなどをメインに触れていきます。

■アラン10年新旧比較テイスティング
まずはオフィシャル・アランで最も飲まれているであろう、10年熟成の新ボトル。素直に旧より良くなったなと感じました。
よくよく考えると、アラン10年はこれで3世代目。リニューアルする毎に美味しくなってきたと感じます。生産が安定し、原酒が増え、蒸留所としての体力がついた結果・・・でしょうか。

旧ボトルは旧ボトルで価格を考えると良い出来でしたが、新ボトルはアメリカンオーク由来の少し粗いウッディさが軽減され、フルーティーさに繋がる良い部分はそのまま残っているような構成です。
色合いが若干濃くなったようなので、樽構成の比率で少しシェリー系統を増やしたのかもしれません。
比較テイスティングして悪くなってたらどう書こう・・・と一抹の不安を覚えていましたが、杞憂に終わって一安心。

ただ、上記コラム執筆時にテイスティングしたのはイギリス流通品で、日本向けではないもの。おそらく大差はないと思いますが、今流通が始まっているものを確認した上で、改めてレビューはまとめたいと考えています。

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■新商品3種について雑感
一方、新商品の位置付けとなるうちの
・バレルリザーブ 43%
・シェリーカスク 55.8%
これらも価格を考えたら全然良いですね。
バレルリザーブは昨年までリリースされていたロックランザの後継品と思われますが、10年同様に感じられたアメリカンオーク由来の粗さや、若さに通じる要素が少なくなり、加水も効いて品の良いフルーティーさだけ残ったような変化。構成原酒は7~8年熟成で多少単調ではあるものの、目立った若さはあまり感じませんでした。

全体が整えられている分、新10年よりもダイレクトにオーキーなニュアンスが感じられるのがポイント。同クラススペイサイドモルトの代替品としても、いい線いくんじゃないでしょうか。例えばグレンリベットとか、グラントとか・・・うかうかしていられないですよ。

また、シェリーカスクも同様に若い原酒で構成されていますが、ハイプルーフ故の粗さはあるのですが、シーズニングシェリー系の香味がしっかりあり。ライバルはアベラワーのアブナック、あるいは最近みなくなりましたが、グレンドロナックのカスクストレングスといったところ。
今価格を調べたら税込みで6000円前後ですか・・・近年の相場込みで考えたらかなり頑張っているボトルだと思います。
この手のボトルあるあるで、ロットを重ねる毎にシェリー感が薄くならないかが心配ですが、アランのコスパの良さを見せつけるようなリリースと言えそうです。

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一方で、テイスティングをしたものの、コラムに掲載しなかったのが、アラン・ボシーの後継品に当たると考えられる「アラン・クオーターカスク 56.2%」
位置付け的に新商品となるのですが、掲載しなかった理由は比較テイスティングで旧ボトルにあたるボシーのほうが美味しいと感じてしまったから・・・なんです。

ボシーも全てが美味しいわけではなく、2016年頃にリリースされたバッチ1は、樽感が荒く狙ったフルーティーさもそこまでおらず。
それが2018年頃から流通しているバッチ3はクオーターカスク由来のバニラやオークフレーバー、フルーティーさが、アランの麦芽風味にうまく馴染んでこれは良いリリースだと思える仕上がり。
逆にニューリリースのクオーターカスクは、ボシーのバッチ1に先祖がえりしてしまったような、そんな印象もあって、国内に入ってきたら追試が必要と保留したわけです。
もちろん好みの問題もあると思うのですが。。。

なおリニューアルしたなかで、18年や21年のアランは後発発表されたもの。コラムを書いた時点でモノがなく、これも是非テイスティングしたいボトルです。
旧ボトルとなる18年は、リニューアル前のロットを飲んでクオリティが上がっているとレビューを書いたばかりでしたし、逆に21年は物足りない印象でしたから、そこからどう変化しているのか楽しみですね。

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酒育の会「LIQUL」
”お酒を楽しむ人のカルチャーマガジン”

今回のコラムは、新ボトルが国内に出回り始めた頃の掲載(めちゃくちゃ見落としてしまっていましたが。。。)。書いておいてなんですが、自分も「そうそうこんな感じだった」と、思い返すことができるちょうど良いタイミングでした。

Webマガジンとしてのリカルの連載は、各ライター毎にストックされている記事が日替わり、あるいは隔日で公開されていくこととなります。
それにしても、こうして多くのライターが活動するグループのなかにいると、恐縮してしまう気持ちだけでなく、昔ウスケバでみんなが色々な記事を投稿していた、ポータルサイトの雰囲気を感じて懐かしくもなります。思えばあそこから始まったんだよなぁと・・・。
このリカルの新しい媒体から、どんな出会いや繋がり、あるいは機会が生まれていくのか。今後の展開が楽しみです。
ライターの皆様、そして読者の皆様、今後ともよろしくお願いします。

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シークレットスペイサイド(マッカラン) 24年 1994-2019 酒育の会 49.3%

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SECRET SPEYSIDE DISTILLERY 
For Shuiku no kai 
Aged 24 years 
Distilled 1994/07 
Bottled 2019/01 
Cask type Bourbon Barrel #1408895 
700ml 49.3% 

グラス:ー
場所:BAR Fingal 
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかでオーキー、しっかりと樽香を感じさせる香り立ち。オーク香はバニラや蒸かした栗を思わせる甘さに、ファイバーパイナップル、砂糖のかかったオレンジピールなど果実の中身よりも皮や茎の部分をイメージさせるドライフルーツ香がアクセントになっている。

味:やや粉っぽさを感じる口当たりだが、バニラやバタークッキー、じわじわとアップルパイ。焼いた生地のような要素の混じる果実感をアクセントに、濃いオークフレーバーが酒質を支えにして口内に広がる。
余韻は華やかなオーキーさと、削りかすを思わせるざらついたウッディネス。バーボン樽由来のトロピカルフレーバーが奥から戻るように開き、好ましいフィニッシュを構成する。

オークフレーバーに加えて、アメリカンオークのエキスがかなり溶け出しているような1本。バーボン樽系の圧殺というべきか、かなりの樽味。しかし酒質の強さが樽感を支えていて、味わいの基礎として余韻までヘタらず香味を広げてくれる。少量加水すると序盤の粉っぽさ、甘さがまとまってより華やかなニュアンスを感じさせる。仕上がりの分かりやすさと共に、原酒のポテンシャルを感じる1本。

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みのも○た、ではなく日本の戦後独立から高度経済成長を支えた偉人の一人、白洲次郎をモデルにしたと思われるラベル。
正確にいうと、どこにもそんなことは書かれていないのですが。デザインのベースは、著書「プリンシプルのない日本」の表紙にも使われた写真(以下、参照)。そこに"パイプ"を咥えさせ、武骨な"ロックグラス"を持っているアレンジが、このラベルのもととなった人物が、白洲次郎氏であることを明確に伝えていると言えます。

ラベルの背景を見ると、うっすらと書かれている軍服姿の人物がおり、これはダグラス・マッカーサー元帥でしょうか。両氏の間にはいくつか逸話があり、なかでも有名なのは”昭和天皇からのクリスマスプレゼント”ですね。
占領下にあった日本とはいえ、天皇陛下に非礼を働いたマッカーサー氏を怒鳴り付けたという真偽不明なエピソードですが、この他、白洲次郎氏とGHQとの間には「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめるだけの関係があったとされています。
ラベルの人物が咥えているパイプは、マッカーサー氏の有名な写真に写るものと同じ形状。知っている方なら、思わずニヤリとさせられる組み合わせです。

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また、手に持っているグラスは単にロックグラスではなく、”ボトルをカット”して作ったお手製のグラスかなと。
学生時代、白洲次郎氏はイギリスに留学しており、その際に親交を深めたうちの一人が、若き日のストラフォード伯爵。この縁で、戦後の日本でありながら、白洲次郎氏はスコッチウイスキーをストラフォード伯爵経由で個人輸入して楽しむ(樽そのものをプレゼントされていたという話もある)という、一般には考えられないような生活をしていたとされ。。。この時、飲みきってしまったボトルをカットし、グラスとして使っていたというエピソードが残されているのです。

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(白洲次郎氏がストラフォード伯爵から贈られたボトルに張られていた裏ラベルの実物。こんなボトルを実際に伯爵から贈られたら、間違いなく震える。。。Mrの文字の重みが凄い。)

さて、ラベルに仕組まれたギミックが面白かったのでついつい前置きが長くなりましたが、ここからが中身の話です(笑)。
このストラフォード伯爵から日本に届いていた銘柄が、マッカラン、グレンファークラス、そしてブレンデッドウイスキーのブラックボトルでした。
なんて羨ましい・・・という心の声はさておき、今回のリリースはスペイサイド地域の蒸留所のシングルモルトであることから、関係する中身として、マッカランかグレンファークラスのどちらか。バーボン樽のリリースということから、マッカランであるようです。

マッカラン=シェリー樽というイメージはありますが、元々マッカランは酒質がヘビーで強く、こってりとしたシェリー樽や加水で調整されてバランスがとれるような原酒です。
よって、小さいバーボン樽で長期間熟成してもそれに負けることはなく。今回のリリースも樽感はかなり強くでて濃縮したようなオーキーさはあるものの、それを口内で広げるような力が残っている点が印象的でした。

熟成感があり、普通に美味しいスペイサイドモルトで、特に余韻にかけての好ましいフルーティーさが魅力。ここだけならもう1ポイント上の評価をつけようかと思うくらい。
また、そこに単なるラベル売りと思わせない工夫のあるデザインや、中身との繋がりにあるエピソード。。。流石趣味としてのお酒の楽しみ方を広める、酒育の会のオリジナル。
味だけでなく情報も楽しむ嗜好品として、申し分ない出来の1本だと思います。

カリラ 12年 43% オフィシャル & Liqul 11月号

カテゴリ:
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CAOLILA 
AGED 12 YEARS 
ISLAY SINGEL MALT SCOTCH WHISKY 
700ml 43% 

グラス:不明
時期:不明
場所:Bar fingal
評価:★★★★★(5ー6)

香り:ややエッジの立ったピーティーさと、クレゾールのような薬品香のある香り立ち。土っぽさと根菜、ほのかにグレープフルーツ等の柑橘の皮や綿を思わせるほろ苦さがスモーキーさの中に感じられる。

味:口当たりはクリアで塩気と共に洋梨をペーストにしたような柔らかい甘味とコク、プレーンなウッディさ。そこにスモーキーフレーバーが後追いで開く。余韻はピーティーなほろ苦さと軽い酸味、針葉樹やタイムのような植物のニュアンスと、根菜っぽさも混じる。

3rdフィルあたりのプレーンなオーク樽で熟成された原酒を主体に構成されているのだろう。オークフレーバーは控えめで酒質由来の甘味と若干の植物感やハーバルさ、そしてピートに由来するアイラの特徴をもったスモーキーさがメイン。この甘味と口当たりの柔らかさがカリラのオフィシャルの特徴と言える。ハイボールも悪くないが、何気にロックが合う。


ジョニーウォーカーの構成原酒として知られるカリラ。ジョニーウォーカーだけではなく、ディアジオ傘下のブレンド用ピーテッド原酒として中核的な役割を果たしてきたわけですが、一方でアイラモルトのオフィシャルスタンダード銘柄のなかでは、販売戦略も関係していまいち目立たない印象があります。

アードベッグ10年
カリラ12年
キルホーマン・マキヤーベイ
ボウモア12年
ポートシャーロット10年
ラガヴーリン8年
ラフロイグ10年
※ブナハーブンはスタンダードがノンピートなので除外

ラインナップを見ると話題性でアードベッグやラガヴーリンに及ばず、近年ファンを獲得しつつあるポートシャーロットやキルホーマンら新興勢力にも押され気味。
カリラのクリアでシャープなピーティーさをとっても、それこそ若いキルホーマン等の方が分かりやすいというのが些かネックです。
一方で現行品のボウモアやラフロイグが味を落としているなかで、クオリティを維持している(2016年頃にはロットが切り替わって美味しくなったという話題もあった)点は、もっと評価されても良いと思うのですが。。。
そんなわけで、目立たないながら渋い仕事と繋ぎ役でチームに欠かせない、"いぶし銀"というのが自分にとってのカリラの位置付けとなります。

なお、近年のカリラは2011年にマッシュタンとウォッシュバックの増設工事があり、2010年時点で380万リットルだった生産量は650万リットルにまで増加したとされています。
これはシングルモルト需要もさることながら、ウイスキー全体の消費量が増えていることへの対応策。ここまでの話の流れの通り、カリラ単独でそこまで売れてる訳じゃないですからね。
今回のオフィシャル12年は増設が行われる前の原酒ですから、今後どのような影響があるかは未知数。他方で、実は工事が行われる前からカリラの生産量は増加の一途であり、2000年頃には100万リットル程度だったという情報からも、如何にカリラがディアジオの作るウイスキーを支えているかが伺えます。

増産体制になると味が変わるのは、ある種の法則のようなもの。ボトラーズの短熟を飲む限りそこまで悪くないとは思いますが、それが吉と出るか凶と出るか。。。ディアジオの技に期待したいです。

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酒育の会 Liqul(リカル) 11月号

先日発刊された、リカルの11月号。※WEBは週明けの公開のようです。
今回の特集テーマは「BARの流儀 "よりBARを楽しむために"」で、巻頭特集ではBARでのマナーや注文方法などを記事にしています。
BARとはどうあるべきかという考え方は、嗜好品に求める条件のように様々なものがあって当然ですが。やはり守るべきマナーはある程度共通で、そして良いサービスはお店の一人相撲では成り立たないんですよね。

そして今号の自分の連載記事・オフィシャルスタンダード特集第3弾は、カリラとキルホーマンでした。(写真もう1~2枚送ればよかったなー、ちょっと寂しい構図に。。。)
これまでは内陸銘柄でしたので、今回はアイラにしようと。となると、近年成長著しいキルホーマンと、安定感抜群のカリラは当確で、あまり選定で迷いませんでした。
それぞれの評価は過去記事含めての通りですが、この2本はフレーバーの共通項と熟成によるピートの強弱等も見える組み合わせ、としても選んでいます。
ピートは熟成を通じて丸く、減衰していく傾向があり、若くフレッシュなキルホーマンと、適度な熟成を経て柔らかさも感じられるようになったカリラ、飲み比べも楽しんで貰えればと思います。

なお、リカルは来年1月からWEBマガジン出の配信も開始し、1記事あたりのボリュームと更新頻度をあげていくことになる予定です。
今の記事は700文字程度という制限があったので、書ききれない内容もあってこの変更はちょうど良く。また、オフィシャル特集はそのままに、オールドボトルの記事も連載していく予定ですので、更なる情報発信の機会を頂くこととなりました。
まずは今月のフェスでしっかり情報を仕入れないと!皆様、引き続きよろしくお願いします。

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