軽井沢 11年 ビンテージ 1994 シングルカスク 62.8% BAR無駄話にて
KARUIZAWA
VINTAGE 1994
Aged 11 years
Single Cask Malt Whisky
700ml 62.8%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR無駄話
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:パワフルで 鼻腔を刺激する香り立ち。ややハイトーン、乾いた草、そして煉瓦のような土っぽさとピート香。バニラ、ほのかにグレープフルーツのような柑橘系のアクセント。
味:とろりと粘性のある口当たり、ハイプルーフらしく強いアタックと荒いウッディネス。麦芽風味、ドライオレンジ、じわじわとブラウンシュガー、かりんとうを思わせる香ばしい甘み。余韻はスパイシーでドライ、でがらしのお茶のような渋みを伴う乾いたウッディネス、焦げたようなピート香が長く続く。
開封後の時間経過でこなれた印象はあるものの、パワフルでアタックの強い、言い換えれば荒さのあるモルト。リフィルシェリー樽らしくシェリー感は淡く、ピートフレーバーがしっかりと感じられる。少量加水するとシェリー樽由来の個性が前に出てバランスは多少改善される。
先日に引き続き、BAR無駄話でのテイスティングから軽井沢ビンテージシリーズです。
これも懐かしいボトルですね。2010年に軽井沢蒸留所を見学に行った際、まさかこんなことになるとは夢にも思わなかったワケで。。。買い占めておけば軽井沢成金だったよねなんて話は、当時からのウイスキー愛好家にとって、今やちょっとした酒の肴だとも思います。
(かつての軽井沢蒸留所併設売店。山のように積まれる軽井沢Vintageと、1ショット5000円で試飲できた1968年蒸留40年熟成。おそらくリフィルシェリーカスクでの熟成と思うが、原酒、樽、そして熟成環境が噛み合い、フルーティーでまろやか、これまで飲んだ中で一番美味しい軽井沢だと記憶している1本。なお、価格は当時で1本10万円・・・。)
(かつての軽井沢蒸留所併設売店。山のように積まれる軽井沢Vintageと、1ショット5000円で試飲できた1968年蒸留40年熟成。おそらくリフィルシェリーカスクでの熟成と思うが、原酒、樽、そして熟成環境が噛み合い、フルーティーでまろやか、これまで飲んだ中で一番美味しい軽井沢だと記憶している1本。なお、価格は当時で1本10万円・・・。)
以前の投稿でも触れていますが、軽井沢のモルトはお世辞にも作りが丁寧というわけではなく、パワフルで荒々しく、ピーティーさも強い、言い方を変えれば長期熟成向けの原酒と言えます。
しかし、長期熟成に向かない日本の環境と、そこに濃厚なシェリー樽が多く使われていたことから、シングルカスクではどうしても荒さが残る傾向が多かったように思います。加えて1990年代あたりからは樽が安定せず、ファーストフィルのものでも荒くエグいだけでナンジャコリャというものがしばしば・・・。
今回のようにリフィルタイプのものは樽感でマスクされない分、樽由来のえぐみは控えめですが酒質の傾向が出ていますね。ボトリングから10年以上、そして開封後時間が経過していることなどからこなれてはいますが、元々は一層荒々しい味わいだったのではないかと。
そんなわけで、軽井沢のモルトはブームに反して率先して飲むことは無いため、今回久々に飲めたことで懐かしさと、軽井沢の酒質の部分の変化を味わうことが出来ました。
さて、BAR無駄話さんで夜通し飲み、そのまま1泊させていただいた翌日。朝食を挟んで行われたのはブレンダーズキットを使ってのオリジナルブレンドづくり。午前中のほうが香りがとりやすいって言いますしね(笑)。
キリンのキットは比較的最近のものですが、サントリーのはだいぶ昔のそれ。キリンのグレーン3種とサントリーのピーテッド原酒など、通常ありえない組み合わせです。
この日は午後から友人主催の別なウイスキー会があったため、ブレンドづくりも程々に、後ろ髪引かれつつも移動して梯子酒。後は飲む、食う、そして何故か打つという道楽の限りを尽くしたわけで、言わずもがな素晴らしく充実した週末となりました。
それにしても、狭いウイスキー業界では大概は知人の知人くらいの枠に収まるとは言え、直接会ったこともない自分を自宅に招待頂き、こうして貴重なお酒を経験させて貰える・・・。趣味が繋ぐ縁というのは、本当に人生を豊かにしてくれますね。