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イチローズモルト 神田バーテンダーズチョイス 2023 60% #7163

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ICHIRO’s MALT 
KANDA BARTENDER’S CHOICE 2023 
Single Cask World Blended Whisky 
Cask No, 7163 (2nd fill Bourbon Barrel) 
Selected by Kanda Bar Society 
700ml 60% 

評価:★★★★★★(6)

香り:キャラメルナッツを思わせる甘さと軽い香ばしさ、古い家具、微かにオレンジのような果実香が混ざる。

味:口当たりはメローでボリューミー、オレンジカラメルソースやチョコウェハースからスパイシーなフレーバー。微かにフルーティー。入りはグレーンの個性から徐々にモルトの個性に切り替わっていく。
余韻はスパイシーでウッディ、紅茶を思わせる淡い甘さとタンニンがあり、長く続く。

第一印象はグレーンというよりも、バーボン系のウッディさ。ヘビータイプグレーンを思わせる色濃い甘さとウッディさがあり、その個性をモルトが引き算しつつ、スパイシーさとフルーティーさが足し算されている。モルトとグレーンの比率は4:6程度と予想。全体的に若い印象はなく、トータル10年程度は熟成されているようだ。
時間をかけてマリッジした複数の原酒の、異なる2つの個性が足し引きされ、融合したような味わいが面白い。

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2年に一度、神田祭りの開催と合わせてリリースされる記念ボトル第6弾。
2013年に第一弾の羽生がリリースされてから10年、その間、神田の飲食店はウイスキーブーム、インバウンド増からの感染症と、まさに急転直下。その苦労は各位計り知れないものだったと思われますが、こうしてリリースが続いたこと、またこのボトルを飲むとができたことを、一人の愛好家として嬉しく思います。

今作は秩父蒸留所のモルト原酒と、輸入モルトウイスキー、輸入グレーンウイスキーを1樽分ブレンドし、2nd fill バーボンバレルで約7年間マリッジしたという1本です。
ブレンドした時点で秩父のモルト原酒は3年程度の熟成だったそうで、7年強のマリッジ期間を合わせると使われている秩父はトータル10年程度の熟成品。最初のリリースから10年という節目のボトルにぴったりなリリースとも感じます。

ブレンド比率は香味からの予想で、だいたいモルト4:グレーン6。
グレーンの中でもしっかり色の付いたバーボン系のヘビータイプグレーンが使われている印象で、ブレンド比率は秩父モルト2、輸入モルト2、輸入グレーン(英国)2、輸入グレーン(カナダ)4あたりでしょうか。
これらがセカンドフィルで主張の穏やかなバーボンバレルの中で混ざり合い、追加熟成を経た結果、例えば新樽後熟でつくような後付けで個性を圧殺する強い樽感ではなく、元からあった樽感が混ざり、こなれたような熟成感に繋がっています。

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※神田祭り記念ボトル、2021(右)と2023(左)。どちらもシングルカスクブレンド。2021の方が色が淡く、若いバナナや柑橘類を思わせる酸味とプレーン寄りの甘さが感じられる。メローでスパイシーな2023とは構成が大きく異なり、好みも分かれそう。自分は2023のほうが好み。

一方で、今回のリリースで非常にわかりにくかったのが改正表示法に基づく裏ラベルの表記です。
原料原産地名:英国製造、カナダ製造(グレーンウイスキー)
見ての通り国内製造表記がなく。あれ、ひょっとして輸入原酒だけで作られているのか?と、ラベル画像を二度見三度見。。。
結論は、先に書いてある通り秩父原酒がちゃんと使われているわけですが。これは英国製造には2つないし3つの意味があったということです。

英国製造は
・英国で製造(製麦)したモルトを原料として秩父蒸留所で蒸留、熟成したモルトウイスキー。
・英国で製造(蒸留、熟成、ブレンド)されたバルクモルトウイスキー。
・英国で製造されたバルクグレーンウイスキー。
つまり、原料としての英国製造と、輸入原酒としての英国製造が重なった表記だったのです。
そしてそこに、カナダで製造されたバルクグレーンウイスキーが合わさって、全体で最も多く使われているのがグレーンウイスキーであるため(グレーンウイスキー)として表記される。

…いや、わっかんねーよこれ。
表示法の改正は、国民が原料等使われているものを理解しやすくするためって趣旨があったはずなのに、余計混乱を生じさせる記載になっています。
まあ他の酒類だとあまりこういうことはなく、ウイスキーが特別なんですが、個別に捕捉の情報を発信していかないと、いらぬ誤解を生じさせてしまいそうだなと危惧します。ベンチャーウイスキーさんもそこまで個別のボトルの情報を発信しませんしね。
その補足に私のブログが役立てば幸いですが…。

なんだか話が変わってしまいましたが、メローでスパイシーで、個人的には結構好みなボトルでした。ぜひ神田のBARでお楽しみください。

イチローズモルト バーテンダーズチョイス 神田祭2019 シングルカスクブレンデッド 58.6%

カテゴリ:
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ICHIRO'S MALT 
BARTENDER's CHOICE 2019 
Single Cask Blended Whisky 
Selected by 神田 Bar Society  
Cask No, 5294 
700ml 58.6% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:前面にライ系や新樽穀物の要素。スパイシーな香り立ちから、ウッディで干し藁やオーキーな華やかな酸のあるリンゴ、オレンジリキュールなどのアロマも感じられる。

味:スパイシーでしっかりとボリュームのある口当たり。柑橘のニュアンスからバニラと洋梨、アメリカン系の穀物やライを思わせる酸味もある。
余韻はドライで微かにスモーキー。ハーブの爽やかさとひりつくようで長く続くフィニッシュ。

これまで飲んだワールドブレンデッドシリーズでは一番好み。アメリカン系のフレーバーとモルト、それぞれの個性がマリッジに使われた樽感の中で融合したような美味しさが感じられる。少量加水しても崩れず、さらにバランスがよく柑橘のニュアンスがもう一歩前に出てくる。某社のワールドブレンドもこれくらいだったら。。。

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隔年で5月に開催される神田祭りを記念し、神田にBARを構えるバーマンや飲食店らが共同でリリースに関わる記念ボトル第4段。
最近イチローズモルトでリリースが増えている、ワールドブレンデッド区分のシングルカスクブレンデッドウイスキーです。

イチローズモルトのワールドブレンデッドのシングルカスクは、ハイプルーフな原酒を混ぜ合わせ、カスクストレングスでボトリングしているためか、マリッジの樽由来のフレーバーを突き抜けるような、様々な個性がぶつかり合う印象があります。
これが良い方向に振れれば良いのですが・・・なかなかそうなるとは限りません。若さが悪目立ちしたり、喧嘩してるような難しいボトルもあります。

しかし今回のリリースは、後熟に使われたとおぼしきバーボン樽由来のスパイシーさや華やかさに加え、いわゆるバーボンやカナディアンなどアメリカン系のライっぽさに通じる酸味と穀物由来の香味が、5~10年熟成程度のモルトのフレーバーと混じりあって融合している。
またバランスを取っている15年程度のミドルエイジの原酒も繋ぎの仕事をしており、第一印象ではバーボン系の個性の主張に驚くと思いますが、ジャパニーズを始めスコッチタイプの原酒も負けてない。高度数故のバランスを楽しむことが出来ました。
これは是非ストレートか少量加水で楽しんでほしいですね。


裏ラベルに書かれた「新たな時代を彩るボトル」の言葉。平成から令和へと時代が代わり、少なくとも今年に入ってウイスキー業界で何が変わったかと言えば、輸入原酒を使ったワールドブレンデッドの存在があります。
これまでは暗黙のうちに作られていたものが公になってきただけでなく、ジャンルの1つとして、今後も多くのメーカーからリリースされるだろうとも考えられます。

例えば、輸入原酒といってもスコッチタイプのみで仕上げても区分はワールドブレンデッドですが、それでは現地スコットランドのものと変わらないし、やはりワールドを名乗るからには各地のウイスキーの個性を融合することにも可能性を見いだしたい。
今回のリリースは、そんな自分が考えるワールドブレンデッド像にあって、ウイスキーの新たな時代に示すお手本のような構成だと感じたのです。


このボトルは新宿ウイスキーサロンで飲みましたが、そもそもは神田祭を記念したリリース。神田にあるBARを中心に取り扱われており、自分が知ってるウイスキーが強いところだとGROOVY、サンディマック、Eclipseなどで飲むことができます。(特にGROOVYさんは本企画の発起人でもあります。)
この記念ボトルは2011年の大震災以降自粛されていた神田祭再開の2013年から始まり、2015年以降は蒸留所の成長と共に歩んできた経緯もあります。
その想いやボトルに関するコアな情報を聞きたい方は、是非テイスティングがてら神田を訪れて見ては如何でしょうか。ディープな街で面白いですよ!

イチローズモルト 神田バーテンダーズ・チョイス 2015 

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今日、5月9日から10日は神田祭です。
今年はご遷座400年の記念の祭りで、いち都民として楽しみな祭りでもあります。

神田祭といえば、2013年に神田のBAR有志がボトリングしたバーテンダーズ・チョイス(秩父)がリリースされていました。当時は今ほどジャパニーズ人気が過熱していなかったので、好きな人で共有しあったような印象。
そして2015年。今年の祭りにあわせて新しいバーテンダーズ・チョイスがリリースされました。
前回はモルトでしたが今回はカスクストレングスのブレンデット、秩父らしさがしっかり感じられるだけでなく、若いながらも爽やかで度数のわりに飲みやすい味に仕上がっています。

Ichiro's Malt
KANDA Bartender's Choice 2015
Special Blended Whisky
700ml 59.8%
評価:★★★★★(5)

"つんとドライなアルコール感とオーク香。スワリングするとバニラの甘さ。微かに梅のような酸味もある。爽やかでまとまりがいいアロマ。
口当たりはハイプルーフらしくトーンの高い甘さ。麦芽、乾燥した木、穀物、酸味のある若いぶどうを思わせるワイン樽のニュアンスと、ピリピリしたスパイスが追いかけるように出てくる。
フィニッシュは心地よくドライ、後に残らずあっさりとしている。
加水すると刺激は和らぎ、滑らかな口当たりに。また、オーク香の裏にはほのかなフルーツも感じられるようになるが、加水しすぎると若さが目立ってしまう。"

神田のBAR,GROOVYさんが音頭をとってのボトリング。ブレンダーはイチローズモルトの肥土さんで、ブレンドにしては少数な273本のボトリングとなっています。
ブレンデットなんで、秩父で生産できないグレーン以外にも他の蒸留所が混ざってるかなと期待していましたが、この味、モルトはほぼ秩父でしょう。秩父の原酒は早熟の傾向があるので、ニューポットのような香味はほとんどありませんが、若いなーと感じる味です。
原酒の熟成はバーボンやワイン樽でしょうか。熟成年数の違いはありますが、福島の笹の川がリリースした山桜15年に傾向は似ています。

オススメな飲み方は少量加水かハイボール。
爽やかな味わいなので、まさに夏場の一杯です。

本ボトルは酒屋等で通常販売はされていませんが、神田にあるBARやPUB等で以飲むコトが出来ます。
企画参加店は以下もご参照ください。

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