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ゴールデンホース 武蔵 ピュアモルト 43% 2016年リリース 東亜酒造

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GORDEN HORSE
MUSASHI
Pure Malt Whisky
43% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル@Yさん)
時期:開封後2~3週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:蜂蜜レモンの甘みに干草を思わせる乾いた植物感を伴う香り立ち。ほのかにハーブのような爽やかさ。徐々にオーキーで華やかなパイナップルなどのドライフルーツを思わせる樽香も開いてきて、加水するとややケミカルなニュアンスが開く。

味:コクのある口当たり、レモングラスの爽やかなフレーバーを一瞬感じた後で、徐々に麦芽系の香ばしさへ。若いニュアンスはあるものの、嫌味は少なく味の厚みもある。加水すると麦芽風味やバニラ、蒸かした栗のような甘み、ピールのようなほろ苦さも。
余韻はほのかにスモーキーでほろ苦く、オールブランシリアルを食べたようなしっかりとした味が長く残る。


さて、前回に続いてゴールデンホースの新商品、ピュアモルトの武蔵です。
東亜酒造についての話は、武州並びにゴールデンホースリリース再開の記事で散々書いているのでここでは割愛。詳しくは関連記事をご確認ください。

このピュアモルト武蔵の構成は、スコットランドからの輸入原酒。体感で8年程度の熟成のバルクモルトウイスキーで、ピートやヨードといったアイラ要素はなく、ハイランド系の穏やかな酒質を連想します。
個性的ではありませんが、モルティーで徐々に開いてくる華やかなオークフレーバーなどもあり、ストレートで楽しめるモルトウイスキーに仕上がっています。
また、先に武州を飲んでいたからでしょうか。武州と同スタイルの原酒傾向を感じる味わいでもあり、テイスティングしながら現在のゴールデンホースの製造環境を垣間見ることもできました。
おそらくブレンデッド武州は、この武蔵の原酒をトップドレッシングとして使ったのだと推察します。 

なお、ブレンデッドの武州はどのような飲み方にもマッチするように感じましたが、ピュアモルトの武蔵はロックやハイボールにすると若さ、特にハイボールでは酸味が強く出て、やや若い原酒のえぐみも感じられます。
オススメの飲み方はストレートか少量加水まで、ですね。

ゴールデンホース 武州 ブレンデッド 43% 2016年リリース 東亜酒造

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GOLDEN HORSE
BUSHU
Blended Whisky
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル@Yさん)
時期:開封2~3週間程度
評価:★★★★(4)

香り:レモングラスを思わせる爽やかな酸味と少し焦げたような香り立ち。徐々に乾いた植物感、若干の未熟香とニューポッティーなアロマ。加水すると薄めた蜂蜜を思わせる甘みも感じるが、奥行きはあまり無く単調気味。

味:乳酸系の酸味を伴うクリアな口当たり。じわじわと麦芽系の香ばしさ、薄めた蜂蜜、レモンキャンディーを思わせる甘み。ほのかにパンの生地っぽさも感じる。余韻は軽くスパイシーでジャスミンティーの軽い渋み、あっさりとしている。少量加水するとパン生地系の白い甘みが開く。


先日復活した、東亜酒造のゴールデンホースブランド。
ブレンデッドの武州と、ピュアモルトの武蔵が発売され、かつてのファンから注目も集めている銘柄のようです。
どこかで飲めれば良いやと思っておりましたが、例によってウイスキー繋がりでサンプルが巡ってまいりました。
本当にありがたい限りです。

東亜酒造は元々羽生蒸留所を所有していましたが、業績不振から蒸留所を解体、ストックも破棄(最終的には笹の川酒造を経由してイチローズモルトが買い取り)しています。
そのため、現時点で原酒は保有しておらず、今回はスコッチ原酒を調達してブレンドし、ゴールデンホースの再販を開始しました。
経緯の詳細については先日の記事「東亜酒造がウイスキー事業再開 ゴールデンホース武蔵 武州 を発表」をご覧いただければと思います。

今回テイスティングしたブレンデッドウイスキーの武州は、「3年以上熟成したブレンデッドウイスキーと、モルトウイスキーをブレンド」したもの。これはバルクウイスキーとして現地業者が販売している無名のブレンデッドスコッチと、バッテッドモルトをブレンド しているものと推察されます。
グレーン単体では購入できなかったのか、あえてしなかったのか、という経緯は不明ですが、何れにせよグレーンが含まれている以上はブレンデッドです。

味は比較的モルティーで、若いは若いですが変なクセや嫌味は少なく、爽やかな味わいです。
飲み方はロックやハイボールだけでなくストレートもOK。特にハイボールはさっぱりとした中にパン生地のような甘みがほのかに感じられ、食事を邪魔しないタイプとして、食中酒にも使えると思います。(現に今こうしてクラッカーを食べながら飲んでみると、これが中々・・・。)

ただ、こうしたスコッチバルクウイスキーをベースとしたブレンドを飲んでいて思うのが、表情が感じられないということ。元々何かのベースになるように作られているのがバルクですから、キーモルトも無ければ個性にも乏しく、モブキャラというか、ユニクロの服というか。
なので、差し出がましいコメントになりますが、東亜酒造の新生ゴールデンホースに一言物申すなら、自社蒸留じゃなくても良いので、例えば国内で操業を開始し始めたどこかの蒸留所と組んで、キーモルトとして使える個性のはっきりとした原酒作ってもらい、ブレンドに使うことでさらに魅力的なウイスキーに繋がるのではないかと感じました。

東亜酒造がウイスキー事業再開 ゴールデンホース 武蔵 武州 を発表

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かつて、秩父蒸留所の前身とも言える羽生蒸留所を操業していた東亜酒造。
イチローズモルトのファンであればその名を知らない人は少なく、地ウイスキーメーカーとしてはゴールデンホースが有名であった酒造メーカーです。
11月11日、この東亜酒造からウイスキー事業に再度参入する旨の宣言が行われ、休売していたゴールデンホース2銘柄の販売が開始されました。


・ゴールデンホース ピュアモルト武蔵 700ml 43% 
・ゴールデンホース ブレンデッド武州 700ml 43% 
※引用及び参考:
http://www.toashuzo.com/lineup/whisky/

販売を開始するのは上記2銘柄。ピュアモルト仕様の武蔵、ブレンデッド仕様の武州。どちらもかつて販売されていた、ゴールデンホースのブランドです。

ファンも多かった銘柄が復活するのは喜ばしいことですが、原酒を供給していた羽生蒸留所は、2000年の休止後に取り壊されてしまっているため、既にこの世に存在しません。
また、貯蔵していた原酒も破棄されることとなり、それが肥土伊知郎氏と笹の川酒造によって買い取られ、後のカードシリーズ等に繋がったことは、もはや説明するまでも無いかもしれません。
東亜酒造が今回のゴールデンホースの発売に合わせて発表した"ご挨拶"でも、多少トーンは違いますが、そのことが触れられています。

既に同社は蒸留所を保有しておらず、ストックも無いため、あくまで原酒はスコットランドから買い付けてブレンド、販売を行うこととしています。
商品説明にもそのことが書かれており、特にブレンデッドの武州は、「3年以上熟成したブレンデッドウイスキーと、モルトウイスキーをブレンド」とあります。
これはグレーンを単体で購入したのではなく、バルクウイスキーとしてブレンデッドとバッテッドモルトを買い付けてブレンドしていることを意味していると考えられます。

ブレンド技術を磨きつつ、ゆくゆくは原酒の製造も再開していきたいと、それをもってクラフトウイスキーの1社に加えて頂きたいとする同社のご挨拶。
日本で作ったとは一言も書かない潔さ、慎重に言葉を選んだような文章。。。
確かに軌道に乗れば蒸留所建設に動く可能性もあるのでしょう。
ただ、私自身このことでやや疑心暗鬼の念に駆られているのは、きっと他の要因によるところで、少なくともこうしたPRとなったのは、例の一件や基準を作るという動きがあったからなのだろうなと感じました。
まあ、良い傾向と言えるのかもしれませんね。


さて、先述のとおり、歴史あるゴールデンホースの2銘柄が復活することは、歓迎すべきことと感じます。
他方で、こうして今現在日本に存在するメーカーが増えるということは、ますます競争が過熱し、少ないニーズを食いあって結果自滅という事に繋がりかねない危険もあります。

実際、輸入原酒を使ってブレンドを作ると企業は増えつつあり、どうしても味が似通ってきます。
例えば、これだけ国内に蒸留所が増えてきたのですから、スコットランドのように別なクラフトディスティラリーと提携するなど、ブレンデッドメーカーとして活路を見出す方法も選択肢に出てくるのではないかと思います。
同社が今後どのように動いて独自色を出していくのか、注目していきたいです。

ゴールデンホース 羽生 14年 東亜酒造製造 キング醸造販売

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GOLDEN HORSE
HANYU Distillery 
Aged 14 years 
Bottled 2004 (Distilled 1989 or 1990)
700ml 57%
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:エステリーかつウッディー、華やかで艶のある甘さとチャーオーク香。ハイプルーフらしく鼻腔を刺激する香り立ち。メープルシロップ、バニラ、チェリー、焦げた樽材、焼き林檎、時間経過で微かにハーブ。まるでウェアハウスの中にいるよう。
少量加水すると樽香が穏やかになるが、新たなフレーバーが引き出せる変化は無い、

味:パワフルでコクのある甘い口当たりから、樽材由来のチャーオーク系のウッディネスが主体的に。
カラメルソース、レーズンクッキー、濃く入れた紅茶、余韻はウッディーでドライ、タンニンが染み込み甘い樽香が口の中を満たす。

これで2本目の飲み切りとなった、ゴールデンホース14年ハイプルーフ。ラストショットのテイスティング。
開封後ある程度時間が経過していることもあって少々余韻にヘタりが見えましたが、開封直後から少し経った頃のピーク時なら、さらに豊かな樽香と弾けるような力強い味わいが楽しめます。
ありがたいことにウイスキー仲間からの融通で自宅ストックがあるボトルですし、今後新たに開封したときはまたそのボトルで記事を書いてみようと思います。

なお深夜時代にこのボトルを飲んだ時は、濃い樽感をシェリー系と誤認してテイスティング記事を書いてしまいました。
今改めて飲み直すとこれは違うなと。おそらくリチャードバーボンか新樽の57%加水ボトリングでしょう。
シングルモルト表記なのとボトリング本数が約300本程度であることから、仮にリチャードバーボンバレルとすると2樽バッティング位だと考えられます。


ゴールデンホースというと焼酎ボトルやペットボトルの地ウイスキーという印象が強いかもしれませんが、シングルカスクまたはカスクストレングス仕様でリリースされたモノはなかなか面白いものが多いです。
この14年はリリース元が 日の出みりん ことキング醸造株式会社で、イチローズモルトが設立される前に少量リリースされたもの。同じ羽生でありながらカードシリーズのように投機対象になっているわけでもなく、あまり知られていなかったボトルです。

時は2004年、経営悪化から2000年に民事再生法を適用した東亜酒造をキング醸造が買収して傘下に置きます。
キング醸造はみりん系を主力製品とするメーカーですが、2000年にリキュール免許を取得し、みりん以外の事業に手を広げはじめていた時期。みりんに必要なアルコールの確保に加えて、他酒類事業への展開を狙っての動きでもあったようです。
当時はウイスキー冬の時代真っ只中。キング醸造側もすぐ販売可能な清酒や焼酎を主体に東亜酒造を回していく考えで、ウイスキー事業から撤退する決定を下します。
原酒の破棄も決ったため、肥土伊知郎氏が引き取り先を探して奔走したという話は、イチローズモルトの沿革としてあまりにも有名。合わせてキング醸造については、飲み手側から「なんてもったいないことを」と今になって言われているわけです。が、企業側からすれば原酒を買い取るということは、さらにお金と税金が発生することでもありますし、下手に売って不良在庫を抱える状況になっても余計苦しくなるだけです。

その2004年、キング醸造がとりあえずちょっと売ってみるかとリリースしていたのが今回のボトルです。
当時価格で5500円前後。蒸留時期は1989年~1990年ごろで、クセはそこそこ強いですがシングルモルトとしては魅力的なウイスキー。今考えれば破格も破格ですが、結果は芳しくなかったようです。
仮にもし、このボトルが激売れして羽生ブームが起こったりしていたら、キング醸造側も気が変わっていたかもしれませんし、そもそも時代が地ウイスキーブームの待っただ中だったりしたら、今のイチローズモルトは存在しなかったわけです。ifを考えれば考えるほど、数奇な運命の中にあるボトルのひとつと感じます。

これまでの発掘状況から、西のほうの酒屋にはまだ在庫が眠っている可能性があるようです。
もし見かけたら是非購入or一回飲んでみてください。

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