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津貫 ザ・ファースト 3年 59% & ピーテッド 3年 50% マルスウイスキー

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TSUNUKI 
”THE FIRST” 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2016-2017 
Bottled 2020 
700ml 59% 

評価:★★★★★(5)

トップノートは熟してない青いバナナのような、硬さと酸を伴うアロマ。グラスをそのままにしていると、麦芽由来の甘みに加え、品の良いフルーティーさがとひっそりと立ち上ってくる。一方で、スワリングすると若い樽感が強めの刺激と共に解き放たれて、荒々しい要素が全体を支配する。複数種類の樽を使っていることでの変化だろう。味はスワリング後の香りの傾向で、パワフルで若い酸味を伴う麦芽風味、そして粗さの残るウッディさ。余韻はハイトーンで、微かにえぐみ、ハッカや和生姜のようなハーブ系のニュアンスを残す。

全体的にまだ若いため、大器の片りんを見せる一方で、それ以上に粗さ、強さが目立つ。ただし粗さといっても、オフフレーバーが強いわけではない。加水することで温暖な環境下で短期間に付与されたウッディさが軽減され、熟成した駒ケ岳に通じるリフィルシェリー樽由来と思しき品の良いフルーティーさと麦芽の甘みが開く。まさに原石という表現がぴったりくるウイスキーである。
近年、クリアで穏やか、度数を感じさせない若い原酒がクラフトシーンに多く見られる中で、津貫は真逆の強さの中に、麦感に粥的な甘みや淀みのある、クラシカルな原酒という印象を受ける。


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TSUNUKI 
"Peated" 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2016-2017 
Bottled 2020 
700ml 50% 

評価:★★★★★(4ー5)

スモーキーでウッディな香り立ち。スモーキーさは柔らかく内陸系、ライト~ミディアムレベルの効き。ほのかに梅干しを思わせる酸味、奥にはエステリーな要素もあるが、それ以上に焦げたような樽感、カカオパウダーのような苦みを連想する要素が主体的。口当たりも柔らかくスムーズでスモーキー、出汁っぽい樽感があり、そこを支える麦芽風味と言う流れだが、全体的に骨格が弱い。
余韻は穏やかで落ち着いている。樽酒のようなウッディネスの中に若い原酒由来のえぐみのようなフレーバー、ピートと共に染みこむように消えていく。

バーボンバレル主体と思われるが、華やかでフルーティーな効き方ではなく、短期間でエキス分、チャー部分の焦げ感が効いている。馴染んでいくのはこれからというような、和的な材質の影響や、温暖な環境下での短期間熟成を思わせる仕上がり。ピートは内陸系で、ヘビーピートからライトピートまでいくつかの原酒を混ぜて調整しているのか、あまり強く主張しない。
THE ファーストと比較すると加水調整が強い分、粗さもまとめられているが、その影響か奥行きやフレーバーの骨格が弱い印象も受けた。もう少し様子を見ていきたい。

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長濱、三郎丸、安積、静岡ときて、津貫のレビューを掲載していませんでした。なので今回の更新では2020年に発売された津貫のファーストと、ピーテッド、同時テイスティングです。
どちらもBARのテイクアウト品となります。特に津貫ピーテッドは緊急事態宣言下での発売となり、しばらく飲めないと思っていましたがウイスキー仲間経由で手配いただけました。いつもありがとうございます!

津貫蒸留所はマルスウイスキー(本坊酒造)が2016年に鹿児島・津貫にある同社の焼酎蒸留所に併設する形で整備した、新しい蒸留所です。
マルスと言えば信州蒸留所ですが、これで冷涼な気候である長野・信州と、温暖な気候である鹿児島・津貫という2か所に製造拠点を持つことになりました。また、原酒の仕上がりを決める熟成環境としては、信州、津貫だけでなく、さらに温暖な環境となる屋久島エイジングセラーも整備しており、大手3社とは異なる原酒の仕上がりの幅、変化を実現できる環境が整っています。

マルスウイスキーの歴史を紐解くと、日本のウイスキー産業の黎明期から中心に近い立ち位置にあったにも関わらず、以下に例示するように時代や業界の流れに翻弄されてきた印象があります。結果論で見通しが甘かったと言ってしまえばそこまでですが、不運の連鎖の中にあるようにも。
一方、現代においては、2011年の信州蒸留所再稼働を皮切りに、この連鎖をたちきって事業が軌道に乗ってきているのではないかと思います。

例1:旧摂津酒造時代。竹鶴政孝をスコットランドに留学させ、日本初となる本格ウイスキー事業をに取り組むものの、不況により計画を断念。竹鶴政孝は1923年に寿屋(現・サントリー)で山崎蒸留所に関わる。
例2:ウイスキーブームを受けて自社でのウイスキー生産を再開※させるべく、1980年に信州蒸留所を竣工。1985年から操業を開始するも、日本のウイスキー消費量は1983年をピークに下降、ウイスキーブームは終焉に向かっており、熟成した原酒が揃う1990年代は酒税法改正等から冬の時代が訪れていた。1992年、信州蒸留所稼働休止。
※1960年に山梨にウイスキー工場を竣工。しかし販売不振から1969年に操業休止。当時はスコッチの税率が極めて高く、大衆ウイスキーとしてサントリーのトリス、ニッカのハイニッカ、ブラックニッカ等が主流だったが牙城を崩せなかった。例1から見れば、敵に塩を送った形とも・・・。

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(ウイスキー仲間のAさん経由で頂いた、津貫蒸留所で販売されている3年熟成のシングルカスクリリース。ノンピートタイプ(左)とピーテッドタイプ(右)。製品としての仕上がり、総合的な完成度は通常リリースに表れるが、酒質を見るなら、足し引きしない単一樽のカスクストレングスは欠かせない。)

今回のテイスティングアイテムである2種類のオフィシャルリリースですが、どちらも津貫蒸留所におけるノンピートタイプ、ピーテッドタイプのファーストリリースでありながら、その位置づけ、キャラクターの仕上がりは異なる点が興味深いです。

■津貫THE FIRST について
全体として荒々しさの残る、パワフルな仕上がり。近年、クラフトジャパニーズでは、若くても度数を感じさせない仕上がりが多く見られるなか、この津貫The First は蒸留所のコメントを引用すれば、"エネルギッシュな酒質"が特徴と言えます。

日本におけるウイスキー造りは、スコットランドをルーツとする一方で、北から南まで、例外なく温暖な時期がある環境は、スコッチタイプとは異なる仕上がりの原酒を産み出して来ました。特にその違いは、熟成期間とピークの関係となって現れます。
近年では、スコットランドに倣う、言わばクラシックな造りのニューメイクから、短期間の熟成を想定したクリアで未熟感の少ない、フルーティーさや柔らかさのあるニューメイクが造られるようになり、ひとつのトレンドとなりつつあります。

ところが津貫蒸留所で興味深いのは、確かに未熟香、雑味を減らしてはいるものの、力強い酒質を産み出そうとしている点です。
これはどちらかと言えば長期熟成を想定するスコットランド寄りのスタイルです。温暖で樽感が強く出るからクリアで飲みやすい酒質で短熟で仕上げようという、例えるなら台湾のカヴァラン的発想ではなく、逆に強い酒質で受け止めようという点は、他のクラフトジャパニーズとは異なるアプローチであると感じます。

また、その強さのなかには、ただ粗いだけではない、ハイランドモルトのキャラクターと言える粥のような麦の甘味が微かに感じられ、今後熟成を経ていくことで丸みを帯びて来るのではと予想される点や、フルーティーさも際立つだろう、大器の片鱗も見え隠れします。バーボンバレルも良いですが、アメリカンオークのリフィルシェリーカスクで、フルーティーさを後押しする樽使いもマッチしそうです。
熟成環境故に今後は総じて樽が強くなるとは思いますが、その成長曲線を上手くコントロール出来れば、他にはない個性的な原酒の仕上がりが期待でると予想しています。

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(津貫蒸留所の熟成庫。石蔵樽貯蔵庫の内部。津貫は信州に比べて温暖であり、エンジェルズシェアも信州が3%なのに対し、津貫は5~6%と2倍近い。流石九州、天使も酒好きか。)


■津貫Peatedについて
一方で、この津貫ピーテッドはどうしたのかと首を傾げてしまいました。
酒質はノンピート同様に雑味が少ないタイプ。ライトピートからヘビーピートまで、幅広くバッティングしたためか、ピート香もライト寄りに仕上がって柔らかく穏やか、ポジティブに捉えると飲みやすい。。。のですが、50%にしては緩い。全体的にパワーが足りないと感じてしまいます。
あれ、エネルギッシュな酒質は?序盤に記載したTHE FIRSTとのキャラクターの違いは、この点にあります。

ここで上記のシングルカスクリリースで酒質を比較すると、ピートタイプもしっかり強め。特段違いがあるようには感じられません。
実際、ノンピートとピーテッドで仕込みの仕様に違いはないとのこと。シングルカスクのほうは、ベースは同じく力強い酒質に、しっかりとピート。三郎丸等と同様に、ピート感がクリアではっきりと主張してきます。そこに樽のエキスが入り、ダシっぽいウッディさに梅を思わせる酸味も主張してくる。全体的に若く強い仕上がりです。

となると、ピーテッドリリースに感じた弱さは、バッティングの樽数に加え、加水の影響でしょうか。このファーストとピーテッドでの仕上げの違いについては、なぜどちらも同じ加水率、度数59%にしなかったのか、どんな狙いがあったのか、機会があれば質問してみたいですね。

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■最後に
津貫蒸留所では、津貫でのウイスキー造りに適した酒質を模索している最中にあります。
創業時からの変化としては、糖化工程でお湯の投入回数を増やし、3番麦汁まで取れるよう設備を増設しただけでなく、発酵工程ではディスティラリー酵母とエール酵母の混合発酵を行う中で、それぞれの酵母の強さ、種類(2020年度は7種類を試したとのこと)を模索したり、ピートレベルもノンピートから50PPMのヘビーピートまで、様々な仕込みを実施しています。
そのため、創業初期に比べて現在は酒質も変化してきているとの話も聞きます。

九州地方は、元々蒸留酒として焼酎文化の本場であるためか、昨今はウイスキー蒸留所の計画が複数あり。津貫、嘉之助に加えて宝山の西酒造も本格的に動き出すようです。
そんな中で、今回のリリースや、蒸留所限定のシングルカスクを飲んだ印象としては、他のクラフトにはない個性、パワフルな味わいに繋がるチャレンジだと感じました。個人的に、温暖な地域はキレイで柔らかめが向いていると思い込んでいたところに、津貫のリリースは「なるほど、こういうアプローチもあるのか」と。

津貫蒸留所の生み出すウイスキーには、まさに九州男児と言えるような、力強く、それでいて樽感や他の原酒を受け入れるおおらかさをもつ、太陽と青空の似合うウイスキーに仕上がっていくことを期待したいです。

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※本記事の蒸留所関連写真は、ウイスキー仲間のAさんに提供頂きました。サンプルの手配含め、本当にありがとうございました!

シングルモルト駒ケ岳 屋久島エージング 2020 53% 

カテゴリ:
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KOMAGATAKE 
Single Malt 
Yakushima Aging 
Distilled in Shinshu Distillery 
Matured in Yakushima Aging Cellar 
Bottled in 2020 
700ml 53% 

グラス:テイスティンググラス
場所:新宿ウイスキーサロン
時期:開封直後
評価:★★★★★(5)

香り:オーキーでウッディ、バニラの甘さと柑橘や若干の針葉樹系のハーバルさ。合わせて、焦げたようなスモーキーさを伴うドライな香り立ち。

味:口当たりはねっとりとしており、柑橘やバナナ、仄かに熟れたパイナップルを思わせる甘酸っぱいフレーバーがあるが、それが徐々に若い果実のような固い酸味に変わっていき、若さとして感じられる。中間以降は樽感が収まり乾いた麦芽風味やハイトーンな刺激。余韻は土っぽさを伴うピートフレーバー、燃えさしのようなスモーキーさがあり、それ以外は比較的あっさりとしている。

ねっとりとしたオークフレーバーがあり、酒質由来の酸味と合わさって甘酸っぱい味わいが特徴的なモルト。温暖な地域での熟成をイメージさせる構成であるが、一方で若い原酒が主体であるためか、粗削りな部分は否めないが、作り手の表現したいイメージが伝わるよう。また余韻にかけての若さはピートがうまく打ち消しており、将来への可能性を感じる1本でもある。

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信州蒸留所で蒸留した原酒を、本坊酒造の屋久島伝承蔵にある専用セラーで熟成させた、シングルモルトウイスキー。
蒸留所がある信州よりもさらに温暖な環境での熟成により、異なる個性を付与した1本です。

信州蒸留所が再稼働したのは2012年。屋久島エイジングセラーは2016年に新設されたものですが、その際に信州から屋久島、津貫へと熟成させた原酒を一部移していたため、必ずしも2016年以降の原酒で構成されているわけではありません。
とはいえ10年、20年熟成のものではなく、飲んだ印象は3~6年程度と一定の若さを連想する酸味や質感のある味わい。そこに強めに効いたアメリカンオークの樽由来のエキス、バニラや黄色系のフルーティーさにも繋がる要素を付与し、前述の酒質由来の要素と合わさってねっとりと甘酸っぱい味わいとして感じられます。

バッティングですので一概に比較はできませんが、信州蒸留所熟成のものとの違いは、例えば最近リリースされたリミテッドリリース2019や再稼働後のバーボンバレル系のシングルカスクなど、信州のものはどこか冷涼な爽やかさでスペイサイドモルトを思わせる樽感があり、一方で屋久島のこれは序盤の粘度の高い質感が熟れたバナナ等の果実のよう。
ウイスキー愛好家がイメージするトロピカルフレーバーとは当然異なりますが、なるほど確かにこれは信州とは違う熱帯感、どこか南国チックだぞと思わされるのです。

そうした序盤のフレーバー構成から、余韻にかけては急展開。ピートフレーバーが存在を主張してくるのですが、樽感もストンと落ちてしまう。そのため、酒質と樽感が馴染んでいるかと言えば、余韻にかけて分離しているような印象も受けます。
このあたりは若さなのでしょう。今はまだ粗削りですが、熟成の傾向としては熟成場所としての可能性を感じるリリースであり、伝わってくるイメージが環境とマッチしたものであるのが面白い。
これらの原酒が熟成を経て、それぞれの個性が馴染んでいくような成長を期待したいです。

駒ヶ岳 3年 2016-2019 ウイスキープラス 5周年記念 62% #3303

カテゴリ:
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KOMAGATAKE 
MARS WHISKY 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2016 
Bottled 2019 
Cask type Bourbon barrel #3303 
For WHISKY PLUS 5th ANNIVERSARY 
700ml 62% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封当日
場所:ジェイズバー
暫定評価:★★★★★(5)(!)

香り:若さに通じる酵母香と酸のある麦芽、ニューポッティーなアロマがあるが、それがスモーキーな要素のなかでシトラスや若い林檎を思わせる果実要素にも感じられる。

味:口当たりはフレッシュで爽やかな柑橘感、香り同様に酸味を伴う口当たりで、乾いた麦芽風味からじわじわとピーティーでスモーキーなフレーバーが広がる。
余韻はピーティーでほろ苦く、仄かにニューポッティーな要素が残る。

若いなりに整っていて、普通に飲めるモルト。若さが嫌みではなく、爽やかさと果実感に繋がっていて、ネガ要素もピートで程よくマスクされている。こうした原酒の素性の良さ故、今この瞬間以上に蒸留所の5年後、10年後への期待が高まる原石のようなモルト。

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輸入業者のエイコーンの販売店舗であるザ・ウイスキープラスの開店5周年を記念した限定リリース。3年と若い原酒ですし、あまり期待はしてなかったのですが、テイスティングの通りそれなりに飲ませる味わいで、驚かされました。

勿論、熟成感は年数なりで、この時点で突き抜けて素晴らしいとは言えないのですが、若いだけでない良さを感じさせてくれるんですよね。
ネガティブな要素が目立たず、ボディもそれなりにあり、特に熟成で消えづらい発酵したような要素や先天性のオフフレーバーに類するものが少ない。ピートの馴染みも現時点で悪くなく、20ppm故に原料由来、樽由来のフレーバーとも喧嘩していない。
このままバーボンバレルで綺麗に熟成したら、それこそ昔のピーティーな時代の内陸スコッチモルトを思わせる仕上がりになるのではと、将来性を感じるのです。
(最も、日本の場合は樽が強く出るためどうしても"綺麗に"、というのが中々難しいのですが。。。)

信州蒸留所は2014年末のオフシーズンに、休止前から使い続けて老朽化した蒸留器を交換し、形状はほぼそのままでリニューアルしています。
最初の年というのはどの蒸留所も設備の癖をつかむまで時間がかかると聞くところ、色々馴染んだ2年目は良い原酒が出来てきたのか。あるいは元々良いのか。また最近鉄製だった発酵槽を木桶に変更していますし、更なる変化も見込めそう。。。
お恥ずかしいながら、マルスの若いのは「まだ良いか」くらいに考えて、そこまで飲んできていないので相対評価が出来ません(汗)。
その点で、自分にとっては他のヴィンテージの現時点にも興味を抱くきっかけになる、文字通り興味深い1本でした。

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今日のオマケ:コノスル ピノ・ノワール 20バレル 2017

先日オマケに書いた、コノスルのシングルヴィンヤード・ブロックNo,21の上位グレード。お値段税込み2600円。Web上の評判は中々良いのですが、個人的にコノスルに2000円以上出すのはどうかなという、よくわからない抵抗感と、先のブロックNo,21が2000円以内の価格帯では一番好みということからくる「もうこれでええやん」という安定思考で、気にはなっていたものの手を出さずにいたワイン。

知人の後押しもあり、思いきって購入。
結果、評判通り良かったというオチ。
カリピノの日本市場で4000~5000円のワインにあるような、どっしりとした香味構成。初日は序盤の新世界ピノの熟したブルーベリーやカシス、赤黒系の果実を思わせる甘酸っぱさから、余韻にかけてしっかり目のタンニンと樽香が、軽いスパイスと共にグッと来る感じ。
これは後半部分がなんとかなれば。。。と思ってバキュバン保管で1日置いたところ、そのタンニンが馴染みはじめ、良い塩梅に変化。

また出張で家を空けたため、開封5日後バキュバン保管のブツを恐る恐る飲んでみましたが、普通に問題なし。
甘味が少し減った分、他の香味と混じってこなれて。。。これはこれで良い。かなりロングライフなワインなのですね。
つまるところ、新しいヴィンテージはデキャンタで速攻開かせても、今回みたいに時間をかけて飲んでも、あるいは熟成させても良いんじゃない?と。

ブロックNo,21はチャーミーというか、ベリー系のフルーティーさを支えるボディに少し軽さがあるので、そこが日本円3000円くらいののピノというイメージですが(それでも充分なコスパ)、この20バレルは確実にその上位グレードを意識した作りです。
今の自分の能力じゃ、まじでナパピノとの区別がつかない。。この価格でこれってスゴいんじゃね?という気付きを得られたので、即飲めるブロックNo,21以外に、じっくり飲んでいく20バレルの2種類をストック決定です。

シングルモルト 駒ヶ岳 リミテッドエディション 2019 48%

カテゴリ:
komagatake_limited_edition_2019
KOMAGATAKE 
MARS SHINSHU DISTILLERY 
Single Malt Japanese Whisky 
Limited Editon 2019 
700ml 48% 

グラス:アランノベルティーグラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:BAR ヒーロー
評価:★★★★★(5ー6)

香り:フレッシュな香り立ちで、原酒由来の酸を感じるアロマ。レモングラス、ライムシロップやアロエ果肉を思わせる甘さと淡いオークの華やかさ。奥にはニューメイクに由来するニュアンスもあって、ピントが合う度に若さを認識させられる。

味:とろりとした口当たりと共に、樽由来のフレーバーの粗さが舌の上で感じられる。アタックはあるが、オーキーな華やかさもあり、レモンタルトやバニラウェハース、余韻はドライで乾いたオークやレモングラスの爽やかさ、スパイシーなフィニッシュ。

オーキーな華やかさとともに、繋ぎになるコクのある質感と比較的若い原酒のアタックが備わったボトル。若さは特に香りで感じられるが嫌みなほどではない。加水するとまとまり、爽やかな香味構成になるので少量加水推奨。先は長いが期待は出来る。

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マルスが毎年リリースしている、信州蒸留蒸留所の原酒をブレンドして作るリミテッドエディション。
これ以外にも一年に数回限定リリースがあるマルスなので、リミテッドエディションが特別という印象はありませんが、48%の加水調整と複数樽バッティングの仕様から、将来的にリリースされるオフィシャルボトルをイメージしているのかなと。言わばキルケランがやっていたワークインプログレスのイメージに重なるところがあります。

昨年のリミテッドはバーボン樽オンリーでしたが、今回の原酒構成はバーボンバレルで熟成された原酒を"主体"としたヴァッティングで、シェリー樽やアメリカンホワイトオーク樽原酒(マルスの表記では何度も使ったプレーンオークか、新樽か)も使われているとのこと。
香味から察するに、おそらくメインの原酒の熟成年数は5~6年程度で、3年くらいの若いタイプも混じっている印象。シェリー樽についてはリフィルでたぶんこれが若い方の原酒。フレーバーの主体は説明文の通りバーボン樽系統ですね。

ピートの主張も殆どないので、メインノンピートタイプかライトピーテッド。淡くオークフレーバーの効いた爽やかな味わいは、近年のスペイサイドモルトに共通する要素を感じさせます。
一方、口当たりにとろりとした粘性のある甘味があるのが特徴的でもあり、ここはバーボン樽以外の樽が仕事をしている部分と推察。リフィルシェリーともプレーンオークともとれるが、後者でしょうか。それが全体をカバーして、レビューの通りストレートでは若干の粗さと酸のある香味構成ながら、嫌みにならない程度に収まっているのだと思います。

この一本、信州蒸留所の現在地としては過熟感もなく、引き続き熟成して10年以上は熟成期間を見られそうなマイルストーン。4~5年後に10年熟成としてオフィシャルスタンダードでリリースされるのが楽しみです。
このリリースだけ見ると、それはグレングラントっぽくなりそうな気がしてきました。


追記:この記事に関連して「中身スコッチモルトなんですか?」という質問を、ウイスキーフェスの会場でお会いした方からされましたが、普通に信州蒸留所の原酒だと思ってます。そもそも表ラベルでSHINSHU DISTILLERY 表記かつSingle Malt Japanese Whisky 表記ですしね。
系統を分類するならスペイサイドタイプの酒質であり、それが熟成の結果、現行オフィシャルのグラント12年とか、そういうタイプの味になりそうだと感じたという話です。
その場で本坊酒造のスタッフにも確認しましたが、間違いなく信州蒸留所の原酒であるとのことでした。(11/17追記)

寒松一色 20年 シングルカスク 57% マルスウイスキー

カテゴリ:
KANSYOU-ISSIKI
TAKANO SOHONTEN
Single Cask Whisky
Aged 20 years
700ml 57%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:個人宅
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:かりんとうや黒砂糖を思わせる香ばしいく甘い香り立ち。メープルナッツ、くるみ、そして樹皮を思わせるような強く深いウッディネス、鼻腔を刺激するヒリヒリとしたスパイシーさ。

味:パワフル、ビターでスパイシーな口当たり。皮付きアーモンド、くるみ、キャラメリゼ、徐々に渋み。奥には蜜のような甘みがあり、味に深みを与えている。
余韻はドライで無骨なウッディネス、スパイシーでハイトーンなフィニッシュ。

果実よりは黒糖系のお菓子やナッツを思わせる、ジャパニーズらしい強い樽感が主体。個人的には松の樹皮を連想するゴツゴツとした色の濃いウッディさでもある。
加水するとメープルシロップ、キャラメルのような甘みが濃く、刺激は穏やかになるがボディが急速に失われる。


その筋の方々には知らぬ人はいないという、マスターソムリエ高野豊氏が、当時の信州蒸留所に貯蔵されていた原酒を全てテイスティングし、選び抜いたとされる1樽。ネーミングは、かの有名な"寒松一色千年別"と、中央アルプスの岩肌に立つ孤高の松の木を思わせる味わいから、寒松一色と名付けたのだそうです。

自分もこの手の樽感を感じるウイスキーからは、無骨というかゴツゴツとした松の木の樹皮を連想し、度々テイスティングにも用いています。
勿論香味が"そのもの"というわけではないのですが。。。似た樽感のものを上げるなら、1990年代の余市、あるいは流通が多かったものだと蒸留所で販売されていたカスクストレングス新樽熟成10年ものが該当。後は、羽生でも似たようなニュアンスを感じるボトルがあり、ほぼ全てがジャパニーズウイスキーというのも興味深いところです。

その熟成に使われた樽は不明ながら、香味から推察するにチャー済みのバーボン樽、あるいは2回目くらいの新樽と思われます。
何かと勘違いしてシェリー樽のモルトで硫黄がキツイと思い込んでいたため、今回のテイスティングは目から鱗。酒質の経年変化に対して20年間で強く出た樽感が、スコッチモルトとは異なるバランスを生み出しています。


ちなみに、このボトルには疑問点が2つあります。
1つはボトリング時期。
2013年第一四半期頃が濃厚と思われますが、この寒松一色は20年熟成のモルトで、WEB上には"13年熟成時点で選定して7年追加熟成した"という記述もあります。
逆算すると蒸留時期は1992年〜1993年の一時期となるわけですが、信州蒸留所は1992年に操業を休止していることを考えると、このボトルの原酒は蒸留所休止間際も間際か、あるいは1993年に蒸留された別な「国産ウイスキーの原酒」ということに。香味的にはマルスと言われればマルスなんですが・・・樽が強すぎて如何とも。

そしてもう1つは、今も残る酒販店のPR文面をみると、この寒松一色の味わいは「樹齢千年の松の木」とあり、立派な松の木(それこそ、国や県からなんらかの指定をされているはず)なのだろうとWEBを探してみるも、自分の調べが足りないのかそれらしいものが信州周辺から出てこないこと。
どうせならセットで紹介したかったですね。

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