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エッセンスオブサントリー 山崎 12年 2005-2018 ピーテッドモルト 49%

カテゴリ:
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THE ESSENCE OF SUNTORY
YAMAZAKI PEATED MALT
Aged 12 years
Distilled 2005
Bottled 2018
500ml 49%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかい酸味を伴うスモーキーさ、土っぽいニュアンスや焦げた木材。奥から熟したピンクグレープフルーツ、ブラッドオレンジを思わせる柑橘感、ほのかにチーズの燻製のようなアクセントも。

味:燻した麦芽風味、グレープフルーツやアプリコットを思わせる熟成したモルトの風味。ボディに軽さがあるが、鼻抜けはしっかりとスモーキー。
余韻は蜜っぽい甘みとナッティなスモーキーさ。複雑でドライ、長く続く。

単一樽ではなくいくつかの種類が使われている印象。カリラとピーテッドのベンリアックを足し合わせたような、果実味とピーティーさ。ただアイラモルトと比べ物足りなさがあり、あくまで内陸のピーテッドという傾向。加水するとスモーキーさが引き立つ。ボディは軽めだが樽の強さとスモーキーな風味の中にある繊細さが、ジャパニーズらしさとしても感じられる。



エッセンスオブサントリーは、サントリーが世界に誇るブレンデッドウイスキーを作る上で欠かせない、その真髄"ESSENCE"たる、多彩な原酒の作り分けを楽しむためのシリーズ。
これまでも蒸留所やウイスキーイベントのブースなどで構成原酒は提供されてきましたが、この度量販店向けとして、一般的にリリースされるバーボン樽やシェリー樽などの構成とは異なる、山崎ピーテッドモルト、白州ライタイプグレーン、知多グレーンワインカスクの3種類が発売されました。

ラベルには、「響」を書かれた書家・萩野丹雪氏による、原酒のイメージを表す一文字「創」「遊」「夢」が書かれており、それぞれのラベルが一つの書画のような雰囲気を醸し出しています。これは空き瓶になっても飾っておきたいですね。 
リリースの概要については下記URL先も参照頂ければと思いますが、先月の発売を受けて早速飲んできましたので、一つずつ紹介していきます。

ご参考:サントリーのニューリリース「Essence of Suntory」について(2018/1/12)
まず一本目は、「創」の一文字が書かれたラベル、山崎蒸留所のピーテッドモルトです。
そのピーテッドモルトは、マスターブレンダーの輿水氏が個人所有のオーナーズカスクとして持っていた、などのトリビアもあるわけですが。山崎蒸留所でスモーキーフレーバーと言えば、かつては白札が煙臭いと受け入れられなかった要因を作ったとも言える香味で、その後はそれを抑える方向で商品開発がされてきたところ。普通にサントリーのラインナップを飲む上で、あまり意識しない香味という方も多いかもしれません。 (逆にニッカはスモーキーという声もありますよね。)

しかし、今やサントリーのウイスキーにおいて、深みや複雑さを出す上で欠かせない重要なワンピースとなっているのが、このピーテッド原酒です。
特に響などの上位グレードのブレンデッドを作る上では、100種類以上にもなると言われるレシピの中で、シェリー原酒とピート原酒の使い方が難しさであり、それが逆に創造性に繋がる要素でもあるという話でもあります。
今回のボトルは山崎蒸留所の違った一面を感じさせてくれると共に、今後既製品のウイスキーを飲む上で、今までピントが合わなかったところへの道しるべとも言えます。

また、こうして飲んでみて思うのは同じピーテッドでも、他の日本のモルトである白州や余市、あるいは秩父などのそれとはキャラクターがまったく異なるということですね。
ボディは香味に対して軽めながら、全体的にはさすがサントリーの技術力という感じで、ピートの個性をはっきりさせつつ、バッティングでしっかり味を作ってきた印象を受けました。 
ここに白州の原酒をブレンドすると厚みが増してさらに完成度が高まるのだと思いますが、個性を楽しむだけでなく、美味しさもある1本だと思います。

個人での購入は困難なシリーズと言えますが、都内では日比谷BARなどのサントリー系列店、並びにY'S Land BAR IANやGosseといった当ブログでも度々お世話になっているBARに、まとまって入荷しているようです。
なお、もし3種類同時に試される場合は、残りの2本は癖も香味も山崎ピーテッドモルトより強いため、山崎から試されることをオススメします。   

※残り2種類のエッセンスオブサントリーのテイスティングノートはこちら

サントリー プライベートストック 佐治敬三 1960〜70年代流通 43%

カテゴリ:
SUNTORY
Private Stock Whisky
Specially Blended by Keizo Saji
1960-1970's
720ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅セミナールーム@TWD
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:軽やかなモルティーさ、蜂蜜、りんごのコンポート、やや経年を感じさせるオフフレーバー。奥からドライなウッディネス、過熟系のニュアンスがほのかに。

味:香り同様に軽やかなモルティーさ、すりおろしたりんご、おしろいを思わせるドライな麦感。中間に薄めたカラメル、少し甲類的なのっぺりとした要素があるものの、総じてモルティーな味わい。
余韻はほのかに湿ったような樽感を感じるが、スパイシーでドライ、すっきりとしている。

シェリー樽表記があるが、ファーストフィルというよりリフィル的な構成。グレンフィディックのようにスムーズで柔らかい、スペイサイド的ニュアンス主体。短熟と長期熟成が混じったような要素も感じられる。バランス良く、普通に美味しいウイスキー。


初代並びに2代目マスターブレンダーの作にして、皇室、政界や関連業界のトップ層、そして特に親しい方への贈答品、時にはある種名刺がわり的に使われていたと言われているのが、このプライベートストック。
このブランドは、その後プレジデントチョイスとして名を変え、1990年代まで続くことになります。
勿論、非売品だったという話です。

当時のジャパニーズウイスキーは黎明期にあたり、原酒の制限や消費者の趣向もあって、広義のそれらは決してレベルが高いウイスキーではなかったことは、これまでも度々触れてきました。
しかし、時のサントリー社のトップからの贈答品が、ハンパなものであるはずがなく。近年のハイグレード品に比べると見劣りするところはありますが、同時期のジャパニーズウイスキーの中では、相当気合いの入ったリリースに分類されます。

スペイサイド的なモルティーさ、スモーキーさは控えめで、樽感も過剰にないリフィル系統。ちょっとブレンドアルコール的なニュアンスも感じますが、経年によるフレーバーを差し引けば、なんというかこの時期のジャパニーズらしくない綺麗なウイスキーですね。
1960年代当時のサントリーは、山崎以外に蒸留所がなく、白州稼働後も熟成した原酒はがなかった中で、この多彩さとバランス、何より日本とは異なるスコットランド的な熟成感。山崎の原酒以外に、熟成した輸入原酒が使われているのではないかと。。。
何れにせよ、当時の文化を考えれば、ストレートというより水割りやロックが主流と思われますが、充分良さが発揮できる構成だと感じます。

今回のボトルは、1961年に取締役社長兼マスターブレンダーに就任した佐治敬三氏が手がけたもので、その前には鳥井信治郎氏の手がけたプライベートストックが複数種類存在しています。
先に記載した用途だっただけに、一般流通とはいかずともまとまった本数があったものと考えられます。
中には皇室に献上したと思われる、菊花紋章をボトル背面にプリントしてあるものもあり、これの実物は日本橋の某BARでしか見たことがありません。

・・・という話はテイスティングの感想を除いて大半が伝聞ベースで、一般に販売されてないためか、記録らしい記録が見つからないのもこのウイスキーの特徴だったりします。
何方か詳しい話をご存知でしたら教えて頂けますと幸いです。


雑談:サントリーと言えば、今ちょっとした噂がありますね。
自分が聞いている範囲では、確度は高めながらまだ具体的な動きなし。ただし2月20日に何らか発表があるという情報もあり、今後の動きは引き続きアンテナを張って確認していきます。

サントリーのニューリリース 「ESSENCE of SUNTORY」 シリーズについて

カテゴリ:
さる1月10日、サントリーが2月27日に限定発売するニューリリース「エッセンス オブ サントリー(ESSENCE of SUNTORY)」を発表しました。
ここのところ情報収集をしていなかったので、シェリーカスクでもミズナラでもなく、まさかこんな面白いリリースでくるとは思わず、発表があった際は驚きも感じました。

まだ作り手のコメントなど、背景を含めた情報は公開されていませんが、自分なりに感じるところを、リリース紹介と合わせてまとめていきます。

3/5追記:エッセンスオブサントリーシリーズをテイスティング。レビューを下記に公開しました。

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ESSENCE of SUNTORY シリーズ
・THE ESSENCE シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト 500ml 49%
・THE ESSENCE シングルグレーンウイスキー 白州蒸溜所 ライタイプ 500ml 57%
・THE ESSENCE シングルグレーンウイスキー 知多蒸溜所 ワイン樽4年後熟 500ml 49%

ニュースリリース:
https://www.suntory.co.jp/news/article/13072.html?fromid=top


"Essence"は、単語としては本質や真髄という意味を持ちます。
今回のリリースでチョイスされたこれら3タイプの原酒は、サントリーのウイスキーラインナップを構成する上では縁の下の力持ちというか隠し味というか、少なくとも"エースで4番"という位置付けではありません。
しかし響を筆頭に世界で評価されるサントリーのブレンドは、これらを含む多様な原酒の作り分け無しでは構成できない。文字通りサントリーウイスキーのエッセンスであり、重要な役割を持つ原酒の一部と言えます。

例えば、山崎ピーテッドモルトはその際たるもので、この蒸留所の一般的なスタイルからすれば"異端"であることは想像に難くないと思います。

「THE ESSENCE シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト」
"ベリーを想起する甘みと酸味の味わいに、やわらかなスモーキー香が特長。酒齢12年。" 


しかし響にしてもローヤルにしても、あるいはシングルモルト山崎にしても、構成原酒の中で少量のピートフレーバーが味を引き締め、深みを与えているのです。
以前BAR IANでマスターブレンダー輿水氏のオーナーズカスクを飲ませて頂く機会があり、それが山崎のピーテッドモルトでした。
この時、異端でありながらブレンドに欠かせない原酒へのこだわり、それを使う面白さと難しさを輿水氏から直接伺ったわけですが、実際に飲んだことでサントリーのブレンドへの理解も深まったようにも感じています。

(オーナーズカスク 山崎1993 バーボンホグスヘッド。
蜜のような甘み、土っぽさ、強いスモーキーフレーバーが特徴。島要素の少ない長熟カリラのよう。)

また、白州蒸留所のグレーンウイスキー ライタイプは、ウイスキーブームを受けた増産に加え、"将来のより多彩な原酒づくり"を目指し、2013年に本格稼働した設備で作られたもの。同蒸留所のグレーンウイスキーは、知多で作られるコーンベースのものではなく、異なる穀物原料をベースとした生産が当初から計画されていました。
ライベースのそれは、カナディアンウイスキーで言えばフレーバリングウイスキーに該当し、華やかで香味の強い仕上がりが期待できる。まさに今後のサントリーウイスキーを構成する、新しい要素の一つと言えます。

「シングルグレーンウイスキー 白州蒸溜所 ライタイプ
"ライ麦由来の華やかな味わいとスパイシーな香りが特長。酒齢4年。"


(白州蒸留所に設置されたグレーンウイスキー製造設備。この設備でどのような原酒が作られるか、注目していた愛好家も多い。サントリーニュースリリースより引用。

一方、同じグレーンでも知多蒸留所グレーンウイスキー ワイン樽4年後熟は、サントリーがこれまでの原酒づくりの中で、グレーンの作り分けとして模索してきたものの一つ。
知多蒸留所では、連続式蒸留機の蒸留の段階を調整することで原酒の重さを作り分け、樽を使い分け。。。サイレントスピリッツと呼ばれるグレーンでありながら、ブレンドの個性を作る1ピースに仕上げています。

「シングルグレーンウイスキー 知多蒸溜所 ワイン樽4年後熟(こうじゅく)」
"プラムのような甘酸っぱい味わいに滑らかな飲み口、芳醇な香りが特長。酒齢16年。"
 


これらと同タイプのウイスキーは、各蒸留所での試飲提供に加え、マガジンライブなど各種イベントのサントリーブースにもありましたので、既に飲まれている方もいると思います。
自分は特に山崎のピーテッドが印象に残っていますが、それぞれ個性的であり、こうした原酒を飲むことで、まさにサントリーウイスキーのエッセンスである"多様な原酒の作り分け"の一端に触れ、理解を深めることができたと感じています。

ひょっとすると、昨年のイベントあたりからこれらの試飲があったのは、今回のリリースに向けた布石、愛好家の反応を見るためのものだったのでしょうか。
全く同じものが発売されるわけではないと思われますが、だからこそ「エッセンスオブサントリー」の出来と、我々にどのような体験を与えてくれるかが非常に楽しみです。

山崎 リミテッドエディション2017 サントリー 43%

カテゴリ:
SUNTORY
YAMAZAKI
Single Malt Whisky
Limited Edition 2017  
No Aged
700ml 43%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5→6)

香り:華やかでドライ、ツンとしたウッディネス。リンゴのカラメル煮、オレンジチョコ、香木を思わせるアロマ。時間経過で蜜っぽい甘さも感じられる。

味:ウッディでやや刺激のある口当たり。ドライオレンジピールから杏子のジャム、微かなハーブ、濃く入れた紅茶のタンニン。ボディが軽くドライな質感が目立つものの、徐々に粘性も感じられる。
余韻はドライでスパイシー、ほのかな焦げ感。華やかな樽香が染み込むように残るビターなフィニッシュ。

ボディは軽く、香りも浮ついたようで重厚な感じではないが、華やかなウッディさがあるボトル。サントリーらしさ、山崎らしさに通じる特徴的な樽香。ドライ気味でビターな味わいは、加水するとバランス良くなり蜜系の甘味が広がる。少量加水、あるいはロックも楽しめそう。


サントリーが毎年ギフト向けにリリースしている山崎の限定品。メーカーのテイスティングコメントは毎年同じですが、ブレンドの方向性という扱いのようで、年度毎に違う香味、仕上がりを楽しめます。

そのコンセプトは、シェリーやポート樽などによる20年以上の長期熟成原酒に、パンチョンやバーボン樽などの若い原酒をブレンドして仕上げるノンエイジ仕様。熟成で失われがちな香味のパワーを若い原酒で補った、両者のいいとこ取りということなのですが。。。この手のコンセプトは他社のリリースにもしばしば見られ、実態がかけ離れているケースも少なくなく。つまり、混ぜても香味や熟成感は完全に平均化されないので、下手すると若い原酒に食われていたり、嫌な部分が目立ってしまう場合もあります。

ブレンドには相反する要素が必ずあり、そこの間を埋めていかないと、一つの要素が孤立して目立ってしまうのです。(逆にギッチリ埋め過ぎても、それはそれで個性のぼやけた味になるのでバランスが難しいわけですが。)
この山崎リミテッドエディション2017はどうかというと、主たる香味の間を繋ぐ濃厚さのある原酒が少ないのか、長期熟成による華やかでウッディな樽感はしっかり感じられる一方、口当たりは妙にスパイシーでボディが軽い。同シリーズでは、特に2015からこうした傾向が顕著であり、今年はさらに突き詰めてきた印象があります。

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(先日久々に見学した山崎蒸留所。ちょうど蒸留器のメンテナンス中で、蒸留中のにおいを感じることは出来なかったが、これはこれで貴重なシーンを見学できた。)

華やかな樽香が感じやすい反面、全体的にはアンバランスとも言えるわけですが、加水すると水が架け橋となって間が埋まり、マイルドでフルーティーさを感じやすくなるポジティブな変化がありました。 
メーカーサイトには「まずストレートで飲んで欲しい」と書かれており、熟成した山崎らしい華やかな樽香をストレート感じた後は、ロックなど一般的なウイスキーの飲み方で肩肘張らずに楽しんでいけるのが、作り手のイメージなのかもしれません。

なお、テイスティングに記載したように、今回のボトルには香木に通じるウッディさがあります。
これはスパニッシュオークやアメリカンホワイトオークに由来する樽香、ブレンドの妙からくるものと思いますが、そうしたニュアンス漂う華やかでボディの軽い味わいは、サントリーがウリとする近年のミズナラカスクにも通じる方向性。個人的には"擬似ミズナラ"としても位置付けられる仕上がりで、意外な共通項にもブレンダーの技を感じました。

近年18年の出来がちょっとアレな中、そして12年が絶滅危惧種な中。この山崎リミテッドは代替品として案外良い仕事をするんじゃないかとも思います。

サントリー シングルモルト 山崎 NA 43% オフィシャル

カテゴリ:
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SUNTORY WHISKY
YAMAZAKI 
Single Malt Whisky 
No Aged 
180ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★(5)

香り:ツンとしたアルコール感、ウッディで甘いアロマの奥からハーブ、少し焦げたようなニュアンス、キャラメル、焼き芋や黒砂糖。香りの要素に分離感のある構成。

味:ねっとりとした甘い口当たり。ザラメ、乾いた木材、淡く植物系のニュアンス。少しざらつくような口当たりを残しつつ、奥から若い原酒を思わせるエッジの立ったアルコール感。
余韻はスパイシー、あざとさのあるオークフレーバーの後は、若い原酒の荒さを残して長く続く。

12年に共通する樽香も一部感じるところがあり、山崎らしさは備わっている一方
。香味とも荒さが目立ち、ストレートは少々呑み疲れる。飲み方は少量加水が好ましい。ロックも初めは悪くないが、氷に負けるのが早い印象。


ハイボールブームの折、山崎10年のフェードアウトを支える形で2012年に発売された、山崎ノンエイジ。
先日、久々に白州NAが飲みたくなって180mlボトルを購入したわけですが、ついでだから山崎NAも飲んでおくかとセットで購入していました。
自分の周囲の飲み屋では、白州ハイボールは比較的ラインナップにあって角ハイボールに飽きた時に頼んだりするのですが、山崎NAはあまりなく、かつハイボールというイメージも無いため、NAを飲むのはそういうシーンを含めても本当に久しぶりです。

そんな久しぶりの山崎は・・・"荒い"というのが第一印象。例えば若さというとニューポッティーで乳酸系の酸味が強いというような要素がありがちですが、これはそのタイプではなく。ワイン樽やホワイトオークなど使われた樽由来と思しき甘みはそこそこあるのですが、ベースとなる原酒の奥行きが乏しいので、舌あたりの荒さ、アタックの強さが目立ってしまう印象です。
昔某ウイスキー雑誌のテイスティングコメントで「まだ時間が必要」と書かれていた事を、朧げながら思い出しました。

一方、飲み進めていくと、テイスティングの通り「この辺は上位グレードと共通点があるな」と思う部分もあります。
その一つが余韻にかけて感じる華やかなオーク香、熟成した山崎原酒に感じられる要素です。
限られた原酒の中で苦労して作られている事が伺えます。
これはこういうもの、として割り切るなら、楽しめる要素にフォーカスして飲んでいける。エントリーグレードのあり方を考えさせられるボトルでした。

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