マルスウイスキー 信州 太陽と鳳凰 6年 2013-2019 #1597 ウイスキートーク福岡
MARS SHINSHU DISTILLERY
PHOENIX & THE SUN
5th Release
Distilled 2013
Bottled 2019
Cask type Sherry Butt #1597
Exclusivery Bottled for WHISKY TALK FUKUOKA 2019
700ml 57%
グラス:グレンケアン
時期:不明
場所:BAR Eclipse first
暫定評価:★★★★★(5)
香り:スパイシーで焦げ感のあるウッディさ、鼻腔を刺激する香り立ち。梅やレモン、シロップやチョコレートの甘味と、香ばしいウェハースのような乾いたニュアンスも感じられる。
味:リッチで度数相応にパワフル。粘性のある口当たりから、甘酸っぱくレーズンや梅ジャムのような酸味。そこからじわじわと若さ由来の粗さが感じられる。余韻はほのかに焦げ感を伴うウッディネスから、スパイシーでひりつくような質感を残す。
樽味のジャムをクラッカーに塗って食べたような、後乗せ感のあるウイスキー。例えるならあらしぼりというか、樽の濃厚さは基準値にきているが若さ由来の粗さが随所にあり、まだ時間が必要な原酒ではある。飲み頃は先、加水しながら好みの状態を探りつつ楽しみたい。
「鳳凰と太陽」は、2015年のウイスキートーク福岡から継続してリリースされている、同イベントの限定ボトルのひとつ。
同イベントは当日会場でオーダーシートを提出し、希望者多数の場合は抽選のうえ後日記念ボトルの購入権が確定するという物販方式を採用しています。そのため、イベントは6月でしたが限定ボトルが届き始めるのは、その数ヵ月後という時系列になっています。
また、イベント時にはカスク選定が完了しているわけではなく、ボトルの内容が変更、または後日決まる場合もあり。(これで売り切れるってブランド力も相当ですよね。)
今回の鳳凰と太陽・第5弾も、イベント時のラベルイメージではアメリカンホワイトオークの記載で年数等も未定でしたが、最終的にはシェリーカスクとなった模様。
また、同シリーズはこれまで熟成年数3年はそのままで、蒸留年数が1年刻みで上がっていくリリースが4作続いたところ、今年はそこから外れて6年熟成でのリリースとなっています。
今年はウイスキートークが開催10周年でしたので、特別な位置付けだったのかもしれません。
構成はノンピート麦芽の原酒に、圧殺するようなシェリー感とウッディネス。シェリー感は最近アランやファークラスなどでみられる、クリーミーさを伴うようなタイプではない、ちょっとギスギスした質感のある系統。
若い原酒のフレーバーと合わり梅を思わせるような酸味が熟していない果実のようでもあり、温暖な環境での熟成を思わせるウッディさは若干の焦げ感を伴って、一気にドバッと出たような良くも悪くも短熟で日本的だなぁと感じる部分があります。
(マルスウイスキー駒ケ岳6年2012-2018 ヘビリーピーテッド仕様のシングルカスク。同じ熟成年数で、同様に若さに由来する粗さはあるが、それをピートが上手くマスクしている。一方加水するとネガ要素が顔を出すので、ピークはまだ先にあるとも感じられる1本。)
毎度思うのですが、この手のウイスキーをどう評価するかはなかなか難しい部分があります。
それこそ同じ熟成年数のマルスでも、今年のTWSCでアワードをとった写真の6年とはだいぶ位置付けが異なります。若くてもそれなりに飲めるタイプに仕上がるピーテッドに対して、あくまで樽次第となるノンピートのシェリー樽は。。。
今回の1本は、純粋に味の完成度で勝負するというより、ワークインプログレス的な成長途中の指標としてBAR等で楽しむのが良いグループに入るのかなと思います。
それこそこの果実が熟した10年、12年くらいでちょっと加水したものを見てみたい・・・かな。