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ジャマイカラム クラレンドン 14年 2007-2021 for BARレモンハート 66.2%

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JAMAICA RUM 
CLARENDON 
Aged 14 years 
Distilled 2007 
Bottled 2021 
Cask type American Oak Cask 
For BAR LEMON HEART 35th Anniversary 
700ml 66.2% 

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:溶剤を思わせる鼻腔への刺激。合わせてコニャックのような華やかさと梅酒のような甘酸っぱさ。アプリコットや白葡萄、アップルパイを思わせるフルーティーさにハーブやハッカを思わせる要素が力強く、パワフルに感じられる。

味:トロリとした粘性を伴う口当たり。樽由来の甘み、程よいウッディネスと含み香は柑橘の皮と紅茶を思わせるようであり、パワフルで舌から喉を熱く燃やすような刺激が余韻にかけて喉の奥から口内へ戻ってくる。

近年のトレンドとも言えるフルーティーで華やかなラム。ジャマイカラムらしいパワフルで厚みのある香味、ラムらしいクセもあるが、わかりやすい美味しさから高度数に慣れてる人なら問題ないだろう。またロックやハイボールにしても悪くないため、ストレート以外の飲み方も許容する間口の広い面もある(ただしラムコークは薬品香強く厳しい、ウーロン割は以下略)。
何より、ラベルとなっているBAR レモンハートの由来であるラム銘柄「Lemon Hart 151Proof」を思わせる個性と、楽しそうに飲むメインキャラクター3名の姿に、ファンも口角が上がる美味しさと面白さを備えた1本である。

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漫画だけでなくドラマとしても愛されるBARレモンハート、その原作の連載35周年を記念したボトル。
漫画の連載開始は1985年で、35周年というと2020年ですが、コロナ禍や物流の混乱、更に後述するご不幸もあってリリースが遅れ、2022年5月に発売となりました。

残念ながら、著者である古谷三敏氏は昨年12月にがんでお亡くなりになられてしまいましたが、原酒の選定、ラベルの執筆にはかかわられたとのこと。同氏もお気に入りの原酒であったとされています。
(参照・販売先:https://barlemonhart.com/shopdetail/000000000758/

今でこそ、ウイスキーをはじめとした酒類の情報はインターネットを通じて容易に手に入れることが出来ますが、レモンハート連載開始当時は情報も少なく。そんな中で魅力的なキャラクターと、わかりやすくまとめられた蘊蓄の数々は、多くの愛好家に影響を与えたのではないかと思います。

かくいう私もウイスキーを本格的に飲み始めて以降、単行本も買い集め、キングスランサム、シングルシングルベレバーレイ、グレングラント38年…等々、これは飲んでみたいと、BARや酒屋でお酒を探すきっかけにもなりました。
また、自分でウイスキーのリリースに関わるようになってからは、いつか関わったボトルがレモンハートに掲載されたら良いなと。マスター、メガネさん、松ちゃんはどんなコメントをするんだろうか。そんなことも妄想したりしました。
その夢は、おそらく叶うことはなくなってしまった訳ですが…。

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(今年4月にはお別れの会が都内で開かれ、ご招待頂きました。いち読者、いち愛好家として献花させて頂きました。)

さて、テイスティングノートでも触れたように、元々漫画BARレモンハートのタイトルの由来は、連載開始当時、アルコール度数が最も強いとされていたラム、Lemon Hart 151Proof (75.5%)からとられたものとされています。
Lemon Hartは、ウイスキーで言う山崎や白州のような、単一蒸留所の名前をとった銘柄ではなく、蒸留所非公開で買い付けた原酒を元にブレンド、生産されているブランドとなります。

そのため、1980年代と現代ではブランド所有者も変わり、蒸溜所も異なるとされていますが、オリジナルの151Proofは、ガイアナで作られる濃厚な色合いのデメラララム(ダークラム)。これは非常にパンチのある味わいである一方で、黒蜜やキャラメルのような濃厚な甘さ、ダークフルーツのアクセントがあり、カクテルベースはもとより、葉巻との相性も抜群のラムとなっています。

一方で、今回のPBリリースは、ジャマイカにあるクラレンドン蒸留所の原酒がボトリングされています。どこの蒸留所?と思われる方は、マイヤーズラムの構成原酒、というとイメージしやすいでしょうか。
しかしコアな愛好家だと、レモンハートの記念ボトルはオリジナルと同じデメラララム、ガイアナ産であってほしかった、という想いもあるかもしれません。ですが一時期、Lemon Hartはジャマイカラムもリリースしており、決して無関係というわけではありません。

また、味わいも濃厚な甘酸っぱさと華やかさがありつつ、余韻は151Proofのそれを彷彿とされる、ジャマイカラムらしいパワフルで燃えるような刺激もあって、いかにもワイルドな男の酒と言う感じに仕上がっています。
マスターはきっと笑顔になるし、メガネさんは良い酒だとニンマリ呟くでしょう。松ちゃんはひえーと叫んで水か氷を入れてくれと言って、マスターから「こんないい酒を水で割るなんてもったいない」なんて注意されているかもしれません。

なんだか原作蘊蓄成分多めな記事になってしまいましたが、単純に熟成ラムとして見ても、この1本は価格的にも香味的にも、ウイスキー好きにオススメな1本です。
特にシングルカスク系のリリースを普段から飲まれていて、ホグスヘッド樽で長期熟成した内陸モルトが好みな方。あるいはグランシャンパーニュ等の華やかなコニャックがお好きな方。ラムらしい癖は当然ありますが、それ以上にわかりやすい美味しさで、1日をキッチリ締めてくれることと思います。

メガネさん「強い酒を飲んで記憶が切れる時、これは最高の快楽の境地なんだよね」
では、今夜はこのあたりで。。。

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アマハガン ウェビナーエディション 47% 長濱蒸溜所 ワールドブレンデッド

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AMAHAGAN 
World Blended 
Webinar Edition 
Malt & Grain 
Released in 2021 
700ml 47%  

評価:★★★★★★(6)

香り:バニラやメレンゲクッキーを思わせる甘く香ばしいオーク香に、構成するモルト原酒に由来するケミカルな要素と植物っぽさを伴うトップノート。奥にはパイナップルシロップ、アーモンドスライス等のフルーティーさ、ナッティーなアロマ。スワリングするとメープルを思わせるメローな甘みも微かに感じられる。

味:スムーズで甘酸っぱくモルティーな香味構成。硬さの残る白桃、パイナップル系のケミカルなフレーバーに、ナッツや麦芽の香ばしさ。それらを長熟グレーンのとろりとメローな甘み、ビターなウッディネスが包み込んでいく。
余韻はほろ苦くスパイシーで、ピリピリとした刺激の中にオークフレーバーがアクセントとなって長く続く。

アマハガン通常品と同系統の原酒が、ブレンドの軸に使われているであろう香味構成。そこに熟成年数が長く、グレーンをはじめ異なるキャラクターの原酒も使われていることで、ブレンドながら全体的にスケールが大きく、変化に富んだ仕上がりとなっている。
フルーティーさは近年の愛好家が好む要素が主体的である反面、構成原酒の一つであるハイランドモルトに由来する”癖”も感じられる。少量加水すると、一瞬植物系のフレーバーが強まった後、オーキーな華やかさや麦芽由来の軽い香ばしさ、そしてフルーツシロップを思わせる甘みがと、好ましい要素が開いてくる。ハイボールも悪くなく、飲み方を選ばない1本。

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長濱蒸溜所がリリースする、ブレンデットウイスキー「AMAHAGAN」。同蒸溜所が調達した輸入原酒に、長濱蒸溜所で蒸留・熟成したジャパニーズ原酒をブレンドしたワールド仕様のハウスウイスキーで、今回のリリースはその特別版となります。

ラベルを彩るのは、漫画レモンハートで知られ主要キャラの面々。原酒の構成は
・長濱蒸溜所のモルト原酒
・熟成年数の異なるハイランドモルト3種
・2001年蒸留のスペイサイドモルト
・長期熟成のグレーン原酒
の6種類という情報が公開されています。
ブレンドは2020年9月に長濱蒸溜所が開催したセミナー「NAGAHAMA BLEND CHALLENGE」において、セミナー参加者に加え、講師を務めた静谷さんが手掛けたレシピを長濱蒸溜所で微調整したもの。
商品名のWebinarはネットでのセミナー等の意味であり、コンセプトである「愛好家の、愛好家による、愛好家のためのウイスキー」の通り、セミナーを通じて愛好家が作り出した味わいをリリースに繋げた訳ですね。

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私はこのセミナーに参加していないので、当日作られたレシピも、使われた原酒の素性についても、公開されてる以上の情報はありません。ですが、流石に”わからない”では記事として面白みもないので、今回はテイスティングを通じて、香味からレシピを紐解いて、こうではないかと言う予想を以下にまとめてみます。
まず、ブレンド構成はノーマルなアマハガンに共通する香味と、そこにはない香味の2系統に分類出来、それらが混ざり合うことで複雑で厚みのある味わいを作り出していると感じました。

前者の香味を形成しているのは、(つまりノーマルなアマハガンと共通する系統の原酒が)、長濱モルトとハイランドモルト3種、2系統の原酒です。
軽い香ばしさの混じる麦芽風味が主体である長濱モルトに、ややケミカルなニュアンスに加え、特徴的な癖を伴うフルーティさ。ハイランドモルト表記で、この香味をもったブレンド用原酒を年数違いで構築出来るのは。。。あの近代的な蒸留所でしょう。
8年、10年、18年。外箱に書かれているレモンハートのマスターがブレンドする原酒がまさにそれと言われても違和感なく。例えばノーマル品には同じ蒸留所産のもう少し若い原酒も使われているところ。8年クラスがメインにあり、今回のレシピではその分10年、18年クラスの比率が増えているのではと。

一方で、ブレンド全体のバランスに寄与しつつ、通常リリースにない香味の幅、複雑さにつながっているのは、2001年蒸留のスペイサイドモルトと、長期熟成のグレーン原酒、2つの仕事と考えます。
グレーン原酒は香味に感じられるとろりとした甘みと、熟成の長さを感じるビターなウッディネス。これは以前グレンマッスルNo,2のリリースで、似たような個性の原酒を使わせてもらった経験から、20年程度の熟成を予想。個性の違いが出にくいグレーン原酒なので蒸留所はハッキリとわかりませんが、ノースブリティッシュあたりではないでしょうか。(輸入なのでブレンドグレーン表記かもしれませんが。)

そして2001年蒸留のスペイサイドモルトは、淡麗寄りながら麦芽風味があり、多少スパイシーな酒質をブレンドの中から紐解きました。中間ではハイランドモルト由来のフルーティーさを邪魔せず、軽やかなスパイシーさで存在感を出してくるようなイメージです。
ブレンド向けとされる蒸溜所の中だと、ダフタウンなどのライトで柔らかいタイプ。。。ではなく、淡いようで主張する時はする、ベンリネス、キース、ブレイバルあたりを連想します。
その上でブレンドレシピはこれまでの経験から、長濱2、ハイランド4-5、スペイサイド1、グレーン2-3とか。
こうしてブレンドを紐解いて、あれこれ考えるテイスティングは楽しいですね。なお答えは分からないので、今度こっそり聞いてみますw

※ウェビナーエディション、くりりんの予想レシピ ()は比率
・長濱蒸溜所のモルト原酒:ノンピート、バーボン樽の2~3年熟成(20)
・熟成年数の異なるハイランドモルト3種:南ハイランドの某近代的蒸留所、8年、10年、18年熟成(40~50)
・2001年蒸留のスペイサイドモルト:ベンリネス、グレンキース、ブレイバルのどれかと予想(10)
・長期熟成のグレーン原酒:ノースブリティッシュまたはブレンデッドグレーン20年(20~30)




考察ついでに余談ですが、今回のリリースにはBARレモンハートの主要キャラクターが描かれ、今までのアマハガンとは異なるラベルデザインが採用されています。
これはリカーマウンテンさんとレモンハートのファミリー企画さんが共同で開始された、飲食店応援プロジェクトが関係しているのではないかと思われます。
こちらはイラスト販売益でオリジナルボトルを作成し、それを日本の飲食店に配布すると言う壮大なプロジェクト。ウイスキー業界としては初の試みではないでしょうか。既に中身のウイスキーの仕込みは完了し、イラストの価格次第で配布本数が決まる、という発信もSNSで見かけました。

長々書いてしまいましたが、今回のブレンドは長濱蒸溜所が作るアマハガンブランドに共通する“らしさ”がありつつも、そこに新しい個性、味わいが加わった面白いリリースだと思います。
愛好家のための〜というコンセプトは、まさに自分が関わらせて貰っているGLEN MUSCLEや、先日の三郎丸蒸溜所との原酒交換、蒸溜所で行われている泊りがけでのウイスキーづくり体験企画なども同じベクトルにあるものと言えます。そうしたウイスキー作りの方向性が長濱蒸溜所にあるからこそ、さまざまな企画に積極的に挑戦されているのかもしれません。
上記企画に加え、次のリリースも楽しみにしております。

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アードモア 10年 2009-2019 アニマルコレクション EXラフロイグカスク  56.7%

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ARDMORE 
Animal Collection 
For BAR LEMON HEART 
Aged 10 years 
Distilled 2009 
Bottled 2019 
Cask type Bourbon Barrel 
Ex-Laphroaig Cask Finish 
700ml 56.7% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプル
評価:★★★★★★(6)

香り:焦げた木材や乾燥した植物、そして甘いヨードと消毒香が混じる、パワフルでスモーキーなアロマ。序盤はラフロイグカスク由来のアイラ要素、燻したような麦芽香があるが、時間経過でツンとした刺激、ドライな要素も目立つ。

味:オイリーでとろりとした口当たり。パチパチと舌の上をハイプルーフと若い原酒由来の刺激があり、ピーティーなフレーバーが支配的に広がる。基本的には焦げた木材、焚き木のようなスモーキーさ、ナッツや麦芽ビスケットの香ばしさ。そこに香り同様薬品香、磯の香りが混じる。余韻はほろ苦くピーティーで、若干の根菜っぽさ。ひりつくような刺激を残して長く残る。

やや粗い口当たりではあるが、バーボン樽由来の甘み、そして内陸系のピーティーなフレーバーとフィニッシュに使われたラフロイグカスクの影響による若干のアイラ要素が前面にあり、若さは気にならない。特にトップノートではアイラモルト(特にカリラのような)と一瞬見まごうが、注意深く探っていくと、完全に交じり合っていないフレーバーの乖離もある。さながら海辺の焚火といったところか。加水すると全体が馴染むような変化があるので、ハイボール等も期待できる。

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BARレモンハートで知られる、ファミリー企画がリリースするプライベートボトルの1つ。アニマルシリーズ。
アードモアはスコットランド内陸蒸留所では数少ない、ピーティーな原酒を軸に仕込む蒸溜所。オフィシャルを飲んだことがない、と言う方は、アードモアがキーモルトとして使われている、1000円ウイスキーのティーチャーズを手に取っていただけると、そのスモーキーさを体感できると思います。

アードモアのスモーキーフレーバーの特徴は、内陸産のピートを炊いていることに関連します。
アイラモルト=ピートの印象から、ピートとヨードはセットというイメージが先行しがちですが、ピートの種類によってウイスキーが持つ香味は異なります。
アードモアは、焦げ感、焚き火、干し草、土っぽさといった、内陸のピート香由来のスモーキーさが主体。消毒薬っぽい要素は若干混じる程度であり、ボトラーズリリース等でアイラモルトの代用品として使われることがしばしばありつつも、なにか違う、という差分はここに影響しています。

一方で、一般的に人気が(知名度が)あるのは、アイラピートのスモーキーさです。
じゃあアードモアに限らず、アイラピートも仕込めば良いじゃないかと考えてしまうわけですが、以前聞いた話では、アイラ島のピート産出地は大手メーカーが押さえており、ピーテッドモルトが手に入らない、という状況もあるのだとか。(もちろん、ブレンドとして要求されるフレーバーが内陸ピート仕様である、という関係もあるでしょう。)

この点に関連してか、昨今需要が高まっているのがアイラカスクです。樽に染み込んだピート香で、原酒を味付けしてしまおうというわけですね。
特にラフロイグ蒸留所のクォーターカスクはボトラーズ、クラフト蒸留所含めて人気で、蒸留所側もそれを意識しているのか、この樽を使っている某蒸留所のスタッフによると、「昔はそこまでピーティーな香りはしなかったけど、最近入ってくるクォーターカスクは、むせかえるほどピート香がする」のだとか。
原酒の払い出し後、洗ってから出荷していたけど洗わなくなったか、輸送時の樽の保湿用(という建前で)にラフロイグ原酒を少量残しているとか、変化があるのかもしれません。

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(アイラ島で採掘されているピート。日本では三郎丸蒸溜所が2020年度の仕込みから少量活用している。)
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(アイラ島蒸溜所のクオーターカスク。バーボンバレルよりも細い形状をしている。)

何れにせよ、樽に染み込んでいるピート香の正体はラフロイグであるわけですから、今回のリリースは正確にはアードモアとラフロイグのブレンデッドモルトとも言えます。
実際、テイスティングのとおり、香味にはラフロイグを思わせる要素が混じり、アードモアの原酒には感じられないアイラピートの要素、とろりとした甘さ・・・遠目に見た感じはアイラモルトと見違える味わい。注意深く飲んでいくと、若いアードモアのアタックの強さや、焦げたようなピート香があり、それらの個性が若干解離するようにも感じられますが、可能性を感じるリリースですね。

同様の原酒に対して、フィニッシュ期間を長くするか。。。あるいは加水すると一体感が出るので、例えば樽内で熟成しながら段階的に加水するコニャックの手法を採用するのも面白そう。少量リリースだからこそ実現する、ボトラーズモルトらしさのある1本だと思います。

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以下、雑談。
3日前の晩飯も思い出せない自分としては、1か月以上前の出来事がはるか昔のように思える今日この頃。あれは確か10月頃のこと、BARレモンハートのRさんからサンプルを送らせて頂きましたとメッセージがありました。

テイスターとしてのお仕事!なんてものではなく、ファミリー企画さんが4月の緊急事態宣言の際に実施した、BARへの料金前払いチケットサービス(10月末で受付終了)。自分が購入していたチケットの有効期限が切れてしまうので、その分を還元してくださる、ということのようでした。
料金前払いサービスだけでも、手間のかかる取り組みだったと思いますが、この心遣い。ホンマ徳の高いお方やで・・・

妻子持ちの自分は、コロナ禍で中々夜の街に脚を運べず、緊急事態宣言以降一度も顔を出せていないお店は多数あります。レモンハートもその一つとなっていました。
一方で、市場には数多くのリリースがあり、BARに行けない、飲めない、元々近年のリリースラッシュに置いてきぼりだったところが、ますますついていけなくなるの悪循環・・・。
ああ、BARが身近にない環境っていうのは、こういうことなのかと。コメントなどで見られる地方在住の愛好家の苦悩を、身に染みて感じました。

故に、この心遣いは本当にありがたかったですね。
オフィシャルリリースで充分、なんてコメントをしてしまいがちですが、デイリーウイスキーをさらに美味しくするのは、こういう非日常のPBリリースがもたらす、味の変化だと思うのです。
BARで飲んだつもりで、気が向いたときにサンプルを頂きながらレビューをまとめていきたいと思います。
お心遣い、ありがとうございました!!

ハイランドパーク 15年 2003-2019 BARレモンハートラベル 50.2%

カテゴリ:
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HIGHLAND PARK
For Bar LEMON HEART 
Aged 15 years 
Distilled 2003 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
700ml 50.2% 

グラス:テイスティンググラス
場所:新宿ウイスキーサロン
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかくバニラを思わせるオーク由来の甘さを一瞬感じた後で、干し草や乾いた麦芽、ビターなアロマが開いてくる。同時にスモーキーでもあり、ピート香には若干消毒薬のようなニュアンスも混じる。

味:マイルドな口当たり。とろりとした甘さからオーキーでバニラやパイナップル、合わせて香り同様の乾いた植物や殻付麦芽、土っぽいピートのようなビターなフレーバーが混じり、全体的にほろ苦く柔らかいスモーキーさを伴う構成として感じられる。

シェリー樽ではないが、ベース部分のハイランドパークらしさを感じられる香味構成。樽由来のフルーティーさは現時点では隠し味であるが、今後樽感が馴染むことでもう少し前に出てくるかもしれない。派手さはないが、普通においしい。加水すると柔らかい麦芽風味とピート、オフィシャルに通じる味わいが強く、ハイランドパークであることをさらに認識できる。

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ファミリー企画プレゼンンツ、漫画レモンハートラベルシリーズの1本。
実はこのハイランドパークは、昨年夏、大泉学園駅前にある同BARを訪れた際に、たまたまカスクサンプルをテイスティングする機会に恵まれていたものでした。

その時の印象は余韻にかけて黄色系のフルーティーさがあり、麦芽風味もピートも程よく。。。バーボン系の樽で熟成したハイランドパークの良さ、求められている要素が前面出ているタイプだなと。これでラベルはBAR レモンハートなわけですから、中身のレベルの高さと共に話題になりそうなボトルだと感じていました。

そしていよいよリリースされた今回のリリースですが、開封直後を飲んで見て印象の違いに驚きました。もちろんオーク樽由来の要素と麦芽風味が結び付いたフルーティーさは感じられるのですが、それよりも樽由来のビターな印象、干し草を思わせるような乾いた植物感を伴うピートフレーバーが前面にあり、これはこれでハイランドパークらしいと言えばらしい美味しさなのですが、思っていたのと違うなと言う気持ちが無いといったら嘘になります。

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(BARレモンハートにて。この日は夏前の熱さのある夜で、締めはゴードンジンのちょいオールドをロックでさわやかに。オールドから現行品まで幅広く、様々な酒類をストックしている懐の深いBARである。)

これは間違って違う樽がボトリングされてきた・・・なんてことはなく、いわゆるカスクサンプルとボトリングの差でよくある現象のひとつかなと。
樽の中の味は一定じゃないので、払いだして混ざると変わってしまうというヤツ。先日リリースされたグレンマッスルも、ボトリングの数週間前にとってもらったサンプルと、ボトリング後では樽感は後者のほうが強く出ていて、おや?と感じたばかりの話です。

とはいえ、カスクサンプルを飲んでいる人のほうが少数なわけですから、今回のボトルもあくまでこれ単体として見ていくと、先に書いたようにハイランドパークらしい特徴を感じられる、悪くないリリースに仕上がっていると感じます。
特にヘザー系のピート、乾いた麦芽、蜂蜜を思わせる甘さと樽由来のバニラやフルーティーさの混じるほろ苦い味わい。なかなかどうして通好み。また、オフィシャルの一部を構成する要素としてとらえると、馴染みの味わいとしても楽しめる1本ではないでしょうか。

グレンロセス 23年 1996-2019 スウィートギャラリー(萌えボトル)2nd 53%

カテゴリ:
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GLENROTHES 
Sweet Gallery 
Aged 23 years 
Distilled 1996 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
700ml 53% 

グラス:グレンケアン
場所:BAR ヒーロー(立ち飲み屋喜楽)
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーでドライ。薄めた蜂蜜、レモンクリームや洋梨を思わせる甘やかな香りと共に、乾燥した牧草、い草のような植物っぽさに通じる癖のあるウッディネスが全面に感じられる。

味:スムーズでウッディ、バニラや洋梨のピューレ、香り同様の植物感。酒質はややライトで淡麗気味だが、徐々に口のなかでやわらかい果実系の甘味が広がる。
余韻はウッディでドライ、ハニージンジャー、微かなハーブ香を伴う。

某ボトラーズのリリースにしては、オフィシャル系統のロセスらしい個性を備えたリリース。華やかなオーキーさもあるが、樽由来の乾いたウッディネスが酒質由来の要素と合わさり独特の植物感と蜂蜜のような甘さが中心に感じられる。加水すると植物感が軽減されて洋梨を思わせる柔らかい甘さが立つが、味は多少水っぽさが出てしまう。

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バックバーに置くにはちょっと恥ずかしいウイスキーがコンセプトの、ファミリー企画プレゼンツ、スウィートギャラリーシリーズ。セカンドリリースを手掛けるイラストレーターは横田守氏です。
なんというか、同氏の得意ジャンルとも言えるけしからんエルフのお姉さんですね。某転生系スライムが「エ◯フ!」と興奮しそうなくらいにはけしからんです。

これまでウイスキーに関しては食欲というか、所謂物欲、収集欲の域を出ないジャンルでした。
それが漫画タイアップラベルに端を発し、いよいよ萌え系、アダルト系との組み合わせに進出しつつあるのは、同様の事例が既に多くのジャンルで見られるようになった日本においては、自然な流れなのかもしれません。
例えば自動車レースでは、痛車と呼ばれるカーペイントを採用しているチームが2000年代から登場し、一部は強豪チームにまで成長。新しいファン層を同業界として獲得しているというのは有名な話です。

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(スウィートギャラリーシリーズ第一弾。仙道ますみ氏の描いた、おさわり厳禁ラベル。リリース意図に反して意外にカウンターやバックバーに置きやすかったという声も。。。中身のモートラックはフルーティーで飲みやすく、完成度の高い1本。)

そうした流れをウイスキー業界も取り入れるべきかというと、一見ウイスキーと無関係なタイアップに頼らなければリリースを差別化出来ない現状に対する、複雑な心境を持つ方もいらっしゃるとは思います。
ただこの手のボトルは中身が残念だとラベルに頼った分蔑まれる結果にもなるため、実は諸刃之剣です。サンプル選定は厳しく行っているとの話で、今回のボトルも前作に引き続き悪いものではありません。

テイスティングの際、ウイスキー仲間に勝手に注文されており、グラスの中身を知らないブラインド状態でノージングしたのですが、「これロセスでしょ?」と言える程に、近年のオフィシャル系統のキャラクターが感じられたのが印象的。原酒の出本は"ここ"という噂は聞いていますが、それでホグスヘッドとの組み合わせであればもっと露骨にリキュールのような甘さや華やかさがあってもいい中で、第一印象はハウススタイルが強く感じられたわけです。
ただ開封直後もあって、多少の固さも感じられており、これが今後開いてくると上記のフレーバーが主張してくるかもしれません。

なお、今回のエルフさんラベル。イメージは「朝」。
そして既にスウィートギャラリーシリーズ第三弾発売が予定されているそうで、次回作のラベルイメージは「夜」。結構すごいとも聞いています。
すごい。。。ってなにがどういうことなの?という疑問はさておき、中身も朝と夜なら、次はシェリー系濃いめ、とかでしょうか。
見たいような見たくないような、次回に続くとして今日はこの辺りで。

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