タグ

タグ:リザーブ

サントリー スペシャルリザーブ 40% 2021年流通品

カテゴリ:

IMG_0332
SUNTORY 
SPECIAL RESERVE 
Luscious Elegant Aroma 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)

香り:穏やかな香り立ち。トップノートは華やかでややドライ、オーク香と薄めたメープルシロップを思わせる甘み、微かにシェリー香に由来する甘酸っぱさも混じる。全体的に適度な熟成感がるが、奥には少し鼻腔を刺激する若さ、やや表面的な印象も受ける。

味:口当たりはスムーズでゆるい甘さ。香りで感じられる甘酸っぱいウッディさと華やかなオーク感が、グレーンのコクや柔らかい口当たりから鼻腔に抜けていく。余韻にかけては樽由来のフレーバーがまとまっていき、ほろ苦く、香り同様に少しピリピリとした刺激を伴いつつ残滓として口内に残る。

主軸となる原酒構成は決して若すぎず、体感で5~12年といった熟成感。白州のバーボン樽原酒を思わせる個性をキーモルトに、シェリー樽系のフレーバーが隠し味となって香味の幅に繋がっている。値段なりの部分はあるが、ストレートでもそれなりに飲め、ロックや水割りに合わせやすい。何より、個人的にはハイボールをお勧めしたい。香味の軸となっているオーク香が伸び、さっぱりとした飲み口から鼻腔に抜けるようにふわりと香る、甘やかで華やかなアロマが特徴と言える。
肩肘張らずデイリーに楽しめる、白州味メインなブレンデッド。目立たないが仕事はきっちり、もっと評価されるべき”いぶし銀”なヤツ。

IMG_0316

2021年4月1日に施行されるジャパニーズウイスキーの新基準。
自主基準ではありますが、この基準に合致する3000円台までのジャパニーズウイスキーは、オールド、リザーブ、ローヤルしかなく。ウイスキーにおける一般的なデイリーユースを同価格帯までとすれば、この3本はまさに、デイリー・ブレンデッドジャパニーズ御三家と言える存在となっています。

先日オールドを飲んでそのクオリティに驚かされ、じゃあリザーブとローヤルはどうだろうと、会社帰りに近所のカクヤスでご購入。
ノーマルなリザーブは、特級時代のものを除けば10年前に12年表記のものを飲んで以来久しぶりであり(新幹線で水割り缶は飲みましたが)、これだけ期間が開いたとあっては、実質初テイスティングとも言えます。

その日はリザーブをロックとハイボールでやりながら、クラブハウスで「JWの新基準を読み解く」を放送したわけですが・・・。お、こいつもええやんかと、放送しながら軽く4~5杯くらい飲んだと思います(笑)。
ブレンドの軸となる10~12年程度熟成したモルト原酒の香味を、若い原酒(特にグレーン)で伸ばしたような方向性はオールドとも同じなのですが、全体的に熟成年数が上がっているのか若さは目立たない。また、白州原酒由来の華やかなオーク香にシェリー系の樽感やグレーンのコク、甘みがアクセントとなって、バランスの取れた仕上がりです。

IMG_0270

あくまで個人的な印象ですが、上述の”御三家”(三本柱とか、呼び方は何でも良いですが、全て半世紀以上の歴史を持つロングセラーなので、敬意を評して)の中で、リザーブは目立たないというか、だったらローヤルでええやんとも思ってしまう位置づけでした。度数もリザーブだけ40%ですし。
ただ、改めて飲んでみるとそれぞれキーモルトとなっている原酒の違いが分かりやすく。ストレートはあまり響かないかもしれませんが、飲み方次第ではなかなかどうして、多くの愛好家が納得できるだろう味わいに仕上がっていると感じます。

リザーブの軸となっている、白州原酒由来の華やかなオークフレーバーは、実は角瓶にも構成要素の一つとして備わっているキャラクターです。ただ、これはハイボールにすると消えてしまう。一方で、リザーブはハイボールにしてもそうした香味が適度に残り、含み香で華やかに香りつつ、余韻はすっきりさっぱり、ブレンデッドらしく飲みやすいバランスの良さが印象的です。

オークフレーバーの強さだけでいえば、スコッチモルトのバーボン樽熟成など、もっと強く、主体的に感じられるものはあります。ですが、そうした銘柄はオークフレーバーが強すぎて、単体では良いのですが、特に食中で使うにはくどいと感じることもしばしば。。。和食、というか白米と味噌汁が出てくるような日常的な食事にはなかなか合いません。
オールドの水割りでも感じた、フードペアリングと言うほどには対象を定めない、まさに日常的な使いやすさ。特定条件下での計算されたバランスの良さが、リザーブにもあるのです。



サントリー・リザーブは、かつて佐治敬三社長の「海外から来たお客さんから見ても、見劣りしないウイスキーを」という号令の下で開発され、1969年に発売されました。
これは1970年の大阪万博を見据えた方針でしたが、1971年には洋酒輸入自由化が始まり、ライバルとなるスコッチウイスキーが自由に輸入・販売されるようになること。
さらに歴史を遡ると、1962年の酒税法改正(雑酒扱いだったウイスキーに、ウイスキー区分が新設される)を受け、国内でも各社の競争が過熱していたことから、サントリーとしてウイスキー区分のブランドを確立するための1手でもありました。

一方で、視点を現代に向けると、国内外で加熱するジャパニーズウイスキーブーム、新たに施行されるジャパニーズウイスキーの基準。そこに適合し、新時代におけるブランド確立に向けて、虎視眈々と準備を進めていたサントリーの戦略。。。
これらの動きが、リザーブ発売当時の状況とも重なって見えて、興味深くあります。

FullSizeRender

リザーブの軸となるオークフレーバーは、スコッチモルトに多く見られる王道的キャラクターの一つであり、香味だけでいえばライバルは多数。また製品自体も、価格帯でブレンデッドスコッチ有名銘柄12年クラスとモロかぶりという、まさに激戦区に投入されたブランドです。
ですが、飲み比べて特段見劣りするという感じはなく。ジャパニーズウイスキーらしさを、複数タイプの原酒の掛け合わせ、多彩な樽香が織りなす重厚さとするならば、同じようにオークフレーバーが軸にあっても、淡麗寄りのバランタインやシーバスリーガル12年に無い複雑さを感じることが出来ますし、味の面でも優れていると思います。

1969年発売当時、リザーブのキャッチコピーは「国産品と呼ばず、国際品と呼んでください」でした。
このリザーブの戦略が、どのような結果に繋がったかは定かではありません。すぐにオールドが市場を席巻しましたし、品質面で当時のグレーンは怪しいところもありました。ですが、現代においては文字通りの国産品であり、国際品と呼ぶにもふさわしいクオリティを身に着けたと言えます。

サントリー・リザーブが、今後どのように愛好家に受け入れられていくのか。脚光を浴びる時が来るのか。御三家としてリザーブを残したサントリーの戦略が、現代の市場にどのようにハマるのかはわかりません。
ただ個人的なことを言えば、今まではこうした銘柄は率先して飲んできませんでしたが、改めて飲むと気づく点が多いというか、本当にしっかりと考えられて造られていることが見えてきます。1周まわってデイリーユース。これもまた、ウイスキーの楽しみ方なのかもしれませんね。

サントリー リザーブ 10年 シェリー樽仕上げ 40%

カテゴリ:
IMG_4001
SUNTORY WHISKY
SPECIAL RESERVE
Matured in Sherry Cask
Aged 10 Years
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★(5-6) (!)

香り:黒糖パン、チョコレートや微かにレーズンを思わせる甘い香り立ち。奥には乾いた穀物、経年からくる淡い古酒感と合わせ、ツンとしたアルコール感が鼻腔を刺激する。 時間経過で華やかさも。

味:香り同様の構成で、とろりとした口当たりから黒砂糖やココアを思わせるシェリー感、じわじわと若い原酒の甘みと刺激、干草のようなウッディネスが甘みとあわせて鼻に抜ける。
余韻はスパイシーでピリピリとした舌への刺激と、下顎、舌の付け根にねっとりと残るシェリーの甘みが長く続く。

ベースにあるのは中庸な若いブレンデッドだが、フィニッシュに使ったとされる樽の効果か、黒糖感のある旧ラベルマッカランにも似たシェリー感が付与されている。サントリーのブレンドらしくロックでも崩れず、若さが整えられて甘くスムーズな香味を楽しめる。この価格帯にして素晴らしい仕事だが、ハイボールは微妙。。。
発売当時はノンエイジ品として製造されていた、サントリーリザーブ。1996年に10年表記にリニューアルした後、1998年に姉妹品として発売されたのが、今回紹介するリザーブ10年シェリー樽仕上げです。
確かキムタクがCMをやっていたので、こっちの方はご存知の方も多いと思います。

10年熟成のモルトとグレーンで作ったブレンデッドウイスキーを、シェリー樽で再熟成。どの程度の期間かはわかりませんが、結構しっかりとシェリー系の香味が感じられるので、例えばファーストフィルで半年から1年くらいは詰めてある感じでしょうか。
全体的な印象としては、仕上げが荒いとか、ブレンドが若いとか、突っ込みどころは少なからずあるウイスキーですが、それは些細なことと言えるシェリー樽の香味。オークション価格ではなく、実売価格2000円前後(定価2100円)のブレンデッドウイスキーで、これほどのシェリー感があるものは、まず記憶にありません。 
シングルモルトの需要が今ほど高くなく、さらに国内市場で数があまり出なかったウイスキー冬の時代が重なったからこそ出来たリリースと言えそうです。

ちなみに近年の流通品で言うと、少し価格を上げればネイキッドグラウスがシェリー感あるブレンデッドとして有力候補です。
ただ、ネイキッドグラウスは最近のシーズニングシェリー味。対してこのリザーブ10年シェリー樽仕上げは、マッカラン混ざってないか?と思えるほど、2000年代当時の同蒸留所スタンダードリリースの味わいが上面に乗っかっているのです。 

邪推すると、万本(何万リットル)単位で出荷される普及品ブレンデッドに、1樽500リットル、当時既に入手困難とされつつあったスペイン直輸入のシェリー樽を何千樽も割り当てただろうか?(例え本命を詰める前のアク抜きでも・・・)などの疑問がないわけではありません。
ただそれらを今更考えるのは、あまり意味はないというか、野暮ですかね。だって美味しいんですから。
冬の時代が生み出した今は亡き一品。もし酒屋やスーパーなどで見かけたら、是非普段飲みに試してみてください。

サントリーウイスキー 2016年の値上げ詳細リスト 9ブランド33品目

カテゴリ:

サントリーが今年4月分の出荷から実施する価格改定。
同社の看板商品ともいえる角瓶の値上げは、実に32年ぶりとのことで多くの注目を集めています。
昨年の公式発表時には"主な価格変更例"として、9品目しか公開されていなかった改定後の価格。今回残りの24品目を含む、"9ブランド33品目の価格改定リスト"を問屋経由で入手しました。

結論から言うと33品目のうち、ジャパニーズウイスキーについては700mlの価格が昨年の発表時に全て公開されていたため、容量違い中心のリストでした。
ただペットボトル仕様含むビックボトルの価格や、噂されていた黒角の休売に関する情報も書かれており、ファンにとって一見の価値はあるのかなと思います。
image
【2016年4月1日※出荷分からの価格改定表】
響 ジャパニーズハーモニー 700ml 4000円→5000円
ローヤル 700ml 3000円→3360円
ローヤル スリムボトル 640ml 2600円→2920円
スペシャルリザーブ 700ml 2300円→2560円
オールド 700ml 1660円→1880円
角瓶 ポケット瓶 468円→526円
角瓶 450ml 933円→1049円
角瓶 700ml 1414円→1590円
角瓶 1920ml 3613円→4062円
角瓶 2.7Lペット 4916円→5526円
角瓶 4Lペット 6964円→7827円
角瓶 5Lペット 8000円→8993円
白角 700ml 1414円→1590円
白角 1920ml 3613円→4062円
白角 2.7Lペット 4916円→5526円
白角 4Lペット 6964円→7827円

マッカラン30年 700ml 150000円→180000円
マッカラン30年 ファインオーク 700ml 150000円→180000円
マッカラン25年 700ml 100000円→120000円
マッカラン25年 ファインオーク 700ml 100000円→120000円
マッカラン18年 700ml 22000円→27000円
バランタイン30年 700ml 72000円→80000円
バランタイン21年 700ml 18000円→20000円
メーカーズマーク 50ml 450円→540円
メーカーズマーク 375ml 1520円→1850円
メーカーズマーク 750ml 2800円→3400円
メーカーズマーク 1000ml 3300円→4000円
メーカーズマーク46% 750ml 4800円→5800円
ジムビーム 200mlペット 400円→440円 
ジムビーム 700ml 1390円→1540円
ジムビーム 1000ml 1920円→2100円
ジムビーム 1750ml 3200円→3500円

※角瓶、白角、メーカーズマーク、リザーブについては計4品目が免税向けも値上げ対象となっているが、ここでは除外する。
※ジムビームの値上げは7月1日出荷分から適用される。
※黒角については休売品扱いとなる。販売再開時期は未定。

公式発表のまとめは以下。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1048057456.html


今回のリスト、一番驚きだったのはマッカラン。
18年が値上げすることはわかっていましたが、18年以上のグレードが全て値上げ、30年が18万って、あれ君ら去年も値上げしたよねと突っ込みたくなる上昇幅です。 (まあマッカラン30年や25年は、希望小売価格無視の高騰が現場レベルでは起こってるんですけど。)
一方で12年やファインオーク18年は据え置きとなるようで、27000円まで値上がりするマッカランシェリーに対して、去年も結局値上げしなかったファインオーク18年がお買い得に感じてしまう。やっぱりバーボンオークとリフィル系の樽は安定的に入ってくるため供給しやすい体制を構築できたのでしょうか。
また、バランタイン30年。正規価格の7万円って生きてたんですね。市場にあるボトルがほとんど2万円台の価格なんで、あってないような設定だと思っていました。

なお今回、マッカランシエナ、アンバー、ルビーのマッカラン1824シリーズはリストに入っていませんが、2014年から2015年ロットに切り替わるにあたってビラ上で値上げを宣言しているため、2016年ロットもまた発売に合わせてしれっと値上げしてくるのだと思います。
値上げに次ぐ値上げ、特にこの辺のオフィシャルボトルを自分が買うことはないとはいえ、いい気はしませんね。
今後の参考になれば幸いです。

サントリー 2016年4月からまた値上げ! 角瓶など低価格帯にも影響

カテゴリ:

本日、サントリーからウイスキーの価格改定が公式発表されました。
ちょうど1年前にもサントリーから値上げの発表があり、その際は角瓶などの低価格帯を据え置きとしていたところ。今回の値上げはその低価格帯を中心としたもので、角瓶にいたっては32年ぶりの値上げなのだとか。
最大25%の値上げが多くの消費者の懐に影響する内容となっています。
またマッカランに至っては昨年に続いての値上げが確定、ほんの2~3年前まで9000円そこそこで売られていた18年が、来年4月には3倍近い価格になる、異常な事態です。

ウイスキー 一部商品の価格改定について(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12533.html

実施日:2016年4月1日
(ジムビームは2016年7月1日から)

対象商品:「角瓶」「オールド」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「響JAPANESE HARMONY」「ジムビーム」「メーカーズマーク」「ザ・マッカラン」「バランタイン」9ブランド(計33品目)

【価格変更一例】
角瓶★ 1414円→1590円(12.4%)
オールド 1680円→1880円(11.9%)
ローヤル 3000円→3360円(12.0%)
スペシャルリザーブ 2300円→2580円(12.2%)
響Japanese Harmony 4000円→5000円(25.0%)
ジムビーム★ 1390円→1540円(10.8%)
メーカーズマーク 2800円→3400円(21.4%)
マッカラン18年 22000円→27000円(22.7%)
バランタイン21年 18000円→20000円(11.1%)
※()内は価格改定率

価格改定の詳細リストは以下を参照ください。

★のついている角瓶、 ジムビームは合わせてリニューアルすることも発表されています。

サントリーウイスキー「角瓶」「白角」リニューアル新発売(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12534.html
バーボンウイスキー「ジムビーム」リニューアル新発売(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12535.html


9ブランド33品目の内訳については現在確認中ですので、判明次第掲載いたします。
が、サイズ別の値上げに加えて、おそらくマッカランやバランタインは全ラインナップが入ってくるんじゃないでしょうか。
サントリーは先日貯蔵庫の拡張を発表するなど、精力的に増産に動いていますが、その影響が価格に転嫁される形なのでしょう。1989年の酒税法改正で一気に安くなったウイスキーが、徐々に徐々に当時の価格に戻っていくような、そんな錯覚すら覚えます。
続報入り次第、追記させていただきます。

このページのトップヘ

見出し画像
×