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近況報告 GLEN MUSCLE と Liqul掲載記事など

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マッスルPR

今日はウイスキーレビューではなく、雑談。ブログ以外の"ウイスキー関連の活動"で色々ネタが溜まっているので、近況報告します。特にリリースについては、メッセージやコメントで質問を受けることもありますし。

直近では、7月発売予定のGLEN MUSCLE No,7です。
GLEN MUSCLEは、美味しさもさることながら、スペック等でワクワクするような面白さ、ちょっと尖った魅力を持ったウイスキーをテーマに、メーカーリリースを有志で監修するものです。今回も最大限そこを意識しつつ、私個人としてはやりたかったことを詰め込んだブレンドに仕上がっています。

※今回の特徴。
・3年~30年という、構成原酒の特徴を活かす過去最大に幅広い熟成年数の幅。
・日本産原酒は、ピーテッド仕様。アイラ島の蒸留所で使われていたクォーターカスクで熟成。
・スコッチ原酒は10年~30年熟成のものを複数使用。30年はマッスルブランド史上最長熟のモルト原酒。(これらについてはマッスルらしい企画も同時進行中です)。

予定価格は14850円(税込み)。
ボトリング本数は200本。
勿論、ノンカラー、ノンチル、カスクストレングス。
写真やスペックから日本側の蒸留所はお察し頂けるかと思いますが、ここは若くても柔らかく未熟感の少ない原酒に仕上がるので、決して3年を感じさせません。麦芽風味とスモーキーさ、そして熟成した原酒と樽由来のフルーティーさが混ざり合う、好ましい要素を多く感じる構成です。
販売は同蒸留所のオンラインショップにて行われる予定です。ラベル含めて発売日などセットされましたら、再度紹介を書かせてもらいます。

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 GLEN MUSCLE は、昨年11月のNo,6以来で約半年ぶりのリリースとなります。
何も動いていなかったわけではなく、計画は同時並行で進んでおり、今年確定しているものでGLEN MUSCLEが上述のNo,7を皮切りに、10月にも1本。あとリリース時期は確定していませんが、2~3本話が動いています。

先日も最終サンプルが関係者に配布されたところ。また、マッスル以外でくりりん単独で協力しているリリースがあり、こちらについても今年中に何本か紹介記事を書くと思います。
あとはウイスキーリリースではないですが、7月頃に出版される予定の、とあるウイスキー本にも寄稿や構成内容に関して協力させてもらいました。まだ内容は公開できませんが、これも発表・発売が楽しみです。
※これまで同様、いち愛好家の立場で選定等に助言、協力しています。発売にあたり収益や監修料等報酬は受領していません。

コロナ禍にあって蒸留所に伺うことが出来ず、今までのように集合して打ち合わせというのも控えなければならないなど、各種調整にはいつも以上に時間がかかってしまいました。
また、原酒選定やレシピの構築にあたり、カスクサンプルを小分けにして送って下さった蒸留所の皆様の手間を考えると頭が上がりません(上、写真参照。どこのブレンダールーム?って、我が家です。)。
少しでも良いものを提案しようと頑張りましたが、リリースまでの間に原酒も多少変化するので結果は神のみぞ知る…いやホント、ウイスキーって難しい。
無事発売されましたら、手に取って頂けたら嬉しいですね。

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続いては酒育の会のWEBメディア「Liqul」です。
寄稿していた、サントリー・オールドの記事が、先日公開されました。

サントリー・オールド 多様なキャッチコピーに彩られた最古のジャパニーズ:
Re-オフィシャルスタンダードテイスティングVol.11 | LIQUL - リカル -


ジャパニーズウイスキーの基準制定を受け、注目され始めたサントリーのJW低価格帯御三家。3種比較レビューとかすると文字数がとんでもないことになりそうだったので、オールドに絞りました。
オールド:山崎、シェリー樽(濃いめ水割り)
リザーブ:白州、バーボン樽(ハイボール)
ローヤル:響、ミズナラ樽等(ロック)
それぞれの樽使い、キーモルトから、上述のように各銘柄の延長線上にフラグシップのブランドがあり、改めて飲みなおしてみるとすごく考えて造られていることがわかります。※()はお薦めの飲み方。

中でも、広く親しまれ、多彩なCMに彩られたオールドは逸話も多く、コラムを書いていて純粋に楽しかったです。ブログの記事とは違う方向性でまとめていますので、こちらも是非ご参照ください。
なお6月頃に投稿される予定の、次のコラムはフォアローゼズです。広く知られているブランドエピソード(プロポーズの返事説)について掘り下げてみましたが、これも色々考察する要素が残されていて、歴史学者になった気分で楽しく書かせて頂きました。
書ききれなかったことも多いので、コラムが公開された補足記事を書こうと思います。

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オマケ:最近飲んでるデイリーワイン。
セガル ドライレッド 12% 2016 (イスラエル)。

近所のカクヤスで投げ売りされている、ラベルのイスラエル語で怪しさ増量なワイン。しかし飲んでみたら香りはちょっと熟成した仏モノに似て正統派、赤黒系果実のいい香り、微かにスパイス。味は軽めだけど、新世界っぽい果実味を感じるし、過剰な渋みや酸味はなく酔い方も心地よい。12%で低めだからか、あるいはちょいバックビンテージだからか。。。ホント、デイリーにぐいぐい飲めてしまう。

調べてみたら、イスラエルってワインの産出地だったんですね。(内戦とITテクノロジーの産地というイメージしかない。。。)
品種はメルロー、プティシラー、土着品種で、メルローが良い感じに効いてるのかなと。まあガチ勢の舌は満たせないですし、ボルドー系などしっかりとしたタイプのワインが好みだとシャバいと感じるかもしれませんが、ライトで綺麗目、あるいは自分のように新世界ピノとか好きな人はイケるんじゃないかなぁと。
ぶっちゃけ、下手に3000円前後の仏モノ買うなら、これでいい。ワイン飲みたい欲求が出てきたら、これで満たすつもりですw


前略、改めて前略。
渦中のGWでありましたが、皆様は如何お過ごしでしたでしょうか。
私はこんな感じで酒活動もちょっとやりながら、子供と遊んだり、料理を作ったり、ここ最近の休日と変わらない日々を過ごしました。BARも遠出も、できませんしね。。。
ウイスキーレビューのほうも記事を投稿しますが、とりあえず雑談回はこの辺で。

グレンフィディック12年 スペシャルリザーブ 40%

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GLENFIDDICH 
OUR ORIGINAL TWELVE 
Aged 12 years 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)

トップノートにはやや硬質感があるが、青りんごや洋梨を思わせる華やかなオーク香、微かにレモンピールを思わせるニュアンス。時間経過で奥から麦芽由来の甘さも混じる、爽やかなフルーティーさが心地よい。
一方、味わいは香りに比べて少々広がりが乏しい。麦芽由来のほろ苦さ、柔らかい甘みが舌の上で感じられ、余韻は砂糖漬けドライレモンピールを思わせるビターなウッディネス、ほのかにオーキーな華やかさが鼻腔に抜けていく。あっさりとしたフィニッシュ。

ラベルにはオロロソシェリー樽とバーボン樽で12年熟成と記載があるが、色合い、香味から察するに熟成はほぼバーボン樽で、シェリー樽はアメリカンオークのリフィルか。香りはオークフレーバーがしっかり感じられるが、40%加水の普及品ということもあって、味わいは小さくまとまっている。やや硬さもある。しかし柔らかく甘みのある麦芽風味主体の素直な酒質と、アメリカンオーク由来のオークフレーバーという、定番の組み合わせから流行りを外さない安定感は、このボトル最大のポイント。何と言ってもハイボールがオススメ。

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先日、酒育の会のWEBマガジン「Liqul」に投稿したウイスキーコラム、”Re-オフィシャルスタンダードテイスティング”で紹介したグレンフィディック12年です。
昨年市場に出回り始めたリニューアル後の現行品ボトルで、いつかコラムで取り上げようとボトルだけは買ってあったのですが、年明けの更新に回ってしまいました(汗)。

グレンフィディック12年スペシャルリザーブ 平凡にして非凡な1本:Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.10 | LIQUL - リカル -

コラムにも書いたように、グレンフィディック12年は味、価格、流通量、それらのバランスが優れた、定番品として申し分ない1本だと思っています。
勿論、万人向けオフィシャルスタンダードとして突き抜けた仕様にはなっていないため、嫌なところが少ない反面、良いところも控えめで。。。だから面白みがないし、1杯の満足感としてはそこまでと感じる方も多いと思います。

ですが、軽やかな熟成感と爽やかなフルーティーさは、近年のスペイサイドモルトのキャラクターど真ん中であるだけでなく、若さも目立たない点は好感がもてる仕上がり。
ハイボールとの相性はバッチリであるだけでなく、同ブランドにおける上位グレードにも通じる、フルーティーさが備わっているのもポイントだと思います。
ちゃんとハイエンドへのステップ、エントリーグレードとしての役割も果たしているんですよね。

どこにでもあり、目立った仕様もないため平凡すぎて軽視されがちですが、改めて飲んでみると、なんだ結構良いじゃないかと、その非凡さを感じる銘柄の代表格。年間100万ケース以上販売しながら、このクオリティが維持されているのは凄いことです。

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一方で、2015年から販売されていた(日本市場では2016年頃から)、写真の1世代前のボトルと比べると、リニューアル後の今回のボトルは、麦由来の甘みがプレーン寄りになって、その分樽由来のフレーバーに硬さが目立つようになったと感じています。

これはさらに古い世代のボトルと現行品を比べると、一層華やかに、しかし麦芽風味はプレーンに、という変化が感じられると思います。
理由はわかりませんが、やはりあれだけ量産しているので、多少なり品質や樽使いに影響があっても仕方ないのかなと。それはが今回はた、またまハイボールに合う仕上がりだったというだけなのかも。
ですがそんなことを言ったら、同じく12年のシングルモルトで売り出している某静かな谷のように、リニューアルする毎に樽感が薄く若さが目立って、いったいどうしたのかという銘柄も散見されるなか。他社スペイサイドモルトがリニューアルする度に、グレンフィディックの安定感が際立つ結果になっているようにも感じます。

我々ウイスキー飲みって、常にフルコースの満足感を求めているわけでも、波乱万丈の展開をグラスの中に求め続けているわけでもないんですよね。食中酒や風呂上りにさっぱり飲みたいという時に、このハイボールはピッタリなのです。
ノーマルなブレンデッドで、例えば角やデュワーズのように、同様にオーキーなフレーバーを備えたものとも異なる、ハイボールでのバランス、味わいの深さと満足感。適材適所、デイリーウイスキーってこういうヤツだと思います。

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余談:グレンフィディック蒸溜所の蒸留器については、写真のように異なる形状のもの、加熱方式も間接だけでなく一部直火蒸留があるなど、複数のタイプが存在します。
これらで蒸留されたニューメイクは、同じタンクに混ぜて貯められるため、スチル毎で見れば原酒の造り分けが行われているものの、全体としては均一化されている蒸留所であるのだそうです。
なるほど、香味のブレの少なさはそこにあるのかと、安定感の裏付けに加え、時代時代で味が変わってきているのは、麦芽品種の違いだけでなく、この一団を構成するスチルの形状や蒸留方式が時代で一部変化し、樽詰めされるグレンフィディックの原酒を構成するピースが変わってきているからかもと、予想しています。

LIQULコラム 5月号はブルイッラディ&ポートシャーロット レビュー

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酒育の会発行のフリーペーパー「LIQUL(リカル) 5月号」が発行されました。
もう前置きは不要かと思いますが、自分は昨年から、Re-オフィシャルスタンダードテイスティングというタイトルで、新たに発売した銘柄やリニューアルして味が良くなった銘柄等、オフィシャルボトルにおける注目銘柄の紹介記事を寄稿させてもらっています。

同誌は酒販店やBAR等協賛店舗での配布と合わせ、今年2月からWEBマガジンとしても展開されており、類似の内容(WEBマガジンのほうが字数制限が緩いので、内容が濃い場合もある)が、隔日程度の頻度で1記事ずつ更新されています。
そして先日5月9日、5月号向けに寄稿した記事がWEBマガジンのほうに掲載されましたので、記事中では書かなかった話等と合わせて紹介していきます。


Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.5
ブルックラディ”アイラバーレイ&ポートシャーロット10年”
(LIQUL本誌の内容は、上のWEB版を800文字程度に要約したものとなります。)

今回のピックアップは、アイラに島あってアイラ由来の個性と異なる特徴を持つ蒸留所、ブルックラディ

同蒸留所の日本名称は「ブルイックラディ」だったのですが、親会社であるレミーコアントローのブランド再編により、2018年頃から「ブルックラディ」に名前が変わっていました。
蒸留所は1995年からの休止、2001年の再稼働、そしてその後のラインナップ整理を経て、再稼働後の原酒は
・クラシックラディ(ブルックラディ):旧世代のキャラクターを引き継ぐノンピートタイプ
・ポートシャーロット:ヘビーピーテッドモルト
・オクトモア:世界最強のピーテッドモルト
主に以上のブランドに整理され、リリースされています。

”ブルイックラディ”時代は、休止前に仕込まれたライトピートタイプの原酒が一部で使われているなど、若干ピーティーな銘柄があったように記憶していますが(例えば、2000年代にリリースされた17年など)、再稼働から時間が経ち、原酒の熟成が進んできたことで、各ブランドの住み分けが一層はっきりしてきました。
クラシックラディは90年代のクリアトール時代に通じるベクトルで、懐かしい味わい。オクトモアは相変わらずぶっ飛んでいる(というかぶっ壊れている)。そしてこの数年内、上述の3ブランドのうち最も完成度を向上させたのが、ポートシャーロットだと感じています。

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(現行品のクラシックラディからイメージ出来る、クリアトール時代のラディ。洗練された印象のない素朴な麦芽系で、それが逆に良さでもあるが、個性に乏しい。まさにブレンド向けの原酒という時代の1本。)

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(2020年時点、ポートシャーロットのオフィシャルスタンダード。度数が50%あり、飲み応えもある。アイラバーレイ仕様もリリースされているが、こちらはまだ熟成10年未満の原酒で構成されている。)

今回の記事を書くきっかけは、なんといってもこのポートシャーロット10年。
2018年にリニューアルして10年表記になってから、これまでの若さが先に来る香味構成に熟成感が伴うようになり、内陸系のスモーキーさとこだわりの麦芽風味、それぞれに繋がりが生まれてバランス良く楽しめるようになっていました。
実はリカルの執筆を始めるに辺り、紹介しようと決めていたうちの1本でもあります。

一方、記事化にあたって最も表現で悩んだのは、「ピートフレーバーの違い」でした。
ブルックラディは麦芽風味にこだわり、アイラ島やオークニー島で契約農家による栽培を行うなど、ワインで言う”テロワール”をウイスキーでも表現することをブランドモデルに掲げています。
その麦芽由来のフレーバーは確かにしっかりとしており、それはノンピート仕様のブルックラディ・アイラバーレイやベアバーレイを飲むことで理解出来ると思います。

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(クラシックラディとは異なり、しっかりとした麦芽風味の主張、麦由来のフルーティーさが楽しめる、バーレイシリーズ。ブルックラディ再稼働計画のなかで、オーガニックで地場生産のモルトはプランの1つに掲げられていた。なおこのリリースはノンピート仕様のはずが、微かにピート香がするような。。。?)

ブルックラディは再稼働後から「生産からボトリングまでを一貫してアイラ島で行う唯一の蒸留所」ということもPRしてきました。
しかし、この”生産”にはモルティングが含まれておらず、ピートもアイラ島のものではありません。スコットランドの内陸にある設備で仕込まれた麦芽が、現在のブルックラディでは使われているのです。
そのため、ポートシャーロットは、アイラ産のピートが持つヨード系のフレーバーをほとんど持たないキャラクターとなります。

冒頭、「アイラ島にあってアイラらしくない」と書いたのは、まさにこのピート由来のフレーバーの違いにあります。
その土地の風土や気候、環境の違いを意味する”テロワール”をブランドのモデルとしながら、ウイスキーのフレーバーにおいて重要な役割を担うピートがアイラ島産ではないというのは、ちょっと整理が難しい。
ご存じの通り、単にピートフレーバーやスモーキーさといっても、ピートの成分によって得られるフレーバーは大きく異なるのです。

ただし、味が悪いという話ではなく、あくまでPRにおける整理の問題です。
これを香味の点から好意的に解釈したのが、コラム中に書いた、ヨード香は麦芽由来の風味を邪魔してしまうこともあるため、ブルックラディの素朴かつ熟成によってフルーティーさを纏う酒質由来のフレーバーとスモーキーさを両立させるため、内陸のピートを使っているという考察です。


率直に言えば、これはブルイックラディの「妥協」だったのではないかと思います。
理想的には一貫して、麦の生産、仕込みもアイラ島で全て行いたいが、ウイスキー産業が今ほど勢いづいていない再稼働当時の状況では、資金調達の難しさに加え、アイラ島の農家で指定の麦芽をつくってもらうという試みも、理解が得られず首を縦に振ってもらえない。
”ウイスキー・ドリーム”にも書かれていた時代背景の通り、ピートと麦芽を確保し、アイラ島で精麦することまではたどり着けなかったのではないかと考えられます。

しかしブルイックラディはその後現地の農家との関係を構築。現代のウイスキーブームを後押しに、ついに2023年までに精麦設備をオープンさせ、オールアイラ島産のウイスキー作りに着手する「一貫生産計画」を発表するに至っています。

親会社であるレミー・コアントローから発表された、ブルイックラディ蒸留所に関する投資計画のプレスリリース(2019年5月17日)

これが現地のピートも使った仕込みに繋がるのか、あるいはアイラ島で作られた麦芽の使用比率が全体の42%と増えてきたので、単なる生産効率化のためなのか、現時点で詳しいところはわかりません。
某蒸留所のマネージャーから伺った話では、アイラ島のピートの採掘権(採掘場所)はかなりいっぱいいっぱいで、まとまった量での新規参入は難しいという話もあります。

個人的に、このオールアイラ島産のモルトに興味がないわけではありません。今回のコラム記事で、苦手なのでついスルーしてしまったオクトモアも、アイラピートで仕込んだらどうなるのかなど、リリースの幅がさらに広がることは間違いありません。
しかし、ブランド全体としては、既に他の蒸留所で作られているモルトと似てきてしまうのではないか。ブルックラディ(ピーテッド)は今のフレーバーの系統で良いのではないかと思ったりもします。

先に述べたように、売り方の整理はありますが、バーレイシリーズで作られる麦由来の風味のしっかりした原酒、特にベアバーレイなどは大きな可能性を感じるものですし、ピーテッドタイプの原酒が熟成を経た先の姿もまた楽しみです。
何より、他のアイラモルトと異なるのは、再稼働後に誕生したポートシャーロット等のピーテッド銘柄には、1960~70年代の黄金時代の縛りがないことです。
例えばボウモアのトロピカルなフルーティーさといった、昔を意識するものがない、求められるのは常に成長し続ける今の姿です。
今後どのようなリリースが行われていくのかはわかりませんが、アイラ島のなかで独自のブランドを作り上げていく、そんな存在であり続けてほしいなと個人的な希望を書いて、この補完記事の結びとします。

蒸留所外観

以下、LIQUL5月号繋がりで余談。
リカルでは毎号ピックアップ特集記事のテーマが決まっており、この5月号は「もっと洋酒を楽しむためのファーストステップ・ブランデー編」です。
そのフルーティーさ、奥深い独特の甘味、ウイスキー愛好家からも関心が寄せられているブランデージャンルの全体像を知るには、ぴったりな内容となっています。(1st Stepと言いつつ安易な入門記事ではない、蒸留方法から生産地域の特徴まで、幅広く網羅されている記事です。)

緊急事態宣言に伴う自粛生活で、夜の街に出歩けない日々が続いているとは思いますが、SNSでは7bookscoverなる取り組みが広まっていたりで、夜の時間で読書や勉強をされる方も少なくない模様。
まだまだ涼しさを感じる5月の夜。こちらの記事を、ブランデー片手に宅飲みのお供にいかがでしょうか。

シングルカスク 余市 10年 2007-2017 マイウイスキーづくり 60% &LIQUL連載記事紹介

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NIKKA WHISKY 
SINGLE CASK MALT 
Aged 10 years 
Distilled 2007.04.14 
Bottled 2017.10.18 
Cask type New American Oak #408021 
700ml 60% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@テイスティングサンプル
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:ウッディでハイトーンな刺激のあるパワフルなアロマ。熟したバナナやバニラ、キャラメルソースを思わせるチャーオーク。合わせてタールや葉巻を思わせる軽い酸味と焦げたような樽香を伴う。

味:口当たりはメローで甘酸っぱく、そしてパワフル。ドライオレンジやキャラメルソース。そこに燻した麦芽、やや焦げたようなウッディなフレーバーから、香り同様に葉巻を思わせる含み香がスパイシーなフィニッシュとともに長く続く。

フルーティーさよりも、樽由来のウッディさと、麦芽系の味わいが中心のカスク。新樽由来のエキスは濃厚で、ハイプルーフ由来の口当たりの強さを包み込むように感じられる。ただしそのウッディさのなかに、蒸留所のキルン見学で感じたような土や植物の焦げた香り、ピートに通じるニュアンスを含んでいる点がこのカスクの個性を構築している。

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先日、我が家に届いたマイウイスキーづくりの余市。同じようにマイウイスキーのボトルを所持している愛好家とボトル交換を実施したのですが、その際交換ボトルとは別にオマケでいただいたのが、#408021のテイスティングサンプルです。
飲んだ印象は、なんともらしい余市というもの。メローでビター、リッチな新樽感に、酒質由来の甘酸っぱさが混じるパワフルな味わい。甘味、酸味、苦味のバランスが良いですね。度数は60%とマイウイスキーボトルのなかでも特にハイプルーフ仕様故、強い刺激もありますが、新樽のエキスがオブラートのようにそれを包み込んでいます。

マイウイスキーの余市は、初期の頃は色々幅があったようですが、自分が参加した頃は新樽+10PPM以下の極ライトピート、あるいはノンピートで仕様が固定されていたと記憶しています(マイウイスキー上級編を除く)。一方、この2007年は多少ピートが強いのか、あるいは樽由来の要素がピートに類似する風味に繋がったのか、焦げた木材を思わせるビターな味わいの中に、タールや葉巻葉のようなニュアンスが混じる点が面白い仕上がりでした。

もっとフルーティーなものとか、スモーキーでソルティーなタイプを好まれる方のほうが多いと思いますが、自分はこの余市は結構好み。なんとも、通好みな余市だと思います。

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酒育の会 LIQUL
Re-オフィシャルスタンダードテイスティング(番外編)
特別なオフィシャルボトル - 2020.3.1公開

※LIQUL Twitter 開設してました(笑)

さて、ちょうど良いのでご紹介。
昨日公開された酒育の会ウェブマガジン「Liqul(リカル)」の連載記事は、番外編としてシングルモルト余市の紹介を踏まえつつ、特別なオフィシャルボトル「マイカスク」を味わうことの魅力について書いてみました。

オフィシャル余市は、2015年のリニューアル(というかニューリリース)の際、同価格帯だった余市10年に比べて明らかに若さが目立つ、旧NAS余市の実質的な値上げではないかなどかなり厳しい評価を受けたことは記憶に新しいと思います。
その後しばらく様子を見てみると、新樽熟成原酒に共通する樽感が、少し濃くなったようなロットが現れ、若さが多少控えめになったように感じられました。
(イベントで質問しても、ニッカ側はなにも変えていないというコメントでしたが・・・。気のせいかな?)

そのニッカらしい味わいを構成しているのが、これまでレビューしてきたマイウイスキーづくりボトルのような、新樽熟成の余市原酒です。オフィシャルスタンダードをテイスティングした流れで、新樽熟成のシングルカスクを飲むと、スタンダードにおける役割がわかりやすいと思います。あるいは蒸留所で販売されている、ウッディー&バニリックでも良いですね。こちら若さは強いものの、ニッカ味の残った良いリリースです。

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ただ、今回の記事の主目的は「オフィシャル余市美味しいor美味しくなった」ではなく、カスクオーナーとして自分にとって繋がりのある一樽を持ち、同じ時間を過ごした後に飲む1杯がもたらす”特別な瞬間”を紹介することにありました。
本来この企画はオフィシャル通常リリース、スタンダードクラスを中心に扱うものと位置付けているため、番外編としている理由はそこにあります。

記事では字数制限から省いてしまった内容があり、読み直して見ると目的がボケている。あるいは余市のレビューからラストの部分にかけて、自分が伝えたいことの繋がりの悪いように感じられ、手直ししたい気持ちがムクムクと沸いてきています。
どの記事にも大なり小なり反省点はあるのですが、これは改稿をお願いしようかな・・・。


記事中でも触れましたが、これまで年単位での熟成を前提としたオーナー制度は、国内ではニッカのマイウイスキーくらいしかなく、あとは直接蒸留所と交渉するか、スコットランドから買い付けるかくらいしかありませんでした。
それが、ここ数年で一部のクラフト蒸留所がカスク販売や共同オーナー制度はじめたことで、カスクオーナーになるハードルは大幅に下がりました。

自分が作った原酒が詰められるサービスというのはまだありませんが、長濱蒸留所のウイスキー塾や、三郎丸や安積のオーナー向け見学会など、特別なプログラムを通じてその蒸留所を深く知ることができる取り組みもあり。。。参加することで、蒸留所との繋がりが強く生まれ、まるで自分の分身がそこにあるように思えてくる。結果、ボトリング後の味わいを一層特別なものに高めてくれると思うのです。

ウイスキーを趣味とする我々愛好家にとって、そうして過ごす熟成期間もまた、充実したものになるのではないでしょうか。時を飲む贅沢があれば、時間をかける贅沢もある。
自分はクラフト蒸留所のいくつかで、共同オーナー制度を利用していますが、今からその特別なひとときが待ち遠しいですね。

LIQULコラム WEB掲載開始とアラン新商品のレビュー

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昨年から連載させてもらっている、酒育の会の広報誌「LIQUL(リカル)」。
元々は紙媒体&電子書籍として隔月配布・公開されていましたが、今年からWEBマガジンに媒体を移し、日替わりでライターの記事が投稿される形式になりました。

実は、媒体としては1月下旬頃から公開されていたのですが、すっかり見落としていたというこの不義理っぷり。
2月1日に公開された自分のコラムは、昨年入稿していたアラン特集。大幅リニューアルされた、アラン蒸留所のスタンダード銘柄の新旧比較と、新商品にフォーカスした内容となっています。

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酒育の会 ”Liqul”
Re-オフィシャルスタンダードテイスティングVol.4「アラン」
・アラン10年新旧比較テイスティング
・ニューリリース:バレルリザーブ 43% 
・ニューリリース:シェリーカスク 55.8%
コラムページ:https://liqul.com/entry/2526

2019年9月、アラン蒸留所は既存ラインナップの大幅リニューアルを発表。10年や18年等の熟成レンジは継続しますが、ご存じの通りラベルデザインが全く別物にシフトするという、大きな動きが起こっていました。
それらに対するレビューはコラムにまとめていますので、ここでは記事中に書かなかった雑感、執筆していて思ったことなどをメインに触れていきます。

■アラン10年新旧比較テイスティング
まずはオフィシャル・アランで最も飲まれているであろう、10年熟成の新ボトル。素直に旧より良くなったなと感じました。
よくよく考えると、アラン10年はこれで3世代目。リニューアルする毎に美味しくなってきたと感じます。生産が安定し、原酒が増え、蒸留所としての体力がついた結果・・・でしょうか。

旧ボトルは旧ボトルで価格を考えると良い出来でしたが、新ボトルはアメリカンオーク由来の少し粗いウッディさが軽減され、フルーティーさに繋がる良い部分はそのまま残っているような構成です。
色合いが若干濃くなったようなので、樽構成の比率で少しシェリー系統を増やしたのかもしれません。
比較テイスティングして悪くなってたらどう書こう・・・と一抹の不安を覚えていましたが、杞憂に終わって一安心。

ただ、上記コラム執筆時にテイスティングしたのはイギリス流通品で、日本向けではないもの。おそらく大差はないと思いますが、今流通が始まっているものを確認した上で、改めてレビューはまとめたいと考えています。

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■新商品3種について雑感
一方、新商品の位置付けとなるうちの
・バレルリザーブ 43%
・シェリーカスク 55.8%
これらも価格を考えたら全然良いですね。
バレルリザーブは昨年までリリースされていたロックランザの後継品と思われますが、10年同様に感じられたアメリカンオーク由来の粗さや、若さに通じる要素が少なくなり、加水も効いて品の良いフルーティーさだけ残ったような変化。構成原酒は7~8年熟成で多少単調ではあるものの、目立った若さはあまり感じませんでした。

全体が整えられている分、新10年よりもダイレクトにオーキーなニュアンスが感じられるのがポイント。同クラススペイサイドモルトの代替品としても、いい線いくんじゃないでしょうか。例えばグレンリベットとか、グラントとか・・・うかうかしていられないですよ。

また、シェリーカスクも同様に若い原酒で構成されていますが、ハイプルーフ故の粗さはあるのですが、シーズニングシェリー系の香味がしっかりあり。ライバルはアベラワーのアブナック、あるいは最近みなくなりましたが、グレンドロナックのカスクストレングスといったところ。
今価格を調べたら税込みで6000円前後ですか・・・近年の相場込みで考えたらかなり頑張っているボトルだと思います。
この手のボトルあるあるで、ロットを重ねる毎にシェリー感が薄くならないかが心配ですが、アランのコスパの良さを見せつけるようなリリースと言えそうです。

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一方で、テイスティングをしたものの、コラムに掲載しなかったのが、アラン・ボシーの後継品に当たると考えられる「アラン・クオーターカスク 56.2%」
位置付け的に新商品となるのですが、掲載しなかった理由は比較テイスティングで旧ボトルにあたるボシーのほうが美味しいと感じてしまったから・・・なんです。

ボシーも全てが美味しいわけではなく、2016年頃にリリースされたバッチ1は、樽感が荒く狙ったフルーティーさもそこまでおらず。
それが2018年頃から流通しているバッチ3はクオーターカスク由来のバニラやオークフレーバー、フルーティーさが、アランの麦芽風味にうまく馴染んでこれは良いリリースだと思える仕上がり。
逆にニューリリースのクオーターカスクは、ボシーのバッチ1に先祖がえりしてしまったような、そんな印象もあって、国内に入ってきたら追試が必要と保留したわけです。
もちろん好みの問題もあると思うのですが。。。

なおリニューアルしたなかで、18年や21年のアランは後発発表されたもの。コラムを書いた時点でモノがなく、これも是非テイスティングしたいボトルです。
旧ボトルとなる18年は、リニューアル前のロットを飲んでクオリティが上がっているとレビューを書いたばかりでしたし、逆に21年は物足りない印象でしたから、そこからどう変化しているのか楽しみですね。

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酒育の会「LIQUL」
”お酒を楽しむ人のカルチャーマガジン”

今回のコラムは、新ボトルが国内に出回り始めた頃の掲載(めちゃくちゃ見落としてしまっていましたが。。。)。書いておいてなんですが、自分も「そうそうこんな感じだった」と、思い返すことができるちょうど良いタイミングでした。

Webマガジンとしてのリカルの連載は、各ライター毎にストックされている記事が日替わり、あるいは隔日で公開されていくこととなります。
それにしても、こうして多くのライターが活動するグループのなかにいると、恐縮してしまう気持ちだけでなく、昔ウスケバでみんなが色々な記事を投稿していた、ポータルサイトの雰囲気を感じて懐かしくもなります。思えばあそこから始まったんだよなぁと・・・。
このリカルの新しい媒体から、どんな出会いや繋がり、あるいは機会が生まれていくのか。今後の展開が楽しみです。
ライターの皆様、そして読者の皆様、今後ともよろしくお願いします。

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