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シーバスリーガル 18年 ミズナラカスクフィニッシュ 43%

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CHIVAS REGAL 
AGED 18 YEARS 
MIZUNARA CASK FINISH 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
700ml 43% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかだがウッディさを強く感じるややドライな香り立ち。熟成したスペイサイドモルトを思わせる、林檎の蜜や洋梨などのオーキーなフルーティーさに加え、カステラの茶色い部分、クローブやニッキのような若干のスパイス香がアクセント。

味:スムーズな口当たり。含み香に若干の若いミズナラっぽいスパイシーさと干し草、オーキーな華やかさが感じられた後、キャラメルのようなクリーミーさと甘味がビターなウッディネスと共に舌の上に広がる。
余韻は渋味とオークの華やかさが主体。程よくドライで染み込むように長く続く。

フィニッシュの影響もあってか、ウッディでオーキーな仕上がり。ベース部分には従来のシーバスリーガル18年にもある、アメリカンオーク系統の黄色をイメージさせるフルーティーさ、素直なブレンド。そこに焦がした木材のエキスを思わせるような色濃い要素、若干のスパイス香が合わさっている。
12年よりもリッチで分かりやすい味わいで、ロック等の飲み方も悪くなさそう。ただしあくまでもシーバスリーガルである。恐らく愛好家の思い描くミズナラ感は少ない。

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先日、日本への贈り物として新たにリリースされたシーバスリーガルの日本市場限定品。昨年から仕様違いの免税向けはありましたが、いよいよ一般市場向けとして発売されました。
シーバス・ミズナラといえば、2013年に発売された12年熟成のものがあります
しかしこれは、ブレンドを作る際のマリッジカスクの一部をミズナラ樽で行ったもので、ミズナラっぽさが感じられるか・・・というと、正直自分の味覚嗅覚では困難なレベル。
ただ品の良いオークフレーバーはあり、通常の12年より1ランク高いクオリティがあるブレンドでした。

そして、今回リリースされた18年。これは12年同様、日本の有明産業からミズナラ樽が調達されてフィニッシュに用いられているものだそうです。
100%ミズナラカスクでのフィニッシュなのかどうかは、詳しい話を聞いていないためわかりませんが(名古屋フェスとかでセミナー出た方、教えてください)、100%であっても1st fillのみではないというか、ウッディさのなかにこなれた印象もあり。。。
いずれにせよ、ベースのウイスキーの熟成年数もあって、樽要素そのものの比率の高さを感じる強めのウッディネスが備わった仕上がりとなっています。

ミズナラ樽はエキスの出が早く、ウッディななかにスパイシーさを伴う、独特な樽香が付与される傾向があります。一方で、全てがサントリーの山崎や響にあるようなオリエンタルなフルーティーさに仕上がるわけではないのも特徴で、特に短期間の熟成だとフルーティーさがでないものが多い。結果蒸留所によってはバランスをとるためミズナラヘッド(鏡板のみミズナラ、側面はアメリカンオーク。フルーティーさは後者由来を狙う)で熟成させるところも増えてきています。

今回はベースのブレンデッドが通常の18年とはそう大きく変わらない、スペイサイドモルト主体のオーキーなフルーティーさをシェリー樽で繋いだようなタイプと推察。ここに短期間ながらフィニッシュ(マリッジ)を行うことで、樽感は強く、しかしベース由来のフルーティーさを潰さない構成に作られているように思います。
全体の構成としては、若干グレーン由来の軽さ、フレーバーのなかの間延びしたような部分もありますが、口当たりは上乗せした樽感を上手く活かしてクリーミーさもある。
ミズナラらしさというと何をもってかは議論の余地はあると思いますが、大手メーカーらしい万人向けの安定感とチャレンジを両立した1本だと思います。

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今日のオマケ:グレンマッスル 2ndリリース

GLEN MUSCLE 
Blended Whisky 
2nd Release 
「No,2 Shiagatteruyo!!」
2nd fill bourbon finish #0706
700ml 55.1%

昨年5月、自分を含むウイスキー仲間でリリースに関わらせてもらった、オリジナルブランド「グレンマッスル」。
その第2弾が、滋賀県・長濱蒸留所からリリースされることになりました!(発売は2月17日、販売価格 は11,000円+税を予定。)

ブレンドを進める中で出会ったのが、最近のトレンドのひとつと言える印象的なフルーティーさを持つモルトウイスキーでした。あ、ここのこのヴィンテージでこういうフルーティーさが出るんだと。
そこにクラフトシーンでは貴重な19年熟成のグレーン。ボディと力強さを補う10年熟成の若いモルト。これら3種を軸に、複数の原酒を用いて試作を重ね、蒸留所が所有するバーボン樽でフィニッシュ。。。
所謂シングルカスク・ブレンデッドと呼ぶにふさわしい、はっきりとした個性と一体感、日本的なウッディネスを伴う味わいに仕上がりました。

ブレンドの系統を一言で言えば、フルーティーなタイプです。トロピカルフルーツというよりは、パイナップル果汁のような甘味と酸、ケミカルなピーチフレーバーにも似たフルーティーさを備えているのが特徴。とある経緯から熟成年数はAge Unknownと表記していますが、大半は18年以上熟成した原酒で構成されているため、決して若いブレンドではありません。モルティーで、熟成感も相応に感じられると思います。

現在は樽出し&ボトリング直後であることから、中身が馴染みきっていないことも考慮し、少し落ち着かせてから詳しくレビューしたいと思います。
前作同様に、このリリースも楽しんでもらえたら嬉しいですね。

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※グレンマッスルとは
近年、”安価で良質な原酒の枯渇”という特にボトラーズ受難の状況の中で、美味しく手軽に楽しめる、ちょっと尖った魅力のあるウイスキーが減りつつあります。
そうしたウイスキーを作ることはできないか。主に国内蒸留所が保有する原酒から、国産・輸入原酒を問わず用いて、ウイスキー好きが”求める味”だけでなく、その際のエピソードを含めて楽しんでもらえるようなウイスキーを作る。
愛好家による愛好家のためのウイスキーが、グレンマッスルです。

具体的にはウイスキーメーカー協力のもと、メンバーがブレンドやリリースの監修・テイスターとなるものですが、説明を変えると、こういうリリースがほしいとメーカー側に踏み込んで交渉しているとも言えます。

なお本グレンマッスルシリーズは、主に愛好家グループ内で消費されることを前提としたプライベートリリースですが、メーカーを通じて一部一般向けの販売も行われます。
その製造・販売に当たっては、前作同様チームメンバーが監修料等の報酬、または売り上げを受け取ることはありません。
ボトルについてもリリースされた際は、各自必要本数をメーカーから購入しております。
ブームに乗じて一儲けしようなどの考えはなく、ウイスキーを楽しむことの延長線上にある活動ということを、ご理解頂ければと思います。

サントリー 山崎 ミズナラ 2013ボトリング 48% 

カテゴリ:

YAMAZAKI MIZUNARA
Japanese Oak Cask
Bottled in 2013
700ml 48%

グラス:グレンケアン、SK2
量:30ml以上
場所:自宅(いただきもの)
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:非常に華やか、乾いた木や草のトゲトゲしさとソフトクリームのような甘いアロマ。新築というよりリフォームした家の新しさと古さが混じったような香り立ち。徐々に干し柿、サルタナレーズンなどのドライフルーツを思わせる果実香が開いてくる。

味:スパイシーでウッディーな口当たり。木材のエッジの立った風味が舌をちくちくと刺激し、古い畳のような香りが鼻に抜ける。ほのかにドライアプリコットや干し柿を思わせる酸味と果実味、乾いた麦芽の噛み応え。
余韻はドライで果実味や甘みはすぐに無くなり、木材を思わせる乾いたウッディネスが長く残る。


最近リリースがほとんどなくなってしまった、サントリーのミズナラ樽熟成原酒。
今回テイスティングしたボトルは2013年ボトリングで、このシリーズのリリースは2014年を最後にリリースされていません。
ファーストリリースの2009年バージョンの記憶を紐解くと、ミズナラの木材感や酒質がライトになった印象こそあるものの、現行品では響17年や21年に感じる華やかな香味と、このミズナラ原酒の影響をリンクさせることが出来ると思います。

ジャパニーズウイスキーブームも手伝ってか、ミズナラ樽は独自のステイタスを確立した状況にあるといえます。
それこそ「ミズナラ」と名が付けば、ウイスキーの格が1役上がるようなブランドイメージ。
しかし最近のサントリーのミズナラ原酒は、サントリーがミズナラ樽を使い続ける中で独自に発展してきた、いわばサントリー味であって、全てのミズナラ樽がこうなるとは限りません。
サントリーのミズナラ原酒も、1990年代頃ボトリングの頃のものと現在のものとでは、木香の毒々しさというか、乾燥させた草のようなクセがライトになったように思います。 これがサントリーが言うところの白檀やお香の香りなんでしょう。

以下持論ですが、ミズナラ原酒は華やかさが強く、たまにとんでもなく素晴らしいボトルもあるのですが、おおよそボディのコクや奥行きが弱い傾向にあります。それ単体で飲むより、その点を底上げできる良質なシェリー樽原酒とのバッティングをしてこそ真価を発揮する、シングルカスクよりブレンド向きではないかなと。後は隠し味にピーティーな原酒も少量ほしいですね。
今回、ちょっと残ったミズナラ原酒にシェリー樽原酒を加えてみました。序盤に感じたドライで木材間が強くなっている部分が上手くカバーされ、これだよこれ、と感じるバランスの良い味わいに。 やはり相性バッチリです。

これをもって「ミズナラなんて単一樽で出すんじゃねーよ」とディスるつもりはありません。個性を楽しむのがモルトという点では十分役目を果たしています。一方で、完成度やバランスを求めるならば、響の17年以上は素晴らしいってことに帰結するわけです(笑)。

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