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ドラムラッド ラフコースト batch#1 エイジオブイノセンス 54.5%

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DRAMLAD 
The Age of Innocence 
Rouch Coast 
Islay Malt Whisky 
Cask type Red wine cask finish 
Bottled 2021 
Batch #1 
700ml 54.5% 

評価:★★★★★★(6)

香り:ピーティーでBBQのような強いスモーキーさと甘さの混じる香り立ち。やや根菜的なニュアンスと土っぽさ。甘酸っぱい果肉やソースを思わせるアロマもある。

味:口当たりはピーティーで粘性のある質感と、燻してほろ苦い麦芽風味。ピリッとした刺激もありつつ、甘酸っぱく赤みがかったニュアンスがアクセントに。余韻はスモーキーでドライ、舌の上にヨードを伴う粘性とウッディネス、ピートの土っぽさが残る。

主体は燻した麦芽とピートのリッチな味わい。赤ワイン樽後熟による甘酸っぱさ、べたつかない程度に粘度のある質感が、若さをカバーして程よいアクセントになっている。蒸留所は奥にある根菜っぽさやピートフレーバーの系統からラ〇ヴーリンと予想。
ハイボールにするとソルティーなフレーバーが引き立ち、ソーダの気泡と共にパチパチとピートスモークが燻製黒胡椒のように口の中を刺激していく。確かにこれはハイボールに合う1本。


ドラムラッドのセカンドリリース。Twitterのほうでは簡易レビューをUPしていましたが、記事にしていなかったのでこちらにも。
同社の3種のブランドラインナップの中では、エントリーグレードに位置付けられているエイジオブイノセンスの最初の1本。このグレードでは、若くても個性がわかりやすいものや、フィニッシュ等の面白さ、ウイスキーの魅力を気軽に楽しめるウイスキーをコンセプとしたシリーズです。

今回発売されたラフコーストは、今後シリーズ化していくという、アイラシングルモルトの1本。
テイスティングしてみると、仕上がりは悪くなく、そして確かに面白い。カスクフィニッシュの効き具合がちょうど良い塩梅で、全体のバランスに寄与しているだけでなく、蒸溜所のハウススタイルと思しき個性も感じられるのがポイントだと感じます。
若いモルトでもピーティーなものは、ピートにカバーされてある程度飲める仕上がりになります。しかしワインカスクはチャレンジ要素です。過去別ボトラーズから同じようなスペックのリリースは珍しくないものの、個人的にあんまりヒットしたことが無かった組み合わせだったので、今回も多少警戒していたわけです。

特にハイボールに合うというのは目から鱗でしたね。これが今回のリリースで一番面白いと感じたところと言えます。
ヤングアイラがハイボールに合うのは、別に今さら感のある話ですが、ワインカスクでハイボールというのは意外。公式コメントでは「真夏の深夜にゆっくり愉しむハイボール」とありましたが、実際に飲んでみると、ゆっくりどころかゴクゴクと秒で溶けるハイボールです(笑)。

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(シリーズタイトルとなっているRouch Coast(ラフコースト)は、”荒れる海岸”を意味する。写真は個人的にこのボトルの中身だと考えている蒸留所を、少し離れた先にある岬から撮影したもの。海は荒れてないけど…イメージして補完してください。)

ドラムラッドのリリースは、これまでのインポーターにはあまり見られなかった、選び手とリリースイメージを明確にしていることが、ブランド価値の一つとなっています。
選定者が信頼できるプロというのが、ここで生きてくるのか。あるいはこの人が大丈夫だと言って選んだんだから飲んでみようと思えるのか。確かに今回のリリースは、ドラムラッドじゃなかったら自分は飲まなかったでしょうし、公式解説あった通り面白い仕上がりでした。

そのドラムラッドさん、次のリリースは同じエイジオブイノセンスからリンクウッド2010-2021が9月15日に発売だそうです。
中身はホグスヘッド樽での熟成により、若いモルトながら甘く華やかに仕上がっていると聞いています。確かに、リンクウッドの酒質にホグスヘッドなら、少々ドライな感じでもオーキーなフレーバーに後押しされて、万人に愛されるスペイサイド地域らしさのあるリリースとなりそうですね。
コロナ禍故に中々飲みに行くことは出来ませんが、次回作も楽しみにしています。
参照:https://www.bar-times.com/contents/93040/

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ジュラ 20年 ブティックウイスキー Batch.3 48.8% For 信濃屋

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JURA 
MASTER of MALT 
THAT BOUTIQUE-Y WHISKY 
Aged 20 years 
Distilled 1998 
Batch 3 
Cask type Hogshead #2150 
Exclusively for SHINANOYA 
500ml 48.8%

評価:★★★★★★(6)

香り:発酵したような乳酸系の香りがトップノートにあり、合わせて乾草を思わせるドライなウッディさと、土埃のようなほろ苦さ。スワリングすると発酵臭の奥から麦芽由来の甘み、白色系果実のフルーティーさ、微かに溶剤的な刺激も伴い、垢抜けないが複層的なアロマが感じられる。

味:香りに反して素直な麦芽風味主体のフレーバー構成で、何よりボディがしっかりとして厚みがある。微かにオーキーで、青りんご系の品の良いフルーティーさのアクセント。徐々に香りで感じた乳酸系の要素が鼻腔に抜け、余韻はほろ苦く、乾いた麦芽とウッディなフレーバーが長く残る。

ジュラらしさと言う点では、野暮ったく、垢抜けない点であろうか。決して洗練されていないが、そうしたフレーバーが合わさって嫌味ではない複雑さが魅力としてある。まさに地酒として求めているものの一つと言えるかもしれない。特徴的な香味としては、信濃屋公式のテイスティングコメントには「メスカル」とあるが、要素の一つに見られる乳酸、発酵したようなニュアンスがそれだろう。熟成したテキーラにも似たフレーバーだが、メインは麦芽風味、厚みのあるボディ、そしてホグスヘッドで熟成されたウイスキーの華やかさとフルーティーさが、ウイスキーであることを主張する。
テキーラ好きが飲んだらどのような反応をするだろうか。
 
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とあるイケメンからサンプルを頂いたので、レビューを書いてみました。この状況下ではBAR飲みも出来ないので、ありがたい限りですね。
ジュラ蒸留所については、1963年に操業を開始(再開)して以降は、ノンピートないしライトリーピーテッド仕様のモルトが仕込まれていましたが、2002年からピーティーなモルトがリリースされるようになり、2009年にはヘビーピーテッドもオフィシャルからリリースされています。

ボトラーズリリースを見てみると、1989年リリースのシグナトリー社のヘビーピーテッドがあり、少なくとも80年代からそうした原酒を仕込んでいたようです。
今回のリリースは、実質的にはほぼノンピートと言われる仕込みだと思われますが、フレーバーの中にピートに似た雑味のようなフレーバーが混ざっています。とある国内蒸留所でも見られる特徴なのですが、ノンピートとピートの仕込みを併用した際に、例えばスチルの洗浄をしっかり行わないまま仕込みを切り替えると、設備に染み込んだ成分がフレーバーとして移ることがあります。

それは明確にピートフレーバーと言う感じではないのですが、まさに今回のリリースに見られる個性のように、ちょっとビターで、土っぽくて…これはこれで悪くないアクセントに繋がったりするのです。スコットランドではクライヌリッシュ的製法というヤツですね(笑)。

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さて、ジュラ蒸留所の個性、あるいはその個性から見て今回のリリースはどうなのかと、問われると中々難しいです。
そもそも、アイラを除くアイランズモルト、アラン、ジュラ、スキャパ、タリスカー、トバモリー、ハイランドパークと言った蒸留所は、スコットランドの他の地域に比べてフレーバーの統一感がほとんどありません。それはひとえに”島”といっても、資本はバラバラで、東西南北(東にはないですがw)様々な場所にあることも考えられそうですが、もう一つそれを際立たせているのが、ジュラやトバモリー蒸留所のような、洗練されてない酒質にあると言えます。

例えば一般的な内陸モルトウイスキーの構成は、麦芽風味にオークフレーバーというシンプルな仕上がりのものが多いです。ジュラはここに発酵したような要素、酸味、土っぽさ、あるいは硫黄や鉄分のような、少しよどんだ要素が混じるなど、軽やかで綺麗な仕上がりとはならないのです。
麦芽の調達はポートエレンだし、発酵槽や糖化槽はステンレスなので、鋳鉄製のような影響はなさそう。昔のジュラはもっと素直な構成だったのですが、90年代くらいから変化しているような…やはり仕込む原酒の種類が増えた関係でしょうか。

こうして要素の多いウイスキーは、言い換えれば繊細と言えるかもしれませんし、安定もしにくい傾向があります。今回のリリースは好ましいフレーバーが主体で、垢抜けなさは全体のアクセントに。水清ければ魚棲まず。どちらの存在もバランス次第でウイスキーのフレーバーの厚みになるのです。一口目は「あれ?」と思うかもしれませんが、なんだか飲めてしまい、もう1杯飲んでも良いかなと手が伸びる。
最近ジュラ蒸留所の20年熟成クラスのボトラーズリリースが多いので、月並みですが比較テイスティングするのも面白いかと思います。

シークレットスペイサイド ブレンデッドモルト 19年 ドラムラッド 1stリリース 44%

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SPEYSIDE BLENDED MALT 
DRAMLAD JAPAN 
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years 
Distilled 2001 
Bottled 2021  
Cask type Sherry #48 
700ml 44.0% 

評価:★★★★★★(6-7)

香り:ドライプルーンやナッツ、ブラウンシュガーを思わせるシェリー系のウッディネスに、紅茶、アプリコット、熟した洋梨等の華やかなオーク香が、枯れたようなドライな刺激と共に感じられる。シェリー感は濃すぎずクリア寄りで、夏場であっても嫌味にならない。

味:口当たりはスムーズで度数相応だが、骨格は崩れておらず、余韻にかけて軽くヒリつくような刺激が残る。この点は酒質由来の要素だろう。口内で広がるシェリー樽由来のダークフルーツ系の香味はバランス良く、香り同様の印象。じわじわとドライなオーク、カカオチョコレートを思わせるビターなウッディネスが染み込むように長く残る。

バランスの良いシェリー系ブレンデッドモルト。おそらくニューメイクからブレンドしているタイプと思われるが、印象としてはマッカラン、グレンロセス、タムデュー、リベットあたり。原酒同士はしっかりと融合し、濃厚過ぎないシェリー感に、オーキーなフルーティーさ、華やかさがアクセントとなって、近年流行りの圧殺シーズニングシェリー系とは一線を画す、一昔前のボトラーズリリースを連想させるフレーバー構成。
開封直後、真夏というシェリー樽熟成ウイスキーに厳しい時期でのテイスティングでありながら、これだけ飲める点が素晴らしい。これから秋、冬にかけてじっくり楽しんでいけるグッドリリース。

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先日紹介させて頂いた、ドラムラッド社のファーストリリース。同社の伊志嶺代表、及びテイスターが自信をもってチョイスしたというボトルです。販売開始即完売したリリースですが、運良く入手することができ、この1週間、じっくりとテイスティングさせて頂きました。

ボトラーズブランド・ドラムラッドについては当ブログでも紹介しておりますので、前置きは不要でしょう。同ブランドのアピールポイントの一つは、テイスターの顔が見えること。実績のあるテイスターが総意でチョイスする、美味しさ、面白さ、個性。。。これら明確な狙いのあるリリースにあります。
ただ、本音を書かせてもらえれば、1st リリースの情報を見た際、楽しみだというポジティブな想いだけでなく、おや?と思うところが無いわけではありませんでした。

それはドラムラッド社がラベル上でも掲げるビジョン「PRIDE MAKES DELIGHT」や、コアレンジのコンセプト「蒸溜所のハウススタイルを体現する樽や、今のウイスキーの旨さと豊かな個性を持った樽」を掲げるリリースの第一弾が、素性を明記できないシークレットシリーズかつ、ブレンデッドモルトであったことにあります。
また、スペックから「所謂シーズニング圧殺タイプかな」という予想もあって、個性がわかりにくいのではないか、果たしてコンセプトに合致するものなんだろうか…と、懸念する部分があったのです。




しかし、そうした印象はテイスティングしてみて消えました。
ブレンデッドモルトといっても、これはニューメイクの段階でバッティングされたものでしょう。もはや「スペイサイド地域産」という、一つの原酒と言っても過言でないレベルで融合し、同地域のモルトが熟成することで感じられる、軽やかでフルーティーな個性がしっかりと感じられます。一方で蒸溜所の個性としては、癖の少ないクリア寄りの酒質の中に、度数落ちでありながら骨格を残すアタック、刺激から有名蒸留所のいくつかを連想する酒質が感じられます。

シェリー感には現行寄りのシーズニング的な要素はありつつも、圧殺的なしつこさではなく、熟成によって付与されたオークフレーバーや、酒質由来のフルーティーさが混ざり合う点が好ましい。また、度数落ちのモルトに見られる、やや枯れたニュアンスと、それによって強調されるドライな華やかさがシェリー系の甘みの中でアクセントとなっています。
往年の愛好家にとっては、懐かしさも感じるウイスキーですね。個人的には、BBR社がリリースしていたブレンデッドモルトウイスキー、ブルーハンガー25年の1stや2ndリリースを彷彿とさせるキャラクターだと感じました。

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(BBR ブルーハンガー25年。初期のころのものは、やや枯れたようなシェリー感、オークフレーバーに、熟成を経たモルトのしっかりとしたフルーティーさが特徴的だった。今回のドラムラッドリリースは、近年寄りのシェリー感ではあるが、その中にこうしたリリースを彷彿とさせる要素が備わっている。)

スペイサイドという地域らしさに加え、現行品のウイスキーの中でも十分な美味しさ、魅力的な個性を秘めたカスクのチョイスは、シークレットというベールの中にそれを見出し、固定概念にとらわれず後押しする。テイスターチームがあってこそのリリースであるとも感じます。
というか、現行品でこれ以上のシェリー系のウイスキーを、この価格で調達するのは難しいのではないでしょうか。前情報で予想したことから一転して、なるほど、これこそドラムラッドの1stリリースに相応しいんじゃないかと思えました。

ブログ公開に先立ち、伊志嶺さんにメッセージを送ったところ、こうしたカスクは今後も調達できる見込みがあるとのこと。ドラムラッドのシークレットスペイサイドは今後も期待できそうです!

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THE AGE of INNOCENCE
ROUGH COAST 
Islay Single Malt
Batch1 Red Wine Cask 

さて、今回のリリースは同社の理念を体現したコアレンジである「THE ONE DRAM SELECTION」であったわけですが、8月19日には若い原酒だからこその個性、あるいはカスクフィニッシュ等によるこれまでにない新鮮さ、驚きのある味わいを楽しむグレード「THE AGE of INNOCENCE」の発売も予定されています。
ネーミングは「Rough Coast (荒れる海岸)」。これは今回のみのリリースではなく、今後もBatchを重ねる形で、リリースを継続していくシリーズになるのだとか。

近年のスコッチウイスキー業界では、オフィシャル側との関係で蒸溜所名を明記してのリリースが難しくなってきています。
アイラシングルモルトという表記はシークレットXXXXと同様に、いかにも現代のウイスキーという感じですが、中身はスモーキーさのはっきりした原酒で、ハイボールにもマッチするとのこと。カスクフィニッシュのリリースは当たり外れが大きい印象があり、普通なら抵抗を感じてしまいますが、このメンバーが選んだなら…と、早くも後押しされている自分が居ます。

PBリリースが増えてきた昨今の市場において、その中でもしっかりとしたメッセージ、選定者の顔が見えるというのは、一つ重要なファクターなんですね。


最後に。。。全く関係ないのですが、自分が使っているスマートウォッチのデザイン(配色)が、THE ONE DRAM SELECTIONラベルに似ているなと。ドラムラッドブランドにますます思い入れを持ってしまいそうです(笑)。
そんなわけで、今後のリリースも楽しみにしております!!

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ドラムラッド合同会社 ボトラーズ事業を開始

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6月上旬、日本において新しいボトラーズメーカー(ブランド)、DRAMLADが産声を上げました。近日8月5日には1st リリースも予定されています。
ブランドを立ち上げたのは、ウイスキー愛好家にしてスピリッツバイヤーとなる伊志嶺 尚 氏。同氏に関しては、10年程前からウイスキーを飲まれている方は、ウスケバで執筆されていたブログを見たことがある方もいらっしゃるでしょうし、ここ最近ではイベントのメーカーブースで直接会っている方も少なくないと思います。

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DRAMLAD 
ドラムラッド 合同会社

URL: DRAMLAD & Co.
※Facebook:https://www.facebook.com/DramLad.Whisky
※Instagram:https://www.instagram.com/dramlad.whisky

ボトラーズメーカーとは何か。
ざっくり言えば、自社や傘下の蒸留所で製造した原酒をリリースするのがオフィシャル。
そうした製造元から原酒を買い付け、独自のブランドとしてリリースしているメーカーがボトラーズと整理できます。

スコッチウイスキーはオフィシャルリリースに対して、ブレンドメーカーやボトラーズメーカーがブランドを相互補完しながら、それぞれの国で市場が造られてきました。
それはイギリスのみならず、ヨーロッパについても同様で、フランス、イタリア、ドイツなど各国にボトラーズメーカーがあり、多様なリリースを生み出すに至っています。
(例:フランス→ミシェル・クーブレ。イタリア→サマローリ。ドイツ→ウイスキーエージェンシー)

では日本はどうか。シングルモルトという区分で言えば、一部のインポーターや酒販店が原酒を調達してオリジナルリリースを行っており、広義の意味ではボトラーズメーカーと言えるのかもしれませんが、独自のブランドを展開しているメーカーはごく一部です。
ポイントとなるのは、この「独自のブランド」です。独自のブランドを立ち上げるには、現地とのコネクションで良質な原酒を買い付けることだけでなく、何をもって独自のリリースとするのか、ブランド付加価値の創出が課題になってきます。

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今回記事を書くにあたり、伊志嶺さんとドラムラッドの今後のプランについて、オンラインでやり取りをさせてもらいました。
かつて自分もウスケバでブログを書いていましたし、伊志嶺さんとは繋がりが無かったわけではありませんでしたが、コロナ禍にあって直接会う機会がなく、久しぶりの情報交換となります。

伊志嶺さんは、過去のウイスキーメーカー勤務等で培った経験からスコットランド現地とのコネクションを持ち、その繋がりを活かしてより良いウイスキーをダイレクトに市場に届けるべく、「能動的な(攻めの)原酒調達を行っていきたい」と。また、信頼できるテイスターによる評価で、選定者の顔が見えることや、完成度だけでなく原酒の個性にもフォーカスすることが、ドラムラッドの付加価値であると、意気込みを語られていました。
本記事では、こうして聞いた内容を対談形式で一部紹介していきます。


■攻めの原酒調達とは?
(前略)
伊志嶺「世界的なウイスキーブームの中で、良質な原酒は待っていても手に入りません。インポーターに頼んで受け身で原酒を待つスタイルでは、選んでいる間に樽が他社の手に渡る等、ますます良質なリリースが減っていくことになります。」

くりりん「つまり、こういう原酒が欲しいという明確な働きかけ。意思決定のスピードや現地との調整が重要であると?」

「コロナ禍にあって難しい部分もありますが、現地での原酒買い付けは勿論、市場がどのようなウイスキーを求めているのか見極めていくことが重要です。ドラムラッドは私自身が立ち上げた会社であり、これまでの経験から現地との調整、折衝、販売までの手続きを全て自分で行うことが出来ます。これはチャンスだという原酒があったら、そこで躊躇なく抑えに行くことができるわけです。」

「スコットランドと日本では、ビジネスシーンで時間の流れ方が違いますよね(笑)。よく言えばおおらかと言いますか。。。一方で原酒の見極めについてはどうでしょうか。」

「私自身何千種類とウイスキーを経験して、販売にも関わっていたことから自分の中に基準を作ることが出来ています。ですがドラムラッドがビジョンに掲げる「伝統を重んじ、新しいものを提案、創造する」を満たすには十分ではありません。高いテイスティング能力を持つプロフェッショナルや、ユーザーに近い場所でウイスキーを提供する酒販・バーマンらで構成するテイスティングチームの、多角的な視点を用いることがドラムラッドの付加価値の一つとなります。」

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■ウイスキーに精通したプロが選ぶ、ドラムラッドのウイスキー
「自身でPBを出されたり、あるいはテイスターとしての経験も持つ実力派(かつ個性派なw)メンバーですね。個人ではどうしても好みに寄りがちですから、有識者による視点は重要だと思います。また、こうして選定者の顔が見えるというのも魅力的です。」
※メンバーの詳細については、こちらを参照。

「仰る通りです。調達したカスクサンプルは多岐にわたります。そこで、テイスティングチームの出番となるわけです。官能評価は勿論、市場の傾向、発売時期、価格帯、さらには地域別の嗜好の違いに至るまで、ディスカッションを行ってリリースを選定します。単に市場の傾向をなぞるだけではなく、新しいトレンドも生み出していきたいですね。」

「一昔前のように100点満点で80点以上のウイスキーを安定してリリースできる状態ではなくなったのが現代のボトラーズ市場だと思います。特に価格の高騰は顕著であり、いくらコネクションがあっても、テイスターがいても、価格を下げるマジックはないと思います。こうした状況下で、どのようなリリースを行っていくつもりなのでしょうか。」

「いきなり踏み込みましたね(笑)。確かに総合的に優れた長期熟成のウイスキーを低価格でリリースすることは難しくなりました。しかしウイスキーブームから市場が育ち、各メーカーがシングルモルトでのリリースを意識したことで、若くても面白い個性を持った原酒、一定の完成度を持った原酒は増えてきていると感じています。これが今のウイスキーなんです。ドラムラッドでは味わいや個性、ヴィンテージや熟成年数、カスクタイプ、そして価格帯など、全てのスペックを考慮し、ブランドを3つのレンジに分けてリリースしていきます。」

「なるほど、ここでドラムラッドの理念に繋がるわけですか。ブランドが整理され、リリースの方向性が統一されていることは、ユーザーから見てもわかりやすいと思います。」(中略)

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ドラムラッドがリリースするブランドラインナップ
・エイジオブイノセンス:価格帯(低~中)
 若いウイスキーが持つ楽しさを味わう。熟成を経ていないからこそ楽しめる純粋さ、新鮮さ、驚きを基準とする。
・ワンドラムセレクション:価格帯(中~高)
 ドラムラッドにおけるメインブランド。テイスティングメンバーがプライドを持って選ぶカスク。蒸溜所のハウススタイル、地域の特性等を体現したカスクであり、テイスティングする喜びを感じることが出来るもの。
・アフェリオン:価格帯(高)
 ドラムラッドがリリース出来るカスクの最高峰。長い熟成を経て円熟と言われる領域へと至った至高のカスク。

※ここまではっきりとリリースが整理されているのは、GMやシグナトリー等、スコットランドの古参ボトラーズでは一般的だが、日本のこれまでのボトラーズ、プライベーターにはあまり見られなかった取り組みである。なお別途OEMとしてPBの外注も受け付けている。


■ファーストリリースと今後の方向性
「後日予定されるファーストリリースについて教えてください。今回どんなコンセプトでカスクを調達し、チョイスしたのでしょうか。」

「ファーストリリースということで、あまり尖ったチョイスにはしていません。季節やシーンを問わず、誰でも楽しめる、親しめるようなリリースだと思います。スコットランドでは伝統的にシェリー樽熟成の原酒が特別なものと位置付けられることが多く、様々なアニバーサリーシーンを彩ってきました。そうした古典的な味わいと、熟成した原酒の織り成すフルーティーさ。切り良く20年熟成と行きたいところでしたが、この原酒が来年まで残っているとは思えません。中身重視で選ばせてもらいました。」

「シークレット系やブレンデッドモルトのリリースは最近増えていますが、これは”今のウイスキー”という視点が見えますね。ティースプーンということでしょうか。」

「いえ、スペイサイドの複数の蒸溜所の原酒をバッティングし、1つのシェリー樽で熟成せたブレンデッドモルトです。スペイサイド地域らしい華やかさがあり、熟成感のある味わいはまさにテイスティングの喜びを感じることが出来る、バランスの取れた1本だと思います。メンバーの評価も高く、それを裏付けています。」

1st Release

DRAMLAD ”1st Release”
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years old 
Distilled 2001 
Bottled 2021 
Cask type Sherry
700ml 44.0%
発売:8月5日(木)18:00 ~
販売サイト:https://www.dramlad.co.jp/?pid=160964809

「ブレンデッドモルトは安定して美味しいモノが多いですし、色合いからも期待値が上がりますね。1年1000円、現在の市場から見て価格に納得感があるのも消費者側の視点で嬉しいです。まさに伝統を重んじつつ、新しいものを発信するというリリースですが、今後については他にどのような予定がありますか?」

「今回リリースしたボトルを選んだ時点で、既に複数のサンプルを選定しており、今後はTHE ONE DRAM SELECTIONだけでなく、THE AGE OF INNOCENCEも年内いくつかリリースしていく予定です。前者についてはドラムラッドのブランドを確立しつつ、後者のほうでは、市場に新しい風を吹き込めるような、新鮮かつ意欲的なリリースにもトライしていきます。」

「ジャパニーズのリリース、クラフトとのタイアップは如何でしょうか。自分はグレンマッスルという取り組みに関わってますが、大手以外にクラフトも可能性を秘めたジャンルだと思っています。」

「我々は原酒を調達してからが始まりですから、クラフトメーカーはまだ早いかもしれません。しかし保有する原酒に光るものがあれば、それこそ我々のリリースの方向性に見合うものです。国内からの調達も進めていきたいですね。」(後略)

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■ドラムラッドのリリースに期待したいこと
という感じでやりとりをさせて頂きました。この他にも色々情報交換をさせていただきましたが、これまで培ったノウハウを活かしてやっていくぞ!という気概と意気込みを感じる、此方も前向きになるような時間でした。

かつて今ほどウイスキー市場が大きくなかった頃、PBはごく一部の、特別な組織や著名人でないと実施できない高いハードルがありました。
一方現在は、多くの酒販、BARでボトラーズ経由のPBが当たり前となり、PBが市場に溢れた結果、ただオリジナルリリースを出すだけでは注目されない時代になっています。

ラベル、人、ウイスキー以外の部分に付加価値を見出す方法も見られる中、T&TやWhisky hoopなど、王道の戦略を取り続けるプライベーターも少なからず居ます。
その中でドラムラッドの取り組みは、王道にしてある種の原点回帰とも言えるブランド戦略です。これは今後もリリースを続けていくんだ、これでやっていくんだという覚悟がなければとれない戦略でもあります。

何が正しいという話ではありませんが、日本にこうしたボトラーズメーカーが誕生したことが、非常に嬉しく思います。
これから先のウイスキー市場でも、原点回帰にして王道の戦略で、きらりと光る個性や、完成度のあるウイスキーのリリースが3種のブランドから続いていくことを願って、本記事の結びとします。
伊志嶺さん、ドラムラッドの立ち上げ、そしてファーストリリースおめでとうございます!

Dramrad

※補足:DRAMLADの意味とロゴについて
DRAMLADとは、1杯のウイスキー(A Dram of Whisky)の「Dram」と、スコットランドで男性が「古い親友、気の置けない親友」に対して使う「LAD」を組み合わせたもので、「ウイスキーを楽しむ人」を表している。また、そこから派生して「ウイスキーを共に楽しむ仲間」という意味も込められている。
ロゴは、日本の水引「梅結び」とウイスキーの聖地スコットランドのケルティック文様の融合です。「梅結び」は、その結び目から「絆」や「固く結ばれた」という意味を持ち、また、梅の花が春に先駆けて咲くことから「運気向上」の意味も持っており、縁起の良い結び目として古くから親しまれてきた。そして、ケルティック文様との融合は、DRAMLADがウイスキーのプライベートブランド・カンパニーであることを表現している。

【続報】T&T TOYAMAボトラーズ事業 クラウドファンディング

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5月13日から募集を開始した、T&T TOYAMAのジャパニーズウイスキーボトラーズ事業のクラウドファンディング。目標額の1000万円を30分で達成し、その後支援額は順調に伸び3000万円を突破。支援者の一人として、どこまで伸びるのか楽しみにもなってきました。

一方、企画者である下野さん曰く、「短期間でここまで支援が集まることは想定外」で、既に支援プランの大半が売り切れ状態に。。。そこで新しいリターンの追加共に、3500万円のネクストゴールとして設定されたのが、建設予定のウェアハウスに試飲用のスペースを造るというもの。ウェアハウス内で樽出しの原酒をテイスティングする…いや、ウイスキー好きが憧れる浪漫です。是非達成してほしいですね!
※本記事を書いた時点で、達成まで残り160万円。ネクストゴール達成を踏むのは何方でしょうか。



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※追加されたプラン(5月15日)
・クラウドファンディング支援者100人突破記念ウイスキー700ml × 2本セット

※追加されたプラン(5月20日)
・三郎丸蒸留所 樽熟成ウメスキープロトタイプ+ウメスキーセット
・T&T TOYAMAプレミアムメンバー入会&シークレットオンラインセミナー
・モルトヤマが富山で一日おもて『なしざんまい』


企画の詳細については以前記事にもしていますので、詳しい説明は割愛しますが、近年急増する日本のウイスキー蒸留所にあって、小規模なクラフトメーカーが直面する課題である、リリースや原酒の多様性、熟成、製品化に関する課題を解決する一助となるプロジェクトが、T&T TOYAMAのジャパニーズウイスキー・ボトラーズ事業です。

この事業の実施には、熟成場所となる広い土地と建物の初期費用のみならず、樽調達、原酒調達にかかるコスト、何よりボトリングや販売に関して必要となる資格の問題と言った、様々な”壁”があり、現在まで実現されてきませんでした。

そのコストについては、クラウドファンディングのネクストゴールの設定にあたり、
・土地、建物、設備:2億円(約2800㎡、建坪260)
・原酒購入、樽購入等年間費用:2000万円
という初期投資コストの情報が、ウェアハウスの設計と合わせて公開されています。
正直、自分と同い年の人間が億単位の金額を使うプロジェクトを立ち上げているなんて、周囲にはありません。素直に尊敬しますし、プロジェクトの意義としてもさることながら、人生をかけたであろう取り組みに、ウイスキー関係なくいち友人として可能な限り応援したいとも思うわけです。

ボトラーズの役割
※ボトラーズ事業を通じてボトラーズメーカーが担う、ウイスキーリリースまでの領域と課題(点線部分)

とはいえ、流石に今回のネクストゴールは、プロジェクト公開初日と同じ勢いで支援が入ることはないだろう、土日で応援記事を書こうじゃないか。。。と、準備していたらですね。ネクストゴールと共に追加された3プランのうち、「T&T TOYAMA シークレットオンラインセミナー」の支援枠が、即日完売してしまったわけです(汗)。改めて期待値の高さを感じた瞬間でもあります。

しかし、記念ウイスキー2本セットは前回の記事で紹介しているので、残るは三郎丸ウメスキープランと、モルトヤマ渾身のネタ枠。残りは300万円弱でネクストゴールも達成秒読みで…これって記事書く必要あるのか?。
いや、きっと自分だからこそ発信できるネタがあるはずだ。ウメスキー樽熟原酒は、以前蒸留所訪問した際に熟成途中のものを試飲済みだし。前回も即日達成してこんな流れだった気がするけど、気にしない気にしない。
そんなわけで、この記事では記事を書いている時点で、残っている2つの新支援プランについて、紹介していきます。


三郎丸蒸留所 樽熟成ウメスキープロトタイプ+ウメスキーセット
支援額:16,500円
ウイスキーベースで造った梅酒”ウメスキー”と、そのウイスキー梅酒を樽熟成した新商品のセットがリターンにあるプラン。新商品はまだ名前が決まっておらず、その銘を提案できる、応募券もついています。
このプランだけ三郎丸色が強く、一見してT&T TOYAMAのボトラーズ事業と関係が無いように見えますが、梅酒を払い出した樽(梅酒樽)で、調達した原酒を熟成するという計画もあるそうで、後々一つの線に繋がっていくプランなのだとか。

その味わいについて、製品版のものはまだわかりませんが、熟成途中の原酒を飲んだ限り、フルーティーでマイルド、梅というよりは熟したプラムのような甘酸っぱさ、林檎の蜜を思わせる甘みもあり、余韻は樽熟を思わせるウッディさが甘みを引き締める。熟成を経てさらにリッチでまろやかになっていると思われます。
日本人の味覚に響く、素直に美味しい言える梅酒でした。某S社さんの同系統の商品と比較すると、あちらが万人向け量産品ならこちらは手作り、そんなキーワードを彷彿とさせる濃厚さが魅力です。

モルトヤマが富山で一日おもて『なしざんまい』
支援額:494,974円
WEBは饒舌、リアルは塩対応で知られるモルトヤマの下野さんが、富山を1日おもてなし。
もはやネタですよね。何だこの金額はという疑問については、下野さん曰く”これが選ばれることなく最終日を迎えて、「ナシ(下野さんの別通称)がしくしく」という語呂合わせを含め、今後のT&T TOYAMAブランド戦略で有効活用する”、大変自虐的なプランを想定しているようです。
“他は選ばれたけど、僕は選ばれない、まさに独身系瓶詰業者(インディペンデントボトラー)”とでも言うつもりなのでしょうか。

「でもこれ、応募あったらどうするの?」
という問いに対して、絶対にないから、と話していましたが…。既に同クラウドファンディングでネタ枠だった”高所作業車名づけプラン”が購入済みとなっている件について考えると、1度あることは2度あるんじゃないかなぁと。
私の財布では荷が重いですが、どなたか英雄の登場を期待しております(笑)。

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過去の記事とも重複した話になりますが、スコットランドではウイスキー蒸溜所が造った原酒を、ブレンドメーカーやボトラーズメーカーが買い取り、様々なリリースに繋げてきました。その例に倣えば、T&T TOYAMAのプロジェクトは今後のジャパニーズイスキー業界の継続的発展のため、必要な1ピースであると言えます。

勿論、類似の事業が過去から現在にかけて、なかったわけではありません。例えば、イチローズモルトで知られるベンチャーウイスキー社の立ち上げを支えた、笹の川酒造の原酒買い取りと各種リリース。軽井沢蒸溜所の原酒を受け継いだNo,1 Drinks社のリリースもまた、広義の意味では日本のウイスキーのボトラーズ事業と言えるでしょう。

ですが、今回T&T TOYAMAの立ち上げる、ジャパニーズウイスキーボトラーズプロジェクトのように、
・ニューメイクから原酒を調達し、自社の熟成庫で自社調達した樽で熟成させた原酒をリリースする。
・熟成環境の提供や、ボトリング設備のレンタルといった、ウイスキーをリリースするために必要な機能を提供するサービス。
という、ただ熟成した原酒を買い付けるだけではない、多くの蒸溜所と二人三脚でウイスキー業界を成長させていくような構想は、今までにないものです。

日本における空前のウイスキーブームがもたらす、おそらくは今後無いであろう機運の高まり。大きなプロジェクトを立ち上げるのは、タイミングが重要です。クラウドファンディングの募集期間は残り約1か月。既にプロジェクトは確定しており、後はネクストゴール含めてこのプロジェクトがどこまで育ち、形になっていくのか。一人の応援者として楽しみにしています。


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