ゴンザレスビアス ノエ 1990年代流通 20%
GONZALEZ BYASSNOE
PEDRO XIMENEZ
1990's
750ml 20%
香り:深みを感じさせる濃厚な甘酸っぱいアロマ。レーズン、無花果の甘露煮、黒蜜、微かにカカオチョコレート。微かに貴醸酒のような古酒っぽさ。熟成によって角がとれ、アルコール感はほとんど感じられない香り立ち。
味:非常に濃厚でマイルド、とろけるような口当たり。生チョコレートにレーズンを主体にダークフルーツを濃縮したような甘酸っぱさ、余韻にかけてはウッディーな苦味が多少感じられ、これが序盤の濃厚さに反してしつこすぎないフィニッシュへと繋がっている。
シェリーメーカーの大手、ゴンザレス・ビアス社がリリースする、ペドロヒメネス(PX)シェリー酒、通常ラインナップの最高峰。以前記事で紹介した現行品や近年流通のノエは30年表記(ソレラに加えられている原酒の最低年数)がありますが、今回のオールドボトルには特段表記がありません。
ただ、飲んだ印象で同等程度の熟成は感じられるため、最低でも30年前後の熟成原酒を使って作られていることは間違いないと感じます。
PXシェリーの製法や品種については、もはや説明は不要かと思いますので省略。まあテイスティングの通り、まさにデザートワインという、めちゃくちゃ甘くて濃厚な酒精強化ワインなのです。
しかしただ甘いだけではなく、熟成による違いは当然あり、10年熟成程度の若いタイプのものは、甘味の濃厚さに対してアルコールも相応に感じられるだけでなく、全体的に大味な傾向があります。
一方で、長期熟成品はアルコール感が穏やかになり、とろけるような濃厚なフレーバーを楽しめるだけでなく、複雑さや落ち着き具合もポイント。オールドボトルの場合は、特にその特徴が出ているように感じられます。
今回のボトルの場合、現行品に比べて度数が5%高いことでボディの厚みはあるものの、酒精を感じさせないまろやかさは経年由来の特徴でしょう。風味が厚くただ甘いだけじゃない複雑さを伴う、とろけるような奥深い味わいなのです。
さて、PXシェリーと言えば、食後にちょっと舐めたり、シガーに合わせるのも良いですが。。。これまでのPXシェリーのレビューでも書いたようにアイスクリームへの”ぶっかけ”が最高にオススメ。特に、ノエのようなちょっと良いPXはアルコール感が目立たないので、このために存在しているのでは、と思えるほどです。
今回のボトルも勿論、ぶっかけで頂きます。
ただ、毎回単にぶっかけてばかりのレビューでは芸がないのでちょっと変化をつけて、コンビニ等で売っている冷凍イチゴを電子レンジで熱々に解凍し、PXシェリーをぶっかけたアイスにトッピング。
冷たいアイスのクリーミーな甘味、PXシェリーの濃厚なコクとダークフルーツを思わせる甘酸っぱさ、合わせて熱々のイチゴの酸味と香りが口内で渾然となって広がる・・・。
あかん、これはあかんヤツですよ。
市販の冷凍イチゴはそこまで甘味が強くないのでシェリーのそれと喧嘩せず、香りと酸味、あとは温度差が加わることでの素晴らしいマッチング。
あー幸せ、アイスもイチゴも手軽に手にはいるものですから、シェリー酒一本でまだまだたっぷり至福のデザートが楽しめるってわけです。