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HELIOS WHISKY 
REKI 
Pure Malt 
(No Age) 
180ml 40% 

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★(3-4)

香り:ニューポッティーな香り立ち、香ばしい麦芽の香りと、淡い樽香。泡盛を思わせる酸味と穀物系のアロマ。レモングラスや乳酸のニュアンス。

味:口当たりはまろやか、蜂蜜系の甘味と穀物やトースティーな香ばしさ。そして泡盛っぽいフレーバー。
余韻はスモーキーで若い原酒のえぐみを伴う。

もはや泡盛や焼酎の古酒の一種として楽しむべきではないかというボトル。
そうした見方なら見るところがないわけではなく、好まれる方も居ると思うが、熟成原酒の見る影もない若さと香味の異物感は「面白い」と言える範囲を越えており、おおよそウイスキーとしては評価し難い。
飲み方はハイボールにして食中酒なら。。。ニンニクの効いたホルモンと飲みたい。


沖縄のヘリオス酒造とローソンがタイアップしてリリースしたピュアモルト(らしい)ウイスキー。
15年表記のピュアモルト500mlと、ノンエイジのピュアモルト180mlの2種類が、ローソン限定で発売されました。

このウイスキーは、ヘリオス酒造が地ウイスキーブームの際に製造。地ウイスキーブーム縮小後に蒸留を休止し、原酒2000リットルがそのまま貯蔵され続け・・・忘れ去られた原酒が関係者との間で話題になったことから、リリースを行うこととなった。というのが今年9月のニュース等に書かれていた内容です。

なんとも"偶然の産物"的なストーリーを感じる流れですが、この話はいくつか違和感があります。
まず、地ウイスキーブームは1980年代の出来事で、1990年代中頃以降は既に息も絶え絶えという状況でした。しかしこの原酒は15年、2015年に樽から出されていたとしても2000年の蒸留ということに。
同社は泡盛のメーカーでもあるので、熟成年数にカウントされないステンレスタンクにでも貯蔵されていたのかとも考えましたが、どうも時間軸にズレを感じます。

調べてみると、同社は1999年に日本国内ではなく台湾に販路を求め、神谷ウイスキーなる12年モノのウイスキーを発売しています。
当時琉球新報が書いた「台湾には米を原料とした泡盛が輸出できなかったので、麦を原料としたウイスキーを販売することにした」という記事も出てきました。
また、ソース不明ですがほぼ同じ時期にヘリオス酒造のWEBページでは、ウイスキー蒸留を行って原酒の貯蔵を進めているような話もあったようです。
この計画がうまくいったかどうかはわかりませんが、現在この神谷ウイスキーが販売されていないことから察すると、おそらくこの頃に調達ならびに製造した原酒の残りが、今回販売された"暦"ということなのでしょう。


さて、先にローソンから発売された15年のウイスキーは200本程度と少量しか生産されなかった事や、価格がそれほど高価ではなかったため、ブームの追い風を受けて即完売。その後、この15年原酒を20%、残り8割にその他調達した原酒や、新たに製造した原酒も使ったのではないかという、一般向けに量産した色んな意味でNAな仕様が今回のボトルになります。
  
キャップを外し、注ぎ口から香りを確認すると、ニューポットを思わせる若い原酒のアロマに、泡盛を連想する香りが感じられ、明らかにこのボトルが通常のウイスキーと異なる構成である事が感じられます。
後の感想は先に記載した通り。個人的な感覚では、泡盛やラム製造と蒸留器が同じという自社蒸留のニューポットからそういう風味なのか、あるいはブレンド用アルコールの代わりに泡盛を混ぜて伸ばしたような味わいで、ウイスキーというよりクースーと言うべきではないかというお酒です。(実際のクースーとはまたちょっと違うんですが。。。)

そして最大の謎、ピュアモルト表記なのは、自社蒸留以外の原酒に一体何を使ったのか。
まぁわかったところであまり良い結末にはならない事は明らかなので、ウイスキーブームの産物の一つと自分を納得させる事にします。
ヘリオス酒造は今後ウイスキー製造も行って市場展開していくようですが、温暖地域のウイスキー製造は台湾の事例や、鹿児島に新設される津貫があり、特徴を活かせれば評価されるウイスキーが出来ることは実証済み。
この泡盛風味ウイスキーも熟成を重ねることでキャラクターを確立していくのでしょうか。。。