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プライムモルト セレクションNo,1 ラフロイグ 12年 1980年代流通 45.7%

カテゴリ:
PRIME MALT
SELECTION No,1
LAPHROAIG
Unblended 12 Years old
1980's
750ml 91.4proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:灰や土っぽさが主体的なピーティーな香り立ち、ほのかなヒネ香。スワリングしているとマスカットや林檎を思わせる爽やかな果実香からトロピカルなフレーバーが奥から開き、うっとりするような陶酔感が感じられる。

味:オイリーな口当たりで存在感のあるピート、乾いた麦芽とやや干し草的な植物感。鼻腔に抜けるスモーキーさとヨード香。
そして熟したグレープフルーツ、フィリピンマンゴー、トロピカルフレーバーが土っぽさのあるピートと混じり合って余韻に広がる。

古き良き時代のラフロイグの魅力が充実したボトル。若い熟成年数だからこそ、経年と加水で落ち着いてなお存在感のあるトロピカル系の果実感と灰っぽさの混じるピート、そして厚みのあるオイリーな飲み口。是非ストレートで。


1980年代にアメリカ向けで流通した、プライムモルトシリーズ3種のテイスティング。トリを飾るのは、やはりこのラフロイグ表記の12年を置いてないでしょう。
これまでも紹介してきましたが、プライムモルトのセレクションNo,1シリーズは、ファイネストアイラシングル表記の12年、15年。今回のラフロイグ表記の12年がグリーントールとクリアボトルで2種類確認されています。

ファイネストアイラシングル表記の2本は、パフューミーなボウモアっぽいモルトやノンピートのブナハーブンと、少し変化球的なラインナップだったわけですが、ここにきてこの年代のアイラに求めるものはこれだよと。
今回のボトルにはファンがラフロイグに求める姿とはこういうことと感じる香味がしっかり備わっていて、思わず口角が上がってしまいました。

トロピカルフレーバーと言えば近年のラフロイグやボウモアでも語られることがありますが、自分が経験する限り、1960年代から70年代前半のそれとはピートの性質やフルーティさの傾向が異なる。
口当たりでなく、余韻にかけて広がるのも近年のモルトと異なるポイントだと感じています。

プライムモルト セレクションNo,1 ブナハーブン? 15年 1980年代流通 45.7%

カテゴリ:
PRIME MALT
SELECTION No,1
(BUNNAHABHAIN?)
Finest Islay Single Whisky
Unblended 15 Years old
1980's
750ml 45.7%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:華やかな香り立ち。林檎を思わせるオーク香、シリアルや乾いた麦芽の香ばしさ、ほのかに青みがかったニュアンス。

味:軽やかな香ばしさのある味わい。合わせてオークフレーバー、薄めた蜂蜜、りんご、青みがかった牧草のアクセント。後半にかけてスパイシーな刺激が感じられる。
余韻は香ばしい麦芽風味、淡く植物系のえぐみ、染み込むように長く残る。

ホグスヘッドあたりのバランスが取れた樽感、麦系の風味が香ばしいハイランド的なモルト。余韻に少し野暮ったさ、引っ掛かりを感じるものの全体的に味わい深く、程よくライトで飲みやすい。


アメリカ向けに現地企業がボトリング、リリースしたプライムモルトシリーズの一つ。流通時期は1980年代前半と推定。シリーズ全容は今となっては不明確であるものの、コレクター情報でSelection No,1シリーズはファイネスト表記が12年と15年で2種類、ラフロイグ表記が1種類(ボトルの色違い含めると2種類)が確認できるところです。

これらは全て"ラフロイグ"であるという情報もあったようですが、このボトルは明らかにピート感が。。。先日紹介したファイネスト表記の12年は1970年〜1971年頃のボウモアと思える構成からも察するに、プライムモルトシリーズはラフロイグ以外もボトリングされているのではないかと。
そしてこの中身、ブルイックラディも一瞬頭をよぎりましたが、この野暮ったさのある麦感や草っぽいフレーバーは、ブナハーブンに一票です。

(プライムモルト15年の裏ラベル。One of the most famous distillery in Islay.の記述はどうとも読める内容。ブナハーブンはアイラの中でノンピートスタイルで最も有名とは言えるが。。。)

それにしても、ファイネスト表記のプライムモルトは12年、15年共どちらも謎が残る結果になりました。特にこの15年は衝撃ですね。

仮にブナハーブンとするなら、ピートフリークやFoLな方々には衝撃と多少の落胆を持ってこのボトルが迎えられることと思う一方。
普通にうまいモルトであるのが一つ。
そして蒸留時期として1960年代後半から1970年代のブナハーブンは、オフィシャルボトルだとシェリー系統の仕上がりが多く、ボトラーズも樽をしゃぶってるような長期熟成が中心です。
シェリーではないナチュラル寄りな系統で短熟のボトルを飲めるというのは、なかない経験だと感じます。

プライムモルト セレクションNo,1 ボウモア? 12年 1980年代流通 45.7%

カテゴリ:
PRIME MALT
SELECTION No,1
(BOWMORE?)
Finest Islay Single Whisky
Unblended 12 years old
Bottled 1983
750ml 91.4Proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:やや青っぽさのある麦芽香、アロエ果肉や硬さの残る洋梨、そしてスモーキーなピート香。スワリングしていると奥から熟した果実のフルーティーさ、強い土っぽさも開いてくる。

味:口に含むと瞬間的にフローラルなパフュームが広がるが、徐々にオイリーで蜜っぽい甘み、青みがかった果実や植物感、追うようにピートがしっかりと感じられる。
余韻は土っぽさを伴うスモーキーフレーバ-、グレープフルーツの綿、トロピカルな華やかさも淡く感じられる。

綱渡りのようなバランスのウイスキー。いの一番に広がるフローラルなフレーバーは、後からトロピカル要素と土っぽさの強いピートに上塗りされて強くは残らないものの、そのバランスがなんとも危うい。加水するとフローラルさがさらに主体的になる。


引き続き、BAR IAN ウイスキーラバーズ名古屋2018先行テイスティング会にて。いよいよメインとも言えるシリーズです。

このプライムモルトは、アメリカ向けに現地のメーカーが企画したシリーズとのこと。Selection No,1は確認できるだけで12年が2種(ボトルの色違いを含めると3種?)、15年が1種、計3種類がリリースされており、日本ではほとんど見ることがない、激レアなボトルでもあります。(参照:http://www.laphroaigcollector.com/other2.htm

同シリーズは、グリーントールに白地のラベルというデザインに加え、一部にはラフロイグの記載があり、つまりプライムモルト=ラフロイグなのだと思っていたら、このファイネストアイラシングルウイスキー12年はとんでもないカウンターパンチを繰り出してきました。
香りは青い果実が徐々に熟れていくような、奥から開いてくる古き良きトロピカル香。混じる土気にラフロイグよりボウモアっぽいと感じつつ口に含むと、パッと広がるフローラルさ、所謂パフュームなのです。

後日紹介するプライムモルトの15年は、確実にラフロイグではないアイラモルトが詰まっているので、このボトルもまたラフロイグではない可能性が高いと考えられます。
アイラモルトでこの系統の構成とすれば、やはりボウモアでしょうか。流通時期は1970年代説と、ラベルに書かれた83.1.5(1983年)説があるようですが、1960年代蒸留のボウモアは該当するフレーバーがない時代。一方後者から逆算する1970年〜1971年蒸留なら、可能性が無いとは言えません。
思い返すと、1969年蒸留はバイセンテナリーの角瓶などで類似の香味はありましたし、70年代前半はパフュームとそうで無いボトルが混在する時期でもあります。


勿論、当時のラフロイグの香味が経年変化でパフュームに振れたという可能性も否定出来ません。
謎が残るこのボトル。不幸中の幸いは、パフュームとは言え飲めないレベルではないこと。自分はこのフレーバーが大の苦手ですが、加水しなければ普通に飲めました。
というか、何よりこの12年含め、3種類のPRIME MALTを全て飲める機会はまずありません。その筋の愛好家の方には得難い経験ですし、あるいはこの謎を自分の舌で確認したい方にも面白いボトルだと思います。

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