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ジョンベッグ 1970年代流通 43% 特級表記

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JOHN BEGG 
Blue Cap 
Old Scotch Whisky 
1970's
760ml 43% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかいスモーキーさと、ほのかにみたらしやオレンジママレードを思わせる古酒感と角のとれた酸。カステラやフィナンシェなどの洋菓子の甘味と、合わせて土っぽさのある古典的な麦芽香。

味:香り同様の構成で、柔らかくコクのある口当たり。ほのかな古酒感と、薄めたキャラメル。じわじわと内陸系のピートフレーバーが存在感を出し、序盤の甘味の中にほのかな灰っぽさと、柑橘の綿や皮を含ほろ苦さが染み込むように長く続く。

経年変化に加え、当時の原酒のコクを伴う柔らかい香りと飲み口。そこに内陸系のピーティーさがしっかりと感じられる。全体は熟成感のある比較的モルティーな構成で、香味がしっかり感じられる一方でバランスも良い。ストレート、ハイボール、用途は広いが個性を楽しむ意味ではストレート向き。

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ロッホナガー蒸留所の創業者であるジョンベッグ氏が立ち上げたウイスキーメーカーが、ジョンベッグ社。
現在のロッホナガーは1845年創業、ジョンベッグ社は当時の親会社にあたり、恐らくロッホナガーよりも前に設立しているとは思うのですが、いかんせん古い話しすぎて細かいことは今となっては不明。。。
その後、1916年にデュワーズ傘下となり、1925年にDCL傘下という定番の流れで大手に組み込まれ、世界的な銘柄となった後、ウイスキー冬の時代のラインナップ整理から2000年前後のアメリカ市場向けリリースを最後に終売となったようです。

よって企業としての創業と解散、どちらも時期が定かではないのがジョンベッグ社です。
たしかなのはジョンベッグのキーモルトがロッホナガーであること。同じDCL傘下の銘柄であるVAT69とは親戚のような間柄と言えます。
その特徴は、なんといっても独特のピートフレーバーと、適度な厚みのある麦芽風味。以前レビューした1950年代流通のジョンベッグでも触れていますが、灰っぽいニュアンスを含むピートフレーバーが、コクのある酒質と共に感じられる。これはかつてのロイヤルロッホナガーがブレンドされている銘柄に備わっている特徴と言えます。

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(1980年代流通のジョンベッグ。輸入元は70年代同様にコーンズである。1978年にトレードマークに関するイギリスの方針を受け、キングジョージ5世の紋章からオリジナルのロゴに変わった。フレーバーは麦芽風味が比較的しっかり備わったモルティーかつ素朴なタイプで、ピーティーなフレーバーは70年代以前のほうが強く備わっている。)

該当するフレーバーについては、70年代流通は60年代ほどではないにしても、まだその香味を感じることができる時期。上で触れた親戚のVAT69も60年代と70年代とで同様の変化があります。
これをロッホナガー蒸留所サイドから見ると、1963年に大規模な改修工事が同蒸留所で行われており、設備が一新されると共に、モルティング設備も貯蔵庫に改修されてしまった模様。こ該当するフレーバーが徐々に失われ、近年のライトかつ個性のマイルドな傾向となっていくジョンベッグの境界は、1960年代中頃の大改修が分岐点とすれば、時系列的には違和感はありません。

日本向けの正規品があり、夜の街にはJOHN BEGG BARがあったくらいのブランドであるにも関わらず、現存するモノが少ないのもこの銘柄の特徴。そして地味に人気があるので、ブレンデッドにしては相場が高め・・・。
特に70年代以前は見かけることも少なく、手に入らなくなりそうな1本。飲めるうちに飲んでおくことをおすすめします。

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今日のオマケ:ロバート・モンダヴィ プライベートセレクション ピノ・ノワール 2017
オーパスワンに所縁のある、ロバート・モンダヴィのエントリーグレード。やや濃いめの味わいで、新世界のピノらしい熟した果実のような甘味と、ベリーを思わせる穏やかな酸味。ここはウイスキー好きにも琴線がありそうなフレーバーですが、そこにちょっと目立つ樽香が、バニラのニュアンスと共にタンニンを加えて余韻にかけて主張する。
上位グレードに比べると仕上がりが粗く、2000円弱のワインか?と感じるのですが、本国では9ドルとかで納得。味付けのあざとい部分が安いなりなところなのでしょう。もう5年くらい経ったら馴染むかも?


フォアローゼズ シングルバレル プライベートセレクション 2017 8年 OBSV 61.9%

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FOUR ROSES
SINGEL BARREL
PRIVATE SELECTION
Aged 8 years 8 m
Bottled 2017 Sept
Recipe Selected OBSV
700ml 61.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:溶剤的な刺激のある香り立ち、時間経過で甘みが開き、ウッディでメロー、チャーオークのキャラメルやチョコレート、奥から植物っぽさ、微かにジンジャー。

味:パワフルでメローな口当たり、クリーミーで甘酸っぱい。シロップ漬けのチェリーや熟した皮付きオレンジ、フルーティーさのある新樽フレーバー。 
余韻はドライでスパイシー、程よいウッディネスをキャラメルの甘みが覆うように広がり、長く続く。

やや溶剤的な刺激が最初に飛び込んでくるが、その後はチャーオークのパワーのある甘み、果実のニュアンスも感じられるフルボディで旨いバーボン。ロックにすると刺激が和らぐだけでなくクリーミーさと味のふくらみ、甘みが増して美味しく楽しめる。例えるなら、棘のある薔薇のような1本。


当ブログイチオシの現行品バーボン銘柄と言っても過言ではない、フォアローゼズ・シングルバレル・プライベートセレクション。
日本に正規輸入はされておらず、蒸留所の限定品か、現地のショップが詰めたものを購入するかが現在の主な入手経路。今回のボトルはアメリカのリカーショップBevMoのボトリングで、マッシュビルはコーン60%、ライ35%、モルト5%、レシピパターンはOBSVとする仕様となっています。

このレシピパターンの4文字のうち注目するのは2番目の文字と4番目の文字。(1番目と3番目は全部同じなのです。)
2番目にはマッシュビルの違いでBとEの2種類が、4番目には酵母の違いでV、K、O、Q、Fの5種類があり、そこに樽ごとの熟成期間を加えて、それぞれで香味の違いを生み出す要素となっています。※下記参照。
今回のVはdelicate fruitiness というタイプ。色から感じる通りどっしりとした樽感、メローな甘さの上にスパイシーな刺激と合わせて繊細なニュアンスが感じられ、時間経過で馴染んでいく様がテイスティングで感じられました。 
ピリッとした刺激はライ比率が多いことに由来するのか、強い樽感にの中に華やかさがありつつもっさりしすぎない、いいアクセントになっています。

(フォアローゼズ蒸留所の熟成庫。均一なサイズ、高く積まれた樽の数々がスコッチのそれと異なるシステムを感じさせる。Photo by T.Ishihara)

さて、プライベートセレクションはフォアローゼズのコミュニティに入れば樽ごと購入することも出来るようなのですが、先に書いたように日本のメーカーがボトリングをした事例はありません。
そんな中、つい先日酒類輸入業者の田地商店さんが現地ショップ向けボトルの在庫を並行輸入し、少量ですが信濃屋を通じて国内に展開されはじめました。

レシピ違いを含めて樽ごとの違いが大きいバーボンであるため、これまで自分が飲んで来たものと同等のクオリティかはわかりませんが(ちと色が薄いボトルが多いのが気になる。。。)、これで味がいいバーボンだと評価が広まり、メーカーが動いて日本でも安定してリリースされるようになると良いなと。
特にその手の動きが活発な酒販業者としては、ビックカメラさんやリカマンさんあたりに期待しています(笑)。


※レシピ表記の意味
1番目(フォアローゼズ銘柄である表記)

2番目(マッシュビル)
B:コーン60%、ライ35%、モルト5%
E:コーン75%、ライ20%、モルト5%

3番目(ストレートバーボンを意味する)

4番目(酵母の違いによる酒質のキャラクター)
V:Delicate fruitiness
K:Slight spice
O:Rich fruitiness
Q:Floral essence
F:Herbal essence

※レシピ以外の個人的主観(ご参考まで)
同シリーズ10本近く試したうち、色が濃いボトル(赤みがかってるとベスト)の方が味が良い傾向あり。

フォアローゼス シングルバレル プライベートセレクション 10年 OESO 56.5%

カテゴリ:
フォアローゼス プライベートセレクション
FOUR ROSES 
SINGLE BARREL 
Private Selection 
Specially Selected By LIQUOR BARN 
Recipe Selected OESO 20% Rye mashbill / Rich Fruitiness 
Aged 10 years 8 months 
Bottled 2015 Jury 
56.5% 750ml 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)

香り:スパイシーで華やかな香り立ちから艶のある甘いウッディネス。ほのかに焦げ感、濃く入れた紅茶、シロップ漬けのチェリーやベリー。陶酔感あり。加水すると華やかさが増すが、少し溶剤系のニュアンスも。

味:コクのあるリッチな口当たり、スパイシーで甘酸っぱいオークフレーバーはアプリコット、ドライオレンジにハーブのニュアンス。ウッディーなチャーオークフレーバーと爽やかさが鼻に抜ける。
余韻はウッディーでビター、スパイシー。少量加水するとバランスが良くなる。


フォアローゼス蒸留所の限定品であり、一部現地酒販でカスクチョイスされたものが限定的に販売されているプライベートセレクション。今回のボトルは現地のリカーショップ、LIQUOR BARNがフォアローゼスから買い付けてリリースしているボトルになります。
先日、ウイスキー仲間のIさんから頂いた(強奪した)同ボトルのレシピOBSK・2014年ロットが予想以上の美味しさで、次回アメリカに行かれるときは蒸留所で大人買いしてきて欲しい旨を伝えたところ、蒸留所限定品2本、LIQUOR BARN詰め3本、計5本のプライベートセレクションを調達して頂きました。

ラベルは通常のフォアローゼスシングルバレルと異なり、金地に真紅の薔薇の花。薔薇の色は同じはずですが、プライベートセレクションのほうが映えるように見えます。
同銘柄はシングルカスクでのリリースで、熟成年数や度数がボトル毎に異なるのはもちろん、ライ麦比率など製造行程の違いから10種類のレシピで分けられており、それぞれ異なる味わいが楽しめるのも特徴。そして何より、近年バーボンウイスキーのライトフレーバー化が著しく、樽の質も芳しく無い中で、一定以上の品質を保っている"旨いバーボン"であるのが最大の特徴と言えます。
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市販されている現行品のフォアローゼス シングルバレルも悪くは無いのですが、飲み比べるとその差は歴然。例えるならプライベートセレクションが画家本人が書いた絵画であるのに対し、市販品はそれを愛好家が模写したものという印象。   
先述の現地調達品5本を現行品と共に飲み比べましたが、それぞれのレシピの違いを楽しめつつ、完成度はどれも頭1つから2つ抜けている。
価格も60~70ドル程度で、現地では普通に売っているのですから、日本に入ってくるバーボンの質と現地の物量の差に、ちょっと嫉妬してしまいます。

今回テイスティングしたプライベートセレクションのレシピ、OESOの特徴は、Frutiy(Red Berries) Medium Body。見るからに美味そうな赤みがかった色合い。香味にそれぞれ甘酸っぱさがあり、良質なオーク由来と思しきコクのある甘みと、酒質由来と思しきスパイシーな口当たりで完成度の高いバーボンに仕上がっています。
ちなみに現地での一番人気はOBSF(Mint Fruity Spicy, Full Body)、これは今回の買い付けでは入手できなかったとのことで、いつか飲んでみたいものです。

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オマケ:先日自宅で開催したバーボン会での1シーン。フォアローゼス プライベートセレクション 飲み比べ。
右奥は参考品として日本流通のシングルバレル、流通時期違いで2種類。
どれが一番高評価かは意外と分かれて面白かったですが、どのボトルもローゼスらしい華やかさが素晴らしい。
日本では中々出来ない試みが実現できたのも、ひとえにIさんのおかげ。感謝!

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