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ブラックスネークVAT4 2nd VENOM ウイスキーラバーズ名古屋2017 57.7%

カテゴリ:
BLACK SNAKE
Single Mlat Whisky 
Whisky Lovers Nagoya 2017
Oloroso Sherry VAT4 and 2nd VENOM
700ml 57.7%

グラス:木村硝子テイスティング
量:20ml
場所:自宅(サンプル@BAR よっちさん)
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:スパイシーなウッディネス。ハイトーンでメンソールのようなスーッとするアルコール感、焦げた樽材、ザラメや砂糖菓子の甘さ、奥からエステリーな華やかさも。

味:とろりとした口当たりから香り同様の構成。古樽のえぐみを伴うウッディネス、オレンジママレード、黒パン、スパイシーで口の中がヒリヒリする。
余韻はハイトーン、ウッディで長く続く。

アタックの強さが目立つ1本。多少加水しても香りの刺激は治らないが、味のえぐみが軽減されてバランスが良くなる。
一方、酒質由来のフレーバーからは甘さやフルーティーさも出ているため、加水の方法やグラスのチョイスなど、良さを引き出す工夫の余地がある。


ボトラーズのブラッカダー社がリリースしている、蒸留所不明のウイスキーシリーズ、ブラックスネーク。
バッテッドモルトの他に、シングルモルトウイスキーもリリースされており、今回紹介する一本は、今年の1月に開催されたウイスキーイベント、ウイスキーラバーズ名古屋2017の開催を記念してボトリングされた1本です。

その特徴、というかこれはブラッカダー社のボトルに多くみられる癖のようなもの。同社は社長であるロビン氏の好みからか、妙にアルコール感というかツーンとくるハイトーンなアタックの強いカスクを選ぶことが多い印象があります。
今回紹介するブラックスネークも、総じて強い樽感とハイトーンな刺激が、いかにもブラッカダーの最近のリリースだなーと感じるところです。(その個性から、蒸留所はグレンファークラスあたりかなと推測。)

一方で、Oloroso sherry vat4 2nd Venomなる聞きなれない表現は、シェリーでいうところのソレラシステムに近いブラッカダー独自(?)のバッティング方法です。
まず、複数樽のオロロソシェリー樽熟成ウイスキーを1つの大きな樽にバッティングし、マリッジして2/3程度を払い出します。これは1st Venomとして発売されたようです。
このバッティングしている大樽が”VAT”で、払いだしたものがVenomという位置づけになります。同シリーズのVATは1~10くらいまであるそうで、今回はその4番目のVATからのリリースということになります。

そして1st Venomを払い出した後、1/3残っているところに新たにシェリー樽熟成ウイスキーを複数樽バッティングし、マリッジして同じように2/3を払い出したのが、この2nd Venom。つまり、時間差バッティングということですね。
近年のウイスキーは、原料由来か蒸留方法の違いからか、酒質が単調とされることも多く、こうして複数樽をバッティングすることで複雑さと厚みを得ようとしているのかもしれません。実際、飲んでみると樽感はやや焦げ感というか苦味はあるのものの、奥にフルーティーな熟成感など、多層的なニュアンスが感じられます。

市場の声を見るとこのシリーズは価格とのバランスが取れて、内容的にも良いと好評の声も多い模様。ウイスキーラバーズ名古屋の限定ボトルの中でも、お客様の評価良く扱いやすいとはサンプルを頂いたよっちさんの声。
自分はアタックの強さを意識しがちなので、そこに引きずられてや辛口評価になっているかもしれません。

※本リリースにおけるVATとVenomの意味について、正規輸入元であるリカーズハセガワに確認しました。結果、このOloroso sherry vat4 2nd Venomは、上述の通りオロロソシェリー樽熟成のシングルモルト複数による時間差バッティングであるコトが確認できました。何樽バッティングしたかはわかりませんが、バーボン樽熟成の原酒などは使われていないことがわかりましたので、報告いたします(6/11追記)

江井ヶ嶋(あかし) 2012年蒸留 61.4% ブラッカダー&ガイアフロー

カテゴリ:
EIGASHIMA 
Blackadder & GAIAFLOW 
Distilled 2012 
Bottled 2015 
Cask type Bourbon #1242 
61.4% 500ml 
 
グラス:SK2
量:30ml程度
場所:自宅(サンプル瓶)
時期:開封後1か月程度
暫定評価:★★★★(4-5)

香り:ドライな香り立ち、メンソールのようなスーッとするアルコール感、乾いた木、ほのかにアロエ。あまり香りが立たない。徐々にクッキーの香ばしく甘い香りも感じられる。
少量加水すると蜂蜜の甘さ、レモンピール、少しケミカルな要素が顔を出す。

味:焼酎的なアルコール感と酸味のあるスパイシーな口当たり、ザラメ、梅シロップ、植物っぽいえぐみや青さも少々感じられる。
フィニッシュは香ばしい麦芽風味と微かなピートフレーバー。スパイシーでハイプルーフらしくトーンの高い余韻。加水すると序盤の酸味が和らぐが、香り同様ケミカルなニュアンスも。


ジャパニーズブームに乗じて名をあげた感のある"あかし"こと江井ヶ嶋。
今回のボトルはブラッカダーとガイアフロー社によるジャパニーズコラボレーションシリーズの一つで、つい先月発売されたばかり。このブログで江井ヶ嶋ブランドを紹介するのは初めてですね。
この蒸留所は以前見学させていただいたこともあり、いい意味でも悪い意味でも印象深いブランドです。
 
瀬戸内海のすぐ側の高台に位置するこの蒸留所は、おそらく日本で最も海に近い蒸留所の一つであると言えます。
蒸留器は初留と再留で1基ずつ、樽は外注以外に自社で所有するワイナリーのワイン樽を使える。麦芽は「商社の買い付けに任せているので詳しいことは良くわからないけどライトピーテッドです。」とは同社スタッフの説明。
江井ヶ嶋酒造は総合酒類企業であるため、日本酒→ブランデー→ウイスキーと1年の中でローテーションしながら人繰りをしつつ製造がおこなわれています。当時はウイスキーは3回仕込むと聞いていましたが、このウイスキーブームを受けてさらに回数を増やしているかもしれません。
それ以外にも色々聞いているのですが(例えば、某ボトルはスタッフ自身も失敗作だと認識しながらリリースしたなど)、あまりのアバウトさにびっくりした記憶があります。
最近はガイアフローさんが販売面で提携しているようですので、製造面も含めた改善を期待したいです。

 
さて、今回テイスティングしたボトルは2012年の蒸留で、丁度自分が見学した年の仕込みです。
バーボン樽による熟成で若いなりに飲める味に仕上がっていますが、香味は淡く、地ウイスキー的な癖も少ない。ピートは上述の通りライトピーテッドで余韻でほのかに香る程度、加水するといくつか得られる要素もあります。
江井ヶ島らしさはそういう点で見ると控えめ、小さくまとまってしまった感すらあります。
 
自分はこの年に仕込まれたニューポット3種類をテイスティングしているのですが、この3種類にははっきりとした違いが見られます。
平均的な江井ヶ嶋のニューポットは癖が強く、焼酎的なニュアンスもあり、いかにも地の酒、未熟な原酒という要素を強く感じます。ところが3回仕込まれるうちの1回目だけは、スムーズで癖が少なく、そしてフルーティーな要素さえ漂っているのです。
これはウイスキーの前に仕込まれるブランデーの香気が、蒸留設備の中に残っているというのが自分の予想。1回蒸気を通して清掃してますけどね、という説明があったものの、ここまで露骨に違うと確信犯ではないかとさえ思います。
その背景から今回のボトルの風味と照合してみると、この淡く淡麗な感じは1回目のニューポットが熟成した姿なのではと感じました。
 
だからどうしたという話でもありますが、いずれにしてもこの蒸留所はベースが安定していないので難しい。もちろんこのまま地の酒路線をいくのは良いですけど、そうであれば立地を活かして塩気を取り入れる工夫をするとか、もうちょっと個性を育てる工夫をしないともったいないなと感じる次第です。

グレンエルギン 20年 1976年蒸留 1996年ボトリング ブラッカダー

カテゴリ:
GLEN ELGIN 
Blackadder Limited Editions 
Aged 20 Years 
Distilled 1976 
Bottled 1996 
46.3% 700ml 
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかで甘いオーク香、バニラ、白粉、オレンジリキュール、ドライアップル。ただオーキーなだけではなく、麦芽の白い部分の甘い香りにオレンジ香料のような爽やかさも混じる、上品な香り立ち。

味:ボディは軽めだが、やや粘性がありスパイシーな口当たり。香り同等に華やかなオーク香と麦芽風味、薄めた蜂蜜、スポンジケーキ。余韻はドライで微かにピーティー、オーキーであっさりしている。

ブラッカダーが現在のロウカスクシリーズをリリースする前、1990年代にリリースしていたリミテッドエディションシリーズ。ブラッカダーの代名詞ともなった「樽の粉末」もまだない時代のボトルです。
樽に関する記述はありませんが、味や度数、ボトリング本数等からリフィルバーボンホグスヘッドだと思われます。
この手のボトルは中々巡り会えないので、近い味わいで近年のリリースのモノも合わせて紹介すると、まず思い当るのが鹿児島の酒ショップKinkoさんと北海道のBow Barさんがリリースした、グレンエルギン37年(1975-2013)。以前このグレンエルギン37年をブラインドで出された時、今回のボトルを飲んでいたのでグレンエルギンと指定できたこともありました。
 
グレンエルギンはオフィシャルリリースこそ少ないものの、各ボトラーズから数多くリリースがあるため、多様なキャラクターを味わうことができる銘柄の一つです。
中にはなんじゃこりゃと首をかしげてしまうようなえぐいシェリー系のボトル等もあるわけですが、今回のボトルはバーボンオーク由来と思しきオーキーな華やかさと、酒質由来の麦芽風味やオレンジのアロマが感じられる、20年という適度な熟成がもたらす負担の無い仕上がりです。
同蒸留所の特徴でもある麦芽の甘味ははっきり感じられ、ピートフレーバーは控えめ、ボディは軽く柔らかい。締めの1杯というよりは、最初、あるいは2~3杯目で飲みたい感じです。

ガイアフロー社が記者会見  蒸留所建設に向け静岡市と今後の計画を発表

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ここのところ情報が出ていなかった、ガイアフロー社が建設を進める静岡蒸留所について。
昨日7月1日、静岡市役所でガイアフロー社と静岡市の共同記者会見が開催され、建設予定地の市有地(約2000平方㍍)の貸与契約締結、蒸留所のイメージ図や静岡市と連携して進める今後のプランなども発表されたようです。
会見にはガイアフロー社だけでなく、静岡市長の田辺氏、玉川地区の各団体も参加し、一体的に進めて行くPRもあった様子。こうした記者会見が開催されると、いよいよ本格的に動き出したという印象があります。


写真引用及び関連記事:蒸留所建設で市有地賃貸 静岡市と契約(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/local/shizuoka/news/20150701-OYTNT50160.html?from=ycont_top_txt


写真引用:中村社長のFacebookにUPされた会見の様子。
中村社長(右)「安倍川のように澄んだ味で、世界中のバーで愛されるような酒をつくりたい」
田辺市長(左)「まさに官民連携の事業。玉川地区に夢を与えてもらえれば」
右下の「静岡」なるウイスキーが気になるのは飲み手の性・・・(笑)

蒸留所の完成予想図はなんとも蒸留所らしからぬ感じです。
横に長い感じなのは、見学行程を意識した構成、たとえば外側に通路があり、のぞき窓から中を見て気軽に見学出来るような構造になるのでしょうか。
生産量は年間約10万リットルが予定されているとのこと。
これはキルホーマン蒸留所の生産量とほぼ同じ、秩父蒸留所が増産しても8万リットル程度という話でした
ので、秩父よりもちょっと大きめ の設備が出来るのではと予想されます。

今後の予定については先日記事にした通りですが、静岡市は地元の市民団体による農産物の加工所を蒸留所付近に建設するようで、同蒸留所では地元の野菜や加工品の販売だけでなく、地元静岡産のの大麦を使ったウイスキーの生産なども計画されている模様。
地元産の麦を使ったウイスキーといえば、思い浮かぶのはスプリングバンクの伝説的名酒ローカルバーレイであり、近年ではキルホーマン蒸留所や、秩父蒸留所も地元農家と契約して地元産の大麦を仕込みに活用しています。
ウイスキーは地の酒であり、元々は各蒸留所で当たり前であったところ、製造工程の効率化によって精麦行程が外注方式に集約されたことで、その境目はあやふやになっていました。さらに時代を遡れば、農家が自分の畑の収穫の一部から作っていたというルーツもあります。
その土地土地の個性を味わうのがシングルモルトであれば、こうした地物での生産は愛好家にとって歓迎すべきプランです。麦芽だけでなく、マイクロディスティラリーならではの強み、魅力を活かした商品展開を期待したいです。

軽井沢蒸留所の一部設備を受け継ぐことでも注目される同蒸留所。
新しい蒸留所建設の話はワクワクしますね。 今後の発表、動きにも引き続き注目していきます。
(急遽製作したという圧倒的存在感の静岡ボトル。2019年のリリースに期待。)
写真引用:同社広報Twitter  https://mobile.twitter.com/gaiaflow/status/616413091606061056

※当ブログの静岡蒸留所に関する関連記事は以下。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/cat_873847.html

レダイグ20年 (1975-1995) ブラッカダー・リミテッドエディション

カテゴリ:
一昨日はブラッカダーの20周年イベントが都内で開催されていました。
特段ブラッカダーに思い入れもないし、目玉だった秩父のリリースも特段惹かれるものでもなかったので、素直にけやき広場いってビール飲んで葉巻キメてました(笑)。

でもいざ一日たって、なんとなーく酒棚を見たとき、そういやいくつか持ってたなぁ俺も。
と、ロビンのおっさんに敬意を表したくなって、20年前にファーストリリースとして世に送り出されたうちの1本の機嫌を利いてみることにしました。

LEDAIG
"LIMITED EDITIONS"
Blackadder International
Distilled 1975.10.1
Bottled 1995 Nov
700ml 56.5%
評価:★★★★★☆(6)

"香り立ちはドライでえぐみを伴う木材の香りと麦芽香、微かにグレープフルーツピール。徐々にアーモンドクッキーのような香ばしい甘さも。
口当たりはパワフルでいわゆるトーンの高いタイプ、べたつきの無い甘さ、爽やかなウッディネスとブラウンシュガー、キレの良い味わい。フィニッシュはスパイシーでじわじわとピートが感じられるが強くはない。
少量加水すると本領を発揮する。バランスが改善し、えぐみが消えて品の良い甘さに木の蜜やハーブ香。口当たりはコクがあり、麦芽風味に加えてカラメルやアプリコットのニュアンスも感じられるようになる。"

以前FBに投稿したところ、ロビンから「コレは俺が詰めた記念すべきボトルだ!」なんてアツく語られたことがありました。
ただその当時開けて飲んだ感触としては、ストレートで飲んだわけですが、うん、まぁ迷走時期のレダイグだしこんなもんか。なんて思っていました。

そして今回も相変わらずギスギスした香味なところで、少量加水。お、こりゃいいぞと。加水後のバランスっていうんですか、一気に改善されました。
これならおいしく飲める、いやーやっぱストレートだけで決めちゃいかんんですね。
加水後の感じだと樽はシェリーなんでしょう。若干珍味系なので、シェリーはシェリーでもオロロソではないフィノ寄りのタイプか、あるいは別の酒精強化なのかもしれません。


ちなみにレダイグ(トバモリー)蒸留所は稼動と再稼動を繰り返しており、1972年から1975年は小期間ながら再稼動した時期。その後は1990年代の再開まで再びマル島の灯は消えてしまいます。

現在はレダイグ=ピーテッドモルト、トバモリー=ノンピートとして整理されてますが、この当時はレダイグ=蒸留所生産のモルト、トバモリー=タリスカーなどとのバッテッドという整理になっています。
生産期間の少ない1970年代のレダイグですが、先日1972年蒸留のレダイグがリリースされるというニュースがありました。
値段が値段なんで自分は追えませんが、出来は気になりますね。レダイグについてはウイスキーマガジンのWeb版にも記事があるので参考にどうぞ。

BURN STEWART LAUNCHES £3,500 42YO SCOTCH


・・・
あ、忘れてた。
ロビン、そしてブラッカダー社の皆様、20周年おめでとうございます!

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