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ロッホローモンド(オールドロスデュー)29年 1990-2020 for WuDC 48.2%

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LOCH LOMOND 
(Old Rhosdhu) 
Aged 29 years 
Distilled 1990 
Bottled 2020 
Cask type Refill Hogshead #416 
For Wu Dram Clan 
700ml 48.2% 

評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
地域:ハイランド
蒸溜所:ロッホローモンド、ブナハーブン
年数:27年前後
樽:リフィルバーボンホグス
度数:48%程度
その他:現行品ボトラーズシングルカスク

香り:トップノートは華やかで、ライチや洋梨のような白系フルーティーさに、ボール紙のような紙っぽさ、ケミカル様の甘さ、薬っぽさ。モルティーな香ばしい甘さも混じる。

味:ややピリピリとした刺激のある口当たり、そこからオリーブ、オイリーでビターなクセのある要素。合わせてケミカル系の甘み、熟成感を感じさせる樽由来の華やかさ、フルーティーさがあり、乾いた和紙や枯感のあるオークのスパイシーさが混ざって長く続く。

長期熟成の度数落ちを思わせる華やかさに、オイリーで紙っぽさとケミカル感の混じる独特の個性が印象的なモルトウイスキー。好みは分かれるが、良い部分を評価する見方も出来るバランス。
年程度熟成されたシングルカスクリリースであり、香味にある癖、オイリーさはロッホローモンドの年代前半の印象。個人的に馴染み深い香味であり、一択予想でも良かった。

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先日、ウイスキー繋がりの@SLAINTE_MHORさんから頂いたブラインドテイスティングの挑戦状。その回答と正解発表はスペース放送でLIVEで実施しましたが、ブログにもまとめていこうと思います。
第一問目はロッホローモンド。この蒸留所は個人的に非常に馴染みがあって、それこそ1990〜2010年代まで、隔年刻みで飲んでいるくらいキャラクターを把握しています。

そのため、今回のブラインドもノージングで「はい100%ロッホローモンド」と特定していたほど。年数、度数、樽とそのあたりのスペックも想像通りであり、またリリースはインポーター兼酒販のKyoto Fine Wine & Spiritsの代表である王子さんがメンバーとなっている、ドイツのボトラーズメーカーWu Dram Clanですが、今回のようなちょっと枯れた原酒にある強い華やかさは、このボトラーズメーカーが好んで選ぶ傾向があるもので、その点も答えを見て納得というリリースでした。

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ロッホローモンド蒸留所(オールドロスデュー)のモルトは、2003年蒸留あたりから酒質が向上。近年評価されるアイリッシュ系のケミカルフルーツ、いわゆるジェネリックトロピカルを量産しており、かつて濡れた段ボールだのユーカリ油だの言われた時代からは完璧に脱却した酒質となっています。
マネージャーが新規着任してその指揮の元でウイスキーの造りわけが行われたり、シングルモルトの需要が増えてブレンド向けではない意識で原酒が作られる様になったからか?
とにかく最近のロッホローモンドは、18年くらいまでなら間違いないと言えるリリースが多いです。

一方で、2000年以前、1990年代はどうかと言うと、これがなかなか難しい。フルーティーさが強く当たりもあれば、独特の癖が強く出ていてちょっとこれは。。。というものも。玉石混合とはまさにこのことですね。
個人的に1993〜1994年あたりは、ボディ軽めながらフルーティーさが強い原酒が多い様に感じていて、今回の1990年はクセ強目が多いなと言う印象。なのであとは運次第。ただ近年では熟成を経て樽由来のフルーティーさ、華やかさが強くなってきたものも見られており、今回はその中でも良い原酒を選んでリリースされたんだなと。選定者の酒類ブローカーやボトラーとの繋がりの良さ、樽の巡りの良さに流石だなーと思わされます。

また、最近では別ブランドでドラムラッドさんがリリースしたのが1993のロスデューです。この辺りもフルーティー系の、同様の仕上がりを期待出来るのではと予想しており、後日レビューをまとめたいと思います。

バルヴェニー 8年 1970年代流通 43% 

カテゴリ:
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BALVENIE 
PURE MALT WHISKY 
Over 8 Years 
1970’s 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
蒸留所:グレンアラヒー、グレンフィディック
年数:12年程度
樽:アメリカンオーク系のプレーンカスク
度数:43%
その他:1970〜1980年代流通あたりのオフィシャルオールドボトル

香り:穏やかな香り立ち。モルティで土っぽさを伴う古典的麦芽香から、微かに林檎や柑橘(オレンジというよりは文旦、ジャクソンフルーツ系)。薄めた蜂蜜。少し若い原酒なのか、ピリピリと鼻腔を刺激するアタックもある。

味:使い古したアメリカンオーク樽での熟成と思しきプレーンな甘さと程よい華やかさ。加水で整えられた柔らかく素朴な麦芽風味は、ホットケーキや洋梨の果肉のような白い甘さ、柑橘系のフルーティーさがあり、余韻にかけては香り同様の刺激に加えてほのかにピーティー、土っぽい要素とほろ苦さが全体を引き締める。

幾らでも飲めそうな、しみじみうまい、癒し系のオフィシャル加水のオールドボトル。麦芽由来の甘さに厚みがあり、ピート香と合わせて地酒的というか田舎的というか、古き良き時代のハイランドモルト。こういうボトルを飲むと、下のラベルに書かれたような景色がイメージされて、ふと郷愁に駆られてしまう。

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今回のブラインドボトルは、以前、関内のBAR Old⇔Craft の米本マスターから出題いただいたものです。自分が所有していた5リットルのミニ樽を貸した際のお礼、ということで。飲み残しがあったのでレビューがてらサクッと掲載します。

バルヴェニー蒸留所はグレンフィディックと共に、ウィリアムグランツ(WG)社傘下の蒸留所。グレンフィディックに隣接する場所に建設され、第二蒸留所という位置付けながら、モルティング設備や大規模な熟成庫、ウイスキーの需要増と共にポットスチルも8基まで増設するなど、ウィリアムグランツ社におけるウイスキー生産の中核的な機能を有する重要な蒸留所となっています。

長らくグレンフィディックがシングルモルトを中心にリリースし、バルヴェニーはグランツなどのブレンデッド向けという位置付けでしたが、1973年にシングルモルトを初リリース。
最近はシングルモルトの需要増でバルヴェニーの人気も増えはじめてブランドを確立しており、結果、WG社ははブレンド向け蒸留所としてアイルサベイを建設・稼働することとなり、ますますシングルモルトリリースに比重が増えているという傾向があります。

今回の出題ボトルは、その1973年にリリースされた、同蒸留所における初期リリース時代のラベルとなります。
ボトルも当時のグレンフィディックと同じものが流用されており、ラベルはシンプルで・・・というかWG社が当時リリースしていた各ブランドから比較すると明らかに間に合わせ感のあるもので。フィディックが人気だからとりあえず出してみよう、また、仕上がり(樽使い)も独自路線でなくフィディック系統で良いだろう。だからグランツ向けのプレーンオーク熟成のものからバッティング・加水して出しておけ、そんな空気感すら漂ってくるようです。

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(同時期流通のグレンフィディック10年 JAPAN TAX付き(右)と、今回のバルヴェニー8年。飲み比べが面白そうに見えるが、当時にフィディックは闇落ち時代、1960年代前半の原酒を使っており激しくパフューミーであるため注意が必要。)

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(バルヴェニー シングルモルトリリースのラベル系譜。右の初期リリースから、1980年代のファウンダーズリザーブ、10年、そして1990年代には現在に通じる形状のデザインとなる。1970年代だけ明らかにやる気が…というのは気のせいだろうか。)

バルヴェニーのオールドというと、個人的に1980年代リリースからシェリー系の印象が非常に強く。今回のブラインドではオールドのオフィシャルで、酒質が麦系暑く甘め、ほのかなピートの当時らしい内陸系という整理からでは、悔しいかな正解まで導くことができませんでした。
むしろ、パフューム時代を抜けたグレンフィディックの1970年代後期、1980年代流通あたりのボトルに通じるところが多く、このあたりは同じ傘下の蒸留所と考えたら納得できるところですが、ラベルもハウススタイルも、キャラクターが定まっていない時代ゆえのリリースと言えるのかもしれません。

一方で、バルヴェニーは何もブレンド向けのプレーンな原種ばかりを作っていたのではなく、この1970年代あたりからシングルモルトを意識した樽使いを始めるのか、後のリミテッドリリース、TUN1401といった長期熟成原酒各種で非常に良質なリリースを重ねて、ブランドとしても確立していくこととなります。
とするならば、このシングルモルト8年は、現代のバルヴェニーへと通じるターニングポイントにして、始まりの1本。日本市場でもなかなか見かけないボトルであり、貴重なものをテイスティングさせていただき感謝ですね。
ただでさえ、米本マスターからはちょっとアレなブラインドを出題されることが多かったので(笑)

フィンドレイター 8年 シングルハイランドモルト 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
フィンドレイターピュアモルト

FINDLATERS
A Single Highland Malt 
Pure Scotch Malt Whisky 
Aged 8 years 
1980's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:ほのかに青みがかった要素を伴う、厚みがあってリッチな麦芽香。蜂蜜や、微かに柑橘系の要素も溶け込む。ハイランドモルトらしい構成が中心だが、オリーブオイルやボール紙、あるいは籾殻のような若干癖のあるニュアンスがあり、これが垢抜けなさに繋がっている。

味:スムーズで柔らかい口当たり。香り同様に垢抜けない麦芽風味が、ややオイリーで粘性を伴う質感をもって広がる。例えば生焼けのホットケーキのよう。そこに柑橘の皮、特に和柑橘を思わせる渋みがあり、若い原酒がメインであるためか、加水で整い切らない粗さと共に口内を軽く刺激する。
麦芽風味は余韻まで残る。加えて、蜂蜜の甘み。徐々に微かなピーティーさがじんわりとほろ苦く、染み込むように広がる。

一時期のハイランドモルトのキャラクターの一つと言える、麦芽風味主体の味わい。イメージとしては甘いお粥のような白系統のフレーバー。若い原酒であるためか多少粗さもあるが、この麦感はブレンデッドスコッチ・フィンドレイターに通じる、構成原酒の一つとしてリンクする。ただし、ちょっと青みがかった要素というか、蒸溜所の個性とも言える風味が目立つところもあり、ここが好みを分けそう。

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【ブラインドテイスティング回答】
地域:ハイランド中心
年数:12年程度
樽:リフィル系主体、あまり強くない
度数:43%
その他:80-90年代流通くらいの、オールドっぽい感じのモルトウイスキー。

微かにスモーキーでハイランド系の麦感主体、蜜っぽい甘味もある。しみじみ旨い系。加水仕様と度数のわりにアタックが強いが、熟成が若いのか。余韻がぼやける感じもあり、複数原酒のブレンドモルトだろうか。正直銘柄はよくわからない。
ただ、この当時のハイランドモルトらしい厚みと垢抜けなさのある麦感は、ダルウィニーやディーンストン、あるいはフェッターケアンのちょい古いヤツなんてのも連想される。少なくとも、大手資本有名どころ第一線ではないモルトだと思われる。

――――――


久々にブラインドテイスティングの記事、そしてオールドボトルの記事です。

上のコメントが、記事掲載に当たってオープンテイスティングしたもの。下のコメントが当時回答として出題者に返信したものです。
このサンプルは昨年、ウイスキー仲間のK君が送ってくれた出題で、自分のブログに掲載していないオールドブレンドの類だったので、情報保管も兼ねて出題してくれたようでした。ホンマありがたい限りやで。。。

ということで、今回はスコッチウイスキー銘柄、フィンドレイターのシングルモルトボトリングです。ラベル上でPure表記とSingle malt表記が混在しているのが、80年代後半らしさというか、時代を感じさせる要素ですね。
構成原酒の情報はありませんが、香味等から察するに、おそらく中身はディーンストンだと思われます。厚みはあるが垢抜けない麦芽風味、ちょっと青みがかったニュアンスは、当時この蒸留所の原酒を使っていたブレンデッドや、同様にシングルモルトとしてリリースされた他のフィンドレイターにも共通するニュアンスです。

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(70年代から90年代にかけてフィンドレイターブランドとしてリリースされた、ハイランドシングルモルトの一部。何れも熟成年数は違うが、今回のボトルと共通するフレーバーが備わっている。)

当時、フィンドレイターを手掛けていたのはインバーゴードン系列で、構成原酒として用いられたハイランドモルトは、タムナヴーリン、タリバーディン、ディーンストン、ベンウィヴィスの4種とされています。

どうしてここまでマイナーどころが。。。というのはさておき、幻のモルトであるベンウィヴィスが選択肢なのは愛好家にとってのロマン。ただし、写真にある一連のリリースとの関係性に加え、1980年代後半リリースボトルで、77年閉鎖のベンウィヴィスを8年表記では使わないだろうなということで惜しくも除外です。

一方で、ディーンストンも1982年に原酒の生産調整から一時閉鎖しているのですが、当時の価値観では閉鎖蒸留所だからプレミアがつくなんてことはなく、普通にブレンドに使われていた時代です。
余ってるからシングルモルトで、くらいの発想があってもおかしくはありません。

近年のモルトは香味がドライに振れているので、今回のボトルのような麦系の甘味が強く出ているモノは少なくなってきています。オールドシングルモルトも値上がり傾向ですから、こうした銘柄不明のオールドモルトで昔ながらの味を楽しむというのは、知る人ぞ知る楽しみ方みたいで、なんだかお得感がありますね。
この8年は若い原酒ゆえの粗さも多少ありますが、当時の魅力、個性を楽しめる選択肢として、あるいは加水の癒し系として。家飲み用にアリな一本だと思います。


※以下、後日談※

後日談

( ゚д゚)・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)!!??

い、いやあ先入観というか、節穴でしたねぇ。
まぁ結果間違ってないから「ヨシッ!」ということで(笑)


アラン シェリーカスク 55.8% 2019年リリース

カテゴリ:
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ARRAN 
Sherry Cask 
Cask Strength 
Cask type Sherry Hogshead 250L 
700ml 55.8% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプルテイスティング
評価:★★★★★★(5-6)

香り:樽由来の甘やかさに加えてハイプルーフ故の刺激。甘栗や焼き芋の焦げ感を伴う甘さに、ライムのような柑橘系の爽やかさをともなうシーズニングシェリー香。時間経過でダークフルーツを思わせる甘みが主体的に。

味:パワフルな口当たり。香り同様にハイプルーフ仕様らしい刺激が口内に広がるが、合わせてシェリー樽由来の粘性のある甘味がそれをコーティングしている。ドライプルーンやキャラメルコーティングしたナッツの甘みとほろ苦さ、奥には若い原酒の酸、若干の焦げ感を伴うウッディネス。
余韻はドライでほのかに樽由来のタンニン。シェリー樽由来の甘さの中に、微かにオーキーな黄色系のフルーティーさが混じるアランらしさも感じられる。

全体の仕上がりの粗さはあるが、しっかりとシェリー樽のキャラクターが備わっている1本。一方で原酒の個性なのか、樽由来なのか、1st fill シェリー樽100%での熟成ながら、他の同系統リリースには見られない柑橘系の爽やかさや余韻のフルーティーさが特徴でもある。少量加水すると口当たりがまろやかになり、親しみやすくなる。

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2019年にオフィシャルラインナップを一新したアラン蒸留所。その際、ラインナップに加わったのがカスクストレングスのシェリーカスクです。
樽構成は1st fillのシェリーホグスヘッドのみで、熟成年数は海外情報では7年程度という記述もある若いタイプ。香味の点から見ても、熟成年数については違和感なく、樽は1st fillといっても、ヨーロピアンオークとアメリカンオークのもの、両方が使われていると思われます。

テイスティングでも触れましたが、このボトルにはシェリー系の色濃い甘みの中で、香りにライムなどの柑橘香、味には余韻にかけて黄色いフルーティーさが若干混じるため、それが特有の個性として感じられます。
おそらく、色濃いシェリー感はヨーロピアン(スパニッシュ)オークに由来するものですが、ヨーロピアンオーク100%ならもっと濃厚な仕上がりになってもおかしくありません。このリリースはそこにシーズニング期間の浅いアメリカンオークの原酒が混ざり、若い酒質由来の要素と合わさって上記の個性に通じているのではないかと考えられます。

よってジャンルとしては、所謂アベラワーのアブナックやグレンファークラスの105のような、10年熟成未満の短熟ハイプルーフ仕様にあたりますが、価格的にも内容的にも競合製品に負けていない(というか上位に食い込む)クオリティに仕上がっているあたり、流石アラン蒸留所だなと思ってしまいます。
ここで「流石アラン蒸留所だな」と自然に思えてしまうことが、ファーストリリースから20年間かけて築き上げてきた実績なんでしょうね。 アランのリリースなら外さないだろうという安定感、今回の大幅リニューアルで変更のあった他のボトルも総じて好評で、特に1万円以下の価格帯では磐石とも言えるラインナップが揃っていると思います。



なお、アラン・シェリーカスクは昨年リリース直後にテイスティングして、リカルのほうに紹介記事は掲載していましたが、ブログでのレビューはしていませんでした。※トップの写真はその時のものを使用。
先日、ウイスキー仲間とZOOM飲みでブラインドテイスティングをした際、サンプルとして頂いていたモノの中にこれがあり、せっかくなので記事にもしようかなと。(その際のブラインドは、「ウイスク・イーで取り扱いがあるボトル」という前置きがあったため、ボトル指定で正解できました。)

改めて飲んでみると、粗削りながらアランらしさもあり、ネガティブさの少ないシェリー感はわかりやすい魅力もある。5000円台の価格設定としては優秀な1本ですね。シェリー系は夏に向かないと愛好家の中で評価されることもしばしばありますが、これはレビューでも触れた柑橘系のフレーバー故にあえてハイボールで使ったり、ロックにしたり、冷やして使うことも出来る、ハイプルーフながら使い勝手の良いシェリー系リリースだと思います。

マッカラン クラシックカット 2019年リリース 52.9%

カテゴリ:
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MACALLAN 
CLASSIC CUT 
LIMITED 2019 EDITION 
Cask type Sherry Seasond Oak Casks 
700ml 52.9% 

【ブラインドテイスティング】
地域:スペイサイド
蒸留所:グレンファークラス
熟成年数:20年程度
樽:シェリーカスク
度数:53~55%程度

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1~2ヶ月程度
場所:サンプル@TDNさん
評価:★★★★★★(6)

香り:近年のシーズニングシェリー系統。カカオチョコレートにローストアーモンド、微かにドライオレンジピールやハーブ。ウッディーで若干のえぐさを感じさせるビターなアロマ。

味:香り同様のシェリー感に加え、オレンジやハニージンジャーを思わせる甘みがシェリー感を支え、複数のフレーバーがバランス良くまとまっている。ボディは骨格がしっかりしており、余韻にかけてそれらのフレーバーの奥からひりつくような刺激も伴ってフィニッシュは長く続く。ほのかに樽材由来の生っぽさもあるが、嫌味に感じるほどではない。

アタックが強く、酒質のしっかりしたスペイサイドの蒸留所というイメージ。使われている樽は近年系のシェリーらしく、また量産されているためかそこまで良いモノではないように感じられるが、蒸留所が大手というか、クオリティを維持する工夫をしている印象がある。
比較的バランスの取れたシェリー系のモルトウイスキー。加水も少量なら悪くなく、香りで柔らかい甘さ、比較的綺麗に樽由来の香味が伸びてくれる。

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というのが一昨日、ツイッターでリアルタイムに書き連ねた今回のブラインド回答のまとめ。
いや、答え見えてるんであれですが、はい、また引っ掛かりました。マッカランです。
昨年11月、2017年リリースのマッカランクラシックカットをブラインドテイスティングして、グレンドロナックのカスクストレングスと答えたばかりなので、まるで成長していない結果に・・・(汗)

非常に悔しいのが、選択肢には入ってるのに除外してしまうんですよね、この蒸留所は。
今回はシェリー感やフレーバーから、クラシックカットの新しいやつか?と候補にはなったのですが、後述する理由から除外し、ひょっとしてリリースされたばかりの日本向けグレンファークラス・カスクストレングスのバッチ2かも、と直前方向転換。(よくよく見ると、ファークラスの該当リリースとは度数が合わないので、そこで気がつくべきだった。)

ブラインドではファーストインプレッションが正解って結構あるんですが、直感に対して後追いする知識、情報をいかに正しく使いこなせるかが本当に重要ですね。。。

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(マッカラン・クラシックカットのファーストリリース、欧米向けの2017年リリース。終売となったカスクストレングスを思わせるリッチなシェリー感と、本来のマッカランらしい口当たりの強い酒質が楽しめる。2019年リリースに比べると、シェリー感は濃いが、平均熟成年数は若いか。レビューはこちら

さて、マッカラン・クラシックカットについては、上記2017年のファーストリリースのレビューで商品解説もしているので詳しい説明は省略しますが、毎年異なるブレンダーが異なるレシピで仕上げる、伝統のヘレス産シーズニングシェリー樽100%、カスクストレングス仕様のリミテッドリリースです。
これまでは少量平行品が入る程度であまり話題になっていませんでしたが、2019年リリースからサントリーが正規輸入を開始しています。

2019年リリースの特徴から触れていくと、スタンダードのシェリーカスク18年で感じられた程度の熟成感。口当たりは骨格がしっかりしていて、シェリー樽の由来のフレーバーを受け止めてバランス良く仕上がっているというもの。シェリー樽はリフィルタイプも一部混じっているのか、味に幅があり、良い部分はダークフルーツ、チョコレート、そして柑橘系ドライフルーツという感じ。
余韻や香りはちょっとえぐいというか、甘さよりもビターなウッディネス、ドライオロロソのようなシェリー香が主体ですが、トータルでは悪くないですね。

正直、これが1本15000円というのは、マッカランやれば出来るじゃんという感じです。(直近のウイスキー相場に毒されているかもですがw)
複数樽バッティングだからこそのシングルカスクにはないバランス、幅のある香味。樽の質の問題というべきか、ネガティブな部分は少なからずあるのですが、市場にあまりない50%OVER仕様のシェリー系シングルモルトでは見るべきところがある1本だと思います。

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(先日”酷評”した、現行品2019年リリースのマッカラン12年と18年。シェリー感よりもボディの薄さ、特に12年はトワイスアップで飲んでるのかと思うほどのシャバシャバ系で、この印象が今回のブラインドに影響することに・・・。)

同時に、色々察してしまったのが、今回ブラインドでマッカランを除外する理由ともなった、通常リリースのシェリーオークの存在です。
何が違うって、度数が違うにしても明らかに酒質の厚みが違い過ぎるんですよね。香味の成分はアルコール成分と結び付く部分があるため、度数が高ければ香味は強く、そして厚みも感じやすくなる反面、加水すれば当然それらが失われていくのは仕方ないことですが、それにしたって薄い。その印象から、ブラインドではマッカランじゃなくてファークラスかも・・・と。

マッカラン・クラシックカットは数量限定で、ブレンダーが味を”安定させない”ことを選んで毎年毎年リリースしていくものです。そのため、原酒についてもある程度選べるのでしょうし、何よりカスクストレングスでのリリースです。
一方で、オフィシャル通常リリースは、マッカランの規模ともなれば何百万本と作り出さなければなりません。当然、ロット差を無くすため樽の誤差を吸収していく必要があるわけですが、なかには微妙なものも混じるでしょう。混ぜて加水すればある程度誤差は分散しますが、どうしても違いは出ます。となると、残る選択肢はフィルタリングしかありません。

強烈なチルフィルをあえてかけてリリースされたウイスキーに、オールドパー・シルバーがあります。あれもボディはかなり軽かった。
ある意味での去勢をあえてして、良い部分を犠牲に悪い部分を削り、安定に繋げたのが通常リリースで、それをしていないリリースの一つがクラシックカット。なんの裏付けもありませんが、1年前に飲ませてもらった近年のニューメイクはそれなりに厚みのあるもので、この仮説がに腑に落ちてしまうのです。
マッカランは原料と仕込みから死んだわけではなく、大量生産故の弊害であると。

ブラインドの結果そのものは非常に悔しいものでしたが、それ以上に上記仮説と共に、自分のなかで新しい気づきもあった、得るものの多いテイスティングとなりました。

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