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フォアローゼズ シングルバレル 50% ”4輪の薔薇の真実” Liqul掲載記事紹介

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FOUR ROSES 
SINGLE BARREL 
Kentucky Straight Bourbon Whiskey 
700ml 50% 

評価:★★★★★★(6)

香り:バニラやキャラメルに、華やかさの混じるウッディなトップノート。チェリー、林檎飴のフルーティーな甘さ。焦げた木材やパン酵母のような香りのアクセント。微かに溶剤系のスパイシーな刺激もあるが、全体的にはメローでリッチな構成。

味:飲み口は濃厚だが、度数に反して比較的マイルドで熟成感がある。新樽熟成に由来するキャラメル等のメローな甘みに混じる甘酸っぱさ、徐々にスパイシーな刺激、微かな香ばしさと焦げた木材のえぐみ。余韻は程よくウッディでドライ、スパイシーな刺激が心地よく続く。

まさに新樽熟成のバーボンらしさ。その中でもフォアローゼズのシングルバレルは華やかさ、フルーティーさ、そしてスパイシーな刺激が特徴的であり、他のバーボンと一線を画す個性として備わっている。これらはフォアローゼズのマッシュビルのライ麦比率の高さに由来すると考えられる一方で、7~9年というバーボンではミドルエイジ相当に当たる熟成を経たことと、50%への加水調整が全体をまろやかに、上手くまとめている。オススメはロックで。あるいは写真のようにアメリカンオークのウッドスティックを1週間程度沈めて、樽感を足してやるとなお良し。

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個人的に、バーボンウイスキーの現行品スタンダードラインナップの中で、一押しのブランドがフォアローゼズシングルバレルです。濃厚さ、甘さ、フルーティーさ。香味の複雑さと個性の強さとのバランス。特に5000円程度までという価格設定で考えたら、文句なくこの1本です。

その他の銘柄では、ノブクリーク・シングルバレル60%やエヴァンウィリアムズ12年等も候補。ただしノブクリークは比較するとえぐみが多少気になり、エヴァンウィリアムズ12年は近年香味の傾向が変わって、少々べたつくような質感が感じられること等から、熟成年数等に捕らわれず1杯の香味で考えると、やはり自分はフォアローゼズが一番好みです。(1万円台まで出すなら、現行品ではブラントンシングルバレルやスタッグJr等を推します)

■フォアローゼズ・シングルバレルの特徴
テイスティングノートでマッシュビル(原料比率)の話をしていますが、フォアローゼズ・シングルバレルは他のスタンダードなバーボンと異なり、ライ麦比率の高いレシピを用いていることが特徴としてあります。
一般的なバーボン。例えば上で候補として挙げたノブクリークは、コーン75%、ライ13%、モルト12%に対して、フォアローゼズ・シングルバレルはコーン65%、ライ35%、モルト5%と、明らかにライ麦の比率が高いのです。※補足:フォアローゼズは通常品のマッシュビルとして、コーン75%、ライ20%、モルト5%でも蒸留していますが、それでもライ麦比率が高い仕様です。

ラム麦比率が高いバーボンは、どのような特徴が表れるかと言うと、ライ麦パンのように香ばしさが強くなる…なんてことはなく。フルーティーでスパイシーな香味を感じやすくなる一方で、ドライな仕上がりにもなるという特徴があります。フォアローゼズ・シングルバレルに感じられる特徴ですね。
後は好みの問題ですが、ここにメローな新樽系の香味が熟成を経て上手く馴染むことで、飲み飽きない複雑さ、カドが取れて艶やかな甘みとフルーティーさが備わった、極上のバーボンに仕上がっていくわけです。

4輪の薔薇の真実とは?フォアローゼズ シングルバレル:Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.12 | LIQUL - リカル -

そうした原酒は、シングルバレルの中でも”プライベートセレクション”などでリリースされる、ごく一部のカスクに備わっているものですが、通常品シングルバレル(本ボトル)もそのベクトル上にある、レプリカとして位置付ければ申し分ないクオリティがあります。
スタンダード品だからと侮るなかれフォアローゼズ。その楽しみ方含めて、詳しくは今月の酒育の会「Liqul」にコラム記事として掲載させてもらいました。一方で、本記事ではコラム上では書ききれなかった、フォアローゼズのブランドエピソードの考察”4輪の薔薇の真実”について、バトンを引き継いでまとめていきます。

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画像引用:エピソード|フォアローゼズについて|フォアローゼズ|キリン (kirin.co.jp)

フォアローゼズのブランドエピソードについて、ウイスキー愛好家なら一度は”ブランド創業者のプロポーズ説(上画像)”を聞いたことがあると思います。
ですが、”FOUR ROSES ”のルーツは諸説あるだけでなく、何より知られていないのがこれから記載する、創業者プロポーズ説に対する疑問と、プロポーズしたのは創業者じゃなかった話です。


■創業者プロポーズ説の疑問
それは、ブランド創業者であるポール・ジョーンズJr氏(1840-1895)が、生涯モルトヤm...じゃなかった、”生涯独身”だったということです。
ブランドエピソードが正しければ、同氏は絶世の美女と結ばれているはずです。プロポーズは成功したが、結局結婚に至らなかったという可能性は残りますが、そんな苦い記憶を果たして自社のブランドに使うでしょうか。

また、フォアローゼズのブランドが商標登録されるのは1888年ですが、プロポーズが行われた時期がはっきりしないのも理由の一つです。同氏の年齢は商標登録時で48歳。10年、20年寝かせるアイディアとは思えず、仮に5年以内だったとしても、40代です。現代ならともかく、当時としては結婚適齢期を逃した中で絶世の美女にアプローチをする。。。そして一時的には認められたものの、結局結婚に至らなかった。
いやいや、悲劇的すぎるでしょう(汗)。しかも同氏は1895年に亡くなられるのですから、なんというか救いがありません。

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※フォアローゼズ一族とも言える、ジョーンズ一族の家系図。

そうなると、フォアローゼズのルーツは他にあるのではないか。諸説ある中で、正史候補としてコラムで紹介したのが「プロポーズしたのは創業者じゃなかった説」です。
主役となるのは、フォアローゼズ創業者一族であり、ポール・ジョーンズJr氏の甥にあたる人物で、後に会社経営を引き継ぐローレンス・ラヴァレ・ジョーンズ氏(1860-1941)。この人物が、まさに意中の女性にプロポーズを行い、4輪の深紅の薔薇のコサージュで返事をもらった人物であることが、同蒸留所の歴史をまとめた著書”FourRoses”に、創業者一族へのインタビューを通じてまとめられています。

ローレンス氏の恋は一目惚れではなかったことや。奥手だったローレンス氏は何度もアプローチをかけ、最後に12輪の深紅の薔薇と共にプロポーズをしたことなど。広く知られているエピソードとは若干異なるのですが。それくらいの誇張は…まあ広報戦略の中ではよくあることです。
また、真紅の薔薇についても、なぜ12輪でプロポーズして、返事は4輪のコサージュだったのか。別途調べてみると、この薔薇の数にも意味があり、時代背景と合わせて表立って語られない、より情熱的で奥ゆかしい、そんなバックストーリーがあることがわかってきたのです。(詳しくはLiqulの記事を参照ください。)

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■ローレンス氏プロポーズ説の疑問
一方で、「プロポーズしたのは創業者じゃなかった説」にも疑問点があり、この話が正史だと断定しづらい要素となっています。
まず、ローレンス氏は若くして才気があり、会社を継いでいく人間として期待されていました。
ローレンス氏がプロポーズしたのは、1880年代中頃。(仮に1885年としましょう。)
”フォアローゼズ”が、ポール氏の手で商標登録されたのは1888年です。
これだけ見れば、結婚から商標登録まで約3年。今後会社を継ぐ甥っ子のエピソードを、世代交代後に向けて商標登録したと整理できるので、何ら違和感はありません。

ですが、ポール氏はローレンス氏の結婚に大反対していたのだそうです。
最終的に結婚は認められますが、会社分断の危機に発展するなど紆余曲折あり、ローレンス氏が意中の女性と結婚出来たのは1894年。プロポーズから10年弱の時間が経過していることになります。
著書FourRosesにまとめられた内容をそのまま記載するなら、これはひとえに、結婚して家庭を持つことで、ローレンス氏のビジネスマンとしての才能が潰れてしまうことを危惧したためだったとか。しかし、思い出してほしいのが、結婚に大反対しているはずのポール氏が、1888年にフォアローゼズを商標登録しているのです。

かたや反対、かたや商標登録。なんなの?人格破綻者なの?と思わず突っ込みたくなる所業。
日本人的感覚で強引に結びつけるなら、ポール氏は結婚を内心認めつつも、反骨精神か、あるいは本気度を見るために反対し、一方で将来会社を継ぐエースのために準備はしていたと。ドラマの脚本にありそうな、不器用な愛情らしきものがあるとしか解釈できません。
なお、ローレンス氏の結婚が認められた1894年の翌年、1895年にポール氏は55歳と言う若さで亡くなるのですが、原因は腎臓の炎症、ブライト病とされたものの、前兆はなく普通に仕事をしている最中だったそうです。なんとなくですが、TVドラマにありがちな景色が頭の中に再生されてくるようです。

以上のように、2人の関係のこじれについて、強引な解釈をする必要があることから100%この説が正しいとは言い切れないのですが、創業者一族へのインタビューや事実関係、時系列で考えると、少なくとも生涯独身の創業者がプロポーズしたというよりも、あるいは「メーカーのお祭りで踊った女性4人の胸元に薔薇のコサージュがあったから」という何の厚みもない説よりも、ローレンス氏のプロポーズ説は確度が高く、お酒を美味しくしてくれるエピソードとして歓迎できるものだと感じています。
正直なところ、この手のブランドエピソードは多少誇張や改変があるのが当たり前で、もう1世紀以上も前の話なのだから何でもいいという感情があるのも事実です。ただし、それがあることでお酒が美味しくなるなら。あるいは今回のように考察の余地があり、あれこれ考える楽しみが残るなら、支持すべきは間違いなく”ロマン”のあるほうでしょう。

フォアローゼズに限らず、これと知られているエピソードも、調べてみると実は違っていたり、疑問が残っていることは少なくありません。ウイスキー片手にその領域に踏み込んでみる楽しさは、さながら歴史学者になった気分です。一部地域に住む方々は、まだ大手を振って夜の街にとは言い難い状況。ならば夜のひと時を、時間の流れを遡って、あれこれ考えて楽しんでみてはいかがでしょうか。
趣味の時間として、充実のひと時をもたらしてくれることと思います。

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(禁酒法があけた1935年に登場する、フォアローゼズのPR広告。この時点でポール氏が舞踏会でプロポーズするエピソードが使われている。今ほど情報確度が高くなく、大らかだった時代の産物が、80年以上経った現代まで使われ続けているのは興味深い。)

フォアローゼズ 1950年代流通 43% ブレンデッドウイスキー

カテゴリ:
FOUR ROSES
Fine Blended Whisky
1950's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人所有スペース持ち寄り会@OY氏
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:カラメルソース入りの濃い紅茶を思わせる甘いアロマ。奥には淡い植物感を伴う穀物香、バニラ、若干のコゲ感を伴うしっとりとしたウッディネス。

味:メローでスムーズな口当たり。メープルシロップやキャラメリゼ、シロップ漬けチェリー。ややベタつくがコクのある甘み。
余韻はウッディでタンニンを伴いつつドライ。焦げたトーストと微かにハーブ香、ほろ苦くもスウィートで長く続く

香味ともスタンダードボトルとは思えない程しっかりした樽由来の甘みが特徴。全体的には良質なオークフレーバーが充実しているが、奥には穀物系の軽い香味、半世紀の経年を経てか、多少抜けたような部分も感じられる。


先日開催された持ち寄り会でテイスティングさせていただいた貴重な1本。フォアローゼズは1960年代流通は飲んだことがありましたが、50年代は初めて。ましてブレンデッド表記ともなれば未知との遭遇です。現行品のバーボンの中ではローゼズ推しなのもあり、ラベルだけでテンションが上がってしまいます。

何せこの手のスタンダードグレードのウイスキーは、流通時期的に日本に入らないだけでなく、普段飲みとして普通に消費されてしまうので市場に残りにくい傾向があります。
それこそ下の写真のように、コークハイあたりのジャンクな使われ方でガンガン飲まれたのではないかなと予想します。

(まさに意識が低い組み合わせの再現図。新旧合わさるこの構図が撮れて満足※今回は実際には混ぜていません。)

フォアローゼズブランドは、シーグラム傘下となる1940年代から一定期間、ストレートバーボンではなくブレンデッドウイスキー表記でリリースを行なっていました。

当時のシーグラム社はカナディアンウイスキーの蒸留所を所有していただけでなく、禁酒法明けの1934年、アメリカ市場にブレンデッドウイスキーであるセブンクラウンを投入。
フォアローゼズは禁酒法時代も生産を続けていた蒸留所で原酒が不足していたとは思えませんが、ライトなウイスキーが流行っている国内には 、ウッディで濃厚なバーボンタイプよりも、ライトでスムーズなブレンドが受け入れられると考えたのでしょうか。

米国酒税法における「ブレンデッドウイスキー」は、ストレートウイスキーが20%以上の割合を占めることとされていますが、スピリッツをブレンド出来ることと、この当時のボトルに限れば「アメリカン」表記がないことから、アメリカ以外で生産された原酒を使うことも可能でした。
流石に今回のボトルは甲類アルコールが混じった薄い味なんてことはなく、バーボン特有のしっかりとメローで濃厚な甘み、そこにカナディアンっぽい軽い穀物感が混じる印象で、飲んでいる時はこういうもんかと思いましたが、後から考えて成る程と・・・。何れにせよ、低品質なウイスキーというわけではありません。

このように、本国でのフォアローゼズはブレンデッド規格でリリースされており、これが一説では2002年のキリン傘下となるまで続いたとのこと。
ですが少なくとも海外市場においてはそうではなく、シーグラム社はアジアやヨーロッパにはバーボンウイスキーを輸出しており、1960年代に輸出されていたフォアローゼズ6年はケンタッキーストレートバーボン表記でした。
当時国内向けの商品はアメリカンブレンデッド表記であり、国内には国内の需要を満たし、世界的にはバーボンウイスキーとしてのブランドを確立していく戦略だったのだと考えられます。(似たような動きは、今の日本の一部企業にも見られますね。)
貴重なボトルを体験させていただき、ありがとうございました!


ちなみに余談ですが、フォアローゼズの由来としてFour Rose=4つの薔薇=求婚ストーリー、あるいは創業者に関する4人のローズ氏など、異なる名付けの由来が存在します。
現在、日本で広く知られているのはロマンチック?なバラのコサージュのエピソードですが、実際は後付けでシーグラムあたりが広告戦略として付け加えたのではないかと考えている派です。

フォアローゼズ シングルバレル プライベートセレクション 2017 8年 OBSV 61.9%

カテゴリ:
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FOUR ROSES
SINGEL BARREL
PRIVATE SELECTION
Aged 8 years 8 m
Bottled 2017 Sept
Recipe Selected OBSV
700ml 61.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:溶剤的な刺激のある香り立ち、時間経過で甘みが開き、ウッディでメロー、チャーオークのキャラメルやチョコレート、奥から植物っぽさ、微かにジンジャー。

味:パワフルでメローな口当たり、クリーミーで甘酸っぱい。シロップ漬けのチェリーや熟した皮付きオレンジ、フルーティーさのある新樽フレーバー。 
余韻はドライでスパイシー、程よいウッディネスをキャラメルの甘みが覆うように広がり、長く続く。

やや溶剤的な刺激が最初に飛び込んでくるが、その後はチャーオークのパワーのある甘み、果実のニュアンスも感じられるフルボディで旨いバーボン。ロックにすると刺激が和らぐだけでなくクリーミーさと味のふくらみ、甘みが増して美味しく楽しめる。例えるなら、棘のある薔薇のような1本。


当ブログイチオシの現行品バーボン銘柄と言っても過言ではない、フォアローゼズ・シングルバレル・プライベートセレクション。
日本に正規輸入はされておらず、蒸留所の限定品か、現地のショップが詰めたものを購入するかが現在の主な入手経路。今回のボトルはアメリカのリカーショップBevMoのボトリングで、マッシュビルはコーン60%、ライ35%、モルト5%、レシピパターンはOBSVとする仕様となっています。

このレシピパターンの4文字のうち注目するのは2番目の文字と4番目の文字。(1番目と3番目は全部同じなのです。)
2番目にはマッシュビルの違いでBとEの2種類が、4番目には酵母の違いでV、K、O、Q、Fの5種類があり、そこに樽ごとの熟成期間を加えて、それぞれで香味の違いを生み出す要素となっています。※下記参照。
今回のVはdelicate fruitiness というタイプ。色から感じる通りどっしりとした樽感、メローな甘さの上にスパイシーな刺激と合わせて繊細なニュアンスが感じられ、時間経過で馴染んでいく様がテイスティングで感じられました。 
ピリッとした刺激はライ比率が多いことに由来するのか、強い樽感にの中に華やかさがありつつもっさりしすぎない、いいアクセントになっています。

(フォアローゼズ蒸留所の熟成庫。均一なサイズ、高く積まれた樽の数々がスコッチのそれと異なるシステムを感じさせる。Photo by T.Ishihara)

さて、プライベートセレクションはフォアローゼズのコミュニティに入れば樽ごと購入することも出来るようなのですが、先に書いたように日本のメーカーがボトリングをした事例はありません。
そんな中、つい先日酒類輸入業者の田地商店さんが現地ショップ向けボトルの在庫を並行輸入し、少量ですが信濃屋を通じて国内に展開されはじめました。

レシピ違いを含めて樽ごとの違いが大きいバーボンであるため、これまで自分が飲んで来たものと同等のクオリティかはわかりませんが(ちと色が薄いボトルが多いのが気になる。。。)、これで味がいいバーボンだと評価が広まり、メーカーが動いて日本でも安定してリリースされるようになると良いなと。
特にその手の動きが活発な酒販業者としては、ビックカメラさんやリカマンさんあたりに期待しています(笑)。


※レシピ表記の意味
1番目(フォアローゼズ銘柄である表記)

2番目(マッシュビル)
B:コーン60%、ライ35%、モルト5%
E:コーン75%、ライ20%、モルト5%

3番目(ストレートバーボンを意味する)

4番目(酵母の違いによる酒質のキャラクター)
V:Delicate fruitiness
K:Slight spice
O:Rich fruitiness
Q:Floral essence
F:Herbal essence

※レシピ以外の個人的主観(ご参考まで)
同シリーズ10本近く試したうち、色が濃いボトル(赤みがかってるとベスト)の方が味が良い傾向あり。

フォアローゼス 1970年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
FOUR ROSES
Kentucky Straight Bourbon Whisky
(Aged 6 years)
1970's
48ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:小瓶2本
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:甘く華やかな香り立ち。シロップ漬けのチェリー、カラメルソース、酵母、ほのかにハーブや植物系のニュアンスを伴うウッディーなアロマ。微かに鼈甲飴のような古酒系の香りも混じる。

味:コクのある口当たりから、メープルシロップ、トーストしたパン、ほのかにドライベリーの甘酸っぱさを伴うメローな甘さ。ボディはしっかりして厚みがあり、度数以上の飲みごたえがある。
余韻にかけて心地よいスパイスとウッディネス、微かに古酒っぽさ。華やかな樽香が喉から鼻腔に届く。

現行品のとってつけたような樽香やボディの薄さはなく、深みとコクのある味わい。ロックでも氷に負けない線の太い香味が楽しめる。

先日、萌木の村の舩木村長から「幸せのおすそ分け」を頂いたフォアローゼスの1970年代流通品。
当時のフォアローゼスは6年表記がネック部分にあった筈ですが、ミニボトルなのでネックラベルが省略されている模様。京橋時代のキリンシーグラムが輸入していることから、同社設立の1972年から、移転するまでの1977年の間に流通したものと考えられます。

このミニボトル、酒屋の倉庫から10ケース、120本出土したとのこと。倉庫保管だけあって状態は非常に良く、開封時から当時のバーボンらしいコクのある甘い香味を存分に楽しむことが出来ました。
また、ほのかに植物っぽいフレーバーが香味に混じっており、これが華やかな樽香と合わさることでさながら薔薇の花のようにも思えてきます。
やはりオールドのバーボンは、現行品とはひと味もふた味も違いますね。

(フォアローゼズの"ダブル"、再留用の蒸留器。連続式蒸留器であるビアスチルで初留が行われた後、このスチルでもう一度蒸留を行う。形状は各蒸留所毎に様々で、スコッチモルト同様に違いを調べるのも面白い。 Photo by T.Ishihara)

フォアローゼスのオールドボトルは自分が飲み始めた頃に何度か酒屋で見かけましたが、手を出さぬまま今日に至っており、これでまたひとつ経験を積むことが出来ました。 
今回に限らず、ブログを通じて様々な繋がりが出来、こうしてテイスティングの機会を頂いているわけですが、それは自分の活動と能力に関心を持ってくださってるという事でもあり、ただただブロガー冥利に尽きる話です。

このフォアローゼスのコメントをまとめている中でも、舩木さんをはじめウイスキー仲間から新たなサンプルを複数頂いております。
実は週明けに風邪をこじらせて鼻があまり効いてないので、さすがにこの状態で新規テイスティングは困難であり、体調を整えたらトライします。
頂いたサンプルは時間がかかっても全て記録し、感想をお返ししますので、皆様今後ともよろしくお願いします。

フォアローゼス シングルバレル プライベートセレクション 10年 OESO 56.5%

カテゴリ:
フォアローゼス プライベートセレクション
FOUR ROSES 
SINGLE BARREL 
Private Selection 
Specially Selected By LIQUOR BARN 
Recipe Selected OESO 20% Rye mashbill / Rich Fruitiness 
Aged 10 years 8 months 
Bottled 2015 Jury 
56.5% 750ml 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)

香り:スパイシーで華やかな香り立ちから艶のある甘いウッディネス。ほのかに焦げ感、濃く入れた紅茶、シロップ漬けのチェリーやベリー。陶酔感あり。加水すると華やかさが増すが、少し溶剤系のニュアンスも。

味:コクのあるリッチな口当たり、スパイシーで甘酸っぱいオークフレーバーはアプリコット、ドライオレンジにハーブのニュアンス。ウッディーなチャーオークフレーバーと爽やかさが鼻に抜ける。
余韻はウッディーでビター、スパイシー。少量加水するとバランスが良くなる。


フォアローゼス蒸留所の限定品であり、一部現地酒販でカスクチョイスされたものが限定的に販売されているプライベートセレクション。今回のボトルは現地のリカーショップ、LIQUOR BARNがフォアローゼスから買い付けてリリースしているボトルになります。
先日、ウイスキー仲間のIさんから頂いた(強奪した)同ボトルのレシピOBSK・2014年ロットが予想以上の美味しさで、次回アメリカに行かれるときは蒸留所で大人買いしてきて欲しい旨を伝えたところ、蒸留所限定品2本、LIQUOR BARN詰め3本、計5本のプライベートセレクションを調達して頂きました。

ラベルは通常のフォアローゼスシングルバレルと異なり、金地に真紅の薔薇の花。薔薇の色は同じはずですが、プライベートセレクションのほうが映えるように見えます。
同銘柄はシングルカスクでのリリースで、熟成年数や度数がボトル毎に異なるのはもちろん、ライ麦比率など製造行程の違いから10種類のレシピで分けられており、それぞれ異なる味わいが楽しめるのも特徴。そして何より、近年バーボンウイスキーのライトフレーバー化が著しく、樽の質も芳しく無い中で、一定以上の品質を保っている"旨いバーボン"であるのが最大の特徴と言えます。
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市販されている現行品のフォアローゼス シングルバレルも悪くは無いのですが、飲み比べるとその差は歴然。例えるならプライベートセレクションが画家本人が書いた絵画であるのに対し、市販品はそれを愛好家が模写したものという印象。   
先述の現地調達品5本を現行品と共に飲み比べましたが、それぞれのレシピの違いを楽しめつつ、完成度はどれも頭1つから2つ抜けている。
価格も60~70ドル程度で、現地では普通に売っているのですから、日本に入ってくるバーボンの質と現地の物量の差に、ちょっと嫉妬してしまいます。

今回テイスティングしたプライベートセレクションのレシピ、OESOの特徴は、Frutiy(Red Berries) Medium Body。見るからに美味そうな赤みがかった色合い。香味にそれぞれ甘酸っぱさがあり、良質なオーク由来と思しきコクのある甘みと、酒質由来と思しきスパイシーな口当たりで完成度の高いバーボンに仕上がっています。
ちなみに現地での一番人気はOBSF(Mint Fruity Spicy, Full Body)、これは今回の買い付けでは入手できなかったとのことで、いつか飲んでみたいものです。

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オマケ:先日自宅で開催したバーボン会での1シーン。フォアローゼス プライベートセレクション 飲み比べ。
右奥は参考品として日本流通のシングルバレル、流通時期違いで2種類。
どれが一番高評価かは意外と分かれて面白かったですが、どのボトルもローゼスらしい華やかさが素晴らしい。
日本では中々出来ない試みが実現できたのも、ひとえにIさんのおかげ。感謝!

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