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ミルウォーキーズ クラブ 35周年記念 アメリカンスタイルウイスキー 53%

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MILWAUKEE’S CLUB 
AMERICAN STYLE WHISKY 
35th anniversary edition 

PREMIUM SELECTION 
THE 60s DISTILLATION 
MATURED FOR OVER HALF A CENTURY 
FINAL BARREL 
500ml 53% 


川口の老舗BARミルウォーキーズクラブが、2025年に同店の35周年を記念して詰めたボトルの一つ。
ラベルには60年代の蒸留、熟成は半世紀以上という記載。 蒸留所名は不明ながら、長期熟成のアメリカンスタイルウイスキー(500ml 53%)です。

素晴らしい熟成香。長熟由来の陶酔感ある艶やかなウッディネス。カラメルソース、チェリーやレーズン、微かにブラッドオレンジ、紅茶とカカオのヒント。
まさにオールドバーボン。グラスで香りを存分にひらかせ楽しむのが正解。
 一方で味はというと、香りの複雑さや広がりに反して中間が軽く、余韻の苦味、タンニンが際立つようにも感じました。

香りの素晴らしさだけで特筆ものですが、この熟成感の違い、香りと味わいのズレは何処からくるのか。
ボトルを飲んだだけで、ミルウォーキーズクラブ等で素性を聞いたわけではないのですが。味わいと自分の記憶からこの原酒の素性を紐解くと、ポイントは製造者、笹の川酒造でしょう。

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バーボンタイプの長期熟成で笹の川酒造というと、タンク保管原酒が思い浮かびます。 かつて1970〜1980年代の地ウイスキー時代、笹の川酒造が5〜10年熟成のバーボンを大量に買い付け、それをベースにTHIS isという地ウイスキーをリリースしていました。
その後余った原酒は樽に詰められ、5〜10年さらに貯蔵。その後はタンクに詰められ10年、20年…。

その原酒の一部は、2000年代に入って当時倉庫と製造拠点を間借りしていたベンチャーウイスキーが、クエッションという銘柄をシリーズでリリースしたり。 笹の川がチェリー・プレミアム等でリリースしたり、少しずつ日の目を見ていきす。
そして記憶している限り、最後にこの原酒がリリースされたのは2016年、確かこの時は樽熟とタンク貯蔵の合計が40年オーバー。山桜ブランドでリリースされました。
そこから約10年後の2025年。今回のラベル表記は“OVER HALF A CENTURY“ですから、計算は合います。 まだあったんですね、この原酒。

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(笹の川酒造の250周年を記念し、2016年にリリースされた山桜レアオールドウイスキー。当時の説明は保管期間40年以上のうち樽貯蔵期間は15年➕α、残りはタンク保管)

樽熟成のみで50年オーバでないならば、香りにある15年から20年程度のバーボンのオールドにあるような艶やかなアロマ。 一方で瓶熟ならぬタンク熟でゆっくりと変化して整った形であれば、香りに反して味のボディが少し軽めなのも納得できる気がします。
ただ余韻の樽感がちょっと立ってる気もするので、あるいは最後に数年タンクから出して樽貯蔵してたかな?とも予想します。

かつての日本のウイスキーブームと終焉、当時のアメリカ側の原酒の余剰、様々な偶然が重なった結果日本に残っていた貴重なバーボンウイスキー。(日本での熟成を経ているのでアメリカンスタイルウイスキー)
ちなみに原酒そのもののでもとは、笹の川酒造に記録が残っておらず不明。ただし味わいからヘブンヒルではないか?という考察をしていたのは、ウイスキーガロアの前身、ウイスキーワールド誌でクエッションシリーズを特集した際、ミルウォーキーズクラブのオーナー、白井さんその人でした。
この考察が正しければ、なんとも縁を感じる、35周年の素晴らしい記念かつ貴重なリリースですね。 

※後日談
SNSの方に投稿していたところ、とある方から↑の考察は9割5分くらい正しいとお墨付きも頂きました。ボトル所有者から飲ませてもらっただけでしたが、頓珍漢な発信じゃなくて安心しました。

ニンフ ヘブンヒル 2009-2025 15年 51.4% T&T with くりりん

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HEAVEN HILL 
The Nymph “Woolly Bugger” 
Aged 15 years 
Distilled 2009 
Bottled 2025 
Cask type Barrel 
For T&T TOYAMA with くりりん
700ml 51.4%

香り:柔らかく立ち上るヘーゼルナッツ、バニラ、干藁や穀物のアロマ。軽やかなウッディネスと香ばしさに合わせて、パンケーキやオレンジピール、パイナップルなどのドライフルーツが淡い華やかさを伴って豊かに香る。

味:メープルシロップのようなコクと膨らみがあり、バニラウェハースやレモンジャムのフレーバー、香りで感じた干草やヘーゼルナッツ、微かなスパイスが含み香として広がる。
余韻はまろやかなウッディネスと穀物由来の甘さ、柑橘系のジャムを思わせる果実味が長く続く。

 ヘブンヒルらしい個性が、まろやかな味わいの中に感じられる。 15年熟成のバーボンとして想起されるものより、色合いは軽やかで口当たりはソフト、綺麗な仕上がりであるが、熟成由来の果実味、複雑さはしっかりと備わっている。まさに淡麗旨口アメリカン。 飲み方はストレート、1杯目のバーボンにぜひ。

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ウイスキーボトラーズのT&T TOYAMAとの共同リリース。T&Tとは直近1年ではカバラン、桜尾・戸河内とリリースに関わらせて貰いましたが、今回「with くりりん」がバーボンからも登場です。

The ニンフは、釣り好きな稲垣代表の趣味もあって毛鉤をラベルに用いたシリーズ。今回ラベルに描かれているWoolly Bugger(ウーリーバガー)は、フライフィッシングでは世界的に有名かつ万能、無敵と称される毛鉤。ヘブンヒルは最も有名なバーボンの一つですし、エライジャ、エヴァン、フィッツジェラルド…などの様々な銘柄に用いられる万能選手、かつ長期熟成したその味わいはまさに無敵。中身とラベルのマッチしたチョイスです。ちなみにフライの方は、私も管釣りでよく使ってます。

発売は5/25、お値段は近年のボトラーズリリースで同等程度のスペックのヘブンヒルと比較して、だいぶお求めやすい設定になっていますが、言うてバーボンだし、じわじわ売れていって貰えたら…と思っていたら、即日完売。
皆様、ありがとうございました。

そんな訳でヘブンヒルですが、この蒸留所は1996年に一つの線引きがあるのはご存知かと思います。そう、あの大火災です。
これによって原酒だけでなく蒸留機能も焼失してしまった訳ですが、その後ヘブンヒル蒸留所はルイビルにあるIWハーパーのバーンハイム蒸留所をディアジオから買収し、1999年に蒸留を再開しています。
今回のリリースは言うまでもなく再稼働後のものですが、その個性はヘーゼルナッツやシリアルなどの軽やかな香ばしさに干し草のような植物感が微かに混ざる、これがチャーオークのメローな味わいと合わさってまさにバーボンと言える風味を形成します。

若い原酒の場合、この個性のネガな部分が目立ったりしますが、熟成を経ていくことで良いアクセントになるんです。
他方でウイスキーは熟成が進むと樽感が強くなるため、どうしても酒質由来の個性が分かりにくくなります。特に新樽を使うバーボンはその傾向が強い訳ですが、今回のヘブンヒルは15年の熟成を経てなお樽感はソフト、熟成由来の複雑さや口当たりのまろやかさはある一方で、そこまでどっしりとした仕上がりにはなっておらず、個性が掴みやすいのも特徴です。

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余談ですが、ほぼ同じタイミングで乾杯会さんからもwith くりりんのバーボンがリリースされていました。
エライジャクレイグのプライベートバレル。こちらはまた別途紹介させて頂こうと思いますが、原酒のでもとはどちらもヘブンヒル。ですがこちらは9年熟成表記で66.2%のハイプルーフ。メローでザ・バーボンというような力強い個性が特徴。

偶然にもリリース時期が重なった、ヘブンヒル蒸留所からのくりりん印、2種類のリリース。単体でも勿論美味ですが、比較することでその個性、魅力を一層感じて頂けると思います!

ミクターズ US1 スモールバッチ バーボンウイスキー 45.7%

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MICHTER’S 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKEY 
SMALL BATCH 
US★1 
750ml 45.7% 

評価:★★★★★★(6)

香り:メローでスパイシーな香り立ち。ウッディで焦げ目のついたトーストを思わせる香ばしさ、キャラメル系の甘さの中に、オレンジや熟したプラムを思わせる果実香も混ざり、まさにバーボンらしいアロマ。

味:マイルドで濃厚、香り同様にメローな甘みとコク、オレンジを思わせる甘酸っぱさのアクセント。合わせて微かにイーストのような含み香が鼻腔に抜ける。余韻にかけてスパイシーでウッディ、徐々にタンニンが口内に仕込みんでじんわりとした刺激を伴い長く続く。

嫌味の少ない新樽のメローな甘さ、粘性のあるリッチなフレーバーに、適度な主張の残った口当たり。ロックにしても氷を受けてしっかり伸びてくれる。個人的に、バーボンらしいバーボンだと言える味わいの一つであり、安心感すらある。
前情報のない状態で飲んだ際、熟成は8年程度と感じたが、実際は5年程度とのこと。樽詰め度数や樽そのものの製法等、現在のミクターズブランド独自の工夫が効いているのだろう。近年のバーボンは樽感がドライ、あるいはえぐみが強く出ているものが散見される中で、この完成度の高さは得難い。ノンエイジ仕様と侮るなかれ、中身は大手上位グレード同等のクオリティを備えている。

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「ミクターズ」というブランド名に反応してしまう方は、かなりウイスキー歴の長い方か、バーボン好きである可能性が高い。理由は後述しますが、そうでない方には、このバーボンは様々ある銘柄の一つ、ひょっとすると酒屋の棚の風景の一部としか映っていないのではないでしょうか。
ですが、このミクターズはバーボンというお酒の歴史や世界観を詰め込んだような、味わいだけでなく情報としても厚みのある一本なのです。

最近、家飲み頻度が増えたことで、該当するバーボンを飲みながら銘柄の由来や歴史を紐解くことにハマっています。記事にしたところでは、フォアローゼズのブランドエピソードの矛盾、テンプルトンライの集団訴訟とバーボン業界の転換点…スコッチとは違う性質のバックストーリーがあり、また日本に伝わっている情報も少ないので、飲みながら調べて考察するのが楽しいのです。
今日はこのミクターズについて、現在と昔、2つの視点に整理して情報をまとめていきます。

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※1:ミクターズ・シャイヴリー蒸溜所。外観は蒸溜所というよりオフィスのよう。

■現在のミクターズ
現在、ミクターズはケンタッキー州ルイビルにある、Michter’s Shively (ミクターズ・シャイヴリー)蒸溜所で造られています。この蒸溜所の正式な稼働開始は2015年からで、2019年には博物館やビジターセンターを兼ねたもう一つの蒸溜所:フォートネルソンが、同じくルイビルに完成するなど、ウイスキー需要増を追い風にして順調に事業を拡大しています。

今回テイスティングしたUS1バーボンウイスキーのマッシュビルは、コーン79%、ライ11%、モルト10%。特筆するレシピではないですが、しいて言えばアーリータイムズと同じである点が、後述する噂話を裏付けているように感じます。
それよりも注目すべき点は、ミクターズは「コスト度外視」を掲げ、ウイスキーの製造に様々なアイディアを採用していることにあります。
代表的なものをざっくりまとめると

・熟成に用いる樽は、一度トーストして樽材内部を加熱した後、焦げ目をつけるチャーを行う2段階作業。
→樽由来のフレーバーが上質に、豊かになる。
・業界基準よりも低い度数(103 proof)での樽詰め。
→熟成後の加水調整を最小限にとどめるので、香味の複雑さが増す。
・熟成庫にヒートサイクルを入れ、温暖な状況を維持する。
→熟成スピードの上昇。

以上の通り。それぞれコストが上がる要因となりますが、→に記載したように、香味に直結する効果が期待できます。
これら以外にも、樽の乾燥期間について18~36カ月と、通常のバーボンに比べて長期間の乾燥が行われたものを使用する。原料に最高級の穀物を使っているなどもありますが、程度が不明瞭だったため、可能な限り上質なものを使用しているくらいの認識にとどめます。
しかし結果として、5年程度熟成のバーボンでありながらテイスティングした印象は、一般的な8年熟成品以上の濃厚さ、完成度があります。独自の工夫が香味を高めているのだと、コスト度外視の方針は納得出来るものでした。

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※2:ミシガン州にあるミクターズ蒸溜所のヒートサイクルウェアハウス。同社は複数の貯蔵庫を複数地域に持っており、原酒保有量は175000バレルにもなると言われている。


■旧ミクターズ
ミクターズのルーツは、ラベルにも書かれた1753年、アメリカではじめてウイスキーを製造した公認蒸溜所であること。独立戦争時にも飲まれていたウイスキーだと言われています。
かつてのミクターズ蒸溜所は現在のルイビルではなくペンシルベニアにあり、1990年に経営不振で閉鎖されるまで(蒸溜は1989年まで)ウイスキーを生産していました。その後、この旧ミクターズ蒸溜所(別名:ボンバーガー蒸溜所)の1970年代蒸留の原酒の一部が、長期熟成を経てA.H.ハーシュとしてリリースされることになるのですが、これをきっかけとして同銘柄、同蒸溜所は伝説的とも言える評価を受けていくことになります。

一方1997年、放棄されていたミクターズの商標権を、チャタムインポート社が取得。2000年からミクターズ名義のウイスキーのリリースが始まります。
当時の同社は蒸溜所を持っておらず、UD、ヘブンヒル、オールドフォレスター、ウィレット等、多くの蒸溜所から原酒を調達して、単一またはブレンドしたものをリリースしていました。また、中でもブラウンフォーマングループとの結びつきが強く、2015年に発売を開始したUS1は、アーリータイムズ蒸溜所の原酒に独自の工夫を施して熟成させたものだと、”うわさ”されています。

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※3:旧ミクターズ蒸溜所(ボンバーガー蒸溜所)外観

独自の蒸溜所を持たず、銘柄の商標権をもって買い付けた原酒をリリースするスタイルは、バーボンウイスキー業界では珍しいことではありません。
が、それを伝説的ブランドに成長していたミクターズでやったこと。また、旧ミクターズ蒸溜所の原酒と、復活したミクターズブランドの原酒は、例えば同じマッシュビルである等の関連性が無く、全く別物であったことから、愛好家の反発を受けたであろうことは想像に難くありません。

それでも、ブランドがこうして今日に至るまで継続し、蒸溜所も操業&拡張路線であるのは、リリースされた中身が良質であり、徐々にヘイトが落ち着いていったためであるのだとか。
バーボン版軽井沢、A.H.ハーシュが伝説的でカルト的な人気を持つこともあり、今のミクターズは本当のミクターズではないという火種もあるはありますが、やはり味というのは重要なファクターなんだなと感じさせられるエピソードです。


■再び現在のミクターズ
さて、ここで再び話を現在のミクターズに戻します。
今回テイスティングしたUS1バーボンウイスキーは、単に5年程度熟成のバーボンとしてだけ見ればやや割高であると言えますが、クオリティは上述の通りです。また、ルーツとしてのエピソードを知った上で味わうと、かつてのミクターズとの繋がりはないものの、その名前の上に胡坐をかくような造りはしていないと感じます。

ちなみにミクターズ・シャイヴリー蒸溜所の操業は2015年からであり、熟成年数を考えると、US1は新たに設立した蒸溜所の原酒への代替も可能なタイミングが来ています。
この点については、調べても原酒が置き換わったという話はなく。同社はどうやらプレミアムグレードの10年を、2026年頃を目安に置き換えることを優先し、原酒を確保しているようです。

ミクターズのブランドは、日本に輸入されてないものを含めるとかなりの数があり、一度に入れ替えとはならないでしょう。
ボトリング設備を有する蒸溜所を、ペンシルベニアではなくルイビルのブラウンフォーマン蒸溜所(アーリータイムズ蒸溜所)のすぐ近所に建設したことも、長期的に見て自社蒸留原酒と外注した原酒でのハイブリットを継続することを想定しているのかもしれません。

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※4 現在のミクターズウイスキーの10年グレード。原酒は不明だが、ヘブンヒル、オールドフォレスター、ユナイテッドディスティラリーが含まれていると噂されている。

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※5 ミクターズ・シャイヴリー蒸溜所のポットスチル。同蒸溜所は一般に公開されていないため情報が乏しいが、こちらの記事に計画と内装の情報が詳しくまとめられている。

なお、ミクターズのラベルにはポットスチルが書かれており、新しい蒸溜所においてもシンボルとなっています。
現在原酒を調達しているメーカーが噂通りだとすると、蒸留機の形状から大きく変わっていくことは明らかです。結果、現在の香味が維持されるのか、全く異なるスタイルが生まれるのか、それはまだ様子を見ていくしかありません。

しかしリリースに用いられた独自の工夫が産み出す結果を味わう限り、自分には現在のミクターズの方向性が間違っているとは思えないのです。その工夫は、今後のリリースにも使われていくわけですから。
現在のものも良いですが、未来のミクターズは、きっとさらに良いウイスキーになるのではないかと期待しつつ、今日の記事の結びとします。


画像引用:
※1、※4:Facebook ミクターズ公式アカウント
※2:https://thebourbonculture.com/whiskey-info/michters-distillery-past-present-and-future/
※3:https://en.wikipedia.org/wiki/Bomberger%27s_Distillery
※5:https://www.distillerytrail.com/blog/michters-distillery-joe-magliocco-talks-doubling-capacity-1000000-gallons/

執筆時参照情報:
・https://thebourbonculture.com/whiskey-info/michters-distillery-past-present-and-future/

・http://michters.com/
・https://www.distillerytrail.com/blog/michters-distillery-joe-magliocco-talks-doubling-capacity-1000000-gallons/
・https://www.distillerytrail.com/blog/michters-distillery-announces-opening-date-for-whiskey-row-fort-nelson-distillery/

フォアローゼズ シングルバレル 50% ”4輪の薔薇の真実” Liqul掲載記事紹介

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FOUR ROSES 
SINGLE BARREL 
Kentucky Straight Bourbon Whiskey 
700ml 50% 

評価:★★★★★★(6)

香り:バニラやキャラメルに、華やかさの混じるウッディなトップノート。チェリー、林檎飴のフルーティーな甘さ。焦げた木材やパン酵母のような香りのアクセント。微かに溶剤系のスパイシーな刺激もあるが、全体的にはメローでリッチな構成。

味:飲み口は濃厚だが、度数に反して比較的マイルドで熟成感がある。新樽熟成に由来するキャラメル等のメローな甘みに混じる甘酸っぱさ、徐々にスパイシーな刺激、微かな香ばしさと焦げた木材のえぐみ。余韻は程よくウッディでドライ、スパイシーな刺激が心地よく続く。

まさに新樽熟成のバーボンらしさ。その中でもフォアローゼズのシングルバレルは華やかさ、フルーティーさ、そしてスパイシーな刺激が特徴的であり、他のバーボンと一線を画す個性として備わっている。これらはフォアローゼズのマッシュビルのライ麦比率の高さに由来すると考えられる一方で、7~9年というバーボンではミドルエイジ相当に当たる熟成を経たことと、50%への加水調整が全体をまろやかに、上手くまとめている。オススメはロックで。あるいは写真のようにアメリカンオークのウッドスティックを1週間程度沈めて、樽感を足してやるとなお良し。

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個人的に、バーボンウイスキーの現行品スタンダードラインナップの中で、一押しのブランドがフォアローゼズシングルバレルです。濃厚さ、甘さ、フルーティーさ。香味の複雑さと個性の強さとのバランス。特に5000円程度までという価格設定で考えたら、文句なくこの1本です。

その他の銘柄では、ノブクリーク・シングルバレル60%やエヴァンウィリアムズ12年等も候補。ただしノブクリークは比較するとえぐみが多少気になり、エヴァンウィリアムズ12年は近年香味の傾向が変わって、少々べたつくような質感が感じられること等から、熟成年数等に捕らわれず1杯の香味で考えると、やはり自分はフォアローゼズが一番好みです。(1万円台まで出すなら、現行品ではブラントンシングルバレルやスタッグJr等を推します)

■フォアローゼズ・シングルバレルの特徴
テイスティングノートでマッシュビル(原料比率)の話をしていますが、フォアローゼズ・シングルバレルは他のスタンダードなバーボンと異なり、ライ麦比率の高いレシピを用いていることが特徴としてあります。
一般的なバーボン。例えば上で候補として挙げたノブクリークは、コーン75%、ライ13%、モルト12%に対して、フォアローゼズ・シングルバレルはコーン65%、ライ35%、モルト5%と、明らかにライ麦の比率が高いのです。※補足:フォアローゼズは通常品のマッシュビルとして、コーン75%、ライ20%、モルト5%でも蒸留していますが、それでもライ麦比率が高い仕様です。

ラム麦比率が高いバーボンは、どのような特徴が表れるかと言うと、ライ麦パンのように香ばしさが強くなる…なんてことはなく。フルーティーでスパイシーな香味を感じやすくなる一方で、ドライな仕上がりにもなるという特徴があります。フォアローゼズ・シングルバレルに感じられる特徴ですね。
後は好みの問題ですが、ここにメローな新樽系の香味が熟成を経て上手く馴染むことで、飲み飽きない複雑さ、カドが取れて艶やかな甘みとフルーティーさが備わった、極上のバーボンに仕上がっていくわけです。

4輪の薔薇の真実とは?フォアローゼズ シングルバレル:Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.12 | LIQUL - リカル -

そうした原酒は、シングルバレルの中でも”プライベートセレクション”などでリリースされる、ごく一部のカスクに備わっているものですが、通常品シングルバレル(本ボトル)もそのベクトル上にある、レプリカとして位置付ければ申し分ないクオリティがあります。
スタンダード品だからと侮るなかれフォアローゼズ。その楽しみ方含めて、詳しくは今月の酒育の会「Liqul」にコラム記事として掲載させてもらいました。一方で、本記事ではコラム上では書ききれなかった、フォアローゼズのブランドエピソードの考察”4輪の薔薇の真実”について、バトンを引き継いでまとめていきます。

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画像引用:エピソード|フォアローゼズについて|フォアローゼズ|キリン (kirin.co.jp)

フォアローゼズのブランドエピソードについて、ウイスキー愛好家なら一度は”ブランド創業者のプロポーズ説(上画像)”を聞いたことがあると思います。
ですが、”FOUR ROSES ”のルーツは諸説あるだけでなく、何より知られていないのがこれから記載する、創業者プロポーズ説に対する疑問と、プロポーズしたのは創業者じゃなかった話です。


■創業者プロポーズ説の疑問
それは、ブランド創業者であるポール・ジョーンズJr氏(1840-1895)が、生涯モルトヤm...じゃなかった、”生涯独身”だったということです。
ブランドエピソードが正しければ、同氏は絶世の美女と結ばれているはずです。プロポーズは成功したが、結局結婚に至らなかったという可能性は残りますが、そんな苦い記憶を果たして自社のブランドに使うでしょうか。

また、フォアローゼズのブランドが商標登録されるのは1888年ですが、プロポーズが行われた時期がはっきりしないのも理由の一つです。同氏の年齢は商標登録時で48歳。10年、20年寝かせるアイディアとは思えず、仮に5年以内だったとしても、40代です。現代ならともかく、当時としては結婚適齢期を逃した中で絶世の美女にアプローチをする。。。そして一時的には認められたものの、結局結婚に至らなかった。
いやいや、悲劇的すぎるでしょう(汗)。しかも同氏は1895年に亡くなられるのですから、なんというか救いがありません。

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※フォアローゼズ一族とも言える、ジョーンズ一族の家系図。

そうなると、フォアローゼズのルーツは他にあるのではないか。諸説ある中で、正史候補としてコラムで紹介したのが「プロポーズしたのは創業者じゃなかった説」です。
主役となるのは、フォアローゼズ創業者一族であり、ポール・ジョーンズJr氏の甥にあたる人物で、後に会社経営を引き継ぐローレンス・ラヴァレ・ジョーンズ氏(1860-1941)。この人物が、まさに意中の女性にプロポーズを行い、4輪の深紅の薔薇のコサージュで返事をもらった人物であることが、同蒸留所の歴史をまとめた著書”FourRoses”に、創業者一族へのインタビューを通じてまとめられています。

ローレンス氏の恋は一目惚れではなかったことや。奥手だったローレンス氏は何度もアプローチをかけ、最後に12輪の深紅の薔薇と共にプロポーズをしたことなど。広く知られているエピソードとは若干異なるのですが。それくらいの誇張は…まあ広報戦略の中ではよくあることです。
また、真紅の薔薇についても、なぜ12輪でプロポーズして、返事は4輪のコサージュだったのか。別途調べてみると、この薔薇の数にも意味があり、時代背景と合わせて表立って語られない、より情熱的で奥ゆかしい、そんなバックストーリーがあることがわかってきたのです。(詳しくはLiqulの記事を参照ください。)

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■ローレンス氏プロポーズ説の疑問
一方で、「プロポーズしたのは創業者じゃなかった説」にも疑問点があり、この話が正史だと断定しづらい要素となっています。
まず、ローレンス氏は若くして才気があり、会社を継いでいく人間として期待されていました。
ローレンス氏がプロポーズしたのは、1880年代中頃。(仮に1885年としましょう。)
”フォアローゼズ”が、ポール氏の手で商標登録されたのは1888年です。
これだけ見れば、結婚から商標登録まで約3年。今後会社を継ぐ甥っ子のエピソードを、世代交代後に向けて商標登録したと整理できるので、何ら違和感はありません。

ですが、ポール氏はローレンス氏の結婚に大反対していたのだそうです。
最終的に結婚は認められますが、会社分断の危機に発展するなど紆余曲折あり、ローレンス氏が意中の女性と結婚出来たのは1894年。プロポーズから10年弱の時間が経過していることになります。
著書FourRosesにまとめられた内容をそのまま記載するなら、これはひとえに、結婚して家庭を持つことで、ローレンス氏のビジネスマンとしての才能が潰れてしまうことを危惧したためだったとか。しかし、思い出してほしいのが、結婚に大反対しているはずのポール氏が、1888年にフォアローゼズを商標登録しているのです。

かたや反対、かたや商標登録。なんなの?人格破綻者なの?と思わず突っ込みたくなる所業。
日本人的感覚で強引に結びつけるなら、ポール氏は結婚を内心認めつつも、反骨精神か、あるいは本気度を見るために反対し、一方で将来会社を継ぐエースのために準備はしていたと。ドラマの脚本にありそうな、不器用な愛情らしきものがあるとしか解釈できません。
なお、ローレンス氏の結婚が認められた1894年の翌年、1895年にポール氏は55歳と言う若さで亡くなるのですが、原因は腎臓の炎症、ブライト病とされたものの、前兆はなく普通に仕事をしている最中だったそうです。なんとなくですが、TVドラマにありがちな景色が頭の中に再生されてくるようです。

以上のように、2人の関係のこじれについて、強引な解釈をする必要があることから100%この説が正しいとは言い切れないのですが、創業者一族へのインタビューや事実関係、時系列で考えると、少なくとも生涯独身の創業者がプロポーズしたというよりも、あるいは「メーカーのお祭りで踊った女性4人の胸元に薔薇のコサージュがあったから」という何の厚みもない説よりも、ローレンス氏のプロポーズ説は確度が高く、お酒を美味しくしてくれるエピソードとして歓迎できるものだと感じています。
正直なところ、この手のブランドエピソードは多少誇張や改変があるのが当たり前で、もう1世紀以上も前の話なのだから何でもいいという感情があるのも事実です。ただし、それがあることでお酒が美味しくなるなら。あるいは今回のように考察の余地があり、あれこれ考える楽しみが残るなら、支持すべきは間違いなく”ロマン”のあるほうでしょう。

フォアローゼズに限らず、これと知られているエピソードも、調べてみると実は違っていたり、疑問が残っていることは少なくありません。ウイスキー片手にその領域に踏み込んでみる楽しさは、さながら歴史学者になった気分です。一部地域に住む方々は、まだ大手を振って夜の街にとは言い難い状況。ならば夜のひと時を、時間の流れを遡って、あれこれ考えて楽しんでみてはいかがでしょうか。
趣味の時間として、充実のひと時をもたらしてくれることと思います。

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(禁酒法があけた1935年に登場する、フォアローゼズのPR広告。この時点でポール氏が舞踏会でプロポーズするエピソードが使われている。今ほど情報確度が高くなく、大らかだった時代の産物が、80年以上経った現代まで使われ続けているのは興味深い。)

ベンチマーク シングルバレル 47% ケンタッキーストレートバーボン

カテゴリ:
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BENCHMARK 
SINGLE BARREL 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY 
1990's 
750ml 47% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:メローで穀物系の香ばしさ、バニラウェハースやキャラメルポップコーンを含むアロマ。奥には発酵した穀物の酸、オレンジティーのアクセント、合わせてニスのような溶剤系のニュアンスが鼻孔を刺激する。

味:香り同様にメローで、色の濃いはちみつを思わせる粘性のある甘味とクラッカーの軽い香ばしさ。ビターでスパイシーなフレーバーが同時に広がり、チャーオークのウッディネスが強く余韻にかけて残っていく。

熟成のピークを感じる艶やかな甘さの奥から、多少刺激や酸、独特の野暮ったい個性が感じられる。類似の傾向としては、ブラントン・シングルバレルの同時期流通品に通じるところがある香味構成。ブラントンより樽感がリッチで、余韻にかけてもウッディーなフレーバーが強い点は、熟成年数の違いであり、このリリースがプレミアムブランドたる所以かもしれない。

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経緯は定かではないものの、市場へのPRとしてはバーボンの”基準”となる名のもとにリリースされていたシングルバレルバーボン。
ラベルに”FRANKFORT”の表記があるように、蒸留所はバッファロートレース(このボトルの流通当時の名称はエンシェントエイジ蒸留所)で、この頃の同蒸留所の原酒からは、原料や製法に由来すると思われる独特の酸と香ばしさが感じられることから、バーボンのなかでも比較的特徴的なキャラクターを備えている1本だと思います。

ベンチマークのシングルバレルには今回の無印と、XO表記の2種類があります。これはXOだから長期熟成という訳でもなく、中身のグレードは同じで、単に対象の市場や時期の違いによるものであるそうです。
1990年代当時のベンチマークのスタンダード品には、ボトル形状が特徴的な6~7年熟成表記のベンチマーク・プレミアムバーボン40~45%があり、それに比べると、バーボンの”シングルバレル”の価値に明るくない一般的な視点では、本リリースが特別感に乏しかったのではと考えられます。

香味から感じる熟成年数は8~10年程度で、味の滑らかさも飲み応えもベンチマーク・プレミアムより間違いなく上ですが、熟成年数を記載しようにもシングルバレルであるためロット毎の熟成年数にブレがあり、統一的に記載できない。そのため、アメリカ以外の海外市場向けには、ブランデーなどで使われていて特別感と馴染みのあるXOという表記を加えることで、リリースの差別化を狙ったのかもしれません。
(リユース品を調べても、XOのほうが多く日本市場に流通していますね。)


今回のボトルは、家飲み用バーボンとして開栓。メーカーズマーク46のプライベートセレクトを飲みきったので、傾向が違うものをチョイス。夏場って何故かバーボンが飲みたくなるんですよね。
メーカーズマークは小麦ですが、こちらのバッファロートレース系はライ麦の比率が10~15%と高めなレシピで仕込まれていて、系統としては同じ蒸留所で作られているブラントンのオールドボトルに似ているように思います。また、冒頭述べた独特の酸というか、穀類のもろみのような野暮ったさに通じる要素が混じるのが特徴で、むしろこの香味が夏場に飲むにはちょうど良いのです。

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