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エルカンダド ペドロヒメネスシェリー バルデスピノ 17%

カテゴリ:
エルカンダド
EL CANDADO
PEDRO XIMENEZ SHERRY
VALDESPINO
750ml 17%

シェリー系のウイスキー紹介が続いたところで、今日は脱線してシェリー酒。普段飲みスタイルの雑談記事になります。

黄色地の目立つラベル、それ以上に異彩を放つ、黄金色の南京錠付きのコルクキャップ。
洋酒を嗜まれている方々には今更紹介するまでも無い、"黄色いニクいヤツ"。スペイン・ヘレス地方産、ペドロヒメネスシェリー酒(通称:PX)の有名銘柄が、今回の記事の主役、バルデスピノ社のエルカンダドです。


一応さわり程度、概要に触れていきます。
バルデスピノ社といえば、ヘレス地方の大手ボデガに数えられる存在であり、ウイスキー愛好家にはおなじみとも言えるシェリー樽供給元の一つでもあります。
少し前は、キングスバリーがバルデスピノカスクなんていうシェリー樽のシリーズをリリースしてましたし、シェリー酒を意識して飲んだことが無いというウイスキードリンカーでも聞き覚えはあるのではないでしょうか。 

PXシェリーは、収穫した葡萄(ペドロヒメネス種)を天日干しにして、糖分を濃縮したものを原料として作られる、全甘党御用達とも言える極甘口な酒精強化ワイン。
その濃厚な甘さは、甘い物嫌いの人からすれば卒倒できるシロップのような濃縮感。しかし、ただ甘いだけではない、酸味や苦味など、甘みの奥に潜む多彩さが魅力の一つともいえます。

今回のエルカンダド、酒販店等の説明では12年、ラベル説明では10年以上(なぜか微妙に違う)の熟成を経てリリース。この熟成年数は、ソレラで熟成されるシェリーにおいて一概に比較は出来ませんが、決して長期熟成というわけではなく、感覚的にはウイスキーと同じ尺度で見て良いと思います。
また、ウイスキー業界で使われる「シーズニングシェリー樽」の1年、2年というシーズニング期間が、良いか悪いかは兎も角、シェリー本来の熟成としては短いことはわかります。

香りは常温だとツンとしたアルコール感、あわせてレーズンやチョコレートを思わせる、非常に濃厚な甘いアロマ。
味わいはとろりと濃厚、黒蜜、レーズンやカシス、ベリーなどのダークフルーツのシロップ。アーモンドのほろ苦さ。余韻で引っかかりというか、若干喉を刺激するアルコール感と酸味もありますが、深く、濃い甘みが長く残ります。

上位グレードのPXシェリーとの大きな違いは、風味のふくよかさもさることながら、このアルコール感と、滑らかで濃厚でありながらすべるように喉へおちていく飲み心地にあると感じています。
そうした点で、エルカンダドは3000円以上の価格帯で高く評価されているペドロヒメネスには及ばない部分はあるものの、口に含んだ際に広がる芳醇な味わいは、PXシェリーの醍醐味とも言えるそれ。コスパに優れた1本として評価されています。

前述のアルコール感は、冷やしてしまえばあまり気になりません。
さらにPXシェリーは糖度が非常に高いためか、一般家庭用の冷凍庫であれば凍りつくことはありません。
このエルカンダドを冷凍庫でキンキンに冷やし、とろ〜っとしたところを食後のデザート代わりに飲む。これは黒糖かりんとうが好きな人とかホイホイだと思います。また、レモンを絞ってソーダ割りにすると、甘みと酸味のバランスがとれ、疲れた体に染み渡る美味しさです。


どろりと濃厚なPXシェリーは、常温ではとても夏向きとは言いがたいお酒である一方、自分は先述のスタイルで、夏のお供はこれと言わんばかりに飲んでいます。
多分今までの人生で一番飲んでるシェリー酒は、エルカンダドでしょう。 
正直、味わいだけなら「甘いは旨い」という系統の味覚を持つ日本人好みの構成であり、価格も2000円程度と手ごろ。一般的にもっと飲まれても良いお酒だと思っています。
それこそPXシェリー以外に、同じく甘口のモスカテルやクリームなど、少なくともカシスリキュールと同じくらい、広く飲まれていても良いと思うのです。

余談ですが、PXシェリーがこれだけ濃厚に甘いのだから、PXシェリー樽で熟成したウイスキーもまた同様に濃厚な甘さが得られるはず、と思いきや、とろりとした粘性のある飲み口にはなるものの、結構ウッディというか、甘み以上に渋みが出ているリリースに多く当たります(むしろドライなオロロソのほうがウイスキーは甘みのある仕上がりとなったり)。
これはウイスキーのように度数の高いアルコールの熟成の場合は、樽材も一緒に溶けるため、シェリーそのものの味と全てがリンクするわけではないためだと考えられる一方、類似点が感じられないわけでもありません。
ウイスキーに関係があるお酒も飲んでいくと、色々新しい発見があるなと感じています。

レジェンド オブ キューバンラム Pre1962 2016年リリース 45%

カテゴリ:
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LEGEND OF CUBAN RUM 
Pre 1962 Solera "Valdespino" 
Lot 2016 
700ml 45% 

グラス:リーデルコニャックテイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:サルファリーさを伴う黒糖系の甘いアロマ。焦げたトースト、ハッカのキャンディ、植物感、オールドカナディアンのような古酒のニュアンスも感じる。時間経過でスパイスを伴うウッディネス。

味:とろりと甘く濃厚な口当たり。あわせて軽いゴムっぽさ、硫黄香が鼻腔に抜ける。焦げたカラメルソース、アロエやサトウキビの植物感、微かにレーズン。余韻はトフィーを思わせるベタつきのある濃厚な甘み。サルファリーなニュアンスが苦味となって非常に長く続く。

長期熟成原酒がベースにあるため、香り立ち、口当たりはまろやかでリッチな香味があるが、シェリー樽由来の濃厚な甘さ、グレーンウイスキーに共通する穀物や植物っぽいニュアンス、そして硫黄。判りやすくはっきりとした味わいはB級グルメというか、なんともくどさを感じる味付け。確実に好みが分かれる。

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キューバ革命よりも前の時代、1940年から1950年代にキューバで蒸留されたラムの古酒をベースに作られているのが、このレジェンドオブキューバンラムです。
1950年以前の原酒とされながら、ラベル表記は1962年よりも前を示すPre 1962。キューバ革命とするなら1959年あたりが一般的ですが・・・同年はキューバ危機として海上封鎖も行われた年ですから、「この時期よりも前」とするのにちょうど良かったのでしょうか。
国内のリリース時期は毎年年末頃で、ファンにとっては毎年の楽しみでもあるようです。

原酒の所有者は、シェリー酒の超名門ボデガであるバルデスピノ社。前オーナーであるミゲル社長は、門外不出の逸品として製品化に後ろ向きであり、ゲストへの振る舞い酒として使っていたようです。
その後、1999年のボデガの売却でオーナーが変わり、ついに日の目を見ることとなったのは、今から10年ほど前のこと。同社が所有していたのは、半世紀を越える熟成を経た超古酒となるキューバ産ラム2樽。そんな貴重な原酒がなぜ毎年リリースされるのかというと、所謂ソレラシステムで作られているため、抜いた分だけ新しい原酒を継ぎ足しているから。純粋に1962年以前の原酒だけで構成されているわけではないと考えられます。 

実際、レジェンドオブキューバンラムは、ロット毎に味が変わるようです。
自分はこの銘柄をこれまで飲んだことが無かったのでロット毎の違いは体験していませんが、以前はフルーティーさとラム系の植物感、熟成原酒の舌触りで絶妙なバランスだったとのこと。ここ数年はかなり甘口に振れてきたと言う声もあります。
甘みや硫黄を含むシェリー感が濃くなっているという点については、新たに買い付けてきたラムを同社のシェリー樽で熟成させてからレジェンドオブキューバンラムのソレラに加えているのではないかと推察。
それこそ、今回テイスティングした2016年ロットは、濃厚な甘さに加えてサルファリーな香味も備わっており、好みが分かれる分岐点をいくつも持っているという印象。ラム独特のフレーバーはある種の個性でもあるため、合う合わないはさておき、例えば硫黄耐性があり、グレーンウイスキーを好んで飲める人ならストライクゾーンになりそうです。(自分は苦手とする部類でした。。。) 

さて、キューバといえば葉巻です。レジェンドオブキューバンラム2016年ロットの濃厚な甘みは、葉巻とあわせるには好都合。キューバ革命前の原酒が一部でも使われているだけに、出来ればキューバンダビドフなんて吸ってみたいですが流石に手元に無いのでパルタガスかボリバーあたりフルボディタイプで。今度ボトルを片手に行きつけのBARに吸いにいってみようかな。

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