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ダルウィニー 2006-2021 ディスティラリー エディション 43%

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DALWHINNIE 
DISTILLERY EDITION 
DOUBULE MATURED
(BOURBON - OLOROSO CASK)
Distilled 2006 
Botteld 2021 
700ml 43%

評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかく甘い麦芽香にオークの乾いたウッディネス。そこに混ざるシェリー樽由来の色濃い樽香。2つの要素がはっきりとは混ざり合っておらず、複層的に感じられる香り立ち。

味:マイルドな口当たり。 蜂蜜や麦芽糖、はっきりとした甘みが広がり、徐々にビター。シェリー樽由来のドライプルーンやブラウンシュガーを思わせるフレーバーがアクセントになっている。
余韻はほろ苦く、じんわりとウッディネスが染み込むように消えていく。

スタンダードのダルウィニー15年に感じられる、ハイランドモルトの代表格と言えるような牧歌的な麦芽風味に、オロロソシェリー樽の色濃いフレーバー、ウッディネスが混ざり合う。特徴的なのは、後熟に用いたシェリー樽のフレーバーが完全に一体化しているわけではなく、香味とも麦芽風味→シェリー樽と段階的に変化していくことにある。
少量加水すると、前者のフレーバーにある青みがかった要素が一瞬顔を出すが、一体化していなかった2つの要素が混ざり合い、熟したオレンジや洋菓子を思わせるアロマとして感じられる。相変わらず派手さはないが、地味に旨い通好みの1本。

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愛好家御用達の隠れた名酒、ダルウィニー。
ダルウィニーはディアジオ社のクラシックモルトシリーズとして位置付けられ、まさにハイランドの代表として1980年代後半からリリースが続いているわけですが。
そのクラシックモルトシリーズを様々な樽で後熟させて毎年リリースしているのが、ディスティラリーエディション(以下、DEと表記)です。

ダルウィニーDEは、オロロソシェリー樽でのフィニッシュで構成されていますが、このシリーズは各蒸留所において毎年毎年ロット差があり、ダルウィニーDEは特にその違いが大きいように感じます。
最近のロットだと、2016年はシェリー感というよりはエステリーで華やかなフルーティーさという、組み合わせであり得るとしたらアメリカンオークシェリー樽由来のフレーバーが際立ち。2017年や2018年はリフィルかな?という麦芽風味主体の構成だったところ。

この2021年リリースのダルウィニーDEは樽の傾向が大きく変わって、最近の他社オフィシャルリリースに見られるようなシェリー感が、麦芽風味に混ざって感じられます。シーズニングのオロロソシェリー樽で、スパニッシュオークのキャラクターに由来するものでしょう。
その上でノーマルな15年とDE15年を比較すると、どちらも同系統のフレーバーがベースにありつつ、ハイボールなどのアレンジのしやすさはノーマルに軍配があがり、単体で緩く飲んでいくならDEも良いなというのが、この2021年リリースの印象です。

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さてダルウィニーのオフィシャルラインナップは15年とDEで、後はウィンターズゴールドが市場にあり、基本それ以外に定常的に販売されているオフィシャルリリースはありません。
ディアジオは、ダルウィニーに限らず売れ筋である一部の銘柄を除いてラインナップを絞る戦略をとっているようなんですよね。
ことダルウィニーについてはボトラーズもないので、折角クラシックモルトとして地域を代表する銘柄にしているのだから、もう少しラインナップを増やしてくれても良いんじゃないかなぁと思うのですが。。。

ただ、限定品として不定期ながら長期熟成のリリースが数年毎に行われており、2000年代にリリースされた29年、32年は絶品。2006年リリースの20年は少々難ありでしたが…。
2016年にリリースされた25年は、15年の傾向で麦芽風味とフルーティーさを洗練&ボリュームアップさせたような味わい。
2020年にリリースされた30年は麦芽風味にやや枯れた要素がありつつも、奥行きと熟した洋梨のようなフルーティーさがあり、どちらも通好みの味わいで良い仕上がりでした。

こうしてリミテッドをテイスティングして現行品のスタンダードに戻ってくると、改めてその良さも感じやすくなる。
ダルウィニーというよりは、ディアジオのブランド戦略の巧みさでもありますね。

ロッホローモンド シグネチャー ブレンデッドウイスキー 40%

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LOCH LOMOND 
SIGNATURE 
SINGLE BLENDED SCOTCH WHISKY 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)(!)

香り:柔らかく香る甘く焦げたオークのウッディさ。キャラメルと微かにケミカル、ボール紙、軽い刺激とスパイシーなアロマを伴う。

味:口当たりは緩く、序盤にのっぺりした質感から徐々に焦げたウッディネス。フレーバーとしてはグレーンの緩やかで柔らかい甘味、らしいフルーティーさと麦芽風味。余韻は焦げたオークのほろ苦さとバニラを伴って、ケミカルな甘さが残る。

スムーズで柔らかく、あまり若さも感じないが、ストレートだとややプレーンな香味が中心。一方で、濃いめのハイボールにすると、余韻にジェネリックトロピカル系のフレーバーがあって好ましい。シングルブレンデッドという造りがロッホローモンドらしい面白さだが、それ以上に、このクオリティで2000円ちょっとという市場価格を実現出来る、ロッホローモンドの強みが光る1本。

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モルト、グレーン、構成原酒全てがロッホローモンド蒸留所産の単一蒸留所ブレンデッド(シングルブレンド)。
スコッチウイスキーでブレンデッドと言えば、各地にある蒸留所から原酒を調達し、様々な原酒を用いて作成するのが一般的であるところ。このロッホローモンド名義のブレンデッドは、全ての原酒を単一蒸留所で製造し、ブレンドしていることが最大の特徴となっています。

ロッホローモンド蒸溜所には
・様々な酒質のモルトウイスキーを作るための、2種類の蒸留器。(うち、一つは複数タイプの酒質の生産が可能なローモンドスチル)
・グレーンウイスキー用の設備は通常の連続式蒸留機と、カフェスチル。
・年間10000丁の樽を補修、生産可能な樽工場。
・生産したウイスキーのボトリング設備。
と、無いのはモルティング設備くらいという、ウイスキー生産に必要な全てを自社で賄えるだけの機能を有しています。

そうした機能を活用し、同社はこれまで
モルトウイスキー:
・スタンダードなロッホローモンド
・フルーティーなインチマリン
・ピーティーなインチモーン

グレーンウイスキー:
・シングルグレーン
・ピーテッドグレーン

大きく分けて以上5系統のリリースを、それぞれのブランド名で実施していたところ。昨年から方針を変更し、ブランド大項目を全て「ロッホローモンド」に統一しています。

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今回のレビューアイテムであるロッホローモンド・シグネチャーは、現地では2019年に販売を開始したもので、日本に入荷していなかっただけで時系列は前後しますが、現在はモルト、グレーン、ブレンド、全てが「ロッホローモンド」としてリリースされているというわけです。(※現地法律上は問題なし)

わかりにくい、と感じるかもしれませんが、それは同社の販売戦略であって、とにかく「ロッホローモンド」を認知させる戦略という観点からすれば正しい方法です。
というか、このリリース事態がすごいことなのです。ただでさえ一定品質以上のモルトとグレーンを低価格に抑えて量産出来る蒸溜所は限られているにも関わらず、ロッホローモンドの原酒は5年、8年熟成でも若さが目立たず甘みや麦芽風味、フルーティーさのある個性が特徴的です。

また、今回のリリースではブレンドの後のマリッジが600丁から形成されるオロロソシェリー樽とリチャーアメリカンオーク樽でのソレラシステムが特徴とされています。ここで使われる樽は樽の保守管理に加え、リチャーを自社の樽工場で行っているもので、シェリー感よりもチャーした樽の香ばしさ、ウッディさが香味のアクセントになっています。
ともするとプレーンな香味になりがちな若い原酒のブレンドに、香味の変化、幅を与えているのです。
ウイスキー市場を陰に陽に支えるロッホローモンド。今後も意欲的なリリースに期待しています。



以下、雑談。
ウイスキーの値上がりが複数社から発表され、我々サラリーマンの懐を直撃している昨今ですが。
そんな中でも2000円台のリリースにこのロッホローモンドシグネチャーに加え、面白いリリースが複数登場しています。

・アイリッシュウイスキー「バスカー」
・シングルモルト「グレングラント アルボラリス」
・シングルブレンデッドスコッチ「ロッホローモンド・シグネチャー」

これまで、2000円前後のスコッチウイスキーというと、バランタイン、ジョニーウォーカー、シーバスリーガル。。。などの有名ブランドの12年クラスが主流。
特にホワイトホース12年は、あまり知られていませんが昭和の洋酒ブーム時に発売された限定品をルーツとした、日本市場限定品。40年近く限定品としてリリースが継続されているベストセラーで、手軽に飲めるスモーキーなウイスキーの一つです。

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ここに殴り込みをかけてきたのが上述の3銘柄。
トロピカルフレーバーを”売り“にしたバスカーは、ブレンドは軽やかな飲み心地、先日発売されたシングルモルトが同じ価格帯でさらにしっかりとした味わいがある。
グレングラント アルボラリスは、10年、12年に通じるアメリカンオーク由来の華やかさがあり、ロッホローモンドは上述の通り。
全てハイボールにして飲むと、地域、樽、製法、それぞれ個性の違いが感じられ、いやいやウイスキー楽しいじゃ無いですかと思えるラインナップ。

これから暖かくなってきて、夏場のハイボール要員としてはなんぼあっても良いボトルですからね。今年は有名ブランド1つ、そして上記3銘柄をセットで充実した家飲みを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ダルウィニー 15年 2021年現行ボトル 43%

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DALWHINNIE 
Highland Single Malt 
Aged 15 years 
700ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香と蜂蜜のアロマ。合わせて麦芽の白い部分、籾殻、すりおろした林檎を思わせる品の良いフルーティーさが柑橘系のアクセントと共に感じられる。

味:口当たりは柔らかくオイリーで厚みのある味わい。香り同様にオーキーな含み香と麦芽風味、蜂蜜を思わせる甘みが主体となって広がる。余韻は微かにピーティーでウッディなほろ苦さ。軽い刺激を伴いつつ、ジワリと染み込むように長く続く。

軽やかなオーク香とワクシーな麦芽風味が主体。飲み方はハイボールでも悪くないが、ワイングラスに氷を入れてステアする、フレグランススタイルで飲むことで個性が一層引き立つ。まさにハイランドモルトの代表的キャラクターの一つ。
また、オールドボトルと比較して樽感の華やかさは現行寄りと言えるが、香味のベクトルに大きな変化が見られない点も、ダルウィニー蒸溜所の特徴であり、ハウススタイルであると言える。

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個人的に、現在販売されているシングルモルトの中で、ハイランドモルトらしい個性を知りたいと問われたらお勧めするのがこの1本。
愛好家御用達の隠れた〜〜なんて表現をするなら、間違いなくダルウィニー15年を候補に挙げます。
昨年更新した酒育の会 Liqulの記事でも、同様のテーマでダルウィニーを紹介したところです。

Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol,14 ダルウィニー15年
https://liqul.com/entry/5853


蒸溜所については上記Liqulの記事で紹介したため、ここでは別な視点からダルウィニーの個性を紹介していきます。
スコッチモルトにおいては、ハイランド、スペイサイド、ローランド、アイラと、地域毎に産地が括られ、その地域による個性も度々話題にもなります。
実際、各蒸留所のシングルモルトを飲むと、そうした違いが見えてくることは間違いなく、特にアイラモルトはアイラ島産のピートがもたらす強烈な個性が、その立ち位置を明確なものとしています。

一方でハイランドやスペイサイドのように広大で、漠然とした地域の違いはというと、これは解釈が分かれますが、地域の違いというよりも蒸溜所毎のハウススタイルの偏りという点で、認識されているケースが多いと感じています。
そして、地域毎の個性の違いに繋がる要因は何かというと、一つは熟成に影響を与える気候、もう一つはピートや麦芽、水質など、その地域から産出する原料にあったのではないかと考えています。

“あったのではないか”と過去形なのは、現在は麦芽もピートも地産地消の時代ではないこと。物流網の発達と効率化の観点から、様々な地域のものが集約され、一部は海外から輸入され、特別指定しない限りはモルトスターから統一的に供給されていること。
熟成環境も、大手ブランドのものは効率化の観点から蒸溜所とは異なる地域にある集中熟成庫で熟成されることが多く。
結果、地域毎の違いに繋がっていたであろう要素が、特に現在のハイランド&スペイサイドウイスキーからは姿を消しつつあるためです。

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(左はダルウィニーのオフィシャルボトルファーストリリース。1980年第初頭にリリースされた。原酒には、蒸溜所改修前、フロアモルティングで仕込まれた時代の麦芽が用いられている。現行品とは麦芽風味の厚みや癖の濃淡はあるが、香味の傾向は同じ方向にある。)

ではダルウィニーは地産地消なのかというと、ここも原料は1960年代の改修工事以降モルトスターから提供。熟成庫も、現在は多くの原酒が集中熟成である可能性が非常に高いです。(公式には集中熟成庫での熟成の話はオープンになっていないため、可能性が高い、とします。)
そうなると冒頭のダルウィニーを指して「ハイランドモルトらしい個性を知りたいなら・・・」という表現は、矛盾するように感じるかもしれません。
これは変わらない製法、そして何よりもブレンダーが目指す味の方向性が昔も今も大きく違わないため、多少個性はライトになっているものの、かつてのハイランドモルトらしさが残されているのです。

ここで言うハイランドらしさは、自分の解釈では牧歌的な麦芽風味です。糖化前の原料状態の麦芽を齧ると味わえる、芯の白い部分の甘み。我々に馴染みのあるものに例えると、お粥ですね。白く、優しく、どこか垢抜けない田舎っぽい甘さ。
オールドボトルだとグレンモーレンジ、オーバン、マクダフ…スペイサイドモルトにも同様の個性が見られましたが、近年の蒸留所の多くは線が細くライトで華やかな傾向にシフトした印象を受けます。

どの時代をもって個性とする、らしさとするかはまさに飲み手の解釈次第です。一部のモルトのような手に入らないものを惜しむより、今に目を向けることも大切です。
ただ昔があって今があるという時間の流れの中で、変わらないものを愛でるのもまた、嗜好品の楽しみ方であると思います。
ダルウィニーはいつまでも古くからの愛好家の隠れ家、宿木であってほしいです。

マクダフ 13年 2006-2020 GM 52.9% For モルトヤマ #101695

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MACDUFF 
CONNOISSEURS CHOICE
GORDON& MACPHAIL
Aged 13 years
Distilled 2006
Bottled 2020
Cask type Refill Bourbon Barrel #101695 
For Maltoyama 
700ml 52.9%

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:オーキーで華やかなトップノート。洋梨やドライパイナップルを思わせるフルーティーさ、ココナッツ、ほのかにバタービスケット。注ぎたて(開封直後)はドライでスパイシー、ハーブや木材の削りカスのようなアロマがトップにあるが、徐々に黄色系のフルーティーさと蜜っぽさ、麦芽由来の甘みが強くなり、加水するとさらに開いてくる。

味:スムーズな口当たりから、柔らかいコクのある麦芽風味と軽いスパイシーさ。香り同様にアメリカンオーク由来の華やかな含み香があり、洋梨の果肉、砂糖漬けレモンピールとナッツを思わせる甘みとほろ苦さ。余韻は程よくドライでウッディ、オーキーな黄色系フルーツの残滓を伴って穏やかに続く。

オークフレーバーと麦芽風味主体。リフィルバレルなのがプラスに働いた、樽感と酒質のバランスの良さが魅力的な1本である。開封後時間経過、または少量加水すると香りにあったドライな刺激が穏やかになり、すりおろし林檎や白葡萄のフルーティーさ、ホットケーキなどの小麦菓子を思わせる甘さといった、好ましい要素が充実してくる。40%程度まで加水するとさらに麦芽風味が充実し、まさにデヴェロンだなぁと言う感じ。フレーバーを楽しむなら段階的に加水を推奨するが、ハイボールにしても良好で、夏向きの味わいを楽しめる。
近年のGMコニッサーズチョイスらしい、蒸溜所のハウススタイルを活かした仕上がり。蒸留所の限定品やハンドフィルを買ったら、こんな感じのものが出てくるんじゃないかという完成度の高い1本。

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先日、T&T TOYAMA ジャパニーズウイスキーボトラーズ事業の紹介をしたので、今回は手元にある富山関係リリースのレビューでも。T&Tなら ニンフのラフロイグやアードベッグって手もあるんですが、この状況じゃ読んで貰った後でBAR飲みって訳にもいかないですし、ここはまだ買えて家飲み向きなボトルで。。。
というわけでこのGMコニッサーズチョイスのマクダフ、まだ買えるんですよね。価格も同じようなフレーバーを持ったオフィシャルや、他のシングルカスクリリースとの比較でも違和感なく、味も悪くない。というかむしろ良い部類なのに、なんででしょう。スペックが地味だからかな?

構成は安定のバーボン樽熟成、黄色系フルーティー・ハイランドモルト。リフィルバレル熟成なので、ドカンとオーキーで突き抜ける感じではないですが、その分マクダフらしい麦芽風味がフルーティーさと合わせて開く綺麗な仕上がり。過剰なウッディネスなどネガティブな要素が少ないだけでなく開封後の変化も良好で、ドライ気味な部分が徐々にこなれて好ましい要素が開いてきます。

私見ですが、マクダフの魅力は若いリリースから見られる麦芽風味と、熟成を経ていくと現れる綺麗なフルーティーさにあると感じており。今回の一本は長熟のカスクではないものの、それらに通じる魅力を感じさせてくれると思います。
その他の飲み方では、ロックにするとちょっとウッディさが目立ちますが、軽やかで冷涼なオーク香が心地よく、加水やハイボールは言わずもがな。特にハイボールはこれからのシーズン、テラスや野外でゴクリとやったら優勝案件でしょう。アレンジとしてレモンピールをちょっと絞ったり、あるいはスペアミントなんて浮かべてみたり。。。単にオーキーなだけでなく、酒質由来のフレーバーの素性が良いので、様々な飲み方にマッチしてくれます。


このマクダフがリリースされた時、同時にシェリー樽熟成のグレントファースもリリースされ、愛好家の間で話題になっていました。
やっぱりGMってボトラーズは凄いですね。ボトラーズ苦境の現状にあっても普通にこういう樽が出てくる…そしてそれを相応な価格でPBとして回してしまうのですから、「GMの貯蔵量は化け物か」とか呟いてしまいそうです。
(勿論、そうした原酒を引っ張ってこれたモルトヤマさんの繋がりも、これまで数多くのPBをリリースしてきた経験・実績によるもので、一朝一夕に実現できることではありません。)

話が逸れますが、GMのコニッサーズチョイスは、かつては加水オンリーで、カラメルを添加したような甘みのある緩いシェリー感のあるボトルが中心。その後はそれのリフィル樽かというプレーンなタイプが主体。つまりシェリー樽熟成系が多かったわけです。
ところが、2018年頃にブランド整理を行ってリリースの方向性を変更すると、今回のようにシングルカスクでリリースするコニッサーズチョイスが登場。このシリーズでは先に触れたキャラクターから離れ、バーボン樽で熟成した原酒や、蒸溜所のハウススタイルやオフシャルリリースの延長線上にある味わいのリリースが見られるようになります。

おそらく、CASKシリーズなど別ブランドに回していた樽をコニッサーズチョイスで使うようになったのでしょう。また、GM社を含めてスコットランドの老舗ボトラーズは、1年のうち決まったタイミングで蒸留所からニューメイクや熟成原酒をまとめて買い付けており(そういう会議の場があるのだとか)、一部の原酒は他ボトラーズメーカーに回すなど、ブローカー的な活動もしています。
今回のボトルのように、今までのGMのリリースと毛色が違う、蒸溜所のハウススタイルが全面に出ているような樽は、ひょっとすると熟成原酒として買い付けたものからピークを見極めてリリースしたボトルなのかもしれません。

絶対的エースと言えるような、圧倒的パワーや存在感のあるタイプではありませんが、所謂ユーティリティープレイヤーとして、こういうボトルが1本あると助かる。そんなタイプのリリース。
ちなみにフレーバーの傾向としては、麦芽風味が豊富なものでクライヌリッシュ、グレンモーレンジ、アラン。ぱっと思いつくマイナーどころでダルウィニー、ダルユーイン、オード。。。この辺が好みな方は、このボトルもストライクゾーンではないかと思います。

ロッホローモンド ピーテッド シングルグレーン カフェスチル 46%

カテゴリ:
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LOCH LOMOND 
PEATED SINGLE GRAIN 
COFFEY STILL 
700ml 46% 

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ピーティーでフローラルな(パフューム香ではない)柔らかいバニラ香、奥から柚子やレモンピールのような柑橘、微かに針葉樹を思わせるハーバルなアクセントも。複層的でスモーキー、フレッシュな要素も顔を出すが、若い原酒に由来する嫌味な要素は少ない。

味:香り同様柔らかい口当たり。合わせて広がるピートスモーク、洋梨の果肉のような緩いフルーティーさ、香り同様の柑橘感。余韻は柔らかいスモーキーさとビター、モルティーな甘みを舌の上に残して穏やかに消えていく。実に飲みやすい。

久しぶりに驚かされた1本。香味のベースはグレーン味(バーボン系統の香味)かと思いきやそうではなく、モルトウイスキーのそれでありながら、口当たりは柔らかく、質感はグレーンの柔らかさ、クリーミーさを受け継いでいる。また、蒸留方法の影響か、味はそこまで複雑ではないが、若さやネガティブな要素も少なく、溶け込んだピートフレーバーがバランス良く薫る。ピートは50PPMとのことだが、体感では10〜20程度といったところで、そこまで主張しない。
異色のグレーン。しかし内陸系ピーテッドモルトの一種と整理しても申し分ないクオリティがある。様々な可能性を秘めた1本。コストパフォーマンスも良好である。

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ロッホローモンドのオフシャルラインナップの一つ。本国では2020年に、日本国内では2021年3月2日から販売されています。
“ピーテッドグレーン”ってどういうことなの?
穀類乾燥させるときにピートを焚いたの?
と、ラベルを見た瞬間は混乱しましたが、調べてみるとピーテッドモルトを連続式蒸留器で蒸留した、ニッカのカフェモルトのような大麦原料のグレーンウイスキーであり、既製品のロッホローモンド・シングルグレーンの姉妹品に該当するようです。

同蒸留所には、玉ねぎ型の通常のポットスチルに加え、ネック部分の仕切りで酒質の調整が可能なローモンドスチル、カフェスチル、連続式蒸留器(コラムスチル)と、4種類の蒸留器が稼働するだけでなく、樽工場まで自社に備えています。多様な原酒の作り分けに加えて、分業制が一般的なスコットランドでは非常に珍しい、モルトとグレーンの蒸留が可能な唯一の蒸溜所※であり、近年大きな成長を遂げていることでも知られています。
※樽工場を持つ蒸留所は4社、連続式蒸留器までもつ蒸留所はロッホローモンドのみ。

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(蒸溜所外観(写真上)と、ロッホローモンドに導入されている蒸留器4タイプ(写真下:ロッホローモンド蒸留所WEBページより引用))

これら4種の蒸留器のうち、モルトでは画像左2種類のスチルを使ってインチマリン、ロッホローモンド、インチモーンとフルーティーなタイプからピーティーなタイプまで、様々なモルト原酒の造り分けが行われている一方。右側2種類のカフェスチル、連続式蒸留器でブレンデッドウイスキー用のグレーン原酒づくりも行われています。

今回のリリースは、2007年に導入されたカフェスチルでピーテッドモルトを連続蒸留したもの。同蒸留所においてカフェスチルは、主にモルトの蒸留に用いられているそうです。連続蒸溜は香味成分のないクリアなスピリッツが取れるという印象でしたが、これだけピートフレーバーは残るんですね。
稼働時期から原酒の熟成年数は長くて12年強となるわけですが、今回のリリースは樽感が淡く、ウッディさも主張しないので、例えばリフィルのバーボンバレルで7〜8年程度と少し若いものかと予想。ただし若いからえぐみがあるとか、粗いとか、そういうタイプではなく、ピートフレーバー含めて非常に柔らかく、クリーミーであり未熟感も少ない仕上がりとなっているのが蒸留方法の違いであるように感じられます。

また、ロッホローモンドなら「濡れたダンボール」「ユーカリ油」と言ったような個性的なフレーバーの存在が気になるところですが、これも若さ同様に抑えられています。あるのはモルトの素直な甘みと柔らかいスモーキーさ。まさに良いとこどり。
姉妹品のシングルグレーン(以下、画像)については、同様の柔らかさがあって飲み始めの人等にはオススメである一方、個人的には複雑さという点で少し物足りなさも覚えるところ。今回のリリースでは、その物足りなさをピートフレーバーが補っているのです。

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「ピーテッドグレーン」というネーミングには面食らいましたが、個性の強い部類に入るロッホローモンドの原酒の中で、グレーン原酒の特性から決して長熟でもないのにこのまとまり具合、そしてこの飲みやすさ。「なるほど、こういうのもあるのか」と、香味以外に造り方も含めて大きな可能性を感じた1本でした。
っていうかこれで3500円ですから、コスパも文句なし。同じ価格でピーテッドモルト買ったら、もっと粗い仕上がりのリリースがほとんどです。

ストレート以外にハイボールなど様々な飲み方でも試してみたい。あるいは、この原酒をブレンドに使ったら・・・、今までにない新しいキャラクターにも繋がりそうです。バルクで入れて国内で使えないかなぁ…例えば長濱のブレンデッドに使ったら絶対面白いし、酒質の柔らかさとしてもマッチするはず。これは都光さんの仕事に期待したいですね。

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今日のオマケ。コスパの良さと、スペックでの驚きが共通点。

手取川 限定中取り純米大吟醸  特醸あらばしり 2020BY
味は文句なし。ですが、あらばしり(荒走り)は日本酒を絞る際に最初に出てくるお酒で、中取りはそのあと出てくるお酒。つまりこのスペックが同時に存在することは無いと思うのですが、どういうことなの?と。。。

ウイスキー仲間経由で調べてもらったところ、このあらばしりは、荒ばしりではなく、新酒を意味する新走りのことではないかと。なるほど、新酒の中取りってことか、紛らわしい(笑)。
因みに香りはフレッシュでライチやメロン、軽い香ばしさ。吟醸香はしつこくなく、味も適度なコクと甘みと酸、極微炭酸の刺激。フルーティーさにはウイスキーのフェロモン系のトロピカル香にも共通するニュアンスがあり、思わず笑顔になってしまう味わいでした。
うん、これはもう一本購入したいです。

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