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ノブクリーク 2004-2017 発売25周年記念 60.8%

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KONB CREEK 
SINGLE BARREL 
25th ANNIVERSARY 
Aged 13 years 
Distilled 2004 
Bottled 2017 
750ml 60.8% 

グラス:リーデルテイスティング
時期:不明
場所:BAR Kitchen 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ウッディでメロー、やや艶っぽさのある甘いアロマ。メープルシロップやシナモンアップルパイ、微かにドライクランベリーやハーブのアクセント。溶剤を思わせるニュアンスも微かにあるが、全体的にはチャーオークのアロマが主体で濃厚な仕上がり。

味:メローでリッチ、とろりとした口当たり。焦がしキャラメルの甘味とほろ苦さに、バニラ、ダークオレンジからウッディなフレーバーへ。濃厚だが度数ほどのアタックはなく、熟成を感じさせる。
余韻はドライでウッディ、甘いオークとグレーンのアロマが口内に揺蕩う。微かにライムのような柑橘を思わせる酸味を感じた後、スパイシーでビターなフィニッシュが長く続く。

熟成感があってリッチな味わいが楽しめる良質なバーボン。リリースにあたって一樽ずつ特別に選定されたという前置きに違和感はなく、オークフレーバーにエグミの少ない艶やかな甘さのあるタイプ。ノーマルからただ熟成が進んだだけのフレーバーではなく、樽そのものもグレードの高いものを使っているのではないかと感じられる。作り手のこうあって欲しいという理想を形にしたような、真打と言える1本。


ノブクリークが発売された1992年から25周年を記念し、2017年にリリースされたシングルバレルの特別仕様。6代目マスターディスティラー ブッカー・ノエ氏が仕込んだ原酒の中から、7代目マスターディスティラー フレッド・ノエ氏が特別に選定した、複数のえらばれし樽(原酒)が、それぞれシングルバレル仕様でボトリングされています。

原酒のマッシュビルは通常のノブクリークと同じコーン75%、ライ13%、モルト12%の組み合わせですが、熟成年数は先に書いたように12年から13年の間で、度数もロット毎に微妙に異なる形。
その通常のノブクリークからは、シングルバレルで9年熟成60%(写真下)が通常リリースされており、バーボンの傾向からすると同じベースのロット違いで、そこまで大きく味が変わるということはないように考えられますが、今回のボトルは格が違いますね。
通常品からえぐみなどの不要な部分を少なくし、さらに樽由来の香味の良い部分を豊かにしたような、さながら影打ちと真打ちの関係にあるように感じられました。

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原酒と熟成環境が同じなら、もはや違いは樽に由来しているとしか考えられません。
熟成年数が3~4年違うじゃないかというのはその通りですが、通常品をさらに寝かせてもウッディさがや渋味が増すだけで、こういう仕上がりにはならないと感じます。
またドライなことを言えば、ジムビームに数多ある樽の中から数樽を選ぶようなことは現実的でなく、最初から特別リリース用に考えられて仕込まれていたなかで、度数60%オーバーを維持していた原酒をチェック(それでも膨大な数がありそうですが)という選定だったんじゃないかと推察します。

ボトルのデザインはノブクリーク伝統の禁酒法時代をインスパイアしたスクウェアボトルに蝋の封印と変わらず。
それよりもシングルバレルで長熟で、60%オーバーのバレルプルーフで限定品というスペックながら120から130$程度というのは、結構頑張っているというか愛好家としてはありがたい限りです。(日本の並行輸入品の価格は結構のせられてますが・・・。)
もしアメリカに行く機会があったら、お土産に購入しようと候補に加えた1本でした。


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今日のオマケ:ヴオーヌ・ロマネ 2013 ドメーヌ・ジェラール・ミュニュレ

香り立ちはいかにもというクリアなベリー感、葡萄の皮と仄かに土っぽさや湿ったような木々の香りが混じる。口に含むと赤いベリー系の果実風味からチャーミーな酸が主張。若干粘性のある質感が舌の上に感じられ、思ったよりもボディがある。余韻はじわじわとスパイシーでフレッシュさはあるが、タンニンは過度に主張せず極め細やか。
はちみつのかかったブルーチーズとの相性が抜群。。。

たまには仏モノ・・・というわけではなく、お付き合いでボトル1本割り勘飲み。結構痛い出費だが、事情により致し方なし。
正直自分のワインの知識だと、ヴォーヌ・ロマネは作り手名が把握しきれていないレベルなのですが、ファンの多い銘柄のようですね。「これ旨いんですよ!この店のセラーにあるなんて!」と嬉々として語られていた、相手方の反応が非常に印象に残っています。
2013年は平均的な年という評価ですが、それに加えて格付け無しのグレードというのも、早飲みにちょうど良い仕様だったのかもしれません。
酸の主張はやや強めでしたが、全体のなかではクドいものではなく楽しめる範囲で、全体の作りは上質というか丁寧。食事と合わせて堪能させてもらいました。

ノブクリーク ライ シングルバレルセレクト 57.5% #5937

カテゴリ:
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KNOB CREEK 
SINGEL BARREL 
Kentucky Straight RYE Whiskey 
Barrel #5937 Hand Selected By Fujioka's Wine Times 
750ml 115Proof 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:パワフルでスパイシーな香り立ち。注ぎたては刺激が強いが、徐々にクッキー、薄めたメープルシロップの甘味。オレンジやグレープフルーツの柑橘系の要素が、若干青みがかった爽やかさと合わせてスペアミントを思わせる。

味:強く荒々しいスパイシーさを伴う、フルボディな口当たり。メローで粘性のあるチャーオーク由来のキャラメルの甘味、続いて搾った柑橘、徐々にビターなウッディネスへと変化していく。
フィニッシュはスパイシー、口内への刺激は最後まで長く続くが、キャラメルオレンジの甘味が舌の上に長く残る。

樽の効き具合はノーマルのノブクリークシングルバレルよりもやや控えめ。そこにライウイスキーらしいスパイシーさ、樽や穀物由来の要素とは異なるフレーバーが柑橘やミントのニュアンスに繋がっている。熟成は若そうだが嫌みな要素は少なく、しかしバッチバチ。少量加水すると香味ともまとまって味わいやすくなる。


ハワイ・オアフ島にあるワイン専門店"Fujioka's Wine Times"(以下、フジオカワインと表記)が、ジムビームから独自に樽を買い付けてリリースした、シングルバレルのライウイスキー。ジムマーレイ氏じゃないですが、最近ライウイスキーがアメリカ側でバズってきてるらしいですね。
ノブクリークのライは、100Proofの通常品のみしか日本市場に流通しておらず、シングルバレル115Proofは未入荷。加えてお値段税込み約48$の限定ウイスキーと考えれば、現地の思い出プライスレス込みで比較的お手頃な1本かなと思います。

ノーマルのノブクリークは9年熟成で、マッシュビルはコーン75%、ライ13%、モルト12%であるところ、ノブクリーク・ライの100Proofは熟成年数5~9年のバッティングで、マッシュビルはコーン35%、ライ55%、モルト10%とのこと。おそらくこのフジオカワイン向けのボトルも同じ比率で仕込まれた原酒でしょう(ライのマッシュビルは不明とするサイトもあり、あくまで参考程度)。ライウイスキーなので当然ですが、ノーマルなノブクリークに比べてハーバルで、スパイシーな特徴が強く出ています。

他方でレビューで感じたように熟成年数は比較的若いのか、5~6年程度のものと思われます。
ショップで聞いてもシークレットだと教えて貰えませんでしたが、他でリリースされてる同価格帯のプライベートセレクトの熟成年数はその辺りであり、あまり長熟の原酒をジムビーム側が出してないのかもしれません。
チャーオーク由来の甘味のなかにスパイシーさと酸味、そして若干スペアミントのような爽やかさと柑橘感があり、若さがそれらの勢いを後押ししている。カクテルベースにしても面白そうで、マンハッタンなどのショートカクテルには強そうですが、ライムやスペアミントを使うミントジュレップとかなら絶対美味しいだろって感じです。

かつてバーボンはライウイスキーだった時代があり、徐々にコーン比率が高まっていったという経緯を考えれば、この味わいは古の味のひとつ。今オールドで流通しているそれらは、樽香は多少違えどベースはきっとこんな感じだったのでしょう。
このプライベートセレクトは、同店に限らず様々なショップやグループから行われていて、メーカーズマークのように、そのうち日本にも入らないかと期待しています。

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フジオカワインの店内。外観が地味なので、それがギャップになって在庫の多さに圧倒されます。
看板はワインショップですが、ワインをメインにした総合酒類取扱店という感じ。ウイスキーにビール、あとは日本酒。葉巻もあります。
限定のウイスキーは、今回のライウイスキーに加え、同じくノブクリークのシングルバレルに、Hawaiian Whisky Mafia名義のメーカーズマーク・プライベートセレクト。写真でも写っていますが、ジャパニーズウイスキー区分では、例の焼酎ウイスキーも棚に並んでいました。

ちなみにこのお店に限らず、アメリカワインの価格が日本の流通価格から一律1000~2000円引きくらいなんですね。辺り前と言えばそうなのかもしれませんが。
例えば日本では3500円程度で売ってるケンダルジャクソンが、普通のスーパーで15$くらいでしたし、日本への輸送コストどんだけかかってるんだ。。。羨ましい。

ノブクリーク 9年 シングルバレルリザーブ 蒸留所限定

カテゴリ:
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KNOB CREEK 
SINGLE BARREL RESERVE 
SMALL BATCH 
Aged 9 years 
Bottled 2019 
For Distillery Exclusive 
750ml 120proof 

グラス:
場所:BAR Fingale
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:メローでスパイシー、チャーオークの焦げ感と薄めたメープルシロップ、シロップ漬けのチェリーと微かにハーブのアクセント。奥には乾燥トウモロコシ、ライ麦パンのような酸も感じる。
味:メローでパワフルな口当たり。スパイシーでウッディ、少し焦げたワッフルの苦み甘みとドライフルーツの酸味。バニラ系のアロマが存在感を増して鼻孔に抜ける。
余韻はスパイシービター、軽く樽材由来のえぐみも伴う。

ハイプルーフな構成故のパワフルな味わいで、樽感が嫌味にならない程度に適度に効いている。ロックにすると纏まりが良く、メローでありながらオレンジママレードやライムのような柑橘感など、チャーオーク由来の香味が温度を上げながら口内に広がる。

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ジムビーム蒸留所の見学で購入することが出来る、ノブクリークの限定ボトル。BARフィンガルのバックバーを眺め、見知らぬラベルのノブクリークが視界に入って注文しました。
所謂バリンチ的なボトルなのですが、自分で手詰めするのでもなく、売ってるボトルをレジに持っていく訳でもなく、生産ラインを流れる中で必要な本数分を確保し、キャップの蝋封だけするという、微妙に合理的なシステムで販売されているそうです。

よって、ボトルの中身は樽の個体差を除けば通常のノブクリーク9年シングルバレルとそう変わらないため、逆に価格面も抑えられて蒸留所限定品としてはお買い得。ノブクリークコースを見学して、買わない見学者は居ないというくらいなのだとか。そんなわけでマッシュビルや銘柄の詳しい紹介は過去記事に任せ、今回は先に進むことにします。

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(ノブクリーク・シングルバレルの通常リリース。現在のバーボン市場のなかではかなりコスパに優れた優良リリースと言える。レビュー記事はこちら

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(蝋に浸けたキャップヘッドのうえに指を押し付け、指紋を残すのが限定品のスタイル。お手軽だが特別感はある(笑)。この指紋はフィンガルのマスター、谷嶋さんのもの。)

今回のカスクはメローかつスパイシーな、所謂チャーオークのフレーバーは相応に備わっているのですが、どろっどろにリッチなオークフレーバーというわけではなく、同時に穀物感とライ麦パンを思わせる酸が感じられ、これがロックにするとオレンジやライム等の柑橘のニュアンスへと変化するのが特徴であるように感じます。

ノブクリークは元々その系統の仕上がりですが、今回のボトルはその傾向が強いですね。ハイプルーフならではのバランスと言いますか。バレルプルーフに近く、熟成年数が長いものは樽感が強い一方酒質も強いため、個性が互いに主張しあうわけですが、それを加水やロックにしたときにどう変化していくかは、製造方法からどうしても類似の系統になりやすいバーボンにあって、銘柄毎の変化を見るポイントだと思います。


以下、余談。
BARフィンガルの谷嶋さんが代表を務める、酒育の会が発行するフリーペーパー「リカル」。上の写真にも写っている5月号は、丁度バーボンを含むアメリカンウイスキー特集です。
アメリカンウイスキーは近年多くのクラフトメーカーが立ち上がっているだけでなく、製造方法を定めた連邦アルコール法の抜け道で新しいフレーバーを探る動きも活発。アメリカンウイスキーの基礎からその業界動向の一端が紹介されています。
今回は狙ったわけでもなくバーボンを注文していましたが、ロックでじっくり楽しみながら、カウンターで良い勉強をすることができました。

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