グレンドロナック 15年 2000年代流通 43%
GLENDRONACH
100% MATURED IN SHERRY CASKS
AGED 15 YEARS
1990-2000's
700ml 43%
グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:Eclipse first
評価:★★★★★★(6)
香り:ドライプルーンやかりんとうを思わせる甘くほのかに香ばしさのあるシェリー香に、ベリーを思わせる甘酸っぱさのアクセント。スワリングしているとドライなウッディさがメインになって、果実香が衰えていく。
味:スムーズで柔らかいコクを感じるしっとりとした口当たり。香り同様の甘味と果実感、オールブラン系の若干のほろ苦さのある乾いた麦芽風味。余韻はスウィートでややドライ、若干のタンニンや椎茸のようなニュアンスを伴って染み込むように残る。
基本的には同時期のマッカランやファークラスあたりと共通する、シーズニングタイプのシェリー感主体。そこに微かに伴うベリー感が70年代のドロナックに共通するシェリーカスクフレーバーの名残、共通項として感じられる。
2000年前後に短い期間でリリースされていたドロナックのオフィシャル。
同オフィシャルリリースは、1980年代から1990年代にかけて、シェリーカスクメインのものと、リフィル(プレーンカスク)メインのもの、濃淡2種類で構成されてきていましたが、今回のボトルがリリースされていた時期のオフィシャルスタンダードは、100%シェリーカスクオンリーでした。
その後は12年表記でシェリー樽原酒をアメリカンオーク(バーボン樽)で再度熟成させたという、”オリジナル”に切り替わり・・・ただ、これは当時サントリーが取り扱っていたにも関わらず全く目立たない銘柄。
結局、親会社が変わったことで「ドロナックのハウススタイルはシェリーカスクにあり」と、2010年頃に18年アラダイス、15年リヴァイバル、そして12年シェリーカスクが発売され、大々的にラインナップが拡充され、100%シェリーカスクのドロナックが現代に甦ることとなります。
(グレンドロナック18年アラダイス。1996年から2002年まで操業休止していた同蒸留所は、原酒不足から15年を休売とし、18年も同じ道のりを辿るものと言われていたが、結局現在も販売され続けている。最新ロットは18年表記でありながら中身は最短22年熟成という年齢詐称(笑)。味も正統派で、現行シェリーカスクとしてはかなり頑張っている。M、Fより断然オススメ。1本くらい買っておこうか。。。)
こうしてドロナックオフィシャルリリースの歴史を30年くらい俯瞰して見ると、サントリー時代の12年オリジナルが明らかに異色であり、その1本を境目にフレーバーの系統も大分異なることとなります。
ドロナックのハウススタイルはシェリー、そこに異論はないものの、このシェリー感が全く異なるんですよね。
以前レビューしたクリアダンピーボトルの18年は、素晴らしい赤い果実のフルーティーさを備えた1本。これは1970年代前半のドロナックのシェリーカスクに見られる特徴で、流通時期と熟成年数を考えれば違和感のない特徴と言えます。ここから徐々に該当する果実感が薄くなっていき、今回の15年でひっそり感じられるあと、サントリー時代を挟んで消える。
逆にシェリー感に近年のシーズニング系というか異なる甘味、果実感が増えていくのがもうひとつの傾向であり、使われている樽の比率が変わっていったことが香味の変化から感じられるのです。
今日のオマケ:ニュートン アンフィルタード ピノ・ノワール 2014
モエヘネシーが所有しているワイナリー。樽での発酵後、フィルタリングをしないで瓶詰めされるというウイスキー好きが反応しそうな仕様も特徴。
トータルでは普通に美味しいカリピノですね。特徴とも言えるベリー系の甘酸っぱさに、もう少し熟した感じがあるかと思ったら、意外と仏っぽさがあるというか、ちと香りや味のタンニンも硬く、若々しい感じが。1日置いても大きく変わらず、作りはしっかりしているだけに4~5年放置しても良いかなって印象です。