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ジャパニーズウイスキー「響」のフェイクボトル報道に思うこと

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いつか話題になるだろうと思っていた、ネットオークションにおけるジャパニーズウイスキーのフェイクボトル。その逮捕者が出たというニュースが、本日配信されています。

中身は別のウイスキー 偽「響30年」販売容疑で逮捕(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL8P41T0L8PONFB006.html

自分がウイスキーを本格的に飲み始めた2010年頃、フェイクボトルと言えばスコッチでマッカランやスプリングバンク、あるいは陶器瓶のラガヴーリンなど、海外から買い付けるような一部のレアなボトルに限られていました。
代表的なものが、昨年ニュースにもなった100年前のマッカランとかですね。
国内ではマッカラン30年ブルーラベルが話題になるくらいで、よほど高額なものでなければフェイクづくりは割に合わないというのが定説だったとも記憶しています。

ところが、近年のジャパニーズウイスキーブームを受けて、まずはイチローズモルトのフェイクと思しきボトルがヤフオクなどで見られるようになり。スコッチモルトも高騰し始めた結果、近年リリースでもフェイクを疑われるボトルが徐々に増えていました。
そして極め付けが、今年発表された白州、響の休売ニュース。海外からの買い付けで流通価格の数倍という価格高騰を引き起こした結果、メルカリやヤフオクの所謂転売系の出品物に明らかにフェイクと思しき響17年以上が混じり始めたのです。(メルカリの方が多い印象。)
それは散見というほどの数はないものの、事件化することは時間の問題だったようにも思います。


疑わしきは・・・ということで、この場でWEB上に出品されている(されていた)ボトルを名指しすることはできませんが、例えば最近メルカリやヤフオクで見かけた響で、明らかに怪しかったモノの特徴は以下の通り。

①開封済みである。
②液面が通常より高い。
③撮影の影響を差し引いても、色が濃いor薄い。
④ラベルが張り直されたような跡がある。
⑤キャップシールのデザインが異なる。

はっきり言って、上述のレアなオールドボトルのそれと比べると殆どは雑なフェイクであり、個別に解説するまでもありません。ラベルをルーペで拡大したり、キャップシールを一部切り取ってコルクの状態を確認しないと認識出来ない精巧なフェイクに比べれば、あまりにも稚拙。
現時点ではキャップシールまで複製して詰め替えているようなケースは少なく、①、②、③がセットになっていたりで、笑いのネタにすらなるレベルです。

他方、④や⑤は解説の余地があるので少し述べていくと、まず④は最安価の響ジャパニーズハーモニーのラベルを剥がし、響17年以上のグレードのラベルを調達(あるいはプリント)して貼り直した、所謂ニコイチと思われるものです。
響はボトルのカットがグレード毎に変わるのと、ウイスキーの色合いもジャパニーズハーモニーと17年以上では異なるため、注意して見ればわかるのですが・・・。以前あったこの怪しい出品物は、残念ながら落札されていました。
また、⑤については、今回ニュースになっているケースが該当すると思われるもの。響のキャップシールは現行品だと斜めにカット(30年は垂直)が入り、HIBIKIなどの印字があるのですが、それらが全くないのっぺらぼうなモノがありました。

そして、このような市場状況が続くと確実に増えてくるのが、先に述べた「精巧なフェイク」です。
既に高額なジャパニーズウイスキーの空き瓶が、オークションなどで数万単位の価格でも落札されており、その行き先は純粋なコレクターだけとは思えません。
キャップシールを複製して詰め替えされると、少しでも液面の高さ、色合いをごますように見える写り具合のような、怪しいところがあれば購入しないという予防策を取る以外に手はないのです。

これまで海外から調達されてしまったオールドボトルのフェイクは、泣き寝入りするしかなかったケースが殆どであるように思います。現在は逆に、海外の愛好家がジャパニーズのフェイクを掴んでしまったという悲しい話もあります。
しかし現行品で国内となれば、明確なフェイクは責任の所在を辿ることはある程度まで可能であると思います。

今回のケースは、まさに氷山の一角。容疑者らが悪意を否定している状況(偽物と知ってたけど、騙す気はなかったって、弁明にならんがな。。。ってか何入ってたんだ)ですが、少なくとも逮捕者が出たことで、フェイクの出品に歯止めがかかってくれることを期待したいです。

若鶴酒造関連会社がリラックスとウイックを子会社化 洋酒部門強化へ

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今朝のニュースで興味深い記事があったので、紹介させてもらいます。
北陸コカコーラボトリングの協力会社であるGRNが、洋酒等の並行輸入・販売における国内主要企業のリラックス、及びその子会社でウイスキー業界ではお馴染みのウイックら2社を子会社化したという話題です。

洋酒、ワイン、仕入れ拡大 GRN輸入卸売2社子会社化(6/5 北陸新聞)

ウイスキーを飲み始めたばかりの方々には馴染みがないかもしれませんが、ある程度飲んでいる方や業界の方なら必ず一度は手にとっているであろうウイック社卸売のボトル。
今回ピックアップしたいポイントは、今後同社の販売の拠点が北陸に移る可能性・・・というより、GRN社が三郎丸蒸留所を操業し、ウイスキー製造を手掛ける若鶴酒造の親会社でもあること。そして今回の子会社化を経た後のグループ全体としての規模にあります。
各社の正式な役割分担等は株式取得前でまだ不明ながら、調達・販売の機能と選択肢が強化され、大きな動きに繋がることは間違いありません。

近年、日本全国で産声を上げるクラフトディスティラリーにとって、ウイスキーづくりの技術向上は勿論重要ですが、製品の販路に加え、樽や各種物資、ブレンド用原酒などの調達先の確保も同じくらい重要です。
GRN社のニュースは、若鶴酒造がそれを商社経由だけでなく関連会社も含めて行える事になり、ルートが今まで以上に広がるという事が一つ。加えて、その企業の特色として例えばリラックスは各種ワインの輸入にも実績があるわけですが、グループのバックホーンで並行品ではなく正規代理店契約も結べる状況となると、ウイスキーの熟成に使えるシェリーやワイン樽などの調達ルートの開拓にも繋がり、ウイスキーづくりの選択肢が広がることも期待出来ます。

さらにGRN社側に目を向けると、グループとして元々持っていた機能を合わせれば、酒類全般の輸出入・製造・提供を可能とする一大勢力が誕生する可能性も。。。今回の記事は若鶴酒造視点メインで書きましたが、興味がある方はGRNについても調べて見てください。


"ジャパニーズウイスキーブーム"と言っても、一般市場で消費される大半は大手製品。特に居酒屋で飲まれるような、角、トリス、ブラックニッカなどが中心であり、残された市場をクラフト勢が取り合う状況に変わりはありません。
その為、クラフト勢は地元の市場に基盤を作りつつ、ローカルアイドルがメジャーデビューしていくようにじわじわ支持を広げていく必要があるわけですが、主要な市場、酒販店や飲食店への販路が確立しているということは、大きなアドバンテージとなります。

今回のニュースは地方紙5面のローカルな記事ですが、酒販関係者を中心に業界としては何気に大きな話じゃないかと、  朝からテンションが上がってしまいました。
記事全体を通してふわふわした書き振りになっているのは、未定な部分があるのもそうですが、純粋に規模感が大きすぎて書ききれないのです。
自分としては今後、北陸からウイスキー業界に新しい流れが出来てくることを、いち愛好家として楽しみにしています。(コアユーザー向けはモルトヤマもありますし、ウィック社製品の扱いが増えるかな?)


さて、その三郎丸蒸留所ですが、2年目の仕込みに向けて、マッシュタンとその関連設備を新調する工事が行われました。
昨年のリニューアルと合わせ、これでぐっと製造環境が近代化しましたね。過去の密造時代一歩手前のような設備を知っている自分としては、中々感慨深いものもあります。


若鶴酒造では次週11日から試験的な仕込みを行い、準備を整えていくそうです。
まだ具体的なリリースがないため、同社の原酒は市場的に未知数なところはあるものの、昨年仕込みのニューメイクを飲んだ限り、ヘビーでピーティーで、どのジャパニーズとも異なる面白い原酒が生まれています。
ここに生産設備が新調され、発酵過程が安定すれば、さらに洗練された原酒を作ることができるという期待もあります。

ウイスキーの仕込みは夏場のみである同社ですが、通常の見学対応は勿論、レセプションホールである大正蔵で、映画「ウイスキーと2人の花嫁」の上映会を行なったり、5月には同社敷地内でバッカス富山も開催されるなど、活動は広く行なっています。
また、ウイスキーのリリースとしては先日レビューした蒸留所限定のブレンダーズトライアルをはじめ、ムーングロウのセカンドリリースLimited Edition 2018がリリースされたばかり。
関東にいるとどうしても情報が届きにくいのですが、活動実態はなかなかどうして精力的なのです。


2018年は若鶴酒造にとって、創業100周年となる大きな節目の年でもあります。
その年に今後に向けた動きの一つが、今回のニュース。
思い返せばプロジェクトリーダーの稲垣さんの熱意に共感し、蒸留所改修のためのクラウドファンディングを紹介をさせて頂いた時から2年目少々、気がつけばどんどん大きな動きになっていく北陸のウイスキームーブメント。
今後どのような形を成していくのか、その動きに引き続き注目していきたいです。

※当記事の写真は撮影者の許可を得て使用しています。

サントリー 響17年と白州12年を2018年6月以降休売 新商品発売も

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既に多方面から伝え聞いているだけでなく、酒販店によっては告知されている情報ですが、2018年6月に白州12年が、同9月に響17年が休売となります。

これまでは、サントリーの営業サイドが内々に特約店などへ連絡。そこから伝聞を介して情報が広まっており、当ブログでも新商品に関する情報と共に噂を検証する記事を更新していたところ。本日、日経新聞に休売情報が掲載され、いよいよカウントダウンが始まったなという状況です。

日経新聞:サントリー「響17年」販売休止 ウイスキー原酒不足 白州12年も。
ねとらぼ:サントリー「白州12年」「響17年」販売休止へ ウイスキー人気で熟成した原酒が不足

日経新聞によると、休売扱いとなる2銘柄の再販時期は未定。サントリーとしてはこれまで同様積極的な設備投資と企業努力で原酒を確保し、再販を目指すとの姿勢ですが、12年、17年クラスの原酒は設備投資後すぐできるわけではなく、時間が必要であることは言うまでもありません。

仮に2010年ごろからの増産分があるとしても、ラインナップの復活はこのままの市場推移であれば、2025年から2030年くらいまでかかってしまうのではないかと。
そもそも現在使われている原酒が作られた2000年前後は、日本のウイスキー市場が最も苦しかった時期。当然生産も少なかったでしょうから、その当時の原酒で今のブームを乗り切れるはずもなく、休売の判断は時間の問題であったと考えられます。
むしろ早々にエイジングを撤退してしまったニッカウイスキーやキリンに比べれば、持った方だとも思います。


今後の響、白州、そして今回休売対象になっていない山崎の通常ラインナップはそれぞれ
響:ジャパニーズハーモニー、21年、30年
白州:NA、18年、25年
山崎:NA、12年、18年、25年
となり、定価で手に入るかはさておき希望小売価格1万円前後のミドルエイジクラスが、希薄なラインナップになります。

サントリーは、ここに平均酒齢15年程度とされる「響 ブレンダーズチョイス」(2018年9月発売予定・定価1万円程度)を投入予定。17年の代替としての役割を担わせていくようです。
ひょっとすると、ブームによる需要増で両ブランドの品質維持も供給も間に合わず共倒れになるかもしれない中。リリースを安定させるため、白州と響どっちを取るかの二択で響17年をNA仕様にして白州12年向けの原酒も回し、ジャパニーズハーモニーの上位グレードを開発する、といった苦肉の策だったのかもしれません。

参照:Suntory revamps Yamazaki, Hibiki and Hakushu packaging - The Sprits Business (4/27)

ただし白州12年について、海外や免税店向けリリースは継続するのか、今年発売となるProof表記入りで12年750ml仕様の新ラベルに関する情報も出ています。あくまで噂レベルではありますが、今年の秋頃にさらなる発表があるという話も聞いていました。
これが単に響17年の休売と、ブレンダーズチョイスの話のみなのか、それとも何かしらの動きがあるのか。。。
ねとらぼの記事によると、この他のラインナップで休売は予定されてないとのことですが、今回の件、今年1月頃聞いた話は発信源がいくつかあって、ミニマムは白州12年のみでしたが、最大級でサントリーのラインナップ半分くらい入れ替わるレベルの噂だったんですよね。

響17年は、前身となるNA時代を含めると1989年発売。白州12年は1994年発売。いずれにせよ、実に20年以上に渡り展開されたオフィシャルスタンダードが、姿を消すことになります。
特に響17年はジャパニーズブレンデッドの評価を確たるものにしたと言っても過言ではない、ブランドそのもののルーツです。ウイスキーブームが「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉そのものを招いているこの状況。この販売休止を発端に、2018年が2015年のニッカ・ショックに次ぐ、サントリー・ショックの年にならなければ良いのですが。。。

東洋経済 米国「焼酎ウイスキー」を笑えない日本の現状 に思うこと

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先日、「ジャパニーズウイスキーの悲しすぎる現実」と題し、日本のウイスキー業界の課題に切り込んだ東洋経済社から、またなんとも刺激的な記事が公開されました。
本記事についても前回同様、徒然と思うことをまとめていきます。

米国「焼酎ウイスキー」を笑えない日本の現状
酒造会社がウイスキー免許に殺到するワケ(4/28)

今回の主題は、当ブログでも以前取り上げた"焼酎メーカーが輸出した一部の熟成焼酎が、アメリカではウイスキーとして販売されている"という、日本とアメリカの酒税法の違いで起こる輸出焼酎ウイスキーに関する話。
そしてそこから、前回の記事よりさらに踏み込んだ、日本のバルクウイスキーに関する現状と課題が特集されています。
サブタイトルなど多少煽り気味なところもありますが、全体的には事実確認と裏付けがされた内容であり、実態を把握する上でよくまとめられている記事だと思います。

参照:当ブログの輸出焼酎ウイスキーに関する記事。(深野ウイスキー12年)

まず"輸出焼酎ウイスキー"についてですが、これは法律の解釈とメーカー側のコメント、さらに国税庁の見解までまとめられていて、上記記事を書いた際、後日自分がやろうと思っていたことそのものでした。
やはりこの辺、大手メディアは強いですね。確認したかった内容だったので助かりました(笑)。

本件は国内だけなら兎に角、他国の法律にまたがる話。一筋縄ではいきませんが、この状況をどう受け取るかは我々読者の判断に委ねられているとも言えます。
ビジネスチャンスだと粗悪なものをブームに乗じて売りさばくか、上記記事にまとめたように「日本では売れない色濃く熟成した長熟焼酎」を販売する手段とするか、まさにメーカー側の倫理が問われているのだと思います。


(焼酎は光量規制によりある一定以上の色の濃さのものを国内で発売出来ない。ブレンドするかフィルタをかけて減色するか、あるいは食物繊維等を加えて焼酎ベースのリキュールとするしかない。画像はその一例である、太刀洗15年シェリーカスク。少しサルファリーだが濃厚なシェリー感で焼酎らしからぬ味わい。画像引用:amazon)


そして、記事では焼酎の事例が対岸の火事ではないとして、日本のウイスキー業界の現状、ウイスキーの定義とバルクウイスキー問題について再び特集する構成となっています。
ただ、今回は一般向けと言えるレベルからマニアック路線に踏み込んだ内容であり、前回の記事の反響の大きさが伺えます。

大きくは以下3点。
・松井酒造、倉吉ウイスキー騒動について。
・業界全体として増加するバルクウイスキー輸入と、ニッカウイスキーの事例。
・ジャパニーズウイスキーの定義について。

倉吉ウイスキー騒動は、当時から本ブログを読まれていた方にはよく知られた話。今となっては「そんなこともあったね」と感じるくらいだと思いますが、一般の方からすれば「なにそれ」という話が"例のメーカーコメント付き"でまとめられています。(詳しく知りたい方は以下を参照ください。)
まあこれほど日本のウイスキーの定義の穴をついてきたというか、合法の範囲で"したたか"にヤッテヤッタ事例は他にないんですよね。最近は記事中に書かれたみりんメーカーみたいに怪しいのがまた増えてきていますが、日本のウイスキーの定義が持つ問題を語るサンプルケースにおいて、これ以上はないと言えます。

参照:松井酒造 ピュアモルト倉吉に見るジャパニーズウイスキーの課題

そして、増加し続けるバルクウイスキー輸入量の統計データとともに、ついにここまで切り込んだかという話が、「モルト・ウイスキー・イヤー・ブック」掲載、ニッカウイスキーによるベンネヴィス蒸留所の原酒輸入、自社商品へのブレンドについての話です。

同書籍はウイスキー業界の動向をまとめて1年に1度発売される書籍です。日本で一般に販売されていないため、コアな愛好家を除いてあまり知られておらず、この話も知る人ぞ知るというネタでした。
同書籍のベンネヴィス蒸留所の項目では、ここ数年間「今年は日本にこれだけ原酒(ニューメイク)を輸出した」というデータを掲載しており、2017、2018ではそれぞれ以下の画像の記述が確認できます。
スコッチ法ではシングルモルトのバルク輸出を禁止していますが、ウイスキーの定義から外れる3年未満熟成のものは回避出来るようです。

最も、掲載されたデータは関係者が公開している数値であるのか、裏が取れているのかどうか含めて不明であり、実態は定かではありません。
仮に事実としても、同蒸留所は1989年にニッカウイスキーが買収。閉鎖状態にあったところから、設備を改修しつつ再稼働させた実績があります。
自社が保有する原酒の幅を広げるため、その原酒を輸入したとしても、それはニッカウイスキーに限らず保有者(あるいは出資者)としての権利とも思います。
また、ベンネヴィスで言えば、再稼働後の原酒を用いたボトラーズメーカーのリリースは、愛好家から高い評価を受けてもいるところ。これは同社による買収があったからこそ、とも言えます。


東洋経済の記事では、品質を補い、高めるために輸入原酒を使うことは悪ではないとしつつ、ジャパニーズウイスキーの定義に関する問題として、その根本は業界全体の倫理観が問われているとまとめています。
これらの話はまさに、ルールというより作り手だけの問題ではない、売り手もふくめたマナーの問題なのです。

そもそも、◯◯ウイスキーというのが、◯◯で蒸留された原酒を100%使ったものというのは、シングルモルト的な発想です。シングルモルトについては輸入原酒に関する問題には発展しておらず、該当するのはブレンデッドタイプのウイスキーとなります。

ブレンデッドウイスキーは、その風味に最も大きな影響を与えるトップドレッシング、あるいはキーモルトとされるもの以外に、複数の原酒をつなぎ合わせる役割をするものや、味の土台を作る原酒をの存在も忘れてはなりません。
自分で作ってみるとよくわかりますが、ちょっと前のどこぞの野球チームのように、4番バッターばかり集めても多彩で複雑で飲みやすい、完成度の高いブレンデッドにはならないのです。
日本の原酒は熟成環境等の関係から、個性としては4番キャラなウイスキーが作られやすい傾向があり。対して、スコットランドの原酒は熟成が穏やかで、10年〜20年熟成程度のバルクウイスキー、特にハイランドタイプのそれは繋ぎや土台に使いやすいイメージがあります。
それこそ長期熟成原酒によるブレンデッドは、日本のウイスキーだけで作るより、輸入原酒を使っていた方がバランスが良かった事例もあります。

自分はこれまでも、誤解を招くような記載は企業のマナーの問題であること。他方、最終的には「美味いは正義」。高品質なものを作るためなら、一定の整理の上でバルクを使うことも手段の一つとする考え方で、記事を公開してきました。
ベンネヴィスにしても、大手やクラフト含むその他の企業のバルク使用にしても、使うことは否定しないまでも誤解を招かないようにする工夫は必要と言えます。例えば、イチローズモルトのワールドブレンデッド表記などは、非常にわかりやすい整理と説明で、工夫の一つだと思います。


記事中には、せっかくブームで業界が盛り上がったのに、新たな定義、規制を作ることで悪影響が出ないかを懸念する声もありました。確かにそういう影響がないとは言い切れませんが、一方で100%日本蒸留オンリー!とすれば解決するほど単純な話でもありません。(そもそも原料となるモルティング済みの麦芽は、ほぼ100%輸入という実態もあります。)
また、今後日本の企業が販路を広げていかなければならない海外の有識者からは、既に「ジャパニーズウイスキーって何?」とする声が一部上がるなど、先送りにしてもそう遠くない未来さらに大きな問題となる可能性も否定できません。

現在ウイスキー文化研究所らが中心となって進められている、ジャパニーズウイスキーの定義の議論。部外者である私はその進捗は存じませんが、この手の話は、ある程度一般に認知されて初めて議論が進むこともあります。
東洋経済の一連の記事については、賛否含め様々な意見があるものと思いますが、こうした記事が議論の後押しとなって、さらに大きな動きとなることを期待したいです。

ディアジオ リミテッドリリース2017-2018 一斉テイスティング会(4/14~15)

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今回はイベントの紹介になります。
いつもお世話になっている日本橋のBAR 「Y's Land Bar IAN」さんが、毎年開催しているMHD(ディアジオ)社のリミテッドリリース一斉テイスティング会を今年も開催します。

ディアジオ社は、所有する著名な蒸留所や既に閉鎖された蒸留所の希少な長期熟成原酒を、カスクストレングス仕様でリリースする"スペシャルリリース"と、現在は7蒸留所から構成されるクラシックモルトセレクションをベースに、様々な個性の樽で後熟した"ディスティラーズエディション"を、リミテッドリリースの一つとして毎年発売しています。
リリースが行われる時期は1年の後半にかけてで、日本に正規品が入荷するのは、翌年の4月頃。多少時差はありますが、今年はスペシャルリリースが10銘柄、ディスティラーズエディションが7銘柄、計17銘柄が4月10日の発売を予定しています。

そのラインナップは以下のとおり。
IANで開催される会の進行はスクール形式というわけではなく、個人個人のペースでサーブしてもらいながら全17銘柄を飲んでいく形の会です。 
それでいてこのテイスティング会は、会費設定が仕入れ価格に対しての原価。メーカー希望小売価格で単純計算すると、原価割れしている採算度外視の会でもあります(笑)。

ポートエレンやブローラなど、宝石か貴金属でも溶け込んでいるのかという希望小売価格ですが、この2蒸留所は昨年再稼動が発表されており、再び話題になるとなれば閉鎖前の原酒はさらに貴重となっていきます。なおさら原価で飲める機会はありません。
また、比較的手を出しやすい価格の範囲にあるディスティラーズエディションは、それこそ試飲会感覚で参加し、気に入ったボトルをその場で追加で頼むか、後日購入するかという基準作りにも使えます。

募集人数は40名まで、平行してFBでも募集が開始されておりますので、特に都内ないし近郊在住のウイスキー愛好家の皆様は是非ご検討ください。

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【Bar IAN ディアジオ リミテッドリリース 一斉テイスティング会】
開催日:4月14日(土)&15日(日) 15時〜 
会場:Y's Land Bar IAN 
(東京都中央区日本橋本町1-4-3 B2F)
TEL:03-3241-4580

人数:最大40名まで
会費: ¥15,000 (現金のみ)

申し込み先:
https://www.facebook.com/events/353867888455317/
※同店来店経験がない方でも参加頂けます。
※FBアカウントが無い方は別途作成いただくか、当方までメッセージをいただければ代理で手続きいたします。
なお、代理登録を希望される方は、参加希望日時に加え、連絡先となる電話番号及びメールアドレスをあわせてご連絡ください。(確認のため、後日こちらから連絡させていただきますが、ご了承ください。)

【テイスティングラインナップ】
◆スペシャルリリース 
1 ラガヴーリン12年 (56.5% 税抜希望小売価格¥16,000)
2 カリラ18年アンピーテッド 1998年蒸留 (59.8% 税抜希望小売価格¥18,000)
3 グレンエルギン18年 1998年蒸留 (54.8% 税抜希望小売価格¥36,400)
4 ブレアソール23年 1993年蒸留 (58.7% 税抜希望小売価格¥48,100)
5 ブローラ34年 1982年蒸留 (51.9% 税抜希望小売価格¥198,000)
6 コレクティヴァム28 NAS (57.3% 税抜希望小売価格¥18,500)
7 コンバルモア32年 1984年蒸留 (48.2% 税抜希望小売価格¥148,000)
8 ポートダンダス52年1964年蒸留 (44.6% 税抜希望小売価格¥95,600)
9 ポートエレン37年 1979年蒸留 (51% 税抜希望小売価格¥460,000)
10 ティーニニック17年 1999年蒸留(55.9% 税抜希望小売価格¥33,300) 

◆ディスティラーズエディション
11 タリスカー アモロソシェリーフィニッシュ (45.8% 税抜希望小売価格¥8,500)
12 ラガヴーリン PXシェリーフィニッシュ (43% 税抜希望小売価格¥12,000)
13 カリラ モスカテルシェリーフィニッシュ(43% 税抜希望小売価格¥9,000)
14 グレンキンチー アモンティリャードシェリーフィニッシュ (43% 税抜希望小売価格¥7,800)
15 ダルウィニー オロロソシェリーフィニッシュ (43% 税抜希望小売価格¥9,000)
16 クラガンモア ポートワインフィニッシュ (40% 税抜希望小売希望¥8,500)
17 オーバン モンティージャ フィノシェリーフィニッシュ (43% 税抜希望小売希望¥11,000)
※1本あたり10ml、個別に15ml以上を希望する場合は別料金にて対応。

【ラインナップ補足説明】
コレクティヴァム28 NAS 57.3%:
ディアジオ社が所有する、現在稼働中のモルトウイスキーの蒸留所全28箇所の原酒をブレンドしたブレンデッドモルトウイスキー。28の意味は28年ではなく、蒸留所の数。こうした試みはディアジオ社にとって初めてのことで、メーカーコメントでは「一生に一度の出会い、類稀なる傑作」と評価されている。

ポートダンダス52年 1964年蒸留 44.6%:
ポートダンダスは2009年に閉鎖されたグレーン蒸留所。ホワイトホースのボトリング施設に建設されていたため、同銘柄と強い結びつきがあった模様。スペシャルリリースとしては最長熟となるウイスキーで、リフィルアメリカンオークホグスヘッド樽で熟成。 

スペシャルリリース(雑感):
前身であるUD社でリリースされていたレアモルトセレクションの流れを受け継ぐ、ハイエンドラインナップ。中長熟の原酒で構成され、年数表記なしのものでも決して安易に未熟な原酒が使われている傾向は感じられない。それでいてリフィルオークを中心に使われているため、樽感よりも酒質ベースの味わいであり、カスクストレングス仕様のバッティングから、奥行きやバランスの良さも備わっている。ウイスキーとしての完成度は非常に高い。

ディスティラーズエディション(雑感):
7蒸留所から構成されるクラシックモルトセレクションをベースに、様々な個性の樽で後熟したリリース。基本酒精強化ワインの樽でフィニッシュが行われており、どの銘柄も毎年違う香味に仕上がっているが、それなりの味わいにまとめられていて大外れがないのも特徴。
フィニッシュに使われる樽は、ディアジオ社が独自に作成したアメリカンホワイトオークのシーズニングカスク(鏡板は新樽、胴の部分はリフィル。それぞれチャー済み)。シーズニング期間は1ヶ月程度、フィニッシュは最低3ヶ月行われる。

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