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オールドプルトニー 28年 1977-2005 ダンカンテイラー 57.7%

カテゴリ:
OLD PULTENEY
DUNCANTAYLOR
Aged 28 years
Distilled 1977
Bottled 2005
700ml 57.5%

グラス:木村硝子エールホワイトワイン
量:ハーフショット
時期:不明
場所:BAR飲み@Kitchen
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:柔らかい刺激を伴うスパイシーさ、バニラの甘みと洋梨、青リンゴを思わせる果実香、徐々にウッディ。華やかで充実している。

味:粘性のあるこなれた口当たり、麦芽風味とオーキーな華やかさ。バニラや洋梨を思わせる香り同様な果実味。ボディは適度な厚みがあり、余韻にかけてスパイシー、華やかでドライなフィニッシュ。

麦芽風味とプルトニーらしい少し溶剤を思わせるニュアンスがオーキーな樽感とうまく混じり合っている。
ダンカンテイラー系にありがちな、過剰なフルーティーさではない構成もポイント。


既に絶滅危惧種となって久しい、プルトニーの長期熟成シングルカスク。一時期はGMなどから1960年代がちらほらリリースがされていたものの、それも加水中心。こうした50%以上の度数を保ち、かつバーボンホグスヘッドタイプで樽由来のフルーティーさと酒質由来の香味のバランスが取れた構成は、2010年頃でも既に希少なリリースとなっていました。

オールドプルトニー蒸留所はスコットランド本土最北端地域にあり、年間を通した気温の低さからか、10〜20年程度の熟成ではまだまだ元気いっぱい、それほど樽感もつかないフレッシュで、溶剤っぽさの混じる味わいが特徴であるところ。
しかしボディはそれほど強くないのか、加水すると急におとなしくなり、また30年以上熟成した原酒ともなれば、長期熟成のスペイサイドモルトのごとく華やかで軽い味わいになっているボトルも珍しくないと感じています。

そのため、オールドプルトニーの20年以上熟成した原酒においては、酒質と樽感のバランスが難しく。適度な厚みやプルトニーらしい癖を残しつつ、樽由来のフルーティーさが感じられるような、ピークのボトルがかねてより数が少なかったわけです。
自分の中でその筆頭とも言えるボトルが、同じダンカンテイラーから樽を買い付けた、小倉のBAR STAG 10周年記念ボトルであるオールドプルトニー1977。これは文句のつけようがない美味いプルトニーで、今回のボトルも通じるところがあり、懐かしい気持ちで楽しむことが出来ました。


ちなみに、以上のようなキャラクターから、オフィシャルの12年や17年あたりを飲んで好印象を持った方が、その後同年熟成のシングルカスクを飲むと、あまりに違うキャラクターに驚くかもしれません。
初めて飲んだ時、自分も面食らった一人であるわけですが、しかしそのバチバチとフレッシュな味わいが嫌ではなく、むしろ元気をもらうような気がしてすっかり気に入ってしまいました。

最近はボトラーズからの長期熟成リリース枯渇はもとより、オフィシャルでも以前から情報が出ていた17年や21年の終売がいよいよ動き出す模様。対して新規は免税向けのNA加水くらいしか通常リリースがないと、あまりポジティブな話を聞かないのですが・・・好きな蒸留所だけに、明るい話題が出てくることが待ち遠しいです。

余談:Bar Kitchen さんのバックバーから、ダンカンテイラーラインナップの一部。
プルトニーに限らずダンカンテイラーのこの辺りの長熟ボトルも随分見なくなりましたね。
ピアレス香だなんて言ったりしてましたが、無くなってみると当時のレベルの高さがよくわかります。

ダンカンテイラー リンクウッド 24年 1990-2014 信濃屋&BAR マッシュタン 48%

カテゴリ:
IMG_5084
DUNCAN TAYLOR
LINKWOOD
Distilled 1990
Bottled 2014
Aged 24 years
Cask type Hogshead #8328
700ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅&自宅
時期:開封直後&開封後2年程度
評価:★★★★★★(6-7)

香り:キャラメルナッツ、アップルパイ、蜂蜜、程よい焦げ感のあるトーストを思わせるウッディネスとスモーキーさの漂う甘くほろ苦い香り立ち。注ぎたてはツンとした刺激もあるが時間経過で和らぎ、甘みが強く感じられるようになってくる。

味:リンゴのカラメル煮、アプリコットジャム、微かに干し草。あわせて鼻腔に届くスモーキーフレーバー。ボディの厚みはミディアム程度、味はしっかりとしている。
余韻はドライでオーキー、ナッツ、フルーツ缶のシロップのような甘み、内陸系のピートが長く続く。

オールドスタイルで美味しいリンクウッド。度数よりも少し強いアタックを香味とも感じる。酒質由来のニュアンスと樽感のバランス、そしてスモーキーさの漂う味わいが自分好み。
時間経過での変化が早い印象。加水すると乾いたようなウッディネス、水っぽさが出てバランスは多少崩れるものの、余韻のフルーティーさが際立つ。


約2年の時間を経た再会。2015年には目黒の名店、BARマッシュタン東京の11周年を祝うプライベートリリースとして。そして先日、2017年には信濃屋においてプライベートボトル10周年の年に。一つの樽から時期を分けてリリースされたのが、今回のボトルです。

画像引用:信濃屋WEB通販サイト ラフロイグ1997&リンクウッド1990

そうした経緯から、マッシュタン東京の記念ボトルとして一部愛好家間に流通し、開封されていたものと、直近発売されて開封したもの。期せずして異なる時間軸にあったボトルをほぼ同時に飲む事が出来たわけですが、同じ系統の味わいがあるのは同じ樽で同じ時期にボトリングされているので当然としても、その香味の変化が速いという印象があります。

変化がある期間はボトルによってまちまちですが、あまりにも時間がかかるものもあれば、即変化していくものもあります。(時間がかかるのは本当に辛抱強く付き合わねばならず・・・(汗)
このリンクウッドはグラスの中でも樽香が落ち着くのが早く、奥にある甘みがどんどん開いてきます。
開封済み時間経過ボトルは置かれた環境もあるため一概に言えないものの、樽感は結構緩くなっていて、合わせて林檎を思わせるフルーティーさも少しぼやける一方、これらに一体感が出たような華やかさがあります。

この手の熟成感のあるスペイサイドモルトは近年少なくなってきており、かつ個人的にリンクウッドでスモーキーなタイプが好みなのでグッときましたね。同じ1990でもタイプの違うやつがいたりで、ここはリンクウッドの罠。
開けたてすぐから飲み頃で、その変化も楽しめる、ナイスリリース。すでにショップは完売状態なのであとはBAR等で飲むしかありませんが、見かけたらお試しください。

キャパドニック 41年 1969-2011 ダンカンテイラー 40.3%

カテゴリ:
CAPERDONICH
DUNCAN TAYLOR
Rarest of the Rare
Distilled 1969
Bottled 2011
700ml 40.3%

グラス:木村硝子テイスティング グラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:華やかでオーキーな香り立ち。りんごのコンポートやピーチ、微かに青っぽさ、ハーブ。バニラの甘みと徐々に広がる香ばしいニュアンスがクレープを思わせる。まるで洋菓子のようなアロマが充実しているだけでなく、加水するとより華やかで、微かにオーク由来のナッティーさ、熟したバナナのような甘い香りが開いてくる。

味:ドライで華やかな口当たり、林檎系の果実風味、奥には乾いた牧草のような植物感。じわじわとスパイシーな刺激が舌を刺激する。余韻はウッディーでドライ、喉の奥からスパイシーな刺激が戻ってきて長く残る。
加水すると刺激が収まりウッディーなニュアンスとのバランスも改善するが、少し水っぽくもなる。 

華やかでエッジの鋭い、いかにも度数落ち長期熟成原酒というライトな香味だが、香りの奥行きとボディにコクがあり、繊細だが飲みごたえがあるという相反する要素がこのボトルの完成度を一段高めている。ストレートで楽しみたい。


グレングラントの第二蒸留所であり、シーバスリーガルの構成原酒でもあったキャパドニック。
同蒸留所は1898年に創業後、紆余曲折の末半世紀にわたる操業停止を経て1965年に再稼働、1967年には拡張工事が行われたとのことで、今回の原酒は拡張後に蒸留されたものに。。。
などと歴史的な経緯を説明しても味わいにはなんら関係づけられないのですが、キャパドニックはその後1977年にシーバスリーガルの傘下へ入り、2002年に操業休止、2010年には蒸留棟も取り壊されてしまいました。

(というキャパドニック蒸留所の歴史の概要が、ボトルの裏にひっそりと書かれています。)

ダンカンテイラーのレアレストオブザレアは、そうした閉鎖蒸留所の原酒を集めてボトリングしていた、今は亡きブランド。シングルカスクでのリリース以外に、閉鎖蒸留所の原酒だけで作ったブレンデッドなどもリリースされていました。
なんというか、いかにも世界的なウイスキーブームが起こる前、2010年頃らしいリリースでもあります。

今回のボトルは、そんなダンカンテイラーの代名詞と言えるフルーティーフレーバーが全開なわけですが、それがキャパドニックらしい部分を後押ししており、ボトルとしての完成度は比較的高いと思います。
同銘柄はブレンド向けのモルトであり、オフィシャルボトルはほとんどリリースされていないので、ハウススタイルと言われると中々難しいものの、ボトラーズリリースから感じる傾向としてはスペイサイドらしい華やかさと、そこにフルーティーさがしっかりと発散してくる。個性という点では中庸で、繊細でありながらスパイシーで飲みごたえがある。ブレンドには使いやすかったのではないかと感じられます。

そんな優良原酒がなぜ閉鎖したのかと言えば、冬の時代の煽りか、設備老朽化か、あるいはシーバス社が保有する同系統の原酒の重複でしょうか。
それこそシーバスリーガル25年などの長熟ブレンドを飲むと、ストラスアイラ、グレンキース、キャパドニック。。。などの銘柄に共通するモルティーな華やかさがはっきりとあり、原酒の存在を感じることが出来ます。

キンクレイス 40年 1969-2009 ダンカンテイラー 51.0% サロンドシマジにて

カテゴリ:
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KINCLAITH
DUNCANTAYLOR
Aged 40 Years
Distilled 1969
Bottled 2009
700ml 51.0%

グラス:木村硝子
量:30ml以上
場所:個人宅@サロンドシマジ本店
時期:不明
評価:★★★★★★☆(7)

香り:ツンと鋭い香り立ちが鼻腔をちくちくと刺激する。オーキーな華やかさ、ほのかに香るハーブ、徐々に蒸した栗や蜂蜜を思わせる甘み。加水すると香り立ちが穏やかになり、華やかな木香が伸びた後、バタークッキー、ファイバーパイナップル、甘みと爽やかな柑橘系のアロマが漂う。

味:香り同様エッジの鋭い口当たり。湿った紙のような癖を若干感じた後、スパイシーな刺激に強くオーキーな華やかさ、ハーブ香とダージリンを思わせる香気が鼻に抜ける。熟した洋梨やリンゴのコンポート、余韻はウッディーでスパイシー、ナッツを思わせる戻りと微かに梅シロップの酸味、口の奥にリンゴの甘みが張り付くように長く続く。
加水すると紙のような癖は残るが全体のバランス、特に余韻にかけて開くフルーティーな流れはバランスが良くなる。


大変お久しぶり、6年ぶりにテイスティングの機会を頂いた、キンクレイスです。
場所はウイスキー愛好家には髑髏ラベルのサロン・ド・シマジシリーズでおなじみ、島地勝彦氏のプライベートスペースである、広尾にある通称"本店"。
島地先生の仕事場として、執筆活動や著名人の取材に使われることも多く、1度ならず2回の訪問は中々難しい中、大変光栄なことに1年以内にその機会をいただいたのです。いやぁ、人の繋がりって凄いです・・・。

本店に訪問する際は、まず島地先生行きつけのお店で食事をして、その後サロンへ移動。そこからは部屋中ところ狭しと並んだボトル(約300本)の中から珠玉の1杯をテイスティングしつつ、ゆったりと過ごします。
何杯か飲んだ後で「おい、次はコイツを飲むぞ」と、ジョニ赤でも扱うかのように棚の奥から出てきたのが、このダンカンテイラー キンクレイス40年。
キンクレイスは1958年にロングジョン社がローランドにあるグレーンウイスキー工場の中に建設した、ブレンデッドウイスキー用の原酒を生産する蒸留所です。そのためオフィシャルボトルのリリースが無いばかりか、同社の方針変更に伴い1975年に閉鎖しているため、18年しか稼動していない短命さも、その希少性に拍車をかけています。

ブレンド用に生産されていた原酒でしたが、GMやシグナトリー等のボトラーズブランドから少量リリースされており、どれも上記の事情からウイスキーファン垂涎の1本。
その流通量と希少性から、もう出会うことは無いだろうと思っていたのですが、チャンスというのは本当に突然やってきますね。
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このボトル、ちょうどウイスキーを本格的に飲み始めた頃に"カツヒコ"さんに頂いたことがありました。
カツヒコさんはカツヒコさんでも、島地先生ではなくWhisky linkのタケモトカツヒコさんです。
自分はウイスキーの中でそういう縁でもあるのかと、感じざるを得ない再会。
当時は希少だけど華やかで美味しいウイスキーという程度の認識しかなかったわけですが、今は知識も経験値も違いますので、見える世界の違いが新鮮で、非常に楽しむことが出来ました。

改めて飲んでみると、リフィルオーク樽由来の華やかさ一辺倒なだけではなく、複雑かつ多様なフレーバーが感じられます。
ハーブ、蜂蜜、紅茶、そしてメロンとも例えられるとろりと甘い果実のコクに加水での伸び。また、40年という熟成を持ってなお抑えきれないのか、少し湿った紙のようなローランドっぽいニュアンスも。
キンクレイスについて調べると"複雑な味わい"であることが述べられていますが、成る程、確かにいい意味での複雑さが感じられます。

話をサロンに戻して、ウイスキーには煙も必要ということで、海外から3週間前に届いたばかりというラモンアロネス・LE2015を頂きます。
美味い食事の後で、上質な葉巻をくゆらせながらのウイスキー、素晴らしいひと時です。

そんな中で島地先生から、今後のサロンドシマジリリースに、ついてとんでもない情報が。なんでも某メーカーと組んで、所有蒸留所の中からプライベートボトリングを行う予定なのだそうです。
当然あの有名どころや最近注目を集める某国のモルトも含まれます。っていうか自分が記憶している限り、あれを個人名でボトリングした日本人は居ないんじゃないか。。。?
早くも来年が楽しみです!

話が盛り上がり、18時半からスタートした会は気が付けば24時近くに。久しぶりに足元がおぼつかなくなるほど飲んでしまいました(汗)。
島地先生、そしてTさん、Kさん、夜分遅くまでありがとうございました!

ベルヴュー グアドループ ラム 15年 1998-2014 ダンカンテイラー

カテゴリ:
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BELLEVUE 
GUADELOUPE RUM 
Aged 15 years
Distilled 1998
Bottled 2014
700ml 51.4%

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:ほのかにハーブの爽やかさと青っぽさの漂う、レーズンや黒蜜のリッチな甘い香り立ち。まるでコニャックを思わせる葡萄系のフルーティーさ。微かに梅の酸味と徐々にウッディーな苦味も感じる。少量加水するとより一層コニャック系のフルーティーさが際立つ。

味:黒砂糖系のリッチな甘み。かりんとう、黒葡萄、微かに感じるスパイスはシナモン、植物っぽいえぐみも少々。香りに比べると味はややフルーティーさが乏しいが、度数相応に勢いがある。
余韻はウッディーでドライ。酸味控えめのレーズンに軽やかな刺激も混じる。


蒸留所のスペルを見ると一瞬バルヴェニーと見間違えそうですが、今回のボトルはカリブ海に浮かぶグアドループ・マリーガランド島のベルヴュー蒸留所のラムです。
BAR Lampと信濃屋さんのジョイントボトルで、製法はもちろんアグリコール、樽の出元は我らがダンカンテイラー社。知名度はかなり低いですが、近年流通の下手なウイスキーやコニャックよりよっぽど光るモノが感じられます。

リムーザンオーク系の樽を熟成に使ったのか、香りは良質なグランシャンパーニュコニャックを思わせるエキゾチックな熟成香が感じられ、フルーティーでリッチな甘みが充実しています。
その中にブラウンシュガーや植物系のニュアンスがあるのは、サトウキビを原料とするラムゆえの個性か。コニャック系の経験値が少ないウイスキードリンカーだと、またダンカンテイラーは"粉"を使ったのかと言ってしまうんじゃないかと思います。

これは内容も価格も良いモノです。もちろん全てのラムがこのような味わいではなく、荒々しい味わいカクテルベース的なモノも多くあるわけですが、中にはこうして単体で個性を楽しんでいけるようなラムも少なからずあります。
コニャックと違いボディも度数なりにあるので、葉巻と合わせてゆったり楽しめたら最高だろうなと。
ああ、このボトルを持って南の島のホテルに行きたい・・・。

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