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ダルモア 1263 キングアレキサンダー3世 40%

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DALMORE
1263 KING ALEXANDER Ⅲ
Single Highland Malt Whisky
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:リッチで甘く落ち着きのあるアロマ。レーズンチョコレート、あるいはかりんとうの香ばしい甘さ、古酒系のウッディネス。ウェアハウスを思わせる香りも混じる複雑で優雅な香り。

味:スムーズな口当たり。キャラメリゼやチョコブラウニー、しっかりとした甘みとふくよかさに加え、レーズンやクランベリーチョコレートのような落ち着いた甘酸っぱさ。じわじわと適度なウッディネス。多彩な香味の広がりがある。
余韻はスウィートでビター。蜜のような甘み、落ち着きのある樽香が染み込むように長く残る。

負担のない飲み口、40%加水だがボディが維持されて程よい飲みごたえ。加えて6種類の樽が使われたという香味の多彩さとオフィシャルらしいバランスの良さを感じる構成でもある。家飲み用に常時置いておきたい。加水は不要、ストレートで。


現行ダルモアのオフィシャルスタンダードは、シェリー樽100%の拘りはないもののシェリー樽をメインとした原酒構成のものが多く、12年や15年、あるいは復活したシガーモルトなど、エントリーグレードからシェリー樽の比率が高いリリースが揃っています。

そのダルモアのスタンダードラインナップの中で、サブハイエンド的位置付けに当たるのが今回のボトル。
キングアレキサンダー三世は、赤ワインのカベルネ・ソーヴィニヨン樽、酒精強化ワインであるマルサラ樽、マディラ樽、ポート樽、オロロソシェリー樽、そしてバーボン樽の6種類の樽で熟成した原酒で構成されているとされており、ともすれば香味の予想がしづらいところもありますが、このボトルも基本的な香味の方向性はシェリー系のそれとなっています。
シェリー樽原酒の比率が多いか、酒精強化ワイン樽が6種類の2/3であることが関係しているのかもしれません。

ノンエイジ表記ですが若いところはなく、熟成感は20年程度はあるであろうスムーズさ。オロロソシェリー系のチョコレートや深みのある甘み、そこに例えばワイン樽を思わせるベリー系のニュアンス、マディラ樽のウッディネスなど、それぞれの樽の得意分野が補われ、ポジティブな形で多彩な香味に繋がっています。
40%加水であるため、突き抜けた個性や高度数なモルトに飲みごたえを感じている場合は物足りなさを覚えるかも知れません。ただ個人的にはこれくらいのほうが飲み疲れず、複数杯から1本を通して楽しめる、考えられて設計されたオフィシャルらしいバランスだと感じます。
正直侮っていた部分はありましたが、これは素直に美味しいモルトウイスキーです。


ダルモアは上記シガーモルトもリリースされているように、シガーとの組み合わせが推奨されることが多い銘柄です。
このキングアレキサンダーⅢ世も、明治屋が輸入を開始する当たって「シガーの芳香とマッチするブーケとアロマ」としてPRが行われていました。
シェリー系原酒を主軸とする、奥行きある甘みとのマッチングは間違いないところ。わりと重めなシガーでも問題なく、パルタガスあたりは鉄板。紫煙を燻らせダルモアを傾けて1日を終える、なんとも贅沢な時間ですね。

ダルモア 12年 1980年代流通 43% シングルモルト表記

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DALMORE
Years 12 Old
Pure Malt (Single Malt) Scotch Whisky
1980-1990's
43% 750ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6ー7) 

香り:ほろ苦いカラメルソースとビターオレンジのニュアンス、ライ麦パンを思わせる麦芽香に加え、内陸のスモーキーフレーバーを伴う香り立ち。最初はスーッとするアルコールの刺激もあるが、スワリングしているとオールドシェリーや麦芽の甘いアロマも開いてくる。

味:まろやかでややオイリーな口当たり。香り同様ほろ苦いカラメルソースのニュアンス、オールブラン、奥には白葡萄を思わせる果実味。中間からじわじわとピートが存在感を増していく。
注ぎたては若干青みがかった植物を思わせるクセのあるフレーバーもあったが、時間経過で麦芽風味主体のスウィートな甘みに変化。余韻はややスパイシーでドライ、オレンジママレードを思わせる甘みとほろ苦さが長く続く。

素直に良いと言える面と、少々クセのある面が混在しているモルト。加水すると香味が開き、特に味は品の良いシェリー樽のフレーバーも感じられる。一方、ハイボールは青みがかった植物感がメインになり、好みを分ける印象も。


1980年代から1990年代初頭にかけて販売されていた、ダルモアのスタンダードボトル。海外流通品に加え、日本にもホワイト&マッカイと合わせてソニーが輸入していたので物量が多く、リユース市場では良く見かけるオールドモルトの一つとなっています。

大雑把な見分け方は・・・これはもはや解説の必要は無いですね。1970年代はダンピー気味のボトルで、1990年代以降以降も現行品のデザインでダンピー気味なボトルへとシフトするため、まず間違えることはないと言えます。
しかしながら、同じトールボトル時代でも時期によってデザインに微妙な違いがあり、味も違う印象であるため注意が必要です。

大きな違いは、メインラベルの表記。
今回のボトルは写真(上)の"DALMORE"下部分は「SINGLE HIGHLAND MALT」表記となっていますが、これが「PURE MALT」表記のボトルも存在します。
スコッチウイスキーの歴史に照らし合わせると、PURE MALT表記のほうが古い時代に使われていたケースが多いことを考えると、今回のボトルは1980年代後期のボトルと推察されます。

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一方で、ネック部分はPure Malt表記が残っていて、Single Malt と併記になっていたり。逆にPURE MALT表記時代のボトルにも「Highland Single Malt」表記が併記されていたりで、ルールが曖昧だとこうなるという、スコッチウイスキーのおおらかな時代を垣間見れるデザインでもありました。

そんなダルモアオールドボトルですが、香味については評価が難しいボトルという印象です。
内陸系のピートに、まろやかで厚みのある長熟にも耐える酒質。当時らしいオールドシェリーのフレーバーもあって、ここまでならもっと評価されても良い構成。しかしSingle Malt表記時代の方が強く感じられる草っぽさ、オイリーなニュアンスなど、他社ハイランドモルトにも見られる一癖ある部分をどう捉えるかで、多少評価が分かれそうです。

ホワイト&マッカイ 30年 1980年代流通 43%

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WHYTE & MACKAY
Years 30 Old
Very Rare Blended Scotch Whisky
1980's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Wodka Tonic)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:オールド系の甘い香り立ち。サトウキビ、ブラウンシュガー、ほのかにドライアンズや梅の酸味とウッディーネス。 強くはないが、バランス良く熟成感がある落ち着いた香り立ち。

味:スムーズでマイルドな口当たり、焦げたカラメルやブラウンシュガー、モルティーな甘さ。中間から後半にかけては若干の乾いた草、穀物、雷おこし、じわじわと内陸系のピートフレーバーが存在感を出してくる。
余韻は古酒系のカラメルの甘み、ドライでほのかにピーティー。染み込むように続く。


当時のホワイト&マッカイにおけるトップブランド。
物議を醸すネタになることもある「美味しんぼ」スコッチウイスキー編の冒頭で、主人公らがストレート、ロック、ハイボール、果てはお湯割と思い思いの飲み方で飲んでいたボトルで、見たことがある人も多いのではないかと思います。
国内流通量が多かったためか、今なおオークション等で見かけることも多いですね。

マスターブレンダーのパターソン氏らしいブレンドというか、ホワイト&マッカイのウリであるダブルマリッジ製法によるところか、スムーズでひっかかりの少ない飲みやすさが特徴。長熟ゆえまろやかで甘い口当たりが、シングルモルトのように強く訴えかけるものはないけど、ブレンデッドとしては高い完成度、バランスの良い味わいに仕上がっています。
まさに飲み手を選ばない味わいで、これならウイスキーを飲み慣れない方々であっても、飲もうと思ったときに美味しく飲めると思います。

構成原酒は、当時の所有蒸留所からフェッターケアンとダルモアあたりと推測。
1980年代のホワイト&マッカイ社は、まだインヴァーゴードン社を買収していないことからその系統はメインで使ってないでしょうし、1972年に買収したトミントールは1965年の稼動であるため、1980年代流通の30年には使われていないと考えられます。

なお、自分は以前この1世代後、1990年代後半あたりで流通した30年を1本抱えて飲んだことがあったのですが、そのボトルも同様にスムーズでマイルドな味わいながら、今回の1980年代流通よりもシェリー感が濃く、よりリッチな味わいに感じました。
あくまで推測ですが、同銘柄を構成する原酒の蒸留時期的に、1950年代はそこまでシェリー樽が出回っていなかったのでしょう。
例えば以前紹介した1970年代流通の21年にしても、1960年代蒸留中心と思われる1980年代流通のほうがシェリー感は濃い仕上がりとなっています。

ホワイト&マッカイ 21年 1970年代流通

カテゴリ:

WHYTE & MACKAY 
21 Years old 
1970's 
43% 750ml (75cl 86proof) 
構成原酒:ダルモア、フェッターケアン、トミントール、など 
評価:★★★★★(5) 

(状態が良ければ★6評価)

香り:重みのある黒蜜のような甘い香り立ち、柔らかいスモーキーさ。カラメル、カステラ、ひねた古酒感、干しわら、土っぽい香り。注ぎたては経年によるインクを思わせるオフフレーバーがあるが、時間経過で弱まっていき、奥からモルティーな華やかさとオールドシェリーの甘いアロマも感じられる。

味:まろやかで粘性のある口当たり、レーズンやブラックチョコレートの甘さと柔らかい酸味が広がる。中間から後半はコルキーなオフフレーバー、カラメリゼを思わせる品の良い苦味、微かなスパイスと土っぽい内陸系のピートフレーバー。余韻はじんわりと染み込むように広がり、あまり長くは残らない。


このボトルは、ウイスキー仲間であり自転車仲間でもあるKさんから頂いたモノ。
昨年末ごろ、自分が80年代のホワイト&マッカイ21年の記事をUPしたところ、ちょうどKさんが同21年の70年代を飲まれており、比較用にと小瓶で頂きました。
ホワイト&マッカイ21年の70年代は80年代よりも流通量が多くなかったためか、市場で見かける頻度は少なめ。しかし稀に特級表記だけでなく、JAPANTAX付きのボトルを見ることもあります。
今回のボトルは台湾、あるいは香港流通と思われるものです。

両者を飲み比べてみると、1980年代のほうが色が濃く、香り、味共にシェリー感がダイレクトに感じられます。
対して1970年代のほうがスモーキーな、原酒のベースとなる部分由来のフレーバーが強く、ボディも厚みが感じられます。
少々保管状態による影響を受けているものの、奥には追いやられてしまったモルティーな華やかさが、スワリングと揮発で顔を出しており、本来の姿を見ることも出来ました。
どちらも良いブレンデッドで、滑らかで口の中によく馴染む乖離のない口当たりは共通項です。この辺は流石名門ブレンドのハイグレード。後はもう完全に好みの問題と、手元に来たボトルの状態次第ですね。

ホワイト&マッカイ社の1970年代は、同社にとって変革の時期の一つ。
別記事でも触れましたが、1972年にフェッターケアンとトミントールを買収しウイスキー事業は拡大路線。ドランカー…じゃなかった、ブレンダーのロバートパターソンが入社。現在知られるホワイト&マッカイの下地が作られたのはちょうどこの時期です。
その後同社は順調に拡張と買収を重ね、8蒸留所を傘下に置くグループ企業を構成するに至るわけですが、その薀蓄は近年のボトルを紹介する機会に取っておこうと思います。
気になる人はぐぐって調べてみてください。

ホワイト&マッカイ 21年 1980年代流通

カテゴリ:

WHYTE & MACKAY
21 Years old
1980's
43% 750ml

構成原酒:ダルモア、フェッターケアン、トミントール、など
評価:★★★★★★(6)

香り:品の良いオールドシェリー香、レーズン、カラメルソース、微かにたまり醤油、麦芽ビスケットのような香ばしさも感じられる。
濃厚なシェリー感ではなく薄めたような印象のあるバランスタイプだが、古きよき時代を感じさせる香りでもある。

味:スムーズでまろやかな口当たり、薄めたメイプルシロップのような甘さから、じわじわとウッディーな苦味、タンニンが口の中に広がってくる。オールドシェリー、麦芽、カステラの茶色い部分、アーモンドクリーム、ほのかに古酒っぽさのあるヒネ香も感じられる。余韻はオレンジピールチョコ、レーズン、柔らかいタンニンが口の中に蓄積してビターでドライなフィニッシュ。


ダブルマリッジ製法のホワイト&マッカイ。その高級グレード品である21年もの。
日本でもウイスキー特級表記付きでそれなりの数が流通していたようですが、もっぱら流通量が多かったのは海外、特に香港や台湾だったようで、現地流通品をオークションで数多く見かけます。
かくいうこのボトルも台湾流通品、裏ラベルには1986年の流通であることが記載されており、一番若い原酒でも1965年蒸留が確定ということになります。

ホワイト&マッカイの製法では、モルト原酒同士のバッティング、及びグレーンとの掛け合わせにおいて、計2度のマリッジを行っており、その際にシェリー樽を使うとのこと。その影響か原酒由来か、まろやかさに加えて最近のボトルには見られなくなった品の良いシェリー感を味わうことが出来るボトルです。
ハイプルーフの飲みすぎ、あるいは連日の忘年会でのお疲れモードな体にしみじみと感じられるまろやかさです。
原酒としてはダルモアの影響が強いように感じます。 惜しむらくは、もう少し濃さがあれば突き抜ける感じなのですが・・・。 まあこれはこれで良い感じです。

このバブリーなボトルデザインは1980年代の流通のもの。お世辞にも高級感があるとは言えないディスプレイボックスに、21年以上熟成させたハイランドモルトとローランドグレーンをブレンドしたという製品説明が書かれた、リチャードパターソン氏のサイン入りメッセージカードが入っています。
何気に横置きされやすい箱なので、箱付きの場合はコルク臭の恐れも…。
さらに古い1970年代は金属の装飾がなく、同じボトルに金色楕円形のラベルが貼られています。自分はまだ飲んだことが無いので、いずれ機会があればこちらも飲んで見たいですね。

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