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ダフタウン 8年 1970年代流通 40%

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THE DUFFTOWN-GLENLIVET
OVER 8 YEARS OLD
A DE LUXE MALT SCOTCH WHISKY
1970's
760ml 40%

グラス:
時期:不明
場所:BAR ミズナラカスク (水楢佳寿久)
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしく強い麦芽香。干草、おこしやザラメなどの乾いたニュアンス。時間経過でクッキー、淡くオレンジピール。こなれた甘さと微かな酸味も伴う。

味:古酒っぽさがありながら、エッジの立ったアルコール感と芯のある麦芽風味。おしろいやバニラ、微かにキャラメルソース。ピリピリとした刺激がありつつ、コクのある口当たり。
余韻はやや粘性があるスウィートな麦芽風味から、干草、アーモンドナッツ、ほろ苦く染み込むようにピーティー、長く続く。

こなれて古酒感はあるが、状態が良くしっかりとアルコール感も立っている。麦の厚みも感じられるシングルモルト。
同時期のブレンドに通じるものがある香ばしいモルティーさが最大の特徴。加水するとマイルドでふくよかな麦芽風味がさらに強調される。


ダフタウン蒸留所は1933年にブレンデッドウイスキー・ベルを製造するアーサーベル社の傘下に入り、同社における中核的な蒸留所として稼働してきました。
スコッチの需要が高まった1960年代以降は、1968年、1974年、1979年にそれぞれスチルの増築を行い、2つだったスチルは8つ、また増産に舵を切るのと合わせてフロアモルティングも1968年に廃止し、大規模かつ近代的な蒸留所に生まれ変わっていった歴史があります。

今回のボトルは1970年代中頃の流通で、逆算すると蒸留された時期は近代化前の1960年代。1980年代に流通した同じ8年熟成と比べると、スウィートな麦芽風味は同様でも香ばしさも強く、若い原酒故に複雑さはそこまでないですが、40%加水とは思えないほどしっかりした酒質であることが感じられます。
時期的にゼファーからゴールデンプロミスに切り替わった麦芽品種に加え、上記の蒸留設備の違いも少なからず影響しているのでしょう。

(1980年代流通のダフタウン8年。流通先によってか、40%、43%、46%仕様のものがある。柔らかくスウィートな麦芽風味が主体で、穏やかな構成。素性の良さが感じられる。)

なお、今回のボトルを飲んで真っ先にイメージしたのは、同じ原酒が使われていたとされるオールドのベルでした。
当たり前の話と言えばそうなのですが、乾燥した麦系の風味、干草っぽさやおこし系の甘味など、面白いくらい共通項があるのです。
では、現代のベルに限らず現代のスタンダードブレンドを飲んで構成原酒がどうこう言えるかというと・・・モノによってはわかりやすい原酒の組み合わせもあるのですが、それを感じるのは中々難しく。やはり原酒の個性が強かった時代は探る楽しみがあるなと、改めて感じた1本でした。

(ベルの1970年代後期から1980年代流通品。良く見ると上のダフタウンにも同じネックタグがつけられており、ベルのブランドを使ってアピールされていた時代の名残も見られる。)

ベル 20年 ロイヤルリザーブ 43% 1980年代流通

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BELL'S
Royal Resrve
20 Years old
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(@TWDさん)
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)

香り:甘くまろやかな香り立ち。カルメ焼きやバタークッキー、ナッツを思わせる麦芽風味。古酒感はあるがアルコールも立って状態良し。時間経過でポン菓子系の穀物香、カスタード、お菓子のイメージ。

味:スムーズでコクのある口当たり。熟成を感じる穏やかな穀物風味。バタークッキー、ハニートースト、サトウキビのような植物のニュアンス。
余韻は穏やかでスウィート。淡くカラメルソースのオールドシェリー感を伴う。

スムーズでまろやかで程よい熟成感のあるブレンデッド。モルティーだが、華やかさより素朴な印象。クセの少ない構成はオールドボトルの入門にも勧めたい。ストレート、ロック、ハイボール、なんでも楽しめるタイプ。


アーサーベル社がリリースしていたハイエンドブレンデッド。市場には1970年代から1980年代、特に1980年代のものが多く流通しており、これもその時期のものと思われます。
スコッチオデッセイによると、傘下蒸留所はダフタウン、インチガワー、ブレアソールで、ベル社の製品はそれら蒸留所が作るモルトだけで構成原酒を賄う方針をとっていた模様。実際、今回のボトルを飲んだ印象もまた、3蒸留所の中ではダフタウンの比率が高いと感じる、素朴なモルティーさと柔らかい味わいです。

他方、アーサーベル社は1985年のギネス社による買収、そして1986年にはそのギネス社がUD社(現ディアジオ社の前身の一つ)を買収。
時の最大勢力と同門となったことでブレンド方針にも変更があったのか、ハイエンドに当たるベル20年の1980年代流通は、時代や流通先による香味の違いが大きかったように思います。

自分がこれまで購入した複数本も、コルクがべったり張り付くようなシェリー系のロットさに当たったと思えば、今回のようにソフトで穏やかなロットに当たることもある。
ラベルを見ると、細かい変更が何度も行われており、日本流通品などを頼りにある程度当たりはつけられましたが、その変化を時系列的に整理するのは困難と、昔ブログを書いていた時にさじを投げたのを思い出しました。

スコッチブレンデッドウイスキーにおける「キーモルト」は、その原酒だけでウイスキーを作っているという意味に加え、ブレンドにおける特徴づけをこの原酒で行なっているという整理も含めます。
そのため、各ブレンデッドメーカーでは傘下となる蒸留所の原酒の比率が多くなるのは勿論、その時その時で工面できる原酒をベースに使ったり、「バルク」として位置付けられるあらかじめブレンドされている無個性なウイスキーを購入してきたり、グレーンの比率を多くしたりしていたようです。

キーモルトは"これ"、とされているブレンデッドを飲んでも、それとわかる味がしなかったり。ロットによって味が大きく変わる一方で、ブレンデッドウイスキー全体で見て似たような味わいになっているものが少なからずあったりするのは、こうした背景によるものと考えられます。

話は変わりますが、ベルはイギリスにおける祭事、祝い事の際には欠かせない「門出の酒」として定着しています。
自分が結婚した時も、ウイスキー仲間の1人から、このベル20年を頂きました。
その経緯もあり、バックストーリー含めて懐かしい気持ちになった1杯でした。


ベル エクストラスペシャル 1980年代流通 ウイスキー特級

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BELL’S 

Extra Special 

Old Scotch Whisky 

1980’s 

43% 750ml 

構成原酒:ダフタウン、ブレアソール、インチガワーなど 

評価:★★★★★(5)

 

香り:若いえぐみをともなう、ほろ苦く香ばしい麦芽風味とスモーキーさ、徐々に青みがかった植物っぽさ、乾燥トウモロコシ、穀類の淡い甘さも感じる。


味:最初はのっぺりした甘さがすぐにスパイシーな口当たりに。シロップ、サトウキビ、雷おこし、ほのかに若さも感じるえぐみ。 余韻は香ばしく焦げたような苦味もある麦芽風味、ポン菓子、ザラメ、べったりとしたグレーンの甘い風味が舌の上に張り付くように残る。



イギリスではお祝いの席に欠かせないというブレンデッドウイスキー。

肩ラベルに書かれた「Afore ye go(汝らいざ進め)」というキーワード、 聖書に書かれたフレーズで、 乾杯の掛け声として使われているのだとか。

この1月に成人した方々や、4月から社会人となる方々など、節目を迎えた時にオススメしたい銘柄ですね。


今回のボトルであるエキストラスペシャルは、同じラベルのものが1970年代から 1980年代にかけて流通しており、これは 750ml表記であることから1980年代中期ごろに流通したと思われるボトルです。

以前760mlの日本正規品を1本家飲みしましたが、 オールド特有の経年による変化の誤差を除けば、 大きな違いは無いように感じます。

エクストラスペシャルは、スタンダードクラスのウイスキーらしく、樽感は淡く、サトウキビや穀物風味、のっぺりとのしかかるようなグレーンの主張も感じられます。

余韻にかけてピートはあまり感じられず、香ばしい麦芽風味主体。原酒の傾向もどちらともつかない、 良くも悪くもスタンダードなブレンデッドという印象。

水で割っても風味のコシが折れないので、ストレートよりはハイボールやロックでぐいぐいやりたい、そんな味わいです。


 

先日の持ち寄り会の際、くりりんさんぜひ飲んでくださいと参加者の一人からミニチュアボトルを頂きました。ちょうどボトルが手元になく、掲載が遅れていたベルです。

早速開封して飲ませていただきましたが、せっかくなのでいろいろな飲み方も掲載したく、頂いた分で賄えなかったテイスティングは、日本橋のIANで同じ時期のボトルを別途テイスティングしました。

掲載情報充実の機会を頂き、ありがとうございました!

 

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