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ブルイックラディ 20年 1969-1989 R.W.ダッシー 53.6%

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BRUICHLADDICH 
R.W.Duthie
Islay Single Malt Whisky
Aged 20 Years
Distilled 1969
Bottled 1989
53.6% 750ml  

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅(TMC T兄さん)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(6→7)

香り:ツンとハイトーンで華やかな香り立ち。乾いた植物感からバニラの甘み、淡くカラメルを思わせる古酒感。徐々にリンゴやカスタードを思わせる甘みに変化する。少量加水するとさらにリンゴ系の香りが強くなる。

味:乾いた麦芽やバニラウェハースを思わせる軽やかな香ばしさ、続いて蜜入りリンゴや熟した洋ナシ、鼈甲飴を思わせるコクのある味わいから、トーン高くヒリヒリとした刺激へと変化。
余韻は乾いた木を思わせるウッディネス。ドライで洋ナシのタルトを思わせる甘みが長く続く。
加水すると香味が伸びて、さらに蜜っぽい甘みを引き出せる。


昨日ダッシー絡みのボトルを紹介したので、今回の記事はそのダッシーからブルイックラディです。
当時のブルイックラディのキャラクターというと、ノンピートでボディの線が細く、オークフレーバーがうまく馴染んだリンゴを思わせる香味が特徴。このボトルもまた例外ではなく、同様のベクトルな仕上がりとなっています。
また、ケイデンヘッドを出元とするボトルの特徴として、90年代ボトリングあたりはリフィル系統の樽感、ツンとした乾いた木のニュアンスが多く見られますが、その傾向も感じられます。
そこから察するに、ボトリング当時はもっとやんちゃでフレッシュだったものが、瓶内変化でゆっくりと馴染んできたのではないかなと思います。
実際、ヒネとまではいかないものの、瓶熟による古酒感は香味の中にあり、良い意味でまとまりに繋がっていました。

このボトルをテイスティングする機会を、今年は3回も頂いておりました。
1度目は今回とは別ボトルで、ブラインドテイスティングでほぼ口開けを飲んでおり、70年代あたりのスプリングバンクと答えて見事に撃沈。(この時はそこまで突き抜けた印象はなく、普通に美味しいくらいやなと。)
2度目はテイスティングを書いた時。タイミングの違いか、あるいは固体差か、2度目のほうが華やかさや香味の開きがありました。
また、3度目は後述するオールドブレンデッドテイスティング会でのテイスティングで、3度目のほうが美味しかったことから、時間経過で開く要素もあったと推察します。

なお、このボトルは先日のオールドブレンデッドテイスティング会にラスト2ショット分が持ち込まれており、じゃんけん大会での勝者にテイスティングの権利が!
今回、育児でイベントに参加できなかったT兄さんが、合間を縫ってボトルを届けてくださったのです。イベント本体より盛り上がった瞬間でした(笑)。
いつもありがとうございます!

アードベッグ1975-1993 (18年) R.W.ダッシー

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やあ、くりりんのウイスキー置場へようそこそ。
昨日の流れで今日の更新は余市と宮城峡の新製品のコメントだろう。そう思った人は多いと思う。
すまない、今日はアードベッグなんだ。

裏をかきたくなった、なんてかっこいい?話しじゃない。
単に昨晩は飲みに行ってしまって、理想的に飲める環境・体調では無かったということで今夜にスライド登板となったのです
折角ですからね、ちゃんと飲みたいですし。
帰ったら飲もうと思って居たのに、相変わらず意志の弱い人間です(笑)

しかしだいぶ砕けた書きぶりになりましたが、今回の記事で紹介するボトルは姿勢を正して飲むレベルの1本です

DUTHIE'S
ARDBEG
Distilled 1975
Bottled 1993
700ml 46%

評価:★★★★★★★★(8)

香り:燻ったピートのスモーキーさに、削り節や木くずを思わせる乾物の香り。
どっしりとしたタールのようなピート香とヨード、まさにアイラのアロマだがカドは取れており香り立ちは芳醇で滑らか。ピールの爽やかなさも微かに感じられる。

味:香り同様にカドは取れているがオイリーで主張のある口当たり。薄めたダシ醤油、いぶった魚介、ひじきの煮物。中間は麦芽風味とママレードジャムのような甘さのあるフレーバーに、どっしりとしたピートフレーバー、スモーキーでコクがある。
後半にかけて微かに黒コショウのスパイスを伴う。フィニッシュはピーティーで土っぽさを伴う長い余韻。


先日の飲み会でTさんから頂いた1杯。1杯といいつつストレートでダブル以上、さらにはハイボールまで飲ませて頂きました。ハイボール旨かったですw
こんなに飲んで良いのかってくらい堪能させて貰い、口の中どころか食道から胃まですっかりアードベッグ臭に。何が素晴らしいってアイラらしい複雑さなんでしょうね。無骨の極みというか、完成度の高さを感じます。
またダッシーらしさ(あまり飲んでいない自分が言うのもおこがましいですが。)として、いじっていない蒸留所ストレートな味わいと感じるのも好印象です
こういうウイスキーを美味しいと感じるのは幸か不幸か・・・。飲んでる間が幸せなのは間違いありません。

アードベッグ蒸留所は1980年代に入り生産縮小と閉鎖から1989年に一時再開するも再度閉鎖、ということで1980年代の原酒はほとんどありません。
とするとアードベッグ蒸留所の比較は1970年代以前と1990年代以降になるわけですが、違いを述べるなら、上述でいう完成度に直結するのは中間にある複雑さ、フレーバーの盛り上がりでしょうか。
もちろん瓶熟による変化でカドが取れている等の違いはある程度あるものの、同じようにピーティーでパワフルな味わいでも中間以降の味わいは決定的に違うと感じます。

とはいえフレーバーの方向性が違うということでもないので、現行品のボトルに近い要素を感じる事もあります。
現行品に期待が出来る一方で、求める味わいとの差にむずむずしてしまうもどかしさも。
開高健氏の言葉を借りるなら、lこれもまた「知る悲しみ」ということなんでしょう。
 

オード26年 (1962-1989) ロバート・W・ダッシー

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土曜日はウイスキー仲間主催の持ち寄り会にお呼ばれ、参加してきました。
これまで持ち寄り会は度々参加していますし、それらは全て楽しい会なのですが、久々に内容が濃いと感じた持ち寄り会だったと思います。
参加者のレベルが一定値以上にあったことは勿論、会場も良かった。なんせ麻布のウォッカですから。1杯1杯順番に出て来てじっくり深堀りできましたし、定期的に参加させて頂いているモルトナイトを連想させるものがありました。プロのサーブが付いていたというのもポイントだったと思います。

色々飲ませて頂き、ラスボス級のボトルも多々ありましたが、目玉は主催者持ち込みのこのオードでしょう。
今日は余計な前置きなんて不要。この中身が全てです。口開けからじっくり時間をかけて飲む事で、花開く香味の数々、オードという蒸留所の素晴らしいポテンシャルに圧倒されました。

R.W.DUTHIE
ORD Distillery
26 years old
Distilled 1962
Bottled 1989
750ml 56.2%

暫定評価:★★★★★★★★★(9)

香り:最初はくすんだ香り立ちだが、スワリングして時間を置くと輝きを取り戻していく。
和三盆を思わせる品の良い甘さから、麦芽、ドライパイナップル、白葡萄、お菓子のラムネ、徐々にオーク香や梅を思わせる酸味もある。華やかな香り立ちで多層的、長い眠りから覚めて沸き出てくるアロマは筆舌に尽くしがたい。

味:バランスが良く、しっかりとした厚みと旨みが感じられる口当たり。
リッチな麦芽感、蜂蜜、微かに乾いた木材やアーモンド。中盤、微かな酸味が全体を引き締めている。加水でホワイトチョコレートやカスタードのよう。
フィニッシュはビターでスパイシー、ほのかなオールドピートと麦芽感が染みこむように残る。

味に関しては旨みの濃さとフレーバーのテクスチャーが素晴らしいと言える構成。
加水してもあまり変化は見られなかった・・・というより香りの多層的な要素が鈍った印象すらある。


泣く子も黙るダッシー社のクリストファー・カナンシリーズ。諸々の事情で当時国内にあまり流通しなかったボトルと言われており、まさか飲む機会に恵まれるとは思っていませんでした。
ダッシーとしては昨年9月と11月に飲ませていただいた北米向け3種(ボウモア、ロングモーン、クライヌリッシュ)が素晴らしく、このボトルも期待が高まりまくり。系統としては、樽でいじった感じは無く、正統派にオードなボトルで、麦芽感に華やかさがあり、しっかりとした厚みも感じられます。
特に香りが素晴らしく、ここまで開くかというくらいの香り立ちは飲み手の本能を鷲掴みにするに十分すぎるレベル。
同じ1962でケイデンヘッドというとミズハシがありますが、ミズハシのほうがパワフルで力強く、また微かな酸味を伴う麦感は、最強のオードと言われるブーケ・オード1962とも共通するところがあります。

しかし誤解を恐れず言えば、これは私レベルの舌で1杯で語るには「おこがましい」、その領域にあるボトルだと思います。
だからこそ同じテーブルで、同じ瞬間にこのボトルの意見を共有できたことは、深堀する上で大きな助けとなりました。
(これはWhisky linkでタケモトさんが提唱されてるスタイルですね。)

今回はおかわり含め、1ショット以上は確実に飲ませて頂きましたが、"底"は見えませんでした。
飲み手の力量は、1杯、あるいは1本という限られた量の中で、そのボトルの深みにどれだけ潜れるかという事だと考えています。そして良いボトルとはどれだけ深さがあるか、それが基準の一つだと思うのですが、このダッシー・オードは思わず姿勢を正して飲んでしまったほど。
恐らくこのボトルで感動できるようになるには、それなりの場数と経験を踏んでいなければならず、そういう点で、なんともケイデンヘッドの系譜ダッシーらしい、飲み手側の力量が試されるボトルでもありました。

今回感じ取れた要素は全てでは無いでしょう。1ヶ月後、半年後、あるいは1年後に飲めばまた違う姿を見せてくれるはずです。今の自分の力量では、このボトルを計りきることは出来ませんでしたが、同時に久々にワクワクさせて貰いました。
またさらに成長して、会いに行きたいです。

Tさん、素晴らしいボトルと素晴らしい会のセッティング、ありがとうございました!!

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