セントマグデラン 25年 1982-2007 インプレッシブカスク 60.2%
St. Magdalene
Impressive Cask
Aged 25 years
Distilled 1982
Bottled 2007
700ml 60.2%
グラス:テイスティンググラス
場所:BAR Fingal
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)
香り:乾いたウッディネス、干し草とハーブ、ニッキのようなニュアンスも伴う、強くスパイシーなアロマ。奥には微かに洋梨を思わせるような華やかなオーク香、おしろい等の麦芽系のニュアンスも伴う。
味:とろりとした麦芽風味の甘味に加えて、乾いたウッディネスとエッジの鋭いアルコールのアタック。洋梨、バニラ、徐々にオーキーで華やかな含み香も混じる。
余韻はハイトーンでヒリヒリとする刺激に加え、乾いたウッディネス。ほろ苦く麦芽風味の残滓を伴って長く続く。
度数もあって、香味ともウッディなアタックは強いが、味の中盤に素性の良い麦芽風味、品の良い甘味が感じられる。樽はアメリカンオークのリフィルカスクだろうか。少量加水するとアタックの強さは多少こなれ、麦系の甘味は包み込むようでもある。中々通好みのモルトであるが、やはりトロピカルフルーツは居なかった。
今は無き、1983年に閉鎖されたローランド地方の蒸留所、セントマグデラン(リンリスゴー)。
DCL傘下であり、用途は主に同グループのブレンドへの活用。同グループのスタンダードクラスのブレンデッドに感じられる、無個性でスパイシーな刺激は、この辺りの原酒由来ではないでしょうか。
高い生産能力と原酒貯蔵のキャパシティを持つ蒸留所だったようですが、ウイスキー不況に陥った1980年代には設備も老朽化しており、他の閉鎖蒸留所同様、生産調整の影響を受けたというわけです。
そのキャラクターはスパイシーで時に紙っぽさもあり、やや個性的なところはあるものの、自分の中で嫌いな蒸留所というわけではなく、麦芽風味など好みの要素もあります。
ただ、このボトルについてはリリース当時の印象が極めて悪かった。それは購入の決め手となった、メーカーのテイスティングコメント故(以下、画像参照)。当時自分はウイスキーを本格的に飲み始めたばかりのころで、南国フルーツ!!とホイホイ釣られてしまったんですね。
結論から言えば、そんなものはどこにもなかったわけです。
ポジティブにとれば、淡いオーク香があり、それが麦系のフレーバーと合わさって品の良いフルーティーさのようでもありましたが・・・当時は結構強引に拾ったようにも記憶しています。
スパイシーでクリーミーというのは確かに。あとはパワフルであることは間違いありません。それはもう、開けたての頃はバッキバキにスパイシーで、え、これデレるの?このツンは南国感になるの?と。
その後、1年ちょっと保有し、真価を認識することなく残りを誰かに譲ったかしてしまいましたが。。。今回フィンガルのバックバーで見かけ、今の自分ならどう感じるんだろうかと、久々にテイスティングしてみたわけです。
約10年ぶりにテイスティングしたこのボトル。相変わらずスパイシーでアタックは強いのですが、ボトリング後10年の瓶内変化によって良い方向に変化したのか、麦系の甘味がより感じやすくなっているように思います。
まあ南国感については無いと断言できるのですが(これもきっと、サンプルの入れ替わりなど、いい加減なお国柄に由来する事故があったのだろうと推察)、過去の自分のテイスティングコメントを見ても、麦芽風味などの要素は拾っているものの、今回の方が全体的に好ましく感じました。
ボトルの経年変化に加え、自分自身も長くウイスキーを経験し続けたことで、アルコールのアタックへの許容値が増えたのかもしれません。
今回のボトル以外にも、過去微妙だと感じたものも、改めて飲むと気付きがあることが多く。今後は見かけ次第そうしたボトルにもトライしてみようと、改めて思いました。