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ミルトンダフ 22年 1966-1988 セスタンテ 43%

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MILTON DUFF 
SESTANTE IMPORT 
Aged 22 years 
Distilled 1966 
Bottled 1988 
Matured in Sherry Wood 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)

香り:古典的なシェリー香。林檎のカラメル煮、レーズンを思わせる好ましく色濃い果実香に、ナッティーで華やかなオーク、ほのかに枯れたようなニュアンスも混じるドライなウッディネス。奥には柔らかいスモーキーさも感じられる。

味:スムーズでスウィート。香り同様の古典的なカラメル感の混じるシェリー樽フレーバーは、レーズンや濃い目の紅茶。そしてクリーミーな麦芽風味がボディを盛り上げる。
余韻はウッディでほろ苦い。樽感の奥に麦由来のフルーティーさ、強くはないが存在感のある内陸系のピートフレーバーと、ダークフルーツとカラメルの甘味。枯れたウッディネスのスパイシーさが口内を刺激し、染み込むように長く残る。

一言でオールドバランタイン味、特に1980年代後期から1990年代前半の30年に共通する甘やかさと熟成感のあるフルーティーなフレーバーを感じるミルトンダフ。品の良いオールドシェリーに麦芽風味と内陸ピート、オークの華やかでドライなニュアンス。43%仕様だが厚みのある味わいが、当時の酒質の強さを感じさせる。他方で加水するとクリーミーさより樽のウッディな部分が強調されるので、ストレートがオススメ。

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イタリアのセスタンテ・インポート向けのリリース。同じラベル、スペックで58.4%のカスクストレングスの仕様もあり、そちらのほうが有名でしょうか。どちらも同じような樽からボトリングされているのか、シェリー感は共通点の多い構成となっています。

ただハイプルーフ仕様の方がハイトーンでスパイシーなアタックが強く、シェリー感を突き破って口内にひりつくような酒質由来の刺激を感じさせる、当時のセスタンテ系に度々見られる構成。開封済みであってもこなれるのに年単位の印象がある一方で、今回レビューする加水仕様の方は、開封直後から全開。グラスに注ぐと一気に香りが広がるトップギア状態で、逆にへたれるのが早そうな印象も受けます。
贅沢な話ですが、48~50%くらいで間をとるという発想はなかったのか・・・(笑)。

ただ、こうして43%加水のリリースをテイスティングしてみると、レビューでも触れたように同時期のバランタインを連想させる香味要素がいくつか感じられ、やはり同銘柄のキーモルトとして大きな役割を果たしていたの感じさせられます。
特に共通項があるのは、1980年代後半から1990年代前半あたりの30年。17年のほうは1980年代後半のものだとパフュったり、味わいもやや軽くなったりで多少迷走するため、一番わかりやすいのは30年だと思います。

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ミルトンダフ蒸留所は、1974年に大規模な拡張工事を行っており、蒸留所の近代化も行っていることから、この時期を境に酒質が変わったとする意見もあります。(実際は、麦芽も古代種からゴールデンプロミスへと代わり、次第に現代品種となっていく時期でもあるため、複合的な要員であると思いますが。)
今回のボトルの仕込みは蒸留所拡張前かつ、古代品種の時代。加水でありながら、コクと厚みのある味わいが、古き良き時代を感じさせる要素となっています。

ちなみに、近年のミルトンダフはバランタインブランドから15年のシングルモルトがリリースされているものの、ボディが軽くなり、ドライで干し草のようなウッディさが目立つ構成に。原酒の厚みが失われたことで、魅力も失われてしまったのは、その他のスコッチモルトと同様です。
改めてこの時代のミルトンダフを飲むことで、樽も重要であるが、それ以上に麦芽風味の重要さに気づかされる。最近はスコッチモルト銘柄で麦にこだわったリリースが増えてきており、原点回帰と言える動きが、過去には意識されていなかったそれを、ひとつのトレンドとして定着させてほしいなと感じています。

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今日のおまけ:若鶴酒造 蔵元直送限定醸造 元旦届け2020 純米無濾過生原酒 

三郎丸蒸留所を操業する、若鶴酒造の限定醸造酒。ウイスキー側の方にはあまり認知されてないかもですが、若鶴酒造は富山における日本酒の老舗蔵元であり、苗加屋を初め、手頃な価格で美味しい日本酒を数多くリリースしています。

今回の1本は、若鶴酒造がその銘柄名の通り、年末に醸造し、絞りたてを無濾過で生のまま詰め、購入者には元旦に届くよう配達されるという、気合いの入ったサービス(作り手は年末まで仕込みがあるし、発送もせにゃならんわで大変ですがw)。
流行りの吟醸香マシマシ系ではなく、旨味のしっかりある味わい。原酒らしい強さはありつつも含み香は柔らかく、柑橘類に通じる酸味もほのかに混じる、しつこくない甘味。酒として旨い酒と言いましょうか。なんとも正月の料理全般に合いそうな日本酒です。
年始から富山ブランドで楽しませて頂きました!

レダイグ-トバモリー 14年 1973-1987 セスタンテ 40%

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LEDAIG-TOBERMORY 
Aged 14 years 
Distilled 1973 
Bottled 1987 
For Sestante Import 
40% 750ml 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:品のいいエステリーさを伴う洋梨などの果実香、塩気を感じつつ、土や根菜っぽさの混じるピーティーさ。奥には少し焼けたゴムのようなニュアンス、古典的な麦芽香。

味:若干水っぽさのある緩い口当たり、薄めたはちみつ、香り同様に洋梨のような果実味、白粉のような麦感、微かにスパイシーな刺激や存在感のあるピート。余韻にかけて染み込むようなスモーキーフレーバーがあり、ほろ苦く長く続く。

スペイサイドモルトとアイラモルト(タリスカーのようでもある)が混じりあったような個性。内陸のフルーティーさがあり、そして塩気とピートを伴っている。加水でありながら落ち着かず、良い酒質とは言い難いが、余韻にかけてのピートフレーバーが全体をまとめ、高めている。
序盤の緩さから察するに、寿命はあまり長くないかもしれない。この手のウイスキーは、開封されてから加速的に時計の針が進む。

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複数UPしたいほど、めちゃくちゃ雰囲気のあるラベル。流石セスタンテ、良いセンスだ。。。
この銘柄をレビューする上で、改めて触れておかなければならないのは、当時のトバモリー蒸留所のスタイルです。ウイスキー需要増を受けて1973年から数年間再稼働したトバモリー蒸留所。この当時のレダイグとトバモリーは、現在と違ってピーテッドとノンピートの作り分けも、それによる名前の区別もなかった時代。当時はレダイグとして統一してシングルモルトがリリースされていたため、このダブルネームのようなラベルに繋がったと考えられます。

1970年代のレダイグは、混迷期真っ只中。あまりボディの強くない酒質(それでいて荒さはある)にライトピート、そこに島の個性。樽の調達にも苦労していたのか、リフィル以降のウイスキーカスクであるリリースが多く、酒質のちぐはぐさをピートや樽でカバー出来ない。まあ正直なところパッとしない、というのが自分のイメージでした。
1993年に蒸留所を買収した、バーンスチュワート社からリリースされた1970年代蒸留の20年ものなど、特にその系統だったと記憶しています。

一方このセスタンテ向けは、多少の落ち着きのなさはあるものの、同時期のグレンギリーの加水を思わせるようなスタイルが備わっており、悪くないというか当たりボトルと言える出来。寿命は短そうですが、加水されていることでネガティブな部分や全体のまとまりがカバーされているのかもしれません。
同じラベルとビンテージでハイプルーフ仕様もリリースされており、そちらの仕上がりも気になるところです。(入手難易度はとてつもないですが。。。)

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ご参考:レダイグと当時の蒸留所の状況について、詳しくまとめられた良記事。買収が比較的最近で、改善も最近。関係者から話を聞けるのが大きいのだろう。
マル島-トバモリーとレダイグを知る(ウイスキーマガジン 2013/5/29)

ちなみに、このレダイグが改善?されるのがバーンスチュワート傘下に入り、蒸留所としての個性をどう出していくかを見直した1993年以降から。現行品のピーテッドレダイグがリリースされるのは2000年代に入ってからです。

当時の振り返りは上記のウイスキーマガジンの記事に詳しく書かれていますが、その記述にあるマル島でスペイサイドモルトを作ろうとしていたという話が、今回のレダイグ1973のスタイルからも感じられます。
こういう知識と経験を紐付けられるボトルは純粋に貴重ですね。またひとつウイスキーの深い部分に触れることが出来たと思います。
貴重なボトルを開封時からテイスティングさせていただき、ただただ感謝です。

ダラスデュー 17年 1970-1987 セスタンテ 58.3% ブラインド

カテゴリ:

DALLAS-DHU
For SESTANTE
Rare Highland Malt Scotch Whisky
Aged 17 years
Distilled 1970
Bottled 1987
58.3% 750ml

【ブラインドテイスティング解答】
地域:ハイランド
蒸留所:グレンダラン
熟成年数:15年程度
樽:リフィルシェリーバット
度数:60%程度

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@ブラインドサンプル
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ハイトーンでドライ、ハイプルーフらしい強いプレーンなアタック。バニラ、華やかで品がいいおしろい系の麦芽香、微かにニッキ、シトラスのアクセント。時間経過で蜂蜜の甘み、柑橘感がさらに開き、

味:ハイトーンでスパイシーな口当たり。麦芽風味から洋梨のペースト、薄めた蜂蜜、膨らみのある味わい。
余韻はドライでスパイシー、ジンジンとした刺激、白木を思わせるウッディネスが麦芽風味やオレンジピールのほろ苦さを伴い長く続く。

ナチュラルでプレーンな麦芽風味主体だが、程よくホワイトオーク系の樽感が混ざり合っている。酒質のボディ感に香味の広がり、近年系の原酒とは格が違う。時間経過で開く香味が完成度をさらに高めてくれる。加水するとオーキーな華やかさ、クリーミーな麦芽風味がさらに開く。



前回のグレンカダム21年に引き続き、ぎんがさん出題のちょっと特殊なブラインドテイスティング。
今回のお題は、「ロイヤルブラック 16年 57% ゼニスインポート」。先日自分も記事にしたボトルで、ロイヤルブラックラの中でもかなりレベルの高いリリースの一つだと思います。

参考:ロイヤルブラックラ 16年 1980年代流通 57% ゼニスインポート

そのボトルと近い要素があるという、ブラインドテイスティング。
サンプルAのカダムは明らかに近年系の構成でしたが、今回はノージング時点でちょっと傾向が違うなと。樽に頼らないナチュラルでハイトーンな構成は、近年のボトラーズではなく、1990年ごろのケイデンヘッドやセスタンテなどに多く見られたキャラクター。微かに香木、白木のニュアンスを伴うそれは、近年めっきり見なくなったフレーバーです。

この手の構成は、半端な酒質だとドライでビリビリするだけで終わるのですが、今回のサンプルや、上述のブラックラなどはボディがしっかりして、原料由来の味が残っているため、香味とも膨らみや広がりがある。
単体でのブラインドとしては、嫌味は少ないながら麦芽風味主体で比較的しっかりとした酒質に仕上がる、1970年代のグレンダラン、プレーン系のリフィルオークを予想。長期熟成でないことで、逆に麦芽風味にボディや勢いが残る、15年程度の熟成と考えていましたが、基本スペックはほぼイメージ通りだったと思います。
蒸留所?ハイランド・スペイサイド縛りでもダラスデューなんてわかったら変態ですよ(笑)。

(出題者から届いた煽りのメッセージ。ひよる?馬鹿言ってんじゃないよ、ブラインドテイスティングはいつ何時誰の挑戦でも受けるんですよ!)

そしてお題だったボトル、ゼニスブラックラ16年との比較は、確かにこの手のナチュラルな樽感に、麦芽風味主体のハイプルーフな構成は、近い要素が多いと思います。
厳密に言えばブラックラよりも樽由来の柑橘系のニュアンスが強く出ていると感じますが、ここは樽の違いでしょうか。どちらもある程度ウイスキーを飲み慣れた人が、好みの一つにたどり着いてくる、麦系の領域にあるボトルと言えます。

なお、以前のダラスデューの投稿で、自分は「印象に残っていないウイスキーの一つ」として、ダラスデューを挙げて結構辛口なことを書いています。
もちろん、蒸留所に対して持っている"このスペックだったらこう仕上がるだろう"という予測に、今回のボトルが合致しないわけではないですが、その中でも上位グループに入るだろう美味しさをすっかり満喫させていただきました。
これは印象に残ったボトルになりましたね。

ストラスアイラ 21年 セスタンテ マイナルディコレクション 1980年代流通 40%

カテゴリ:
STRATHISLA
SESTANTE
Mainardi import collection 
Years 21 old
Matured in Sherry Wood
1980's
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:KuMC@Oさん
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

味:クリアな麦芽香、薄めた蜂蜜、かすかにえぐみを伴うリフィル系の樽香。ハイトーンで若さを感じるようなスパイシーさ。

味:スムーズでクリア、ピリッとした刺激を伴う口当たり。王林系の柔らかい酸味とさらさらとした果実味、麦芽風味と微かな土っぽさ。コクと粘性のあるボディ。
余韻はハイトーンで軽い香ばしさ、ドライで染み込むように消えていく。

度数以上の酒質の強さを感じる味わい。シェリーウッド表記だが樽は3回目くらいのリフィシェリーバットか、酒質由来の風味が主体、クリアな熟成感である。
加水するとスウィートでスムーズ、飲みやすくはあるがやや軽さが目立つ。


今は無きイタリアのボトラーズメーカーにしてインポーターであった、セスタンテ。
今尚高い評価を受ける名品の数々をリリースしてきた実績から、一部では伝説とも称されるメーカー。そのボトルというだけで期待が高まってしまう愛好家は少なくないと思います。

今回のボトルは樽の出元はGMで、セスタンテからMainardi(マイナルディ) import 社が展開。
このマイナルディ社は、おそらくセスタンテの設立者であるErnesto Mainardi氏に縁がある企業であり、Mainardi Import Collectionとして、1年ごとの年数違いでミルバーン、ストラスアイラ、モートラック、グレンバーギー、クライヌリッシュ、リンクウッドがリリースされたようです。
他にもあるかもしれませんが、海外オークションサイトにて以下の出品を見つけましたので、写真を引用させていただきます。

Mainardi Import Collection 1980's Sestante GM (画像引用:

ラベルの雰囲気もさることながら、創始者の名を冠するコレクションシリーズの1本とくれば、どんなものを詰めたのか気にならないわけがありません。
このストラスアイラは、先日の京都ウイスキーパーティーのサテライトBARのメニューの一つに、持ち主であるOさんが提供していましたので、自分と同じ衝動で飲まれた方もいらっしゃるのでは(笑)。

一連のシリーズは1980年代後半のボトリングで、蒸留時期は1960年代中頃から後半。泣く子も黙る黄金時代。樽の出元であるGMでストラスアイラと言えば、60年代蒸留にはシェリー樽のしっかり効いたリリースが多く、同様の構成かと思ったら、今回のボトルはこの時期のストラスアイラにあって珍しい、樽感淡く酒質主体の味わいなのです。

意外なキャラクターに面食らいつつ飲み進めると、奥には香ばしい麦芽風味や、テイスティングの通り40%加水に負けていないかつての原酒らしい酒質の強さが感じられ、これなら強い樽感とのバランスも取れるなと。ただ、21年相当の熟成感かと言われれば、少し首を傾げるところで、当時らしいシェリー系の樽感や厚みのある麦芽風味を期待していたのが本音であったりもします。
一連のコレクションや、その他のリリースとの繋がりを考えさせられる1杯でした。

ローズバンク 30年 1975年蒸留 2005年ボトリング シルバーシール セスタンテコレクション

カテゴリ:
ROSEBANK 
Sestante Collection 
Silver Seal 
30 Years Old 
Distilled 1975 
Bottled 2005 
700ml 55.8% 
評価:★★★★★★★(7)
 
香り:ツンと鼻を刺激するエッジの鋭い香り立ち。ザラメ、サトウキビ、シリアル、トーンの高い甘さに微かな乳酸、リフィル系の淡い樽香。徐々にとうきびチョコレートのような甘く香ばしい香りも。

味:トーンの高い甘さ、口当たりでエッジが立っているがすぐにねっとりと濃い味わいの舌触りへ。バニラ、乾いた木、香木、蒸かし芋、金平糖、余韻はドライだが口の中に張り付くように麦芽と木の風味、微かにオレンジピールの爽やかさが長く残る。

ローランドらしい酒質、3回蒸留らしいエッジの鋭さ、食前酒的なさっぱりとした風味でありながらボディにはコクと厚みが備わっている。長熟らしい多層的な風味も感じられます。

口開け時のテイスティングはまだ固いなという感じも強かったのですが、後日時間をかけて飲むと良い点を拾いやすくなってました。
時間をかけてじっくり飲んでもだれた変化をしない点も好印象で、逆に香味が伸びてきます。
これは良いローズバンクです。どちらかと言えばコアな飲み手向けの味わいだと思いますが、ローズバンクファン納得の仕上がりでしょう。

このボトルは昨年のTWDメンバーの集まりでのフリーテイスティング&頂いた小瓶でのテイスティング。荒ぶるくりりんの魂を鎮めるため、Yさんが抜栓して持ってきてくれました。いつもありがとうございます!
実を言うと、自分はそこまでローズバンクという銘柄に思い入れも興味も持ってないのですが、良いリリースが多いとされるシルバーシール、それもセスタンテコレクションとくれば、今回のローズバンクに期待するなというほうが嘘ってもんです。 

今回のボトルは2005年詰めですが、日本国内の流通時期は2012年ごろと、少々時間が経ってからでした。ボトリング後の経年10年でこの味わいなら、20年、30年と瓶熟させても良い変化が期待できると思います。
なかなか手軽に買える値段じゃないですけど、今の相場を考えればこれもアリか・・・。

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