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シークレットスペイサイド ブレンデッドモルト 19年 ドラムラッド 1stリリース 44%

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SPEYSIDE BLENDED MALT 
DRAMLAD JAPAN 
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years 
Distilled 2001 
Bottled 2021  
Cask type Sherry #48 
700ml 44.0% 

評価:★★★★★★(6-7)

香り:ドライプルーンやナッツ、ブラウンシュガーを思わせるシェリー系のウッディネスに、紅茶、アプリコット、熟した洋梨等の華やかなオーク香が、枯れたようなドライな刺激と共に感じられる。シェリー感は濃すぎずクリア寄りで、夏場であっても嫌味にならない。

味:口当たりはスムーズで度数相応だが、骨格は崩れておらず、余韻にかけて軽くヒリつくような刺激が残る。この点は酒質由来の要素だろう。口内で広がるシェリー樽由来のダークフルーツ系の香味はバランス良く、香り同様の印象。じわじわとドライなオーク、カカオチョコレートを思わせるビターなウッディネスが染み込むように長く残る。

バランスの良いシェリー系ブレンデッドモルト。おそらくニューメイクからブレンドしているタイプと思われるが、印象としてはマッカラン、グレンロセス、タムデュー、リベットあたり。原酒同士はしっかりと融合し、濃厚過ぎないシェリー感に、オーキーなフルーティーさ、華やかさがアクセントとなって、近年流行りの圧殺シーズニングシェリー系とは一線を画す、一昔前のボトラーズリリースを連想させるフレーバー構成。
開封直後、真夏というシェリー樽熟成ウイスキーに厳しい時期でのテイスティングでありながら、これだけ飲める点が素晴らしい。これから秋、冬にかけてじっくり楽しんでいけるグッドリリース。

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先日紹介させて頂いた、ドラムラッド社のファーストリリース。同社の伊志嶺代表、及びテイスターが自信をもってチョイスしたというボトルです。販売開始即完売したリリースですが、運良く入手することができ、この1週間、じっくりとテイスティングさせて頂きました。

ボトラーズブランド・ドラムラッドについては当ブログでも紹介しておりますので、前置きは不要でしょう。同ブランドのアピールポイントの一つは、テイスターの顔が見えること。実績のあるテイスターが総意でチョイスする、美味しさ、面白さ、個性。。。これら明確な狙いのあるリリースにあります。
ただ、本音を書かせてもらえれば、1st リリースの情報を見た際、楽しみだというポジティブな想いだけでなく、おや?と思うところが無いわけではありませんでした。

それはドラムラッド社がラベル上でも掲げるビジョン「PRIDE MAKES DELIGHT」や、コアレンジのコンセプト「蒸溜所のハウススタイルを体現する樽や、今のウイスキーの旨さと豊かな個性を持った樽」を掲げるリリースの第一弾が、素性を明記できないシークレットシリーズかつ、ブレンデッドモルトであったことにあります。
また、スペックから「所謂シーズニング圧殺タイプかな」という予想もあって、個性がわかりにくいのではないか、果たしてコンセプトに合致するものなんだろうか…と、懸念する部分があったのです。




しかし、そうした印象はテイスティングしてみて消えました。
ブレンデッドモルトといっても、これはニューメイクの段階でバッティングされたものでしょう。もはや「スペイサイド地域産」という、一つの原酒と言っても過言でないレベルで融合し、同地域のモルトが熟成することで感じられる、軽やかでフルーティーな個性がしっかりと感じられます。一方で蒸溜所の個性としては、癖の少ないクリア寄りの酒質の中に、度数落ちでありながら骨格を残すアタック、刺激から有名蒸留所のいくつかを連想する酒質が感じられます。

シェリー感には現行寄りのシーズニング的な要素はありつつも、圧殺的なしつこさではなく、熟成によって付与されたオークフレーバーや、酒質由来のフルーティーさが混ざり合う点が好ましい。また、度数落ちのモルトに見られる、やや枯れたニュアンスと、それによって強調されるドライな華やかさがシェリー系の甘みの中でアクセントとなっています。
往年の愛好家にとっては、懐かしさも感じるウイスキーですね。個人的には、BBR社がリリースしていたブレンデッドモルトウイスキー、ブルーハンガー25年の1stや2ndリリースを彷彿とさせるキャラクターだと感じました。

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(BBR ブルーハンガー25年。初期のころのものは、やや枯れたようなシェリー感、オークフレーバーに、熟成を経たモルトのしっかりとしたフルーティーさが特徴的だった。今回のドラムラッドリリースは、近年寄りのシェリー感ではあるが、その中にこうしたリリースを彷彿とさせる要素が備わっている。)

スペイサイドという地域らしさに加え、現行品のウイスキーの中でも十分な美味しさ、魅力的な個性を秘めたカスクのチョイスは、シークレットというベールの中にそれを見出し、固定概念にとらわれず後押しする。テイスターチームがあってこそのリリースであるとも感じます。
というか、現行品でこれ以上のシェリー系のウイスキーを、この価格で調達するのは難しいのではないでしょうか。前情報で予想したことから一転して、なるほど、これこそドラムラッドの1stリリースに相応しいんじゃないかと思えました。

ブログ公開に先立ち、伊志嶺さんにメッセージを送ったところ、こうしたカスクは今後も調達できる見込みがあるとのこと。ドラムラッドのシークレットスペイサイドは今後も期待できそうです!

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THE AGE of INNOCENCE
ROUGH COAST 
Islay Single Malt
Batch1 Red Wine Cask 

さて、今回のリリースは同社の理念を体現したコアレンジである「THE ONE DRAM SELECTION」であったわけですが、8月19日には若い原酒だからこその個性、あるいはカスクフィニッシュ等によるこれまでにない新鮮さ、驚きのある味わいを楽しむグレード「THE AGE of INNOCENCE」の発売も予定されています。
ネーミングは「Rough Coast (荒れる海岸)」。これは今回のみのリリースではなく、今後もBatchを重ねる形で、リリースを継続していくシリーズになるのだとか。

近年のスコッチウイスキー業界では、オフィシャル側との関係で蒸溜所名を明記してのリリースが難しくなってきています。
アイラシングルモルトという表記はシークレットXXXXと同様に、いかにも現代のウイスキーという感じですが、中身はスモーキーさのはっきりした原酒で、ハイボールにもマッチするとのこと。カスクフィニッシュのリリースは当たり外れが大きい印象があり、普通なら抵抗を感じてしまいますが、このメンバーが選んだなら…と、早くも後押しされている自分が居ます。

PBリリースが増えてきた昨今の市場において、その中でもしっかりとしたメッセージ、選定者の顔が見えるというのは、一つ重要なファクターなんですね。


最後に。。。全く関係ないのですが、自分が使っているスマートウォッチのデザイン(配色)が、THE ONE DRAM SELECTIONラベルに似ているなと。ドラムラッドブランドにますます思い入れを持ってしまいそうです(笑)。
そんなわけで、今後のリリースも楽しみにしております!!

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ノッカンドゥ 18年 スローマチュアード 43%

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KOCKANDO 
AGED 18 YEARS 
Slow matured 
Distilled in 1996 
Cask tyep Sherry 
700ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーな華やかさと微かにおがくずのような乾いたウッディネス。メープルシロップのかかったホットケーキを思わせる甘やかさ、穏やかな香り立ち。奥にはフルーティーな要素も見え隠れするが、ストレートだと特徴を掴みにくい。

味:スムーズで柔らかい口当たり。麦芽風味にアーモンドナッツを思わせる軽い香ばしさと、ドライでピリッとしたオークフレーバー、華やかさが緩やかに広がる。余韻はウッディでビターな中に華やかなオークフレーバーが残り、ゆったりと消えていく。

スペック上はシェリー樽での熟成とされているが、色濃い仕上がりやダークフルーツ系の香味はなく、樽材由来の華やかさ、ナッツのような香ばしさが主体となる1本。セカンドフィル以降のアメリカンオーク・シェリー樽で熟成された原酒を中心に使っているのだろう。ストレートだと香味とも少し籠ったように感じるものの、少量加水することで華やかなオークフレーバーが開き、林檎のコンポートを思わせるフルーティーさと微かにジャスミン茶を思わせるアクセント、樽由来の良い部分を感じることが出来る。近年増えた短熟樽感増し増しなリリースにはない、落ち着いた緩やかな味わいが魅力的。癒しの1杯。

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ふとノッカンドゥが飲みたくなり、個人的に最推しである21年を購入しようとしたところ、輸入が途絶えたのか国内市場から在庫が消えていました。終売というわけではないようで、海外だと在庫があるのですが、わざわざ海外から取り寄せるほどのモノでもなく・・・まあ正規代理店がない銘柄ではたまにあることです。それなら15年や18年も中々良い出来なので、ちょうどいい機会だから現行品を飲もうと、最近リリースと思われる18年を購入してみました。
※本記事を執筆中の2021年4月時点では一部酒販で21年の在庫が復活しています。

しかし手元に届いて、1996年蒸留という数字が目に留まる。しまった、これ現行品じゃないやつだ。
ノッカンドゥ18年は、1990年代蒸留のロットまではシェリー樽100%なのですが、2000年代のロットから一部バーボン樽熟成の原酒が使われるようになって、原酒構成が変化しているのです。
特に気にもせずデザインだけ見て買っていたのですが、まさか6年前のモノがくるとは。。。
調べてみると、酒販によっては蒸溜年が1994年~2001年と在庫にばらつきもあるようで、わかってましたが、人気の無さというよりは知名度の無さが伺えます(笑)

人気が無いリリースは、値段が高いとか、味が悪いとか、マイナスな要因があります。しかしノッカンドゥは値段も手ごろで味も悪くない、純粋に一般的な知名度、認知度の問題だと感じています。まあ我々愛好家としてはそれが良いんですけどね。
昨今ボトラーズリリースで1990年代蒸留の原酒が高騰し、2000年代の原酒が主流となっている中では、加水であっても1990年代単一蒸留年で18年熟成というのは、ちょっと得したような感じもしますし。また、数年前までシグナトリー社が43%加水で20年前後熟成の内陸モルトを、6000~7000円と同価格帯でリリースしていましたが、フレーバーの傾向としても代替品になる1本だと言えます。

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さて、上述のとおり、今回の蒸留時期のノッカンドゥ・スローマチュアードはシェリー樽でのみ熟成された原酒で構成されています。
オフィシャルリリースでは21年がバーボン樽とシェリー樽のバッティング、25年がシェリー樽オンリーであることを考えると、スペック的な繋がりは25年にあるように感じられますが、色合い、香味としては21年の系統であり、熟成に使われた樽はリフィル、サードフィルのアメリカンオークやヨーロピアンオークのシェリーバットであると考えられます。

ストレートではおがくずや乾いた牧草のような、でがらしのシェリー樽にありがちな、人によっては好ましくないフレーバーを感じ取ってしまうかもしれません。しかし蒸留所の個性とも言える軽いナッティさに加え、アメリカンオーク樽に由来するオーキーな華やかさと、加水によって開くフルーティーさが魅力的であり、開かせた後の香味は21年よりも好ましい部分がわかりやすいとも感じています。
まさに熟成させた内陸系スコッチモルトに求める味わいってヤツですね。

一方で、最新ロットとの香味の違いも気になるところでありますが、21年は少し前から同じような原酒の組み合わせですから、実はそんなに大きく変わらないんじゃないかとも予想しています。ノッカンドゥは古いボトル程麦感の厚みは感じやすいものの、リリースの傾向は大きく変わっていないため、バーボン樽に由来してフルーティーさ、華やかさがより強く感じられるようになったら儲けものくらいです。

ノッカンドゥ18年のように、穏やかな味わいの1本はBAR飲み用というよりは、家でゆったり楽しむのに向いているタイプと言えます。昨今何かと外出、BAR飲みしづらい状況が続いていますが、自宅での息抜きにはバッチバチの若いカスクより、ちょっと熟成年数の長いシングルモルトが向いている。中でも手頃な価格で購入できるノッカンドゥは、今改めてオススメしたい1本です。

グレンリベット 12年 イリシットスティル 48% オリジナルストーリーズ

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THE GLENLIVET 
THE ORICINAL STORIES 
"ILLICIT STILL"
12 YEARS OLD 
700ml 48% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:トップノートはドライでやや硬さのあるオーク香。林檎を思わせる酸、微かに蜂蜜、オークの焦げたニュアンスとウッディさが、モンブランのような甘みとほろ苦さを連想させる。

味:しっかりとコクのある口当たりだが、序盤はウッディで香りに感じた硬さ、若さに通じる酸味。中間から焦げ感の混じるオークフレーバー。余韻にかけて焼き林檎の甘み、ドライでひりつくようなアルコールの刺激、スパイシーなフィニッシュへと続く。

近年のスペイサイドらしい軽やかさに、オークフレーバーに由来する華やかさ、焦げたようなウッディさも残っている。ベースの若さがあって、多少硬くドライに感じる部分はあるが、少量加水すると丸みを帯びてバニラやすりおろし林檎を思わせるような甘みも開いてくる。通常のグレンリベット12年と比較しても、香味成分は明らかに多く、そして強いため飲み応えがありながら48%仕様でバランスも良好。試せてはいないが、この手の硬さのあるモルトは、ハイボールにしても悪くなさそうだ。

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ペルノリカールから今年2月にリリースされた”グレンリベット・オリジナルストーリーズ”の第一弾。蒸留所の系譜を紐解くこのシリーズは、同蒸留所にまつわる何かしらのエピソードをテーマとし、それを採用したリリースを行っていくことが計画されているものです。
以前テイクアウトで調達していたサンプルで、家飲みするつもりが時期をはずして今さら的な記事になってしまいましたが、通常の12年との比較テイスティングを交えながらまとめていきます。

今回は、ブランドの原点と言われるスコッチウイスキーの”密造時代”をテーマとしたもの(なぜグレンリベット=密造時代なのかは、あまりにも有名な話すぎるため割愛します)。当時の製法は、現代と比較すると手作りと全自動、厳密にいえば全てにおいて異なっているものですが・・・。工程で見ると冷却濾過(チルフィルタリング)を行っていなかったことから、通常の12年と同じ原酒構成ながらノンチルフィルターかつ48%という高度数で仕上げたものが、”イリシット・スティル”となります。


ただ、ノンチルフィルター仕様は近年のウイスキー市場ではそう珍しいものではありません。グレンリベットのオフィシャル銘柄でも、一部そうした仕様のボトルがないわけではなく、率直に言えばノンチルだけで密造時代をテーマとするのは些か強引と言うか、もう1手”密造時代”に結び付く何かが欲しい気もします。
まあかつて「創業者が理想としたレシピを再現した」と、ホントか?というエピソードで”ファウンダーズリザーブ”をリリースしたグレンリベットからすれば、まだ納得できる仕様かもしれませんが・・・。

とは言え、今回のリリースは純粋にウイスキーの経験としては見るところ、面白さがあります。
ノンチルフィルター仕様でリリースされるウイスキーは、「香味成分が多く残る」、「何かの拍子に濁ったりする」ということが知られている反面、どれくらい違いがあるか明確に実感できる機会はあまりなかったように思います。何せ、シングルカスクでもブレンドでも、同じ原酒構成のリリースでフィルタリングの有無を比較しないと、違いははっきりとわからなかったわけです。

その点で、今回のリリースは現行品の12年と比較することで、違いを理解しやすい点がポイントだと思います。
トップにある香味の傾向は通常のグレンリベット12年と大きく違わないものの、加水によって同じ度数に調整しても、口に含んだ後のオークフレーバーの広がり、中間から余韻にかけての麦感の厚みや香り立ちは明らかに違っているのです。
これは、グレンリベットだけでなく他のシングルモルトブランドのスタンダード品にも見られる特徴で、大量に生産する中でどうしても出てしまう樽毎の品質の違いを補正するための加水やフィルタリングによる影響であり、なるほどこういうことかと体感することが出来るのです。

フィルタリング
※同じ種類の樽、熟成年数の原酒を使っても、ロット毎に生じてしまう差を、加水とフィルタリングを経て補正するイメージ図。香味の弱いロットを強くするのではなく、低い基準で合わせる形になってしまう。大手の量産品に見られる傾向で、有名どころではマッカランなどが代表例である。

以上の通り、量産品の仕様との違いを学ぶ上での教材としては面白く。加えて味も悪くない。ボトルデザインも昔のリリースに似せて雰囲気があることから、通常価格なら良いリリースだと思うのですが、調べてみると現在はちょっとプレミアがついて販売されているようです。

このリリースに8000~1万円出すかというと、冷静になっていいかなと思うところ。
グレンリベットは他のオフィシャルスコッチモルトと比較しても、エイジング表記有りのボトルが手ごろな価格で市場に流通しています。それこそ、現在のグレンリベットやスペイサイドモルトの特徴たるフルーティーさの良い部分は、熟成年数が上のほうがわかりやすく。。。例えば、ワンランク上の15年が個人的にオススメです。(同じ12年で選びたい場合は、12年ファーストフィルも候補と言えます)
今回のリリースをきっかけにグレンリベットに興味を持たれた方は、次の1本に如何でしょうか。

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グレンフィディック12年 スペシャルリザーブ 40%

カテゴリ:
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GLENFIDDICH 
OUR ORIGINAL TWELVE 
Aged 12 years 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)

トップノートにはやや硬質感があるが、青りんごや洋梨を思わせる華やかなオーク香、微かにレモンピールを思わせるニュアンス。時間経過で奥から麦芽由来の甘さも混じる、爽やかなフルーティーさが心地よい。
一方、味わいは香りに比べて少々広がりが乏しい。麦芽由来のほろ苦さ、柔らかい甘みが舌の上で感じられ、余韻は砂糖漬けドライレモンピールを思わせるビターなウッディネス、ほのかにオーキーな華やかさが鼻腔に抜けていく。あっさりとしたフィニッシュ。

ラベルにはオロロソシェリー樽とバーボン樽で12年熟成と記載があるが、色合い、香味から察するに熟成はほぼバーボン樽で、シェリー樽はアメリカンオークのリフィルか。香りはオークフレーバーがしっかり感じられるが、40%加水の普及品ということもあって、味わいは小さくまとまっている。やや硬さもある。しかし柔らかく甘みのある麦芽風味主体の素直な酒質と、アメリカンオーク由来のオークフレーバーという、定番の組み合わせから流行りを外さない安定感は、このボトル最大のポイント。何と言ってもハイボールがオススメ。

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先日、酒育の会のWEBマガジン「Liqul」に投稿したウイスキーコラム、”Re-オフィシャルスタンダードテイスティング”で紹介したグレンフィディック12年です。
昨年市場に出回り始めたリニューアル後の現行品ボトルで、いつかコラムで取り上げようとボトルだけは買ってあったのですが、年明けの更新に回ってしまいました(汗)。

グレンフィディック12年スペシャルリザーブ 平凡にして非凡な1本:Re-オフィシャルスタンダードテイスティング Vol.10 | LIQUL - リカル -

コラムにも書いたように、グレンフィディック12年は味、価格、流通量、それらのバランスが優れた、定番品として申し分ない1本だと思っています。
勿論、万人向けオフィシャルスタンダードとして突き抜けた仕様にはなっていないため、嫌なところが少ない反面、良いところも控えめで。。。だから面白みがないし、1杯の満足感としてはそこまでと感じる方も多いと思います。

ですが、軽やかな熟成感と爽やかなフルーティーさは、近年のスペイサイドモルトのキャラクターど真ん中であるだけでなく、若さも目立たない点は好感がもてる仕上がり。
ハイボールとの相性はバッチリであるだけでなく、同ブランドにおける上位グレードにも通じる、フルーティーさが備わっているのもポイントだと思います。
ちゃんとハイエンドへのステップ、エントリーグレードとしての役割も果たしているんですよね。

どこにでもあり、目立った仕様もないため平凡すぎて軽視されがちですが、改めて飲んでみると、なんだ結構良いじゃないかと、その非凡さを感じる銘柄の代表格。年間100万ケース以上販売しながら、このクオリティが維持されているのは凄いことです。

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一方で、2015年から販売されていた(日本市場では2016年頃から)、写真の1世代前のボトルと比べると、リニューアル後の今回のボトルは、麦由来の甘みがプレーン寄りになって、その分樽由来のフレーバーに硬さが目立つようになったと感じています。

これはさらに古い世代のボトルと現行品を比べると、一層華やかに、しかし麦芽風味はプレーンに、という変化が感じられると思います。
理由はわかりませんが、やはりあれだけ量産しているので、多少なり品質や樽使いに影響があっても仕方ないのかなと。それはが今回はた、またまハイボールに合う仕上がりだったというだけなのかも。
ですがそんなことを言ったら、同じく12年のシングルモルトで売り出している某静かな谷のように、リニューアルする毎に樽感が薄く若さが目立って、いったいどうしたのかという銘柄も散見されるなか。他社スペイサイドモルトがリニューアルする度に、グレンフィディックの安定感が際立つ結果になっているようにも感じます。

我々ウイスキー飲みって、常にフルコースの満足感を求めているわけでも、波乱万丈の展開をグラスの中に求め続けているわけでもないんですよね。食中酒や風呂上りにさっぱり飲みたいという時に、このハイボールはピッタリなのです。
ノーマルなブレンデッドで、例えば角やデュワーズのように、同様にオーキーなフレーバーを備えたものとも異なる、ハイボールでのバランス、味わいの深さと満足感。適材適所、デイリーウイスキーってこういうヤツだと思います。

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余談:グレンフィディック蒸溜所の蒸留器については、写真のように異なる形状のもの、加熱方式も間接だけでなく一部直火蒸留があるなど、複数のタイプが存在します。
これらで蒸留されたニューメイクは、同じタンクに混ぜて貯められるため、スチル毎で見れば原酒の造り分けが行われているものの、全体としては均一化されている蒸留所であるのだそうです。
なるほど、香味のブレの少なさはそこにあるのかと、安定感の裏付けに加え、時代時代で味が変わってきているのは、麦芽品種の違いだけでなく、この一団を構成するスチルの形状や蒸留方式が時代で一部変化し、樽詰めされるグレンフィディックの原酒を構成するピースが変わってきているからかもと、予想しています。

グレンアラヒー 12年 48% 2020年ロット

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GLEN ALLACHIE 
Aged 12 years 
SLEYSIDE SINGLE MALT SCOTCH WHISKY
Release 2018 (Lot of 2020) 
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2か月程度
評価:★★★★★(5ー6)


香り:ツンと鼻腔を刺激する硬質感のある香り立ち。黒砂糖やかりんとうのシェリー樽由来の色濃いアロマ、スワリングするとバナナや焼き芋を思わせる焦げ感のあるオーク香も混じってくる。

味:はっきりとシェリー樽のニュアンスに、とろりとした厚みのある樽感と麦由来の甘さ。若い原酒の酸味もあるが、すぐにオーキーな華やかさが開き、それらが混ざり合ってパチパチと軽やかな刺激とカカオを思わせるほろ苦さを伴うフィニッシュへと繋がる。

若い要素の垣間見れるモルトで、厚みと強さのある酒質を樽感でカバーしたような構成。シェリー系のフレーバーの濃さ、バーボン樽由来の華やかさが備わっており、粗削りだがリッチな仕上がりである。オススメは少量加水。硬質感がやわらぎ、2系統の樽それぞれに由来する香味が混ざり合った柔らかい甘さ、スムーズな口当たりへと変化する。これからのシーズンにオススメな、デイリーユースの1本。

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いつの間にかシェリー系リリースへとシフトしていた、グレンアラヒー12年の現行ボトル。
2018年のリリース初期から2019年のロットでは、色は下の写真の通り、10年、12年、18年と大きい違いのない、琥珀色ベースの色合いでしたが、2020年頃のロットから1st fillのシェリー樽比率が増えたのか、外観は全くの別物となっています。(Whisk-eさんのWEB画像も差し替えられました。)

当然フレーバーも変化しており、旧ロットの「若さの残る麦芽風味からバーボン樽由来の華やかさ」という構成が、後半の華やかさはそのままに、前半がシェリー系の色濃い甘みとビターなフレーバーに上塗りされています。
元々聞いていた情報では、グレンアラヒー12年のシェリー樽比率は30%とのことです。そこから全体の割合が変わったというよりは、内訳がリフィルのオロロソ主体から、1st fill PXシェリー樽主体となったのではないかと推察。ロット差というには大きな違いですが、総じて好ましい変化だと思います。

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このボトルは、LIQULのオフィシャル銘柄紹介記事(Vol.6 進化するグレンアラヒー)を書くにあたり、18年との比較テイスティング用に購入したものでしたが、思いっきりアテが外れました(笑)。
元々、18年をメインに持ってくるつもりで、その発展途上にあるボトルとして12年を使う予定だったのですが・・・箱を開封してびっくり、何この色、予定と違う、さあどうするか。

ただし飲んでみると樽感はわかりやすく、若い中にも好ましい要素があり、5000円以内という価格帯を考えれば十分勝負できる構成。同価格帯で濃厚なシェリー系のリリースが減る中で、”はっきりとしたシェリー感”と言う新たな武器を得たように感じて、これはこれで個別に取り上げていくボトルだと。急遽記事の構成を変更し、タイトルも「進化するグレンアラヒー」としました。

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一方、今回ブログを書くにあたり改めて飲んでみて、当時は気づかなかったことが1つ。2020年ロットからの12年の変化は、新たにリリースされたPX&オロロソシェリー樽100%の15年も意識したマイナーチェンジだったのではないか、ということです。

2018年、グレンアラヒーのシングルモルトがリリースされた当時は12年の次が18年で、シェリー感がそこまで主張しない18年と同じベクトル上にあるバッティングだと感じていました。その後、シェリー100%15年が登場したことで、15年や18年に続くブランドのエントリーグレードとして、双方の特徴を持つようにブレンドを調整したのではないかと。
実際、15年で主に使われているPXシェリー樽の特徴が、12年でもフレーバーの柱の一つとなっています。

そして何より、このような方針変更を、しれっとやってしまえることも、特筆すべきポイントだと思います。
グレンアラヒーは1960年代にマッキンレーのブレンド向け原酒を作るために創業した蒸留所で、以降位置づけは変わらず近年に至ったわけですが、オフィシャル通常リリースの、それもボリュームゾーンである12年にこうした変化が出来るということは、原酒のストックが潤沢だからこそでしょう。薄くなることはよくある話ですが、濃くなるのはなかなかありません。
あるいは、ハウススタイルを模索している最中ということなのかもしれません。オフィシャルの通常ラインナップと言うと、フレーバーが安定してブレ幅が少ないイメージがありますが、こういう変化からあれこれ考えるのも面白いですね。

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