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BLADNOCH
Scott's Selection
Aged 12 Years
Distilled 1985
Bottled 1997
750ml 60%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後4年程度
評価:★★★★★(5)

香り:綺麗に樽香の乗った甘い香り立ち。ハニージンジャー、はちみつレモンキャンディ。乾いたウッディネス、ほのかにの乾いた牧草を思わせるニュアンス。奥からフローラルなパフュームがじわじわと開いてくる。

味:お菓子のレモンバームを思わせる甘くほのかな酸味を伴う口当たり。序盤は適度なコクがあってまろやか、麦芽風味も感じられるが徐々にスパイシーな刺激。合わせてソーピーなフレーバーが開く。まさにレモン石鹸。 

開封から時間の経っているボトルで、最初はもう少しフレッシュだった記憶もあるが、全体的なベクトルは変わらない。
ローランドモルトにしては比較的ボディが厚く、そこに"らしい"エッジの鋭いスパイシーさを併せ持っている。
加水するとよりまろやかでソーピーなフレーバーが開き、ますます飲み手を選ぶ構成に。。。


ウイスキー愛好家の間で、当たりボトルが多いと定評のあるスコッツセレクション。リリース元はスペイサイドディスティラリー社で、1980年代はブレンデッドウイスキーの製造を行っていたことから、様々な原酒を買い付けていたようです。

このブラドノック1985は、4年前に自分で購入したもの。
序盤は好ましい樽感や麦芽風味が広がる中、徐々に湧き出てくるパフュームが好みを分ける構成です。
最近はボトルの存在すら忘れ去っていたのですが、先日ウイスキー仲間とスコッツセレクション・ブラドノック1987のフレーバーについて話題となり、久々に飲んでみました。

同氏いわく、ブラドノック1987は樽香の綺麗にのった、パンケーキやクレープを食べているようなウイスキーであると。
対してブラドノック1985は類似の要素はあれど、決定的な違いとしてソーピーなフレーバーがあり、この短期間の間に一体何が。。。
実際このボトルに限らず、ブラドノックはソーピーな ボトルが散見され、1980年代から1990年代蒸留あたり、特に1980年代の原酒に多い印象です。

ブラドノック12年 1987-1999 58.2%

同蒸留所の歴史を振り返ると、1980年代のブラドノックは1983年からベル社主導による設備の近代化が進められていたそうで、1987年にUD社(現ディアジオ)が蒸留所を取得した後も、設備の近代化を引き続き行い、生産量を増やしていたという記録がありました。
この手のフレーバーは設備の近代化や、蒸留設備の汚れなどによって、何かのバランスが崩れた時に出てくることが多い印象があります。
今回の場合、様々なアップデートが施される中で、時にそのフレーバーに振れる製造が行われ、時にはそうでなかったか。あるいはUD社に変わったあたりで、原因だった設備が交換されたか。何れにせよ、この辺りにターニングポイントがあるのかもしれません。

なお、ブラドノックは1993年の休止後、紆余曲折にオーストラリアの企業に買収され、2015年から再稼働のプロセスに入っています。
何気にファンの多い蒸留所でもあり、このブログに写真を提供してくださっているT.Ishihara氏も熱狂的なブラドノッカーその一人。
新生ブラドノックがどのような原酒を生み出すのか、自分も楽しみです。