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ウルフバーン 4年 ジャパン・エクスクルーシヴ3 50%

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WOLF BURN 
JAPAN EXCLUSIVE 3 
Aged 4 years 
Cask type Oloroso Sherry 
700ml 50% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1週間程度
場所:自宅@サンプル
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:湿ったようなウッディネス、チョコレートやブルーベリーのクリームを思わせる甘さに加え、黒砂糖、ほうじ茶のような渋さを伴う。微かに発酵したような酸も感じられるが、総じてスウィートでリッチなアロマ。

味:スウィートでマイルドな口当たり。香り同様にクリームのような甘味に、ドライプルーン、チョコウェハース、奥行きはやや浅くあるが濃厚な味わい。徐々にウッディでドライ。角のとれたタンニンと、シーズニング由来のしっとりとした甘味が長く続く。

「ど」シーズニング味だが、酒質の癖の少なさと50%加水仕様がプラスに作用して熟成年数程の若さが目立たない。奥行きや香味の変化には若さが多少顔を出すものの、比較的きれいにまとまっている。この仕上り全体が、ウルフバーンらしさの形といえるだろう。一方で加水すると樽感が薄くなり、良い点が崩れがち。ストレートでもマイルドな口当たりであり、そのまま楽しみたい。

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ウルフバーン蒸留所が、スコッチモルト販売を通じて、1年に1度リリースしているJAPAN EXCLUSIVEシリーズ。その第3弾が先日リリースされました。
過去2作に加え、これまでのウルフバーンのリリースは酒質の可能性を味わうような樽感の淡いタイプが中心であったところ。今回のリリースは方向性が180度異なる、しっかりシェリー樽の効いた圧殺系。予想外のリリースに、サンプル飲む?と聞かれてホイホイ承諾してしまったのであります。

ウルフバーンは2013年に創業したばかりであり、10年を越える原酒を持たない小規模な蒸留所です。
現在の原酒は、プルトニーやクライヌリッシュなど、他の北ハイランドの蒸留所に比べても素直で癖の少ないタイプ。若さは多少残りますが、3年少々の熟成でそれなりに仕上がるような早熟タイプの酒質であり、これは近年のクラフトジャパニーズ等でも見られる傾向です。
(初期は早めに出せるような原酒を仕込んでいたようですが、近年ではスピリッツの個性が光るような原酒をと、ノンピート原酒以外に10ppmのライトピーテッド麦芽を使った仕込みも行っているようで、まだハウススタイルを模索しているとも言えます。)

飲んでみると、テイスティングの通り素直な酒質が樽感を邪魔しないため、短熟圧殺仕上げも悪くないと言えるリッチな味わい。樽味と言われればそうですが、それを邪魔しないこともまた蒸留所の個性です。
現在の系統としてはカヴァラン・ソリストに近いような印象を受けました。

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わずか4年という短期間でこれだけの樽感。なんのマジックかという声もありそうですが、恐らく使われたのはオロロソシェリーの1st fillシーズニング・ホグスヘッド樽、それも250リットルと、バットからの組み直しホグスヘッドよりも小さいサイズと推察します。
また、樽に残っていたシェリーそのものの香味もアクセントになっているのでしょう。
以前ウイスキー仲間が所有している、アランの同じ樽の熟成サンプル(上)を飲ませてもらいましたが、5年程度で今回と同じような色合い、近いフレーバーが付与されていました。

そういう意味で、このボトルは特別な魔法が使われたわけではなく、純粋に樽のスペックに由来するものですが、特別なのはこうした原酒を日本向けの限定品とした、蒸留所とスコッチモルト販売さんの繋がりにあると思います。
ウルフバーンは、つい先日も会員制のファンクラブをオープンさせたりと、積極的なプロモーションを行っているだけでなく、今回のリリースにあたっても、払い出した原酒の濃厚な色合いに感動したスタッフが、わざわざ写真をメールで送ってくるというエピソードがあったり、作り手と販売側の良好な関係があればこそだと思うのです。

近年、濃厚なシェリー樽熟成ウイスキーが高騰し、手頃なものも減っているのは周知のことと思います。今回のリリースは市場のニーズを満たしつつ、ウルフバーンの新しい可能性が見えた1本でもありました。

ローガ ブレンデッドグレーン 51年 1964-2016 51.5%

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ROGHA 
Blended Grain Scotch Whisky 
Aged 51 years 
Distilled 1964 
For Scotch Malt Sales 
700ml 51.5% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR Eclipse 
評価:★★★★★★(6)

香り:メローで重みのある香り立ち。色の濃い蜂蜜やべっこう飴、ほのかにオレンジの皮、柿のペーストのような植物感も伴う甘みと、艶のあるウッディさ。

味:マイルドで粘性のある口当たり。香り同様に色の濃い蜂蜜や穀物を思わせる存在感のある甘み、しっかりとしたウッディネス、木材系の要素が中間から感じられる。
余韻は単調気味だが、べったりと張り付くようなグレーンの甘みから、さらさらとして、軽くドライなフィニッシュへと変化する。

マイルドでメロー。樽感が適度な重みとして感じられ、長期熟成だからこその熟成感やウッディネスも備わった美味しいグレーンだが、結局のところグレーンであるがゆえにその枠を出ない。飲みやすい反面、好みの問題も大きい。加水するとシャバシャバになりやすいので注意。


スコッチモルト販売がリリースしているオリジナルブランドのハイエンド、”ローガ”シリーズ。長期熟成にこだわったシリーズであり、かつてはスプリングバンクやロングモーンなど有名人気蒸留所の40年熟成以上の原酒が名を連ねていました。
一方、近年はスコッチモルトの原酒枯渇と高騰で、ブランドの維持も難しくなってきており、モルトではなくグレーンのリリースが行われるようになってきています。

今回レビューするのは2016年にリリースされたローガの長熟グレーン。昨年2018年には46年熟成のものもリリースされました。
複数蒸留所のグレーン原酒をブレンドしたグレーン100%のブレンドという位置付けで、原酒構成は明らかにされていませんが、半世紀を越える熟成期間のグレーンのみが使われている珍しい仕様。そしてカスクストレングスで50%オーバーの度数や、外観も熟成期間のわりには濃くなく美しい琥珀色で、なんともそそるスペックです。

一方、グレーンはモルトと異なり短期間の熟成でも仕上がりやすい反面、香味の幅が似通って大味で、熟成での延び幅が少ない傾向があります。マイルドで蜂蜜やバニラを思わせる柔らかい甘みと穀物香。そこに樽由来のウッディーさがどれだけ出るか。
飲み口やボディーの柔らかさ、粘性のようなコクは、モルトと合わせるブレンデッドでは繋ぎとして重要な要素になりますが、香味の部分はどれだけ熟成させてもグレーンのまま。本質的な部分に変化が現れづらく、あくまでも”そこそこ”止まりなのです。

従って、今回のブレンデッド・グレーンもあくまでグレーン。スコッチブレンドのような多彩さではなく、むしろ10年単位の期間同じ樽のなかで混ざっていたような”一体感”すら感じる構成。グレーンにしては重く、熟成感はあるのですが、個人的にはコレジャナイ感がぬぐえません。
バーボンは素晴らしいと思うものがいくつもあるのに、同じような分類のグレーンは高まらない不思議。どこかに突き抜けたグレーンがあれば、一度飲んでみたいものです。。。

M’s Tasting Room に行ってみた

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7月15日、ウイスキーアドバイザーの吉村宗之さんが、板橋にリカーショップM’s Tasting Room(エムズ テイスティングルーム)をオープンされました。
スコッチモルト販売(Saketry)とのタイアップショップとのことですが、通常販売だけでなく試飲や原酒の量り売りもあるなど中々面白そう。何より吉村さんが直接接客されているとのことで、こりゃ挨拶の一つもせにゃいかんと、早速顔を出してみました。

吉村さんについては、もはやこのブログを読まれている方には説明不要とは思います。Whisky World誌でメインテイスターを務め、Saketry(サケトライ)やバーチャルテイスティング、酒育の会等各種イベントでも活躍中の所謂プロのウイスキーテイスター。
愛好家の方々がBARを開かれることは普通にある話ですが、プロと言える立場の方が酒屋のオープンに関わるのは初めてではないでしょうか。


お店の場所はJR板橋駅から徒歩5分ほど。
外観はちょっとしたカフェのようで、思わずコーヒーでも頼みたくなるような小洒落た店構え。(実際間違えて入店される方もいらっしゃるのだとか。)
入ってみると、小さいながら中々濃い品ぞろえで、ウイスキーはオフィシャルからボトラーズまで幅広く揃っており、他にはビールやラム等も扱いがあります。
基本的にはSaketryの現地ショップなのですが、WEBサイトと商品ラインナップは分けている(実店舗でなければ購入できないモノもある)のと、先にも記載したように実際に試飲しながら選べるのが大きなメリットです。
 

 

試飲の価格は無料〜300円ほどとリーズナブル。時折スペシャルなボトルも試飲が出るようです。
せっかくなので何か試そうかなと物色していると、そういえばコレ飲んだ?と出てきたのは、城アラキの漫画「カクテル」とのコラボボトル。レダイグ7年とリンクウッド18年。
あ、これ試飲あるんですね、もちろん頂きます。

レダイグはバーボンバレルによる熟成のためか、ねっとりとした口当たりからクレゾールなどの消毒臭と土っぽいピートフレーバーが広がる、らしさのある個性的な味わい。中々よくまとまっているボトルだと思います。
対してリンクウッドは中性的で柔らかく、あまり個性が主張しないまったりとした味わい。いかにも最近のリンクウッドという感じです。
 
 
試飲の中では、ウイスキーに疑似的なフィニッシュが可能な、ウイスキーエレメントの実演販売があったのも面白かったです。
中身はラガヴーリンとも言われる若いアイラモルト"燻酒"に、ウイスキーエレメントを漬け込み、その違いを体験できるというもの。
厳密に言うとウイスキーエレメントは熟成ではないのですが、ベースのウイスキーが強い酒質であるため、ウッディーなフレーバーに負けずいい感じにまとまっていました。こういう売り方って、大手ショップとは違う工夫でいいですよね。

 
冒頭紹介したウイスキーの量り売りについては、オープン直後のため原酒が届いておらず準備中でした。
今後は原酒が入荷次第、販売を開始するとのこと。量り売り用の小瓶は準備されており、後は原酒だけという感じですが、入荷状況や熟成状況は事前に確認された方が良さそうです。

M's Tasting Roomは平日14時~19時と営業時間が短いため、どちらかと言うとBAR等飲食店を経営されている方向けの店舗と言えるかもしれませんが、伺ってみるとウイスキーフェスのブースがそこにあるような、そんな感覚で愛好家が楽しめるショップでした。
今後はセミナーを開催したり、店舗を拡張する考えもある模様。時間が合うウイスキーラバーの方々は、是非訪問してみてください。


LIQUOR SHOP 「M's Tasting Room」
東京都板橋区板橋1-8-4-1F
Phone / 03-5944-1033
Open / 月~金 14:00-19:00
Close / 土・日・祝
ご参考:http://www.saketry.com/?sl=ja(スコッチモルト販売 SAKETRY)

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