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スキャパ 8年 1989-1997 ジョンミルロイ セレクション 59.5%

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JOHN MILROY SELECTION
ORKNEY ISLANDS
EXTREME NORTHERN HIGHLAND
(SCAPA)
Aged 8 years
Distilled 1989
Bottled 1997
700ml 59.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:少々硬さのあるハイトーンな香り、注ぎたては青みがかった麦感から、カステラやバニラウェハースを思わせる甘みが開いていく。

味:アタックの強い口当たり。ナチュラルオーク、まだ硬さのある洋梨、青いバナナ。唾液と混じるとオイリーでカステラのような甘みも感じられる。
余韻はハイトーンでドライ、ほのかに麦芽由来のほろ苦さを感じるヒリヒリとした余韻。

経年変化で角は取れつつあるが、短熟ゆえ樽感は淡く、硬さとアタックの強さがある程度残っている。少量加水するとまろやかさ、さらなる甘みが引き立ちグッド。


蒸留所名称ははっきりと書かれていないものの、オークニーモルトでエクストリーム・ノーザン・ハイランド表記、つまりスキャパ蒸留所というボトル。
スキャパ蒸留所が1994年に一時閉鎖される前の蒸留で、愛好家を逆に惹きつける8年という短熟仕様。旨さもさることながら、個性を求めるコアなドリンカー向けの1本です。

昨日記事にしたハイランドパークも樽感の淡い構成ながら、同じオークニーモルトとは言え酒質の違いは歴然。ピートのニュアンスも穏やかでニュートラルな作りに加え、ボディもそこまで厚いわけではないですね。
ただ20年という瓶熟から角が取れつつありますが、ボトリング当時はもっとバチバチでアタックの強い味わいだったのだと思います。

かつてスキャパの原酒は殆どがブレンドに使われ、ボトラーズリリースでしかそれを味わえなかった時期がありました。
この1980年代〜1990年代前半の原酒が熟成され、加水されて作られていくのが今は亡き12年、14年、16年と熟成年数を推移したスキャパ・オフィシャルボトルシリーズ。
今でも飲めて共通点がわかりやすいのは16年。この8年熟成原酒をバーボン樽あたりに突っ込んでさらに熟成し、40%あたりまで加水すると。。。あんな感じで華やかなモルトウイスキーになるかなと。原酒の繋がりでイメージするのも面白いですね。


今回のボトルは、連日の更新同様にウイスキーラバーズ名古屋2018のIANブースでテイスティングが可能です。
美味しさというより面白さ、経験値を求めるボトルですが、中々機会も限られるボトラーズ・オークニーモルト飲み比べもいい経験になるのではないでしょうか。

バランタイン17年 スキャパエディション シグネチャーディスティラリー

カテゴリ:

 BALLANTINE’S 
Signature Distillery 
Scapa Edition 
2016’s 
Aged 17 Years 
43% 700ml 

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Y’s Land IAN)
時期:開封後2~3週間程度
暫定評価:★★★★(4-5)

香り:穏やかな香り立ち。バニラやサトウキビを思わせる植物感のあるライトな甘さ。奥には乾いた麦芽香、ほのかにドライフルーツ、セメダインのような若干の溶剤香もある。

味:のっぺりとした穀物系の甘い口当たりでグレーン感が主体的。にがりを思わせるエグみ、乾いた木、徐々に柔らかいスモーキさとモルティーな甘み。
余韻は軽くスパイシーで、序盤の甘さがべったりと舌の上に残る。


バランタインがキーモルトの一つを際立たせるようにブレンドした、シグネチャー・ディスティラリーシリーズのスキャパエディション。
第一弾は免税店向けで2012年に発売されましたが、今回のボトルは2016年にサントリーから正規品として発売された、第2弾(新たにブレンドしたらしい)のボトルです。 
以前の記事にもまとめましたが、スキャパは1994年から2004年に再稼動するまで蒸留を休止しており、本来ならこの期間の原酒は存在しません。
ただし休止と言いつつも、1997年頃から少量生産はされていたという説もあり、17年の熟成期間を考えると、前回2012年のリリースは閉鎖間際の原酒、今回のリリースは1997年から1998年頃の少量生産時代の原酒が使われているのではないかと考えられます。

実は2012年リリースの味わいを全くと言っていいほど覚えておらず、記憶での比較も出来ませんが、今回のボトルはスキャパエディションと言いつつグレーンの風味が強く、序盤ににがりっぽいえぐみ、その奥にモルティーな華やかさがあってピートは通常の17年よりも控えめ。通常の17年に比べて少々アンバランスになったのをグレーンでまとめようとしたのかなと感じた仕上がりでした。 

本ボトルの国内リリースと同時に、スキャパのスキレンも正規品が国内に展開を開始。
ノーマルのバランタイン17年、スキャパエディション、そしてスキレンと3種類の飲み比べも面白いかもしれません。
ただ、単体として飲むならストレートよりもロックかハイボール向きという味わい。まだ試していないので予想でしかありませんが、スッキリとした飲み口になりそうです。

余談ですが、以前リリースされたシグネチャー・ディスティラリーシリーズは全部で4種類。スキャパ、ミルトンダフ、グレントファース、グレンバーギーがありました。
なぜかグレンバーギーだけが本国限定、並行品すら国内に入らず。飲みたい方は200mlが4本セットになったコレクションセットを買うしかなく、よりによって一番美味しそうなボトルが入らないとは・・・と少しだけがっかりした記憶があります。
今後サントリーから同シリーズの正規品が発売されるかはわかりませんが、やるんだったら4種類全部やってほしいなと、ささやかに希望しておきます。

スキャパ スキレン 2015年リリース オフィシャルボトル

カテゴリ:
SCAPA 
"SKIREN" 
Cask First fill American oak 
Batch SK01 
700ml 40% 
評価:★★★★★★(6)

香り:ほのかな酸味を伴う甘く乾いたオーク香。ザラメ、杏、蜂蜜梅、奥からシリアルを思わせる香ばしい麦芽風味、微かにピート系のスモーキーさ。少量加水すると華やかに。

味:口当たりが少しざらつくが、中間以降はコクと厚みがある。
麦芽風味、金平糖、ドライパイナップル、オレンジピールの砂糖漬け。
余韻は樽材由来のほろ苦さ、舌の上にコクと蜂蜜の甘さが長く続く。加水で伸びる印象。

スキャパ蒸留所のニューリリースボトル。先日サントリーから2016年2月に正規品販売開始が発表されましたが、本国では2015年9月に発売されたものです。
これまで販売されてきた16年が終売となり、今後はこのノンエイジ仕様に切り替わります。

終売となる理由はスキャパの生産縮小(ないし休止)期間の影響が大きいのでしょう。最近はビジターセンターまで出来て順風満帆のスキャパ蒸留所ですが、2000年代には冬の時代がありました。 
その蒸留休止期間を考慮して熟成期間16年で逆算すると、最近のリリースでは蒸留時期の計算が合いません。おそらく在庫を払い出していたか、当時の樽を使ってオフィシャルボトルを細々作り続けていたのだと推測します。 

ご参考:"スキャパ蒸留所に関する謎" 
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1022100566.html 


旧ボトルとなる16年は40%加水とフィルタリングの影響か酒質由来の味わいは没個性的でしたが、華やかなバーボンオーク香が主体となってわかりやすい味わいのモルトウイスキーでした。ファンも多かったようですね。 
ニューリリースのスキレンを旧16年と比較すると、オーク香主体の線が細くドライな香味から、あざといほどのオークフレーバーが抑えられた代わりに厚みやコクのある口当たりに。 
また若い味わいはそれほど感じないというか、熟成感は目立って変わった印象はなく(体感的には12年ものくらい)、酸味やほのかなピートフレーバーもあって、スキレンのほうが飲みごたえとフレーバーの種類は豊かになったと思います。

これは良い意味でのNA化なんじゃないでしょうか。バッチシリーズになるようなので今後の味の変化はわかりませんが、価格も6400円と旧ボトルと同じ(むしろ少し安くなった?)なのも嬉しいです。
ただ欲を言えば46%や48%仕様が欲しいところ。サントリーさん、今更バランタインスキャパエディション発表して合わせ技の前に、そっちのほうお願いできませんか(笑)。

ご参考:サントリープレスリリース 「スキャパスキレン 新発売」 (2015/12/8) 
http://www.suntory.co.jp/news/article/12530.html 

追記:国内正規取り扱いの始まった、スキャパスキレンですが、2016年5月現在で今回自分がテイスティングしているバッチ1からバッチ3までが流通しています。
バッチ毎の違いは・・・あります。バッチ1に比べて、バッチ3のほうが明らかにバーボン系のオークフレーバーが軽くなっていました。若さが強いとかそんな感じではなく、樽感のみの違いという印象ですが、個人的にはバッチ1のほうが好みでしたね。


バランタイン ファイネスト 1980年代中頃流通品 ”ウイスキー特級” 明治屋正規品

カテゴリ:


BALLANTINE’S
FINEST
1980's
43% 750ml
構成原酒:グレンバーギー、ミルトンダフ、プルトニー、バルブレア、グレンカダム、スキャパ、アードベッグ、等
評価:★★★★★(5)

香り:綿飴を思わせる甘い香り立ち、ハーブや穀物系のフレーバーも感じられるが、全体的には平坦でのっぺりとしている。 少量加水するとほのかなスモーキーさにシロップの甘さ。

味:刺激は少なくマイルドだが、香り同様に穀物様で平坦な口当たり。中間以降は若い原酒のえぐみとピーティーなほろ苦さが出てくる。
徐々にピリピリとした唐辛子の刺激、余韻はビター。長くはなく水飴の甘さとえぐみが残る。

ハイボールにするとスッキリした味わいで、ロックも安定して楽しめます。
ただし変化には乏しく、ストレートと同様に近年のバランタインに近づいていることがうかがえる。それでも後半あたりで出てくるピーティーさは、時期的には1970年代後半蒸留のアイラモルト由来か。黄金の特級時代最後の名残のようです。 


サントリーに所有が移る前、明治屋時代としては最後のあたりのバランタイン。 
バランタインのオールドボトルは、全ラインナップにおいてザ・スコッチと呼ぶに相応しい、多様な原酒が織りなす華やかさとスモーキーさが一体となった独特のフレーバーがあるため、魅せられてしまう飲み手が多い銘柄です。自分のウイスキー仲間も何人かバランタイン沼に沈んでいます。
しかしそれも1970年代流通まで。30年に限っては1980年代流通でも充分素晴らしいですが、それ以外の大量生産路線に磨きが掛かったバランタイン普及品からは、独特な魅力に繋がっていた味わいは消えていきます。 

まあ当時はアメリカ市場がライトフレーバーを求めたので、需要に合わせる動きでもあったのでしょう。
最近では逆に個性的な味わいが求められ始めた為か、特定の原酒の風味を際立たせたり、ヘビーチャーで樽感増したり色々やってるようですが・・・。
オールドに興味がある方には、まずは1960-70年代流通であるクリアボトルの赤青紋章時代か、ブラウンボトルでもJAPANTAX付きを試して欲しいです。  

補足:このボトルは先日のオールド会の最後に頂いたモノ。気楽に飲むにはちょうど良く、晩酌用途でジャブジャブいかせて貰ってます!

マッカラン

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流石にロードバイクの話題だけで今日の更新が終わるのも味気ないので、最近目に付いたニューリリースの話題でも。
そういえばこの手のニュース記事、最近UPしてませんでしたね。
どちらのウイスキーも先週、先々週にニュースがUPされていますので、ご存じの方も多いと思います。

昨今のウイスキーのトレンドはノンエイジ化のバッティングなのか
既にマッカランは1824シリーズでノンエイジ化を進めてきましたが、ここに来て新たなノンエイジである"レアカスク・エディション"をリリース。
また、以前スキャパ16年の謎について記事を書きましたが、そのスキャパから正式にノンエイジ化しての販売が告知されました。(16年は終売です。)
どちらの記事もThe Sprits Business掲載のものです。


The Macallan brings Rare Cask edition to UK
http://www.thespiritsbusiness.com/2015/07/the-macallan-reveals-rare-cask-edition/

16種類の原酒をブレンド。樽はマッカランの手製であるスパニッシュ及びアメリカンオークカスク。
フレーバーはバニラ、レーズン、りんご、レモン、オレンジ、ジンジャー、シナモン。。。
ボトリングは43%、価格は200ポンド。


Chivas unveils Scapa Skiren NAS single malt
http://www.thespiritsbusiness.com/2015/07/chivas-unveils-scapa-skiren-nas-single-malt/

日本語読みはスキレン?スキーレン?、ファーストフィルのアメリカンオーク樽100%で熟成。
スムーズで甘くクリーミー、トロピカルフルーツとシトラス、そしてヘザーのヒント。
マスターディスティラーは、特にオークニー島の酒であることを意識出来る味わいにすることを、ポイントとしたそう。
ボトリングは40%、価格は60ドル。9月発売開始。


まずどちらもノンエイジ、加水、バッティング、ということで、理想的な原酒を使うのであれば楽しみな条件です。
特にマッカランの酒質で考えれば、カスクよりも加水のほうがまとまりは良い印象があります。
が、実際は混ぜれば旨くなるわけでもないし、加水すれば良いってものでもないし、そもそも幅広い原酒を使えば良いというものでもない。
ポジティブなノンエイジ化は歓迎ですが、苦し紛れのノンエイジ化に加水は、なんだか誤魔化してるようで正直複雑な気持ちです。
いや、大量生産万民向けを前提に考えたら仕方ないことだとは思います。

価格帯で考えると、同じノンエイジの1824シリーズではルビーよりちょい上。2015年流通のルビーは先日飲んでちょっとがっかりレベルで、苦労がうかがえる構成でした。この"レアカスク・エディション"で挽回なるでしょうか。

そしてスキャパ"Skiren"。こちらの構成は、16年として販売していた休止前の原酒に、2007年の休止開けの若い原酒を混ぜてくるとすれば、樽はアメリカンオークですし、素直に予想が出来る味に仕上がっていそうです。コメントも"らしい"ことが書かれてますしね。
度数は16年が40%で横並び…しかしなぜ48%、いや46%で出してくれなかった。スキャパに関してはその一点が、今のところ残念です。もちろん飲んでみないとわかりませんが。

スモールバッチで50%とかリリースされないかなー(´Д` )


オマケ:上述2本を調べていて拾った近日リリースらしいグレンリベット・ナデューラのノンエイジ2種類。
アメリカンオークってことはバーボン熟成が短期復活?
ヘビーピートカスクフィニッシュも面白そう。日本流通あるかな?

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