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欅 KEYAKI ジャパニーズクラフトジン MCG  42%

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KEYAKI 
JAPANESE CRAFT GIN 
DISTILLED IN MIYAGI 
Relese in 2020 
700ml 42%

トップノートはフレッシュでほのかにビターな和柑橘のニュアンス。合わせジュニパーベリー、ハーバルな要素と微かに針葉樹林の木香を思わせる爽やかなアロマ。口当たりは柔らかくクリア、香り同様に柑橘系のフレーバーが主体で、含み香としても鼻腔に抜ける。ハーブやスパイス、奥には葡萄を思わせる甘みがアクセントとなっており、爽やかでほろ苦い余韻の中でじんわりと舌の上に残るように感じられる。

クオリティの高いクラフトジン。ジントニックに特化した仕上がりとのことだが、常温ストレートでも十分楽しめる。ベーススピリッツ由来のネガティブな要素が少なく、柔らかい甘さのある口当たりに、柑橘とジュニパーベリー、ハーブの心落ち着くアロマ。冷凍ストレート、ロックやソーダ割ともに良好で、単体のみならず食中酒としても申し分ない。

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2020年5月、先日発売されたばかりの東北・宮城県初のクラフトジン。
作り手は、同県の日本酒「伯楽星」で知られる、新澤酒造店が起業したジン製造専門の蒸留所、MCG(MIyagi Craft Gin)。創業2018年6月から約2年間、100通り以上にも及ぶレシピの試行を経てようやくリリースとなったそうです。

フレーバーを構成するボタニカルは、ジュニパー、フェンネルシードを除いて宮城県産で構成されており、ベースとなるスピリッツは、サトウキビを原料としたもの。恐らくロンドンドライジンタイプの製法で、蒸留用のスチルは最近流行りのハイブリットタイプでです。
蒸留の際、雑味の元となるヘッド、テールは分離してハーツのみを使っているとのことですが、肝心のカット比率は不明・・・これは後述の素材毎の蒸留で変えている部分があるためだと思いますが、飲んだ印象から雑味の少ない、狙い通りのスピリッツが作られていることは間違いありません。

昨今、クラフトジンブームの予兆があり、多くのメーカーでジンが作られている中で、飲み比べてみると「あれ?」と思う銘柄もいくつかあります。フレーバーは好みの問題もあるのでさておき、基礎とも言えるスピリッツが粗いと非常にもったいないんですよね。
その点欅は、より繊細な香りと味わいが抽出されるよう、ボタニカルを構成する素材毎に蒸留速度を変えるなど、ベースからフレーバーまでこだわった作りがされているのもポイントです。

【欅のボタニカル】
・ 柚子果皮 (大河原町産・柴田町産大島産)
・セリ  (名取産)  *完全有機農法
・茶葉  (石巻市桃生産) *日本最北限茶葉
・ぶどう果皮  (仙台市秋保産メルロー)
・ジュニパーベリー
・コリアンダーシード

フレーバーのトップにあるのは、レビューでも触れた和柑橘、つまり柚子ですね。
クリアで引っ掛かりの少ないスピリッツに、フレーバーがしっかり溶け込んでおり、前情報がなくても柚子が候補に上がるほど、明確な香味成分があります。
また、この柚子の比率が丁度良く、多くしすぎると柚子リキュールっぽくなってしまうところ。ジュニパー、フェンネルシードのジンらしさを付与する成分が混ざり、そして苦みやハーバルな爽やかさの中には、セリ、茶葉の成分が含まれて、馴染みのあるニュアンスに通じている。
作り手はこの「セリ」の使い方にかなり拘っているようで、普通のハーバルな感じと少し違うニュアンスが混じるのがその個性、オリジナル要素なのかもしれません。

また、個人的に「おっ」と思うのが全体のまろやかさと、余韻のほろ苦さの中に微かにある葡萄を思わせる甘み。
ウォッカのシロックほど露骨じゃない、もっと隠し味レベルですが、これが比較的トゲトゲしがちな上述のボタニカル由来のフレーバーをまとめ、繋ぎとなっているように感じられます。
ロンドンドライジンの王道的なフレーバー構成でありながら、それを部分部分で和の要素に置き換え、我々日本人にとってとっつきやすい仕上がりにも繋がっているのが、ジャパニーズクラフトの名に相応しい構成だと思いました。

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(MCGでの蒸留風景。近年、クラフトウイスキーシーンでも見られるハイブリットのポットスチルで蒸留されている。画像引用:さぶん酒店)

今回のボトルは、ウイスキー仲間のSさんから「飲んでほしい宮城県所縁の酒がある」として突然プレゼント頂いたものです。
Sさんの守備範囲から日本酒かと思っていたのですが、まさかのクラフトジン。正直なところ、いくつかジンのイベントに参加したり、生産者の方と話をしたりとクラフトジンに関する情報はそれなりに仕入れていましたが、先に述べた話と関連して、作り手に明確なビジョンがないケースが気になっていました。

ご当地由来のボタニカルを使えば面白いものが出来ると思った、飲み方や合わせる食材は特に考えていないけどジントニックかな?
といったような、とりあえずノーマルとは違うものを作れるから作ってみたという具合。勿論全てのメーカーに当てはまるケースではないのですが、その印象があったが故に、今回も「その手のリリースなのでは?」と警戒心が無かったと言えばウソになります。
なので、常温で一口飲んで素直に驚かされました。王道、基本は抑えながら、独自色も出せている。そうそう、こういうのだよ、こういうので良いんだよと、心の中で呟きながら、うきうきとソーダ割りの準備をし、食中酒でも楽しませてもらいました。

後々、作りのこだわりやフレーバーを調べてさらに納得。宮城県は自分の実家がある所縁の地。そこに良質かつ自分の好みなスピリッツが生まれたことが、純粋に嬉しいですね。
文面から伝わると思いますが、自分のハートは欅に鷲掴みにされてます。
今年の夏は暑くなりそうですし、さっそくお得な一升瓶仕様を購入です!
(補足:1.8リットルなのに、なぜか700mlとほとんど価格が変わらない。)
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今日のオマケ:GLEN MUSCLE 続報。
新型コロナウイルスの影響でどうなるか不安でしたが、オリジナルリリースであるグレンマッスルの第4弾、昨年末にカスク選定に関わらせてもらった1本が、6月第2週目を目途に発売予定です。
蒸留所はスペック等を見ればバレバレですが、まだ通関していないので一応伏せて・・・(笑)

過去リリースのとおり、グレンマッスルはブレンデッドウイスキーという位置付けです。そのため、シングルカスクリリースとなる今回は、”チームグレンマッスル向けプライベートボトル”という整理になりますが、基本的なコンセプトは変わりません。
ブランドコンセプトである「愛好家が求める味わいや、ちょっと尖った魅力のあるウイスキー」についても、十分満たしていると感じています。
(リリース形態も多少異なりますが、これまで同様に本件での監修料や、売り上げの一部をメンバーが受けとることはありません。)

今回のリリースは、現行のアイラモルトのなかで、個人的に大注目な蒸留所の1樽です。
100%アイラ仕様の原酒は生産量が限られるため、蒸留所がなかなかサンプルを出してくれないそうなのですが、その貴重な原酒の中から、求めていたスペックの1樽を頂けただけでなく、カスクナンバーが29(肉)という、マッスル御用達とも言える巡り合わせにも、ただただ感謝しかありません。
ボトルが手元にないため、香味についてはカスクサンプルからの変化がどうなるかが不確定要素ですが、サンプル時点ではバーボン樽とこの蒸留所の組み合わせらしい、好ましいフルーティーさが感じられる一樽でした。
販売方法については追って公開させていただきますので、よろしくお願いします。

ジンを和食と楽しむ ~季の美 京都ドライジン~

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最近、ジンの売り上げが急増し、日本でもブームの兆しがあると聞きます。
実際、ジンフェスティバルなどのイベントも開催されるなど、これまでは一般にメインではなかったスピリッツが注目を集めています。

しかしそうは言っても、ジンはカクテルベースのイメージが強く、クラフトジンとか興味はあるけどどう飲んでいいかわからない。
オーソドックスな飲み方であるジントニックも、ライムやトニックウォーターを準備しておくのが手間。っていうかめんどくさい。そう考えてなかなか食指が延びない人も少なくないのではないでしょうか。(実際、私がそうでしたw)
そんなウイスキー愛好家各位に是非おすすめしたいのが、ジンをロックで、食中酒として楽しむ飲み方です。

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今からちょうど1年前、とあるメーカーの方と「ジンを一般家庭に普及させるにはどうすればいいか」というディスカッションをする機会がありました。
カクテル前提では手間がかかる。1STEPで済ませたい。柑橘感が和食に合いそう。焼酎をロックで飲むイメージで晩酌に使えるんじゃないか。。。
と話が繋がり、その場でじゃあやってみようと近所のスーパーに駆け込んで、天ぷら、唐揚げ、炒め物、そしてまず初見では合わせないだろう和食の代表格"お刺身"などの惣菜を買い込み・・・ジンも複数種類用意して、実際にトライしてみたわけです。

結果、揚げ物などは問題なく普通に合わせられるのですが、意外だったのが刺身。白身系はもちろん、赤味、あるいは〆鯖などの青魚も問題なかったこと。
むしろ爽やかなジンの香気と、ロックで飲むことで高めの酒精が、口内に残る魚介のネガティブな部分を打ち消す感じもあり、これは探求のしがいがある組み合わせだぞと思わせてくれました。

ただ、いざ売り場を見てみると多くのジン銘柄がリリースされており、なかには原料が違ったり、特定のフレーバーに特化されているものもあるなど、どれを選んだら良いか・・・という声も聞こえてきそう。
これに関して、上記ディスカッションをきっかけにスタンダード品からオールドまで色々試すなかでは、オーソドックスなドライジンタイプの方が間違いはないということ。
そして、現行品のなかでオススメは日本のクラフトジン、ならびにプレミアムジンの先駆けとも言える、季の美。今回のレビューアイテムです。

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(ジンの種類の例。スウェーデン、ヘルノジンのイベントでの1枚。値段は少々高いが丁寧な作りを感じる実に旨い銘柄。一口にジンといってもドライジン、ハイプルーフ、オールドトム、スロージン、ジュネバー。。。そして独自のフレーバー配合などで多くの種類がある。)

季の美は米を原料としたライススピリッツをベースにしていることもあり、口当たりに柔らかさがあるだけでなく、フレーバーも日本人好みの味付けがされているように感じます。
各種ボタニカルが織り成す華やかで爽やかなアロマは、柑橘系のニュアンスのなかに微かに青みがかった甘みと針葉樹やハーブのニュアンス、スパイシーさ。。。ですがクドさのない仕上がりで、ジントニックはもちろん、ロックやソーダで割っても口当たり柔らかくほのかな甘味が残るので、使いやすい印象なのです。

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食事に合わせる場合、生食系の時はロックやキンキンに冷やしてストレートで。揚げ物がメインなら、ロック、あるいは油をさっぱりと流す目的で、ソーダで割ってジンソーダあたりがオススメ。(季の美については水割りも美味しいのですが、スポーツドリンク的な味わいで、単体で飲むようなイメージ。)
今回レビューに当たって調べてみると、サントリーさんが「和食とRokuのジンソーダ」の記事が公開されていて、さすがかつて二本箸作戦で寿司屋にオールドを売り込んだ元祖。やはり展開されていました。
ですが、サントリーさんがやられているなら、もうこれは太鼓判な組み合わせということですね(笑)

東京ミッドタウン「ロク ミッド パークラウンジ 緑に囲まれた小川で夕涼み クラフトジンや和食を提供(2019/6/20)
https://www.fashion-press.net/news/51082

ジャパニーズクラフトジンROKUに合う創作料理を提案(2018/9/21)
https://mobile.suntory.co.jp/area/kinki/d/9188/?transfer=pc_to_mobile


なお、関連するイベントに参加していると、ウイスキー好きのハートを射止めているものに、スロージンがあります。
要するにすももをジンに浸した果実酒みたいなものなのですが、爽やかでありながら甘酸っぱく、杏子酒や梅酒のようなニュアンスもある。まさに食後酒。
ストレートで適度にドライ、爽やかな味わいは食前酒から食中酒、そしてスロージンでデザートまで・・・実はジンって万能な酒なんです。

自分にとって、ジンは経験が少なかったのと、食中酒としてハイボールを使うのが若干飽きてきていたこともあって、食事との組み合わせは本当に新鮮でした。
梅雨でじめじめした日々が続いていますが、それをジンの爽やかさで打ち消して、おいしいご飯を食べてみてはいかがでしょう!

ギルビー ロンドンドライジン 1980年代 日本流通品 45%

カテゴリ:
GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1970-1980's
Distilled from Grain & Bottled by NIKKA WHISKY
760ml 45%

グラス:スピリッツテイスティング
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:-

ジェルやトニックなどの整髪料系のニュアンスを含むシトラスなどの柑橘香。ビターかつ爽やかではあるが、どこか安っぽさ、人工的なニュアンスを伴う。
含み香は柑橘の皮を思わせるフレッシュさと苦味、香りにある人工的なニュアンス。合わせてほのかな粘性があり舌に絡まるが、フィニッシュにかけてはドライでスパイシー。キレのよさも感じられる。

ロック、ジントニック共に該当する整髪料系のフレーバーは残る。甘口タイプのトニックウォーターだとそれが悪目立ちするが、ビターなタイプのトニックウォーターと合わせるとキレよく飲み進められる。少しソーダを加えてもいい。


先日、ジンなのにパフュってやがるという衝撃の味わいを堪能?させてくれたギルビージンのオールドボトル。
しかし記事に頂いたコメントから調べてみると、期間は不明ながら当時のギルビー社は主要な消費地に技術提携という形で生産方法(ボタニカルなどのレシピ)を伝え、該当する地域のものは該当する地域の提携企業が生産・流通させていたことが判明。つまり作り手が地域によって異なることがわかりました。

コカコーラ社が、世界各地にボトリング会社をもっているようなものですね。
ジンはビールなどの醸造酒のように鮮度命というわけではありませんが、当時の物流を考えれば、かさばるガラスのボトルをイギリスなどから輸出するより、レシピを伝えて現地でつくってもらったほうが安価でリスクも少ないという考えだったのではないかと思います。


ここで先日入手したギルビー・ジンのアメリカ向けボトルを見てみると、ラベル下部分にはNational Distillery社の表記。ここはオールドグランダッドなどのバーボンを手がけていた企業で、一方日本では1963年9月にニッカウイスキーが提携しており、生産者が異なっています。

飲み比べてみると、ジェルやトニックなどの整髪料を思わせるシトラス系の人工的な香りは共通するところですが、アメリカ向けのほうに感じられる例のフレーバーが日本向けにはありません。
Distilled from Grain & bottled の表記の通り、ボタニカルのレシピは同じでも、ベースに使ったグレーンスピリッツの違いということなのでしょう。ールド グランダッドはかつてバーボンでありながらパフューミーな香味があり、そもそもの原因は不明ながら今回の違いは得心がいく整理が出来ました。


なお、今回のボトルは上記きっかけとなるコメントを頂いたサトウさんが、比較してほしいと贈ってくださったものです。
実は問題のアメリカ向けボトルと合わせて日本向けも入手していたのですが、某S社が輸送中に破損。。。
情報だけでなく貴重なボトルまで頂き、ブロガー冥利に尽きる、大変光栄な経験をさせて頂きました。
この場で改めてお礼申し上げます。

ギルビー ロンドン ドライ ジン 1960年代流通 90Proof

カテゴリ:

GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1960-1970's
1Quart 90Proof

シトラスを思わせる柑橘感と、タイムやコリアンダーなど針葉樹系の植物を思わせる、ハーブの爽やかなアロマが溶け込んでいる。ただし前面にはスーパー銭湯の脱衣所に置いてある安価なヘアトニックのようなニュアンスがあり、独特な香り立ちを構成している。
口当たりはオールドジンらしくとろりと柔らかく、柑橘の皮や穀物系のほろ苦さに加え、淡いソーピーさ。余韻は程よくドライ。
このソーピーさは、ソーダで割るとより主張してくる。ジントニックではあまり気にならなくなるが・・・香りで感じたヘアトニック感は健在で、まさに好みが分かれる個性的なジン。

(ボトルのオモテ面はフロスト加工がされているが、裏はクリア。ラベルには裏面にも印刷されている、現行品にはないちょっと凝ったデザイン。)

先日紹介したゴードンドライジンの比較用に、同時期流通のジンで購入したもの。
現行品はライトな香味で混ぜやすいというか、良く言えば癖が少なく、厳しく言えば香味が薄くただドライ。居酒屋チェーンなどでは使いやすいのかな?という、大量生産品の代表格であるようなジンですが、そうは言っても有名どころのオールドなら間違いないっしょ!
。。。そう考えていた時期が私にもありました。

ギルビーの誕生は1800年代とか、そういう話はメーカーサイトを参照頂くとして、今回のメインはその味わいです。
いや、衝撃でしたね。香りが"ヘアトニックそのもの"のようであるのも、製品の個性というには強烈で好みが分かれる部分ですが、よもやジンからソーピーなパフューム香が出るとは思いませんでした。
「今も昔も変わらないレシピ」ってのはメーカーの決まり文句ですが、いやいや流石にこれは味が違いすぎです(笑)。

ボタニカル由来なのか、ベースに使うスピリッツ由来なのか、あるいは経年変化によるものなのか。
経年変化というには香味に篭った感じはなく、何よりも鹸化反応に繋がる要素は連続式蒸留じゃ残りづらいだろうということで、おそらくは製造過程の何かが原因なのではと思います。
思えばバーボンも一時期のオールドグランダットでそう言うのがありましたし、連続式には連続式で、単式とは異なる地雷要素があるのかもしれません。
(このボトルは絶対飲みきれないので、興味を持たれていたウイスキー仲間のバーマンに寄贈しました。)


ちなみに、近年のギルビージンは製造場所がロンドンからフィリピン、そして韓国に変わったことで、味が落ちたとする評価を見聞きします。
確かに、味が変わったのは事実なのだと思います。ただ、日本酒やワインのような、気候の影響をダイレクトに受ける醸造酒なら兎も角、熟成させない蒸留酒で産地の影響は微々たるもの。つまり、逆に言えばロンドン(あるいはイギリス)だから必ずしも美味い訳じゃないと思うんですよね。

実際は近年のリキュールやスピリッツ類に多く見られる、混ぜやすいように香味のライト化とドライ化が、ギルビーは工場の移行と合わせて一気の進んだ結果なのではないかなと。
擁護する訳でも、否定する訳でもないですが、日本でもさまざまに美味しいジンが生まれている中で、ロンドン神話的なモノが気になったので補足してみました。

ゴードン ロンドン ドライジン ティンキャップ 1960年代 & 70年代

カテゴリ:
GORDON'S DRY GIN
DISTILLERY LONDON
1960's
750ml 47%

ドライで爽やかなアロマ。針葉樹やジュニパーベリーに、夏蜜柑、グレープフルーツやレモンピールを思わせる柑橘香。口当たりは柔らかくとろみがありつつ、シトラスなどを思わせるフレッシュでほろ苦い柑橘の皮と、余韻にかけて微かな穀物感、ドライでほろ苦く、フレーバーがしっかり残るような爽やかなフィニッシュ。

2019年で誕生から250年を迎えるジンの代表的ブランド。1769の創業からタンカレー社との統合など、様々な変革を経て1960年代には世界で最も売れるジンへと成長した、今回はまさにその当時のボトルです。
3回蒸留のクリアでスッキリとしたスピリッツをベースに、ラベルに書かれたジュニパーベリー、コリアンダーシード、リコリス、柑橘類ではオレンジやレモンの皮など様々なスパイスが用いられ、そのレシピは現在も変わっていない。。。とされています。(度数や製品仕様はだいぶ変わっていますが。)

ゴードンドライジンは、世界で初めてジントニックを産んだ銘柄なのだそうです。消費量の背景には、それを前提としたレシピであることも、少なからず関係していると考えられます。
であれば、このボトルも当然ジントニックでも飲んでみます。
トニックウォーターは、オールドジン特有の柔らかい甘みを邪魔しないよう、人工甘味料不使用は勿論。当時の味を再現する観点から、キニーネが配合されているフィーバーツリーで合わせてみました。

いやこれは美味い。素人の自分が作っても普通に美味い。
ジンの香味そのものに芯の強さがあるからでしょうか。変にドライな感じも無く、甘みもベタつかない。柑橘と針葉樹のほのかに青みがかったような爽やかな香気が広がり、微かにビターでスッキリとして、一本スジが通ったような旨さです。 
以前このジンに同時期流通のコアントローを使って、ホワイトレディを作ってもらったことがありました。勿論それも文句なく美味しかったわけですが、一方で「オールドリキュールは香味が強すぎて逆に難しい」とも聞きいたところ。ジントニックのように割って飲むスタイルは、分量・手順さえキッチリすればそれほど気にしなくても良いのかもしれません。

さて、ティンキャップ時代のゴードンドライジンは、見た目のわかりやすさや特別感等からか、現在の相場は2万円前後と中々に高価。個人はともかく、BARではおいそれとカクテルに使えないと思います。
一方、1970年代初頭、JAPAN TAXのついたスクリューキャップ時代のゴードンドライジンだと、一気に下がりティンキャップの5分の1以下で取引されることもしばしば。。。



では価格差ほど味が違うかというと、実は殆ど違いはないと感じます。
経年や保管状態もあるので完全に同じとは言い切れませんが、飲み比べた印象はほぼ同一。むしろスクリューキャップの方が、状態が安定してそうな印象もあるくらい。
ティンキャップの留め具を跳ね上げる瞬間の、あの独特な感覚はスクリューとは異なる特別感。。。ですが中身に違いがないなら、普段使いにはスクリューキャップを選ぶかなと思ってしまうのです。

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