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ジャパニーズウイスキーをテーマにしたトークショーby alco 4/4(日)15時~

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4月4日、alcoさんが企画・主催するオンライントークショーに参加することとなりました。
テーマは「ジャパニーズウイスキー(ニッポンのウイスキー)」、ファシリテーターを務める中井さんの進行に合わせて、プレゼンテーター3人がトークする感じです。
ただし自分は音声のみ参加なので、いつものアイコン画像か、代理のクリリン人形がカウンターに置かれる形になります。某ローカル局の某移動番組のディレクターのような感じで、画面外から2人にあれこれ言う感じですね。


オンライントークショー
TALKING ABOUT 
JAPANESE WHISKY
by alco


プロのバーテンダー、ブロガー、酒屋が語る「ニッポンのウイスキー」
日程:4月4日 日曜日
時間:15時~16時30分
参加費:無料、事前登録不要

配信先:オンラインによるライブ配信
1. YouTube live(映像あり)
https://youtu.be/Nhu66Rl_l1Y
2. Clubhouse(音声のみ)
https://www.joinclubhouse.com/event/M43Gn22a
※同時配信、トーク内容は同じです。なお、見逃し配信はありません。
※収録時は窓の開放によるオープンエアの確保、アクリル板の設置等コロナウイルス対策を行います。


テーマとなる「ジャパニーズウイスキー」。
このワードだけで、なるほど、基準の話ね、とイメージされるかもしれません。確かに、基準の解説もしますが、それが全てというわけではなく、一番の目的は日本のウイスキーを応援すること。プレゼンテーターが好きな蒸留所やリリースを紹介したり、そもそもジャパニーズウイスキーの魅力とは何なのか、これを語り合っていくことになります。
ブームから大きな注目を集めるジャパニーズウイスキーですが、何が魅力なのか、蒸留所ごとの特徴だけでなく、他の地域のウイスキーとはどう違うのか、語られることは少ないように思います。

鈴木さんはウイスキー文化研究所が認定する、マスターオブウイスキーの2代目。幅広い知見に加え、バーマンとして長きに渡りお酒を扱われてきた、業界を代表する一人です。
新美さんはリカーマウンテン777の若き店長として、日々多くのお酒を扱われ、自身もウイスキーリリースに関わる等、洋酒業界の次の世代を担う期待のホープです。
そこに業界の人間でもない私が入るというのは中々違和感がありますが、プロバーマン、酒販関係者、そして愛好家としてそれぞれの立場、視点から語り合えるというのは、今までに無い試みではないでしょうか。

ちなみに、事前に簡単な情報交換を行ったのですが、結構意見が分かれていて面白かったですね。
今回の放送はライブのみで、記録としても残らないため、多少踏み込んだことも許されるでしょうか。なので、鈴木さんがぼやいたり、自分がぶっこんだり、新美さんがオロオロしたり、そんな風景があるんじゃないかなぁと予想しています(笑)。
・・・中井さん、仕切り頑張ってください!!
※中井さんはWhisky-eのイベントマネージャーを務められたり、ラグビーワールドカップの組織委員会で広報活動に関わったりと、その道のプロの方です。




なお、本イベントはあくまで有志による”趣味”として企画・開催されるもので、酒販メーカー、メディア等による販促を目的としたものではありません。
alcoというグループは、「BARとウイスキーの素敵バイブル」の執筆、編纂を行った小笹加奈子さんが立ち上げられたもの。これから洋酒に関連する情報発信を定期的に行っていく、その第1回として今回のテーマが設定されたものです。

第2回以降は、例えばウイスキー以外もテーマにして、作り手や愛好家がふらっと話に来るような、そんな企画として考えられているのだとか。当面はトライ&エラーの部分もあると思いますが、私自身も音声による情報発信はこれからやっていきたいと考えているので、勉強させてもらおうと思っています。
直前の告知になってしまい申し訳ありませんが、皆様、是非ご視聴のほどよろしくお願いします。


※以下、公式情報※
4月4日(日)、国内外で大人気のジャパニーズウイスキーをテーマとしたオンライントークショーを行います。ご登場いただくのはその道に精通したバーテンダー、人気ブロガー、リカーショップの若手店長。一度きりの生放送です。
最近、日本産ウイスキーボトルのラベル(表示)に新たな基準が設けられたことや、基準が変わるとどうなるの?といった話、大手メーカー・中小の蒸溜所に関する話など、とことんニッポンのウイスキーについて語っていただく90分。
日曜午後のまだ明るい時間ですので、好きなお酒を片手に、気軽にご視聴いただけたらと思います。 以下、概要です。

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◼︎企画名
プロのバーテンダー、ブロガー、酒屋が語る
「ニッポンのウイスキー」
◼︎日時
4月4日(日) 15:00〜16:30
◼︎形式
オンライントークショー(無料)

◼︎視聴方法
同時配信、トーク内容は同じです。
1. YouTube live(映像あり)
https://youtu.be/Nhu66Rl_l1Y
2. Clubhouse(音声のみ)
https://www.joinclubhouse.com/event/M43Gn22a
※ ハウリング防止のため、管理人のClubhouseアカウント(1アカウント)のみで行います。
※ 事前にアプリのダウンロードとアカウント登録(招待制)が必要です。
※ Clubhouseの仕様により、残念ながらAndroidユーザーの方はご利用いただけません。
・ウイスキー中級者程度が対象の内容になります。
・パイロット版ゆえ見逃し配信なし、一度限りの生放送になります。
・時間は90分を予定しておりますが、前後する可能性があります。
・本番組の録音・録画、メモ(著作物の複製)、再配布は禁止します。

◼︎プレゼンテーター
鈴木勝二(草加「John O'Groats」マスターバーテンダー)
くりりん(ブログ「くりりんのウイスキー置場」運営)
新美剛志(「リカーマウンテン銀座777」店長)
◼︎ファシリテーター
中井敬子(ウイスキープロフェッショナル)
◼︎企画
小笹加奈子(ウイスキーエキスパート)
◼︎構成
<Session 1> テーマ説明、ジャパニーズウイスキーのラベル表示に関する新基準について
<Session 2> ジャパニーズウイスキーブームとその影響
<Session 3> ジャパニーズウイスキーの魅力と楽しみ方
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初めてのことばかりなので、最善は尽くすものの、不測の事態により変更が生じた場合には何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます


 

【クラブハウス企画】ジャパニーズウイスキーの基準と今後に必要と思うこと 3月17日22時30分~

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先日、以下の記事で告知した、クラブハウスでの対談企画。
ウイスキー勢の人口ってクラブハウスではまだまだ少ないんですが、こんなマニアックな話題なのに、多くの方が聴講に来てくださったようで、この話題への関心の高さを感じます。(話すのに必死で把握していませんでしたが、100名くらい来られたとか?、本当にありがたい限りです。)

クラブハウス企画「ジャパニーズウイスキーの基準を読み解く」by TWD 3月12日22時~ : くりりんのウイスキー置場 (blog.jp)

ただ、この日は酒税法、表示基準、JW基準の解説に加え、息抜きとしてオマケ(ラベルトリビア的なもの)の話もしたので、思った以上に時間を使ってしまい、基準後の業界はどうなるのか、期待することは何か、という”その後の話”をあまりすることが出来ませんでした。

なので、唐突ですが追加枠で、今晩ひっそりと
・基準運用において、必要だと考えられること(日本洋酒酒造組合に求めること)
・そもそもジャパニーズウイスキーの魅力って何だろうか

これらについて、語ってみようと思います。
※今回話をするのは私一人です。勿論、クラブハウスなのでリスナーからの質問や、飛び入りで話に入ってもらっても問題ありません。

ジャパニーズウイスキーの基準を読み解く【延長戦】
タイトル:ジャパニーズウイスキーの今後に必要と思うこと
3月17日(水) 22時30分~23:30頃
https://www.joinclubhouse.com/event/PD4a6NLr

そして、先日話したこと、これから話すことは、まとめて記事でも公開させて頂きます。
メモ的な構成になり、オフレコ含めてすべてを書くことは出来ませんが、iphone持ってないので聴講できない、というコメントやメッセージを結構頂きましたので、これでご容赦いただければと思います。
また、3月21日は酒育の会で同様に基準を読み解く対談企画もあります。私の意見とは違うものもあると思います。他の方々の企画も参照いただければと思います。


【以下、参考資料】
追加話題①:基準運用において必要だと考えられること
(1 )基準を遵守するメリットはあるのか。
・基準によって、少数の”ジャパニーズウイスキー”の価値がさらに高まる可能性。
・海外では基準に対する誤解もある模様。※
※ジャパニーズウイスキーと表示する場合の基準、ではなく、日本のウイスキー造りの基準と読まれるケース。
・現時点で基準は法律ではない。
・作り手以外に販売側(メーカー営業、酒販店など)が遵守しないと意味がない。

(2)日本洋酒酒造組合に求めたいこと。
基準によって透明性は担保されたが、品質が担保されたわけではない。そもそも前提として、基準を守ってもらわなければ意味がなく、そのうえで業界の底上げと、正しい成長に繋げなければならない。
そのためには、透明性や情報発信の強化に加えて、品質を高めるための取り組みを求めたい。

提案1:基準マークの作成。
提案2:海外からも参照可能な、ジャパニーズウイスキーを包括的に紹介するWEBサイトの作成。(蒸溜所マップ、蒸溜所やウイスキーの紹介、著名人や組合認定者による官能評価の実施、各種情報の発信など)
提案3:ウイスキーの品質向上(仕込み、ブレンド技術)のためのセミナーや人材紹介。
提案4:ウイスキー仕込みに用いる組合酵母(日本酒の協会酵母的なもの)の提供。
提案5:グレーンウイスキー並びにモルトウイスキーの提供や交換にかかる橋渡し。

※補足:提案3~5は、大手メーカー以上にクラフトウイスキーメーカーへのサポートという位置づけが大きい。
大手や他社に依存する関係は健全とは言い難い。日本のウイスキー産業の構造では、ジョニーウォーカー等のブレンドメーカーやボトラーズブランドが不在であるため、大手以外の各社が1社1社力をつけて、独自のブランドを確立する必要がある。
そして時に手を取り合う、協力体制を作れることが望ましい。まずはそのための下支え、底上げが必要であると考える。

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参考:安積蒸留所で試験的に仕込まれた、日本酒酵母によるウイスキー。蒸留酒と言えど酵母の違いは仕上がりに大きく影響する。


追加話題②:ジャパニーズウイスキーの魅力とは何か
そもそも、基準を作ったうえで求められるジャパニーズウイスキーとはどんなものか。
スコッチウイスキーを主とし、一部バーボンウイスキー(アメリカンウイスキー)のDNAを持つ日本のウイスキー造り。
ウイスキーの作り方は基本的には同じ、装置もほぼ同じ、そして現時点では原材料も輸入。こうした中で、ジャパニーズウイスキーの魅力とは何か?個性とは何か?、この点を個人的見解に基づいて紐解きたい。

事例1:仕込みの違い。
A「糖化?お湯入れておけば出来るだろ。」
B「XX℃のお湯を麦芽〇〇〇kgに対して●●●リットル入れて、〇〇時間行う。」

A「ポットスチルXX機。ただし蒸留後、ニューメイクは同一のスピリッツタンクに混ぜられる。」
B「ポットスチルXX機。蒸留後はそれぞれニューメイクをタンクに入れ、樽詰めする。」

A「基本はホワイトオーク、スパニッシュやフレンチオークもシェリー樽やワイン樽として一部使う」
B「基本は同じ。他方で同じホワイトオークでも新樽や活性樽、ミズナラ、桜、その気になれば栗や杉も使う。」

安定した大量生産の考え方か、多種多様な原酒を1つの蒸留所が作る考え方か。


事例2:気候の違い。
・日本とスコットランドの違いは四季、大きな気候変化である。
・誤解してはならないのが、日本は四季があるから”勝手に”美味しくなるという話ではない。
・日本のウイスキー造りは、四季との闘い(特に夏、冬)か、如何に共存できるかと言える。
・樽のエキスは温暖な時に出る。特に20度後半、30度台になると極端に出る。
・一度出たエキスは戻ることは無い。これにより、スコットランドでは端麗で華やかな仕上がりになるものが、日本では濃厚でウッディな仕上がりとなる。
・ちなみに、台湾のように温暖すぎる環境では、熟成によって得られる香味の奥行きを出しづらい。

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画像引用:【2020年版】エディンバラの気候とオススメの服装を解説! | School With

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環境における樽感の出方の違いのイメージ図。C-①は温暖、C-②は普通、C-③は冷涼な地域をイメージ。点線は樽そのものが解け出る量を示す。

まとめ:日本のウイスキーの個性とは?
・日本は、スコットランドにはないタイプ(例:濃厚でウッディ)な原酒が存在。
・気候を克服することによって繊細かつ華やかなタイプの原酒も作ることが出来る。ただしこれは苦手。
・水質の違いから、日本の水で加水するとまろやかになりやすい。
・シングルモルトでは、10〜15年熟成で勢いのある酒質ながら樽が強く、適度な奥行きを備える。
・仕込み、気候の違いによって得られた多様な原酒をブレンドすることで、ジャパニーズウイスキーは十二単のように多くの香味の層と、重厚さを持つウイスキーとなりえる。
・ジャパニーズウイスキー表記は出来ないが、輸入原酒を活用してさらに香味の幅を広げることが出来るのも、現時点では日本で造ることが出来るウイスキーのみである。
・また、小規模なクラフトは、これ以外に地産の麦芽や樽材を使うなど、日本独自の材料の取り込みにも期待したい。世界に発信できる、更なる魅力あるウイスキーの創出に期待。

※参考:代表銘柄の個人的イメージ
バランタイン:ガラス細工、100円ショップ~職人仕事
ジョニーウォーカー:西◯の吊るし〜オーダースーツ
響:着物、街着〜十二単
竹鶴:野武士~宮仕え
富士:黒船来航

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クラブハウス企画「ジャパニーズウイスキーの基準を読み解く」by TWD 3月12日22時~

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最近流行りのアプリ、クラブハウス。面白いアプリですね。
ラジオよりもリスナーとの距離が近く、一方でyoutube等の動画アプリとは違って音声中心なので手軽に発信できる。一応「メモ禁止、録音禁止」という紳士協定もあるため、若干踏み込んだ発言も出来る。

例えば1か月に1度くらい、今月飲んだウイスキーを振り返りつつ、リリースに関わった人や酒販関係者、他のブロガーとかも招待してラジオ的に対談する、質問を受け付ける・・・なんてやったら面白いんじゃないかなとか考えているところです。
こじつけですが、本業で役立つ、WEB会議の進行や、説明スキルの向上にもつながりそうですし。

さて、そのクラブハウスで今週末3月12日(金)22時から、ジャパニーズウイスキーの基準をテーマに、1つセッションを予定しています。
最近毎週何かしらテーマを決めて開催している飲み手仲間の雑談場ですが、今回はちょっとガチめに。
まとめをしてくれるモデレーターは、同じくウイスキーブロガーで、プロテイスターでもあるDrinker's Lounge のYakuさんです。

TWD Presents 【飲み手の話】割と若い世代の飲み手が洋酒の未来について割とストイックに雑談します
日時:3月12日(金)22:00~23:30予定
入退出:自由
ルール:特にありませんが、基準や特定の銘柄を不当にディスる会ではありません。
参考資料:本記事下部に掲載。
※クラブハウスアプリは現時点ではiOS専用なので、android端末からは参加できません。

クラブハウスTWD

前半は、ジャパニーズウイスキーの基準に関連するところとして
・酒税法
・ウイスキーの表示に関する公正競争規約及び施行規則
・ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準(通称:ジャパニーズウイスキーの基準)

以上3つのルールから、ざっくり意図するところを解説します。
これらは過去記事で既にまとめていますが、要点を絞っていくのと、文字に出来ないことを話していく感じで。

特に、今回施行される”ジャパニーズウイスキーの基準”については、記載されているものが何を狙いとしているのか、海外のウイスキー市場の反応など、個人的理解・考察の範囲ですが、紹介できればなと。
(そこは違うのではないか、こうとも読める、というリスナーからのレスがリアルタイムで聞けて、私自身の勉強に繋げたいのも、狙いの一つです。)

そして後半では参加者からの質問受付は勿論、気になる蒸留所の話、ジャパニーズに限らずオススメリリースなど、話を広げていければと考えています。
Yakuさんは話を聞いたり、繋いだりするのが凄く上手い人なので、私がぱーっと喋って空回りすることなく、きっと面白いセッションになるんじゃないかと期待しています。

なお、両者での事前打ち合わせとかは一切しません。いやほら、クラブハウスってそういうアプリですから―——―。ぶっつけ本番?、それでもYakuさんなら・・・Yakuさんなら何とかしてくれる・・・(丸投げ)。

自分はこのブログを始めた初期のころから、それこそ愛好家全体を見ても輸入原酒問題が広く知られていなかったころから、某社社長の呼びかけに応じる形で酒税法の問題点含めて日本のウイスキー業界の状況を記事にし、発信してきました。
また、並行してクラフトウイスキー関係の方々とも関わりが広がり、今回の基準についても背景含めて一般の愛好家よりは内情を知っていると思います。
金曜夜の夜更かし、ウイスキー片手に、ちょっとしたラジオ感覚で楽しんで貰えたら幸いです。

(後日談:延長戦もひっそりとやりました。)


※「続きを読む」ボタンが表示される場合は、押すと参考情報が表示されます。
【以下、当日参考情報】

三郎丸蒸留所 ニューポット2020 アイラピーテッド&ヘビリーピーテッド 60% +蒸留所からの意思表明

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SABUROMARU DISITILLERY 
ZEMON NEW POT 2020
Heavily Peated 52PPM 
Islay Peated 45PPM 
200ml 60% 

評価:無し(3年熟成未満のため)

ヘビリーピーテッド(52PPM):ボトル左
香り立ちはクリア。ニューポット香はあるが嫌味に感じるレベルではなく穏やか。甘みを帯びた麦芽香、微かに柑橘や皮つきパイナップル。ピート香は穏やかなスモーキーさから、徐々に焦げたようなニュアンスが開き、強く感じられる。
一方で、香りであまり目立たなかったピートフレーバーは、味わいでは序盤から広がる。コクと厚みのある麦芽風味と乳酸系の酸味。余韻はスモーキーで焚火の後の焦げた木材、土っぽさ。ほろ苦いピートフレーバーが長く続く。

アイラピーテッド(45PPM):ボトル右
はっきりと柑橘系の要素を伴うフレッシュな香り立ち。クリアでフルーティーな麦芽香に、微かな未熟要素。奥には強く主張しないが存在感のあるピートが香りの層を作っている。
味わいも同様に序盤は甘酸っぱくコクのある口当たりから、じわじわとほろ苦く香ばしい麦芽風味、ピートフレーバーが広がってくる。全体的に繋がりのある味わいで、余韻にかけてはピーティーでスモーキーだが焦げ感は控えめ、穏やかな塩気が舌の上に残る。

どちらの銘柄も未熟香は少なく、味わいも柔らかくコクがある。度数も60%を感じさせず、目をつぶって飲んだら若いモルトとは思うだろうが、ニューポットとは確信をもって答えられないかもしれない。それくらい新酒が本来持つだろう未熟要素、オフフレーバーが少なく、一方で原料や仕込み由来のフレーバーが双方ともしっかりと備わっている。

飲み比べると、内陸ピートで仕込まれたヘビリーピーテッドは、麦芽風味とピートがそれぞれ主張し合う構成。アイラピーテッドは、はっきりと柑橘系の要素にピートフレーバーが溶け込み、全体を繋ぐような一体感のある構成となっている。また、ピートフレーバーの違いも、前者には木材が焦げたようなスモーキーさが強く感じられるが、後者は焦げ感よりも煙的な要素が主体となって塩気も伴う。仕込みの時期の差もあるだろうが、香味の違いが興味深い。
2016年以前の姿を知っている人が飲めば、あの三郎丸の原酒なのかと驚愕することだろう。これらの原酒が熟成した姿、特にバーボン樽での数年後が楽しみで仕方ない。

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富山県、若鶴酒造の操業する三郎丸蒸留所が2020年の仕込みで造った、2種類のニューポット。
三郎丸蒸留所の酒質が2017年のリニューアルから大幅に改善し、特にマッシュタンを入れ替えた2018年からの伸びは、この蒸留所の過去を知っている愛好家は認識を改める時がきたと、以前ブログ記事にもさせて頂いたところです。

その後、以下の画像のように2019年にはポットスチルを入れ替え、世界発の鋳造ポットスチルであるZEMONが稼働。2020年には発酵槽の一つに木桶を導入。2019年の仕込みは、ポットスチルをはじめ蒸留設備の変更ということで調整に苦労されたようですが、2020年はそのノウハウを活かし、木桶による乳酸発酵と合わさって一層クリアでフルーティーさのあるニューメイクが生み出されています。

三郎丸蒸留所アップデート2018ー2020
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※1:2018年に導入された三宅製作所製のマッシュタン。従来に比べ、ピート香がさらに引き立つようになった。
※2:2019年に開発・導入された、鋳造製ポットスチルZEMON。従来のスチルに比べて様々に良い効果が期待できる。
※3:2020年に導入された木桶発酵槽。複数のタンクで発酵されたものを、最終的にこの木桶で乳酸発酵する。
※4:2020年から使用することとなった、アイラ島のピート。現在、国内でアイラピートを使った仕込みは他に例がない。


また、同じく2020年にはアイラ島で産出するピートで仕込んだ麦芽の使用を開始したことが、三郎丸蒸留所における大きな転換点ともなりました。
現在、日本に輸入されるピーテッド麦芽に使われているピートは、全てスコットランド内陸産のものであり、アイラ島で産出するピートを使った仕込みは行わせていません。背景には大手スコッチメーカーがアイラ島産出のピートをほぼ全て押さえてしまっていることがあり、アイラモルトブームでありながら、アイラピートを使った仕込みが出来ないというジレンマが日本のウイスキーメーカーにありました。

ピートフレーバーは、使われたピートの産地によって微妙に異なることが、近年愛好家間でも知られてきています。植物の根などが多く混じる内陸系のピート、海藻などが海の要素が多く混じるアイラ島のピート。前者は燻製のような、あるいは焦げたようなスモーキーさ、後者はアイラモルト特有とも言われるヨードや薬品的な要素、また海辺を連想させる塩気や磯っぽさをウイスキーに付与すると考えられます。

三郎丸蒸留所は、年間の仕込みの量が大手に比べて遥かに少ないことから、アイラピート麦芽を必要分確保することが出来たのだそうです。今後、2021年以降は全ての仕込みがアイラピート麦芽に切り替わり、原酒を蒸留していくと計画されていることから、まさに蒸留所の転換点となったのがこの2020年の仕込みであり、ニューポットであるのです。

ご参考:三郎丸蒸留所における各年度の取り組みについては、以下Liqulの対談記事に詳しくまとめられています。


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昨年11月、三郎丸蒸留所からは3年熟成のシングルモルト”THE FOOL”がリリースされ、50PPMという強いピーティーさ、リニューアル前の酒質からの大きな変化、厚みのあるヘビーな味わいに、驚かされ将来に期待を抱いた愛好家も少なくなかったのではないかと思います。
しかし、歴代のニューメイクを飲んでいくと、その驚きは序章でしかないと感じるはずです。上記画像※1~※4にあるとおり、設備や材料のアップデートとノウハウの蓄積により、それぞれの年に2017年の蒸留を上回る原酒が誕生しているのです。

特にリニューアル後の集大成とも言える、2020年仕込みのニューメイクが成長した姿は確信をもって間違いないと言えるものです。
綺麗なニューメイクを作る蒸留所は多くありますが、これだけ麦芽由来のコクや厚みがあり、現時点から未熟要素の少ないニューメイクなら、日本の熟成環境で強く付与される樽感を受けとめて短期で仕上がるでしょうし。また、空調を効かせた冷温貯蔵庫もあることで、20年を超える長期間の熟成という選択肢もあります。

大手蒸留所は、その生産規模から小規模な仕込み、試験的な蒸留は行い辛いものがあります。例えば、不定期に少量しか手に入らないボデガ産のシェリーの古樽よりも、シーズニングで安定して大量に供給される疑似シェリー樽のほうが需要があるという話からも、その傾向が見えてくると思います。

故に、小回りの利くクラフトでは三郎丸蒸留所のような独自の個性をもった蒸留所や原酒が生まれてくる楽しみがあり。2020年仕込みで新たに登場したアイラピーテッドもその一つです。
日本初となるこの原酒がどのように成長していくか。リアルタイムで見ていくことが出来る幸運を噛みしめつつ、本レビューの結びとします。

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※以下、余談:ジャパニーズウイスキーの基準に対する三郎丸蒸留所からのメッセージについて
先日、日本洋酒酒造組合からジャパニーズウイスキーの基準となる、表示に関する自主基準が発表されました。
当ブログでも前回の記事で基準を紹介し、期待できる効果と懸念事項を解説させて頂いたところです。また、同基準に対していくつかのウイスキーメーカーからは賛同の声明が発表され、あるいはWEBサイトの商品説明が切り替わる等、業界としても動きが見られます。

その中で、大きな注目を集めたのが、若鶴酒造・三郎丸蒸留所が発表した声明「ジャパニーズウイスキーの基準に対する三郎丸蒸留所の方針と提案」です。同社の発表は愛好家を中心にシェア・リツイートされ、今後基準を運用していく上での重要な示唆であるとする意見が多く寄せられています。



内容をざっくりまとめると、
・若鶴酒造、三郎丸蒸留所は同基準を遵守する。
・しかし今後日本のウイスキー産業には、国産モルト原酒の多様性と、グレーン原酒の確保という課題が生じる。
・国産グレーン原酒を国内のウイスキーメーカーに提供する仕組みの確立を後押ししていただきたい。
・国産モルト原酒の多様性については、三郎丸蒸留所は他の蒸留所との原酒交換に応じる準備があり、今後積極的に推進していきたい。
と言うものです。

自分の記事とも概ね同じ意見ですが、実際のウイスキー製造現場サイドからの声として、エピソードを交えて説明されたそれは、より説得力のあるものであったと感じます。
また、原酒の多様性確保に関し、国産グレーン原酒の懸念はクラフト1社だけではどうにもならないことですが、逆にクラフト側からの提案として「原酒の交換」が発表されたのは、重要な意思表明だと感じています。

日本のクラフト蒸留所は、小規模ながら大手とは異なる様々な個性の原酒が存在します。
三郎丸蒸留所については本記事でも紹介しているので割愛しますが、
厚岸蒸留所の、精緻な仕込みに北海道産麦芽がもたらすフルーティーな原酒。
安積蒸留所の、スコッチモルトを彷彿とさせるようなピーテッド原酒。
静岡蒸溜所の、軽井沢スチルと薪加熱方式というこれまでにない取り組みが生み出す原酒。
長濱蒸溜所の、麦芽の甘みと香ばしさが活かされた柔らかい味わいの原酒。
嘉之助蒸留所の、クリアで早期に仕上がる南国環境を彷彿とさせる原酒・・・。
個人的にぱっと思い浮かべるだけで、これだけ個性的なモルトがあります。

また、今や第二蒸留所まで稼働し世界規模のブランドととなった秩父は勿論。スペイサイド的な酒質を彷彿とさせるスタイルでリリースが楽しみな遊佐、樽や熟成環境に様々な工夫を凝らす信州、津貫。古参ながら苦戦していた江井ヶ島も設備をリニューアルして酒質が向上したという話も聞きます。1つ1つ紹介していくとキリがありません。
これらの原酒が交わり、ジャパニーズブレンデッドとしてリリースされる。まさに日本だからこそ実現できるブランドであり、夢のある、美味しさだけでなくワクワクするプランだと思います。


とはいえ、この手の話は”言うは易し”というヤツで、法律的な面も絡むことが懸念事項です。
なんだって前例のないことをするのはパワーがいるものですが、荒唐無稽な提案ではありません。例えば相互に等価設定で同量の原酒を樽で取引しあうような対応なら・・・。原酒交換が1件でも行われ、ノウハウが開示されれば後に続く蒸留所も増えてくるのではないかと思います。
また、今までは交換した原酒をどのように使われるのか等の不安もあり得たところ。整備された基準が、様々な意味で後押しになるのではないかとも感じます。

今回、声明を発表された若鶴酒造の稲垣マネージャーは、33歳と若いクラフトマンです。ですが蒸留所を見ても、本記事で説明したとおり老朽化した蒸留所を改修し、新しい技術を導入し、素晴らしい原酒を生み出すまで導いた行動力があります。
ならば、この提案もきっと早期に実現されるのではないかと思います。今後、三郎丸蒸留所から生み出される原酒だけでなく、発表された提案の実現に向けた動きについても、注目していきたいです。

「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」に潜む明暗

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2月16日、日本洋酒酒造組合から”ジャパニーズウイスキーの基準”となる、表示の整理に関する自主基準が制定され、国内外に向けて公開されました。施行は2021年4月1日からとなります。

同組合は、酒税の保全等を目的として設立されている組合で、大手からクラフトまで、国内で洋酒の製造販売等を行うほぼ全てのメーカーが加盟しています。そうした組合が作る基準ですから、自主基準とはいえ、少なからず実効性のある基準ではないかと思います。
実際、既に動きを見せるメーカーもあり。また酒税法に関連する組織であるため、後の法律面への反映も期待できるのではとも感じます。

我々愛好家サイドから見ると、唐突に公開された感のある本基準ですが、検討は2017年頃から始まっていたそうで(参照記事:こちら)、加盟企業から選出されたWG、理事会での協議、意見交換等を経て約4年間をかけてまとめ上げた基準となります。
なお、ウイスキー文化研究所で議論が進んでいたジャパニーズウイスキーの定義とは、別のルートで造られたものという位置づけで、必ずしも整理が一致するわけではありません。

日本洋酒酒造組合:ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準
※英語版はこちら

結論から言うと、ジャパニーズウイスキーとしての透明性とブランドを整理出来る、よく考えられている基準だと思います。
日本のウイスキーには、酒税法等での条件が緩いことから、
  1. 輸入原酒を使ってジャパニーズを名乗る(あるいは誤認させる)銘柄が、国内外に販売されていること。
  2. 最低熟成年数や熟成方法が定義されていないため、明らかに未熟な原酒が商品に使われていること。
  3. ブレンド用アルコールを用いてもウイスキーを名乗れること。
  4. 焼酎原酒などウイスキーではない蒸留酒がジャパニーズウイスキーとして輸出、販売されていること。
  5. ラベルの表記等に関して、基準が整理、統一されていないこと。
大きく分類すると、以上の問題がありました。
今回の基準では、これら意図して法律の抜け道を使う、悪貨の駆逐と言う点に主眼が置かれた整理となっており、一定の効果を発揮するものだと思います。

ですが、基準の決定に当たっては大手メーカー主導の流れがあるのか。あるいは目下最大の問題を優先したためか。
シングルモルトについてのブランド保護、透明性は担保された一方で、昨今増加傾向にあるクラフトディスティラリーの”ブランド構築”や、”ブレンデッドウイスキー造り”という点で厳しい内容である、という印象があります。
今日の記事では、本基準がもたらす効果を「明暗」含めて、まとめてみたいと思います。


■ジャパニーズウイスキーの基準における整理

まず、今回制定された”表示に関する基準”において、ジャパニーズウイスキーと区分する条件をまとめると
  • モルトウイスキー・グレーンウイスキー、どちらも日本の蒸留所で糖化、発酵、蒸留、熟成を行ったもの。麦芽は必ず使うこと。
  • 水は日本国内で採水されたもの。熟成については木製樽(700リットル以下)を用いて日本国内で3年以上とする。
  • ボトリングは日本国内で、度数は40%以上とする。
として整理しています。

中でも蒸留所での製法に糖化が含まれていることや、原材料で「麦芽は必ず使用しなければならない」とあるのがポイントです。元々糖分のあるものから発酵、蒸留するブレンドアルコール類や、焼酎のように麴を使って糖化・発酵をさせるものと、麦芽で糖化するジャパニーズウイスキーが違うことを定義しています。

そのうえで、表記は「ジャパニーズウイスキー」とし(例:ジャパニーズモルトウイスキーではNG。また第6条の記載から、英訳等で日本製と誤認させる表記へのアレンジもNG)。ジャパニーズを名乗る基準に加え、問題となっていた"疑似ジャパニーズ"や”アル添ウイスキー”、"焼酎ウイスキー"をジャパニーズウイスキーの区分からシャットアウトする整理になっています。

ウイスキーの基準

今回発表された基準は、別途ウイスキー文化研究所が調整していた、ジャパニーズウイスキーの定義(TWSC版)と比べると、考え方は同じである一方、スコッチウイスキーの定義である"Scotch Whisky Regulation"寄りの内容で整理されています。
例えば仕込みに関する記述に加え、熟成年数もスコッチに倣って1年長く設定されている点。輸入バルク原酒を加えたものを「ジャパンメイドウイスキー」と整理するウイ文研の基準と異なり、あくまでジャパニーズか、そうではないか、という1か0かの整理になっています。

熟成年数の違いについては、日本のウイスキーがスコッチタイプの原酒である以上、3年熟成からウイスキーであるという整理も納得できなくはありません。
「日本は気候が温暖で熟成が早い(エンジェルシェアが多い)から熟成期間を短縮すべき」という意見もあるとは思いますが、既に国内でシングルモルトは最低3年でリリースするという対応が行われているのを見ると、実態べースで整理しても良いとは思います。レアケースですが、熟成庫に空調いれてるところもありますし。
ただし樽については木樽として幅広く読める表現となっており、スコッチ路線の基準でありながら、アレンジされている点もあります。

一方で、輸入バルクウイスキーを一部でも使ったウイスキーについては、単にジャパニーズウイスキーとして表記できないだけでなく、銘柄名についても制限をかけるのが本基準の特徴と言えます。
これは、第6条(特定の用語と誤認される表示の禁止等)に記載があり、日本を想起させる人名、地名、あるいは国旗の表記といった禁止事項が明記され、一見すると某西のメーカーが色々とやって話題になったような疑似ジャパニーズウイスキーが、その名称を名乗れなくなる整理となっています。

ウイスキーの基準2

当ブログでも以前から発信していましたが、ジャパニーズウイスキーの基準に関する問題は、製法だけでなく、名称や販売の際の説明についても制限しなければ意味がありません。
今回発表された基準は、その点についても考慮されているだけでなく、表記と言う意味では「ウイスキーに該当しない酒類にウイスキーであるかのように表示する」、前例でいえば”海外で焼酎をウイスキーとして販売する行為”に対して、第6条3項に「酒類※を売らないし協力もしない」という罰則的な記述があるのも、限定的ですが組合の規定として踏み込んだ内容だと思います。

※酒類であるため、製品やウイスキー原酒だけでなく、焼酎、ブレンド用アルコール等が幅広く含まれる。つまり該当するようなことをした企業が使うであろう酒類の供給を条件としている点が、この項目のポイントと言える。他方で、第6条3項は「日本国の酒税法上のウイスキーに該当しない酒類」が対象となるため、必ずしも第5条及び第6条2項を破った企業に対する罰則とはなりえない点が、ややちぐはぐな流れとも言える。


■基準の運用と時限措置
ただし、この基準では
・第6条第2項に、第5条に定める製法品質の要件に該当しないことを明らかにする措置をした時は、この限りではない。(説明すれば、ジャパニーズウイスキー表記はダメだけど、引き続き日本を想起させる単語等は使っても良い。)
・附則 第2条として、すでに販売中のウイスキーに関しては、中身の整理に2024年3月31日まで3年間の猶予を設ける。
とされており、抜け道もなくはありません。
基準制定の背景に一部の方々が強く連想する銘柄が、これをもって急に消えるというわけではないんですよね。おそらくラベル上の表記とデザインがちょっと変わるくらいで。 


ウイスキーの基準3

前者(第6条第2項)は、どこで説明するのかと言うことになりますが、話を聞く限りではラベルに限らないようです。SNS,WEB,消費者が常時参照できるような場所も含まれるようで、既に大手ウイスキーメーカーのサイトで説明の追加が行われているところもあります。

昨今、サントリーが山崎や白州に「Single Malt Japanese Whisky」表記をつけたり、その他ブランドのラベルもマイナーチェンジしていたり。ニッカの竹鶴ピュアモルトのリニューアルやセッションのリリース、キリンの富士や陸しかり。。。大手各社の動きは、ここに帰結するものだったのでしょう。
そうしてみると、入念に準備されていた、業界としての動きなのだということが見えてきます。

また、後者(附則第2条)については、既存のブランドを持っているところは逃げ得が出来るのではないか!と憤る意見もあるかもしれませんが、既存銘柄のラベル変更等は、ロットの切り替えを待つ必要もあり、その準備期間という意味もあると考えられます。
何よりウイスキーの熟成は3年間と定義している以上、自社原酒の準備期間として3年の猶予を与えるのは、性善説で考えると理解できる内容でもあります。

しかしこの附則事項も、ウイスキー蒸留を行うための設備の準備期間は考慮されておらず、本当に最低限の年数であること。
”2021年3月31日以前に事業者が販売するウイスキー”が、ブランド全体を指すか、リリース単位を指すかというとリリース単位であるそうで、例えば日本12年という銘柄をバルクウイスキーでリリースしていたメーカーが、これのフィニッシュモノや年数違いはリリース出来ないとのこと。
どちらも、これから基準に対応するメーカーにとっては、最低限の配慮であるように感じます。(前者の説明をすればその限りではなく、あくまで自主基準上では、ですが。)


基準説明
ウイスキーの基準4
※アサヒビールオンラインストアにおける説明文。赤字箇所がこのタイミングで追記された。第6条第2項は運用次第で本基準を有名無実化させる危険性もあるので、組合でのガイドライン整備が別途必要と考えられる。今後注視したい。
※海外のウイスキーショップにも動きがあり、有名どころであるWhiskyExchangeも、本基準を紹介。ショップではJapanese Whisky と From Japanese で整理するとのこと。


■基準の明暗そして今後への期待
さて、ここまでは基準における「明」の部分を中心にまとめてきましたが、「暗」となる懸念点についても自分の思うところをまとめます。
冒頭では、”クラフトディスティラリーにおける”ブランド構築”や、”ブレンデッドウイスキー造り”という点では、厳しい内容である。”として触れました。
何かというと、原酒の多様性の確保、特に「グレーンウイスキー」の存在です。

シングルモルトブームの昨今にあって、基準を読む際にモルトウイスキーを連想しがちですが、消費の大半を占めるのはブレンデッドウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーをつくるためには、モルトウイスキーだけではなく、グレーンウイスキーが必須となります。ですが、国内でグレーンの製造設備を持っているクラフトメーカーは殆どなく、また設備もポットスチルに比べて高額なことから、スコットランドだけでなく、カナダ、アイルランドといった地域からの輸入原酒に頼らざるを得ないのが実態となっています。(ポットスチルでもグレーンウイスキーは作れますが、連続式に比べ効率が悪く、コストも高くなります。)

大手3者は自社でグレーンウイスキーを作れるので問題はありません。国内外でブランドを確立している有名クラフトメーカーも、あまり問題にならないかもしれません。
しかし、ブームで参入したクラフト蒸留所や、あるいはこれから参入するメーカーはというと、まさに動こうとしていた矢先のことです。
グレーンウイスキーを販売してくれる国内の作り手が無い以上、この基準が施行されると、既存のブランド名や日本を想起させる名称(例えば蒸溜所の地名)で「ブレンデッドを作るな」と取られたり、リリースした商品に対して一般ユーザーから後ろ指を指される可能性もあります。

特に海外市場における影響は重大です。
我々はこの基準を「ジャパニーズウイスキーと名乗る場合の表示基準」と捉えていますが、意図したのか、想定外かはわかりませんが、スコッチや米国の基準と横並びで「日本でウイスキーをつくる場合のルール」として受け取られているケースがあり、これも混乱を呼びかねないと感じています。
というか、現実的にブレンデッドジャパニーズウイスキーを作れないんですよね。
結果、既にブランドを確立しているメーカー優位になりかねず。。。新規参入の障壁となるだけでなく、ブレンデッドウイスキー市場をさらに大手が独占しかねない、その後押しとなる基準にならないかと危惧しています。

日本のウイスキーの整理4月以降
(4月以降の日本のウイスキーの整理想定。名称の「奥多摩」は、日本を想起させる地名の例であり他意はない。クラフトメーカーにとって、ジャパニーズウイスキー表記のブレンデッド※4の安定したリリースは難しい状況となる。)

この”グレーンウイスキーの話”をもって、基準を取り下げろとか、バルクを使ってジャパニーズウイスキーを明記してまでブランドづくりをさせろ、という主張をするものではありません。
基準の内容そのものは、現在の日本のウイスキーが内包する問題点だけでなく、製造サイドへの配慮といった多くを網羅するものであり、既に一部メーカーも動きを見せる等実効性もあります。
基準の決め方について、理事会とプロセスの実態がどうだったのか・・・某T氏の発信する情報等から、その透明性は少々気になるところですが、原材料の透明化について業界として動きを見せた。それは大きな一歩だと思います。

あとはこの基準をもとに、更なる問題点にどう対応していくか。何より、業界をどのように成長させていくかが重要です。
透明化の次は、品質ですね。ジャパニーズウイスキーだから買うと言う層の存在が、昨今のブームを起こしているのは事実ですが、愛好家のマインドとしては美味しいから、好きだから、あるいは楽しいから買うのです。


基準が規制である以上、すべてを100%満足させることは出来ません。その上で、基準を守ってもらうメリット(組合に加盟するメリット)も示しつつ、業界全体の成長戦略を考える必要があります。
例えば、ジャパニーズ独自の味わい、魅力の一助となるように、ジャパニーズウイスキー専用の酵母を組合が開発して組合員に提供するとか、品質保証シールのような取り組みはあっても良いのではと思います。

グレーンウイスキーの話もその1つであり、特に緊急性の高いものです。
組合が国内でグレーンウイスキーを調達し、年間決まった量を組合に加盟するウイスキーメーカーに提供するとか。
あるいは、グレーンウイスキーのみを製造するメーカーの立ち上げを業界として支援し、国産グレーン原酒を提供するとか。
時限措置として一定期間、グレーンについては輸入であっても国内で指定の年数以上熟成させたものなら使用して良いとか。。。


今この瞬間、ジャパニーズウイスキーのブランド保全は大事ですが、今後、日本のウイスキー産業をどのように育て、世界的な競争力を確保していくのか。このブームもいつまでも続く訳ではありませんから、組合が公的な側面を持つならば、長期的な視点から対応策を検討していくことも必要ではないかと思います。

今回の基準の公開をもってゴールではなく、業界としてはさらに動きが出てくることでしょう。従うメーカーだけではなく、そうではないメーカーも出てくると思います。
国産ウイスキーの原料等の表記や説明は、各社のモラルによって動いてきた業界に、やっと投じられた1石です。これが将来的に見て、日本のウイスキー産業がさらなる基盤を築くことになる一歩であったとなることを、いちウイスキー愛好家として期待しています。


後日談1:クラブハウスでジャパニーズウイスキーの基準を読み解く配信を行いました。
後日談2:同アプリで、ジャパニーズウイスキーの基準施行後に実現してほしいこと、組合へのリクエストに関する配信を行いました。
(音声は録音公開していませんが、当日の参考情報とメモは、それぞれ公開してあります。)


※以下、余談。
本基準の公開と合わせて、昨日の日経新聞(以下、参照)にも記事が掲載されています。このスピード…リークですね(笑)。
我々が良く知っている日本メーカーがリリースするウイスキーのうち、「富士山麓」「ザ・ニッカ」「フロムザバレル」「ブラックニッカ」「角瓶」「トリス」・・・といったラインナップがジャパニーズウイスキーから外れるとされており、個人的には富士山麓はフォアロ・・・うわまてやめろなにを・・・であるため、ある意味で納得でしたが、あれ?ヒb・・・「それ以上いけない!」・・・とか、読む人が読むと刺激的な内容となっています。

見方を変えると、今回の基準に伴う動きは日本のウイスキー産業を牽引してきた、大手メーカーからの盛大なカミングアウトです。
実態として4年間かはさておき、よくぞここまで各社と調整したなと。決断に至ったキッカケは、赤信号みんなで渡れば精神か、あるいは一般に輸入原酒に関する認識が広まるタイミングを待っていたのか。
"基準による明暗"という本記事のタイトルに倣えば、このカミングアウトが大手にとっては暗であり、一方で明であると言えるのかもしれません。
こちらは後でリストを作って、どれがどうだったのかをまとめてみたいです。

ご参考:「ジャパニーズウイスキー」の定義 業界団体が作成: 日本経済新聞 (nikkei.com)
この定義に基づくと、ウイスキー大手のジャパニーズウイスキーは、サントリーホールディングスは「響」「山崎」「白州」「知多」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「オールド」、海外市場向けの専用商品「季(TOKI)」の8ブランドが対象になる。アサヒグループホールディングス傘下のニッカウヰスキーは「竹鶴」「余市」「宮城峡」「カフェグレーン」4ブランド、キリンホールディングスは「富士」1ブランドと、蒸留所限定などがそれぞれ対象となる。

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