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グレンアルビン 31年 1965-1997 シグナトリー サイレントスティル 51.5%

カテゴリ:
GLEN ALBYN
Signatry Vintage Silent Still
Aged 31 years
Distilled 1965
Bottled 1997
Cask type Refill Sherry Butt #5835
700ml 51.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:持ち寄り会@Nさん
暫定評価:★★★★★★(6ー  )

香り:勢いのある香り立ち。クリアでハイトーン、乾いたウッディネス。少しの香草やハーブを思わせるニュアンス。奥には青みがかった麦感、青林檎。時間経過で淡いスモーキーさも感じられる。

味:ピリッとした刺激とコクのある口当たり。麦芽風味から粘性のある甘み、はちみつレモン、洋梨のタルト、徐々に乾いたオーク。余韻はヒリヒリとした刺激とスパイシーでほのかなピートフレーバー。クリアで長く続く。

リフィル系の樽感で、酒質由来の勢いのある香味だが、ドライでまだ固い印象も受ける。名は体を表すように、今はサイレントな状態。少量加水すると樽香に甘みが感じられ、時間での変化に期待したい。


シグナトリーのサイレントスティルは、その名の通りポットスチルが沈黙してしまった、閉鎖蒸留所の原酒をボトリングしていたシリーズです。

クローズドディスティラリーシリーズとか言わず、間接的な意味で通じる表現がカッコいい。
このグレンアルビンは1983年に閉鎖され、跡地は隣接するグレンモール蒸留所と共にショッピングモールになってしまった蒸留所。元々はマッキンレー社傘下で、共にブレンデッドウイスキー・マッキンレーズの主要原酒でした。

グレンアルビンの酒質は、コクのあるボディとオールドハイランド的なスモーキーさを備えた古典的なスタイル。80年代前後のもの線が細く没個性的な印象ですが、60年代はレベルの高いボトルが多くみられます。ただリリース単位で見るとそのブレ幅が大きく、セスタンテやGMなどから素晴らしいボトルの数々がリリースされている一方、ビンテージの割に評価の低いボトルが存在するのも事実。ファーストフィル系の樽や加水とは相性が良く、逆にリフィルやプレーンな樽でのハイプルーフ仕様では酒質が強すぎるのかもしれません。

今回のボトルはまさにそのリフィル系の樽、ボトリング本数からシェリーバットと思われますが、30年の熟成を経てなお強く、スパイシーで硬いと感じる味わいに、グレンアルビンの特性を感じるようです。
一方で少量加水するとポジティブな変化もあり、淡いスモーキーフレーバーに時代を感じる。開封後の時間経過でさらに良くなっていくようにも感じます。また1年後くらいに飲んでみたい、将来性を感じた1杯でした。

グレンタレット 29年 1987-2017 シグナトリー 54.9% ブラインド

カテゴリ:
GLENTURRET
SIGNATORY
Aged 29 Years 
Distilled 1987.9.26
Bottled 2017.1.16
Cask type Hogshead#380
700ml 54.9%

【ブラインドテイスティング】
地域:北ハイランド
蒸留所:プルトニー、クライヌリッシュ
熟成年数:25年程度
流通時期:近年
樽:バーボンホグスヘッド
度数:53%程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ニスのような溶剤感のあるウッディネス。バニラやカスタードシュークリームを思わせる甘みもあるが、その上にある樽感が強く、鼻腔を刺激する。時間経過でワクシー、すりおろしリンゴのアロマ。

味:リッチな麦芽風味とすりおろしたリンゴ風味。熟したバナナ、おしろいっぽさ、オーク由来のリンゴのコンポートの落ち着いた甘酸っぱさも感じる。
余韻は少し粉っぽさを伴いつつ、カシューナッツ、麦芽と干し草のほろ苦いアクセントと近年系のトロピカルフルーツ。

ノージングではツンとした刺激に若干警戒させられるが、徐々に開くワクシーな甘さ。酒質の個性もあり、後半は樽感もホグスヘッド系のフルーティーさがうまくマッチしているおいしいシングルモルト。


今回のブラインドは、先日マッキンレーズなどのサンプルを交換頂いた、若きウイスキークリエイターNさんからの出題。
少しニスや溶剤っぽさというか乳酸系の酸味というか、独特の香りが混じることがちぐはぐさに感じますが、味わいはオーキーなフルーティーさと熟成感があって、味だけ見ればもう一つ評価を高くしても良いかなと感じるボトルでもあります。

ブラインドの結果を見ると完全にミスリードしているのが地域と蒸留所、そして微妙に熟成年数がズレてますね。これは地域からの予想というか、蒸留所を最初に決めてしまったため、そこに色々引っ張られている典型的な失着だったと思います。

個人的に、ブラインドの回答は各要素バラバラに行われるべきで、極端な例を出せば蒸留所まで予想する場合は地域はハイランドだけど、蒸留所はアイラみたいな話があってもおかしくはないと考えています。
それは熟成場所が蒸留所ではない事例がありえますし、ピートと麦芽がアイラ産ならそう感じる可能性もある。また、純粋にそういう風に感じたと言う回答は、後々の検証材料として貴重であるからです。
とにかく、「こんなリリースないよな」なんて先入観を持たないことが大事ですね。

今回は熟成感、味わいからボトラーズの内陸系、シングルカスク、30年熟成程度というイメージを持っていました。
一方で、香りに感じられた刺激や癖から、長期熟成の北ハイランド2蒸留所、特にプルトニーっぽいなと予想したのはブラインドなのでいいとしても、あそこはそんなに長熟はないよな・・・とか余計な推理が入り、熟成年数をちょっと若めに修正したりしてしまいました。こうなると、見事に迷走するわけです。
まあ仮に選択式だったとして、タレットを選択できたかはかなり怪しいのですが。


というのも、グレンタレットと言えばソーピーなフレーバーを特徴の一つとするモルトで知られています。
ただ1977年あたり、一時的にその要素が無い時期もありましたが、その後1990年代蒸留には再びそのフレーバーが復活したリリースが見られるところ。
今回のボトルにはその要素がはなく、むしろあるのはいい麦感とフルーティーさ。そう言えば1990年代のオフィシャルボトルにはそのフレーバーがなかったものもあるわけですが、この先入観を払拭できたかは・・・自信がないですね(笑)
良い出題を頂き、ありがとうございました!

ベンウィヴィス 31年 1968-2000 シグナトリー 50.5% #687

カテゴリ:
BEN WYVIS
Signatory Vintage
Aged 31 years
Distilled 1968
Bottled 2000
700ml 50.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@個人所有ボトル
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなリフィル系のオーク香、ファイバーパイナップル、摩り下ろしたりんご、最初はドライだが奥からおしろいを思わせる甘い麦芽香も感じられる。

味:スパイシーな口当たり、酸味のある麦感やナッツ、香りほど樽感は感じないが、ほのかな青みを伴うウッディネス。
余韻は微かなピートを伴いつつ麦感全開でリッチな甘みとオークフレーバーの華やかさ、スパイシーで長く続く。

閉鎖云々はさておき、60年代らしく麦感が厚く、スパイシーな口当たりが特徴。現行のハイランドモルトとは異なる時代を感じさせる味わい。樽感はそれほど強くないので、酒質由来の香味が楽しみやすい。少量加水するとさらに麦系の甘味を引き出せる。


先日、紛らわしくも同じブランド名が使われたボトルを紹介しましたが、その際にも触れたように、こちらが正真正銘の三代レアモルトの一角、ベンウィヴィス。
元々数が少なく飲める機会が少なかった銘柄ですが、60年代原酒が高騰する現在にあっては二重の意味で大変貴重な1本ですが、今回ご厚意でテイスティングの機会を頂きました。


ベンウィヴィスは1965年創業。インヴァーゴードングループの原酒供給を補助する目的で、グレーン工場であるインヴァーゴードン蒸留所の中に建設された、小規模な蒸留所です。
インヴァーゴードングループは、今でこそ巨大ウイスキーグループの一角ですが、1961年の蒸留所設立当初は当然ながらこれというモルトウイスキー蒸留所を傘下としておらず、原酒の確保が急務となっていました。
そこで敷地内にベンウィヴィスを建設。合わせてディーンストン、一年遅れてタムナヴリンを設立し、ブルイックラディやタリバーディンを買収するなど、この時期積極的な事業拡張を行うとともにブレンドメーカーとの連携も進め、1970年代にはフィンドレイター、グレンドロスタンらのブレンデッドウイスキーが洋酒ブームに沸く日本市場にも展開されています。

一方で、こうして同社の事業が軌道に乗ったことを見届ける形で、1ベンウィヴィスはその役目を終えて1977年に閉鎖。
12年という期間の短さもさることながら、それ以上に創業初期で原酒確保が厳しい時代だったこともあり、このベンウィヴィスのモルト原酒はほとんどが自社ブレンドに使われ、樽売りやシングルモルトとしてリリースされた量はごくわずかとなっていることが、異常なまでのレアリティに繋がっています。
(ブローラやポートエレンなどと違い、もう樽が残っていないという話も。。。)

ウイスキーそのものキャラクターは酒質はやや荒削りな感はあれど、普通に(あるいは意外と)美味いモルトで、以前テイスティングした際の印象と同様。というよりこのボトルは経年変化も手伝って、バランスが取れて来ているように感じました。
久しぶりにテイスティング出来て良かったです。

ダラスデュー 30年 1975-2006 シグナトリー 46.9%

カテゴリ:
DALLAS DHU
SIGNATORY VINTAGE 
CASK STRENGTH COLLECTION 
Aged 30 years
Distilled 1975/08/15
Bottled 2006/07/19
Cask type Bourbon Barrel#1493
700ml 46.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:1ショット程度
場所:個人宅持ち寄り会@Iさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:バニラクッキー、ナッツ、ドライパイナップル、洋梨。華やかでオーキーな樽香に、微かにチーズを思わせる酸味を伴う。

味:ドライでフルーティーな口当たり。ファイバーパイナップル、ナッツ、クラッカー、香り同様の構成。ボディはミディアムからやや軽く、余韻はドライで染み込むウッディネス。オーキーな香味が消えていき、あっさりとしている。

華やかでドライなオークフレーバー主体のボトル。ともすれば樽しゃぶり系だが、時代の良さかギリギリの厚みで酒質が樽感を支えている。加水も悪くない、さらに華やかな香味が引き立ち、バランスが良くなる。


ダラスデューは個人的に「印象に残っていないウイスキー」の一つです。
少なくともこれまでに飲めた1960年代以降、酒質由来の味わいは淡く、ボディ感も中庸、古いものであればクリーミーな麦芽由来の甘みがありますが、特にこれという個性が見出せない。シングルカスクで個性を楽しむというより、ブレンドでの縁の下の力持ち向きと言えるのかもしれません。

蒸留所の歴史を見てみると、創業は1899年と古いものの、特にシングルモルトが有名だったわけでも、この蒸留所をキーモルトとする有名なブレンドがあるわけでもありませんでした。
大手グループに属していなかった訳でもなく、ディアジオの前身であるDCL傘下には1929年に入った一方で、期間不明ながら1936年までは操業を休止していたようです。
再稼働した直後の1939年、今度は火災が発生しスティルハウスが焼失。修繕は行われたものの世界大戦の煽りを受けて1947年まで再び休止状態に。。。
約20年間、ほとんど原酒のストックを作れていない状況は、経営者視点で考えるとお荷物でしかなかったように思われます。

その後1950年代から1970年代初頭にかけて蒸留所の電化から生産設備増設、フロアモルティングの取りやめ、石炭直火蒸留をスチーム式への切り替えなど近代化が進み、やっと本腰を据えて原酒作れるようになったのは1970年代に入ってから。
そのキャラクターは先述のとおり、酒質の個性に強いものはなくプレーンなそれ。当時はブレンデッド全盛期、時代背景や蒸留所そのものの製品ラインナップから考えるに、DCL系列が抱える様々なブレンド銘柄のベースとして使えるように位置付けていたのではと推測します。

以上、紆余曲折あったダラスデューですが、80年代ウイスキー冬の時代が到来すると1983年にあっさり閉鎖。現在は博物館となっているのは有名な話です。
近年、世界的なウイスキーブームを受け、再稼働の話も進んでいると聞きますが、きっとブームが終わればまた役目を終えてしまうのかもしれません。
些か不遇な気持ちになりますね。

レディバーン(エアシャー) 37年 1975-2013 シグナトリー 49.8%

カテゴリ:
RARE AYRSHIRE (LADYBURN)
Signatory vintage cask strength collection
Aged 37 years
Distilled 1975/10/24
Bottled 2013/10/22
750ml 49.8%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:チーズのような酸味とオーク香、ややドライ。ドライアップルの甘いフルーティーさ、クッキー、バニラ、微かにゴムのような癖。華やかで充実している。

味:やや青みがかったドライな口当たりからオーキーでフルーティー。洋梨、りんごのコンポート、ナッティーで後半にかけてドライ、スパイシーな刺激もある。
余韻にかけて乾いた麦芽、微かにゴムのような癖も感じられる。

香味とも樽感主体の華やかな味わい。ストレートまたは少量加水で。
関係ないが、あと2日置いておけば38年熟成だった。何かこだわりがあったのだろうか。

"キンクレイス"、"ベンウィヴィス"、"レディバーン"、3大レアモルトとされるこれらの銘柄の中で、最も遭遇率が高い蒸留所が、このエアシャー表記のレディバーンです。

同蒸留所は1966年にグランツなどブレンデッドウイスキーへの原酒供給を目的として、カーヴァン・グレーンウイスキー蒸留所敷地内に設立された蒸留所。この3大レアモルトは共通して、原酒不足を補うためグレーンウイスキー工場内に建てられ、1970年代に入ってモルト原酒不足が解消された後に閉鎖。原酒はほぼすべてブレンドに使われたため、リリースされる機会は極めて少ない、という共通した流れを辿っています。

最も、単に流通量や希少性で言えば、手に入りにくいモルトはこれ以外にもあるわけですが、これにはネットオークションでの入手や、それを飲もうとした時期の関係も多分にあります。
例えば、ウィリアムグラント社3兄弟の一つであるキニンヴィは、2010年代にオフィシャルからリリースがあるまで、上記3大レアモルト以上にその姿を見ることは困難でしたし、流通量的な問題であれば、政府公認密造蒸留所ロッホユーや、現在世界的に数多く立ち上がりつつあるクラフトディスティラリーも同様です。
ただ、これらは稼動している蒸留所であり、既に樽すら存在しないのでは・・・なんてウワサもあるこれら3蒸留所は、今後さらに出会う機会も減っていくのでしょう。飲めるうちに飲んでおきたいものです。

さて、この3蒸留所に共通する点ですが、実はもう一つ。それは"意外と旨い"という点です。
語れるほど種類は飲んでいませんが・・・これまで飲んできたそれらは酒質はニュートラルなタイプ。癖という点ではベンウィヴィスやレディバーンは多少発酵したような、あるいはゴムっぽいような酒質由来の香味が感じられたという記憶があり、特にレディバーンの短熟モノはそれ程でも。。。でしたが、今回のように30年を越える長期熟成では華やかな樽香がついており、うん、普通に旨いよね、というところに落ち着くわけです。
ブレンド向けの原酒、と言われると納得の味わいです。

今回のレディバーンは当時のグランツなどを中心に、各銘柄の流通、そして製造元の発展を支えてその役割を終えたわけですが、当然シングルモルトの長期熟成で飲まれたことは当時なかったわけです。
このボトルは、もし供給過多とならずそのまま生産が続いていたとしたら、その先にあったかもしれない可能性の一つ。歴史を感じつつ、その姿に想いを馳せて楽しみたいですね。

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