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リンクウッド 25年 1984-2009 サマローリ 45%

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LINK WOOD
SAMAROLI
Aged 25 years
Distilled 1984
Bottled 2009
45% 700ml

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1年程度
場所:BAR Perch 萌木の村
暫定評価:★★★★★★(6)(!)

香り:しっとりとスモーキーな香り立ち。燻した麦芽、プレーンでスパイシーなウッディネス。徐々にエステリーなニュアンスがあり、洋梨のような淡いフルーティーさも。

味:やや乳酸的なアクセントを伴うプレーンな口当たり。洋梨のペースト、ドライオレンジ、モルティでほろ苦く、合わせて焦げたようなピートフレーバー。
余韻はスモーキーでドライ、プレーンオークの自然なウッディネスは、微かに柑橘やジンジャーを感じさせ、長く続く。

オールドスタイル系統のリンクウッド。リフィルシェリーバットあたりの熟成か、樽感はプレーンでモルティーな香味が主体となっている。ややピートが強い印象も受けるが、加水が効いて一体感のある香味が印象的。


リンクウッドと縁の深いサマローリから、その中でも比較的リリースの多いビンテージである1984年蒸留のリンクウッド。
この原酒はかつてのオフィシャル系統というか、自分の好きなオールドスタイルで、ピートが感じられるタイプでした。
過去に飲んだものも含めると、総じて同様の系統であり、ボトラーとしてまとめて購入したロットがこのタイプだったのかもしれません。

スモーキーなリンクウッドと、淡麗なリンクウッド。この違いにかかる蒸留設備云々の話は、これまでの記事で度々触れてきていますので割愛しますが、開封してみないとわからないのがリンクウッドのガチャ要素です(笑)。
ただ、1980年代前半は蒸留所の閉鎖が相次ぎ、酒質的はドライな傾向が強く、樽的にはバーボン樽への切り替え時期で迷走する蒸留所も少なくない。スコッチ業界全体をみるとこの時期はそうした傾向があるわけですが、そんな中で生まれ年で自分の好みなモルトがあるというのは、嬉しい要素だったりします。


ちなみに、1970年代から1985年、そして2000年以降はガチャ要素の強いリンクウッドですが、1987年蒸留でピーテッド名義のモルトがリキッドサンからリリースされています。
オールドスタイルのリンクウッドを作る蒸留棟は1985年から生産を休止しているため、これは普段端麗なタイプの原酒が生み出される新しいほうの蒸留棟のピーテッドタイプということに。
同じようにオールドスタイルな仕上がりかと思えば、ピートの種類が違うのか、設備の違いか、ピートが浮ついていて異なる仕上がり。同じ設計とされている蒸留棟で生み出される酒質の違いが、ウイスキーづくりの神秘を感じさせます。

ハイランドパーク 1978-1996 サマローリ オークニーモルト 45%

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HIGHLAND PARK
SAMAROLI "COILLTEAN"
Aged 18 years
Distilled 1978
Bottled 1996
700ml 45%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかった淡い樽香、洋梨やアロエ果肉、蜂蜜とバニラの甘み、奥からスモーキーなピート香。ナッツの香ばしさ、スワリングで干し草のような植物感もある。

味:コクのある口当たり。蜜っぽい甘みは蜂蜜檸檬、麦芽風味、乾いた牧草、青みがかった甘さのアクセント。徐々にスパイシーなオーク、ボディが厚く、奥行きのあるフレーバー。
余韻は染み込むようにピートが広がり、スモーキーフレーバーが強く感じられる。

恐らく2nd〜3rdフィルあたりのアメリカンホワイトオーク(シェリーカスク)             の熟成か。やや青みがかったプレーンな樽香に、ハイランドパークらしい甘み、麦感、スモーキーさと酒質ベースの味わいが楽しめる。少量加水すると華やかなオーク香、甘い麦芽風味が引き立つ。


BAR Y's Land IAN ウイスキーラバーズ名古屋出展ボトル。先行テイスティング会でのテイスティング。

昨年故人となってしまったサマローリ氏が、まだ現役だった時代のハイランドパークボトリング。近年、ハイランドパークはボトラーズに原酒を売らなくなってきていて、特に長期熟成原酒は益々貴重にという話も業界サイドから聞くところ。そう言えば70年代蒸留のそれは久しぶりに飲んだ気がします。

今回のボトルの特徴は45%加水でありながら残るボディの厚み、酒質由来の味わいの強さでしょうか。うまい具合に加水が効いて、飲み口のバランスは熟成年数以上に良いですね。
60年代に続き、70年代のハイランドパークは評価の高いボトルが多いわけですが、この酒質で良質なシェリーカスクなどが組み合わされば、混ぜても加水でも単一でも旨くなるよ、という土台の良さを学ぶことができるボトルだと思います。

なお、伝聞情報ですが、当時のサマローリはケイデンヘッドから樽(原酒)を買っていたとのこと。
同時期のケイデンヘッドのリリース、グリーントールのオーセンティックコレクションも今回のように酒質ベースで樽感の淡いものが多く、それを加水で出したかカスクストレングスで出したかという、納得できる共通項も感じられました。

オーバー アン アイラレインボー サマローリ 45% 2016's

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SAMAROLI
OVER AN ISLAY RAINBOW
Blended Malt Whisky
(Blended of Isaly Malts)
Bottled in 2016
Jast 246 bottles have been produced
700ml 45%

グラス: 和吉工房SPIRITS
量:15ml×2
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかいスモーキーフレーバー、微かに焦げたようなニュアンスと時間経過で蜂蜜レモンを思わせる酸味。徐々に麦芽や干し藁を思わせる乾いた植物感。オーキーな甘みと華やかさも感じる。

味:香り同様に柔らかい口当たり。バニラを思わせる甘み、ココナッツ、ナッティーなピートフレーバー、徐々に薄めた蜂蜜を思わせるモルティーな甘みも開いてくる。中間から後半は焦げたようなスモーキーさが鼻に抜け、レモンキャンディーの甘みや柔らかいコクが舌を包む。

ブラインドで飲んだら、思わずラフロイグと解答してしまうほどのフレーバー構成だが、ただのラフロイグとは違うまろやかさ、柔らかさが特徴的な1本。
ラベルに書かれた淡く美しい虹のイラストのごとく、七色の味わい・・・とまでは言えないものの、嵐が過ぎ去った後の柔らかい日差しと共に感じる海辺の空気のよう。

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つい先日、ウイスクイー経由で国内にリリースされたばかりのサマローリのニューリリース。
突き抜けた旨さや感動というよりは、全体的な完成度の高さで勝負する加水のバッテッドモルトで、乖離感の無い自然な口当たりとバランスの良さ、そして穏やかでありながら適度な飲み応えのあるフレーバーが地味に良い仕事をしています。 (その分値段も高いですがw)

構成原酒の体感的な熟成感は、加水であるコトを加味して10~20年程度のバッティング。先述のようにブラインドだとラフロイグと言ってしまいそうな味わいですが、味わいの柔らかさを演出しているのはブナハーブンかノンピートのブルイックラディあたりか・・・というのが何も知らず飲んだ時の印象。
その後調べてみたところ、レシピはブナハーブン1988とラフロイグ2009を使用しているそうで、構成原酒やブナハーブンの熟成感に納得すると共に、ラフロイグの思わぬ若さに驚きました。

今回のテイスティングは変則的で、2種類のグラスを使って15mlずつテイスティングしています。
一つは蕾型の形状、もう一つは写真のストレートタイプ。確かにグラスの形状によっては酸味を少し取ったのと、焦げたようなニュアンスもありましたが、まさかラフロイグが10年未満とは思いませんでした。
逆に言えば、それだけブナハーブンの熟成感と45%加水が良い仕事をしているのだと思いますし、今回は口開けでしたので今後の変化で違う味わいがあるのかもしれません。
また次の機会があれば、加水やハイボールなど、様々な飲み方にトライしてみたいですね。

グレンギリー 13年 1980年代流通 サマローリ フィノシェリー 57%

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GLEN GARIOH
Samaroli
Aged 13 years
Cask type Fino Sherry Butt
Bottled by R.W.Duthie 
Select & imported by Samaroli 
1980's
750ml 57%
  
グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(KuMC@Nさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:枝つきレーズンやドライアプリコットを思わせる甘酸っぱいアロマ、麦芽香、そして古酒感の混じる妖艶なスモーキーフレーバーをしっかりと感じる。スワリングで土っぽさと使い古したレザーの香りも。

味:とろりとオイリーな口当たり、フレーバーは強くしっかりとしている。香り同様にアプリコットの酸味と麦芽風味、蜂蜜、ナッツ、どっしりとした"らしい"土っぽいピートが余韻にかけて開いていく。フィニッシュはピリッとスパイシーで刺激があり、落ち着いた甘みを伴うスモーキーフレーバーが長く続く。

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ただならぬ雰囲気を感じる、サマローリのグレンギリー。当時のボトルらしく不明点が多いですが、おそらく1980年代流通、1970年代蒸留と思しき1本です。
ラベルに書かれたBottled by R.W.Duthieの表記も愛好家として見逃せませんね。ダッシー(ケイデンヘッド)が所有していた樽を、 サマローリが買い付けてボトリングしてもらい、イタリアにインポートしたというところでしょうか。
当時のサマローリのみならず、ダッシーはファンの多いボトラーズですから、このダブルネームだけで高まってしまう愛好家も多いと思います。    

その味わいは当時のグレンギリーらしいどっしりとしたピートフレーバーに、強い旨味と樽由来のアプリコットなどのフルーティーさ。酒質由来の香味の存在感は野性味すら感じる、例えるならばジビエのような魅力を感じます。
1杯飲んですっかりやられてしまい、思わずもう1杯。うーん、ギリーいいですねーギリー。

ちなみにこのボトルをの所有者であるNさん曰く、これフィノシェリーのあざとさとギリーの強いピートが喧嘩して拷問かと思ったんだけど・・・一応飲む?と前置きがあった上で飲ませていただいたのですが。
「あれ、これめっちゃ美味しくないですか?」   
「え、あれ、美味しいぞ」
となったことから、経年が良い方向に作用した結果の産物であり、実はボトリング当時は現在のフィニッシュモノや樽感ベタベタのボトルのように、必ずしも高い評価を受ける味わいではなかったのかもしれません。

最近日本市場にボトラーズリリースが入ってくる動きを見せているグレンギリー、ノンピートになって華やかで綺麗な1997年以降のモノも良いですが、最近買えるところでは1990年でピートと樽由来のフルーツ感があるボトルにらしさが感じられて楽しい。
瓶熟次第では、今回のようなボトルに仕上がっていくモノも出てくるのでしょうか・・・。

グレンギリー 1971-1997 (26年) サマローリ 43%

カテゴリ:
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GLEN GARIOCH
SAMAROLI
(Aged 26 years)
Distilled 1971
Bottled 1997
Cask type Sherry Wood
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(持ち寄り会@Mさん)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:フローラルでピーティーな香り立ち。脂肪酸、香水、乾いた麦芽の軽やかな香ばしさ。複雑で熟成感があり、古酒らしくこなれた柔らかさ。
加水するとピーティーさと麦芽、アーモンドナッツ、若干の油、際どくソーピー系になりそうなアロマが開いてくる。

味:柔らかくとろりとした口当たり。華やかでフローラル、フルーツ缶詰のシロップのような甘さ、乾いた麦芽、ハイランド系のピートフレーバーが徐々に強く、後半にかけてほろ苦くビターな味わい。
余韻はスモーキーで長い。加水すると麦芽風味とパフューム一歩手前のニュアンス。もう一歩でソーピーなフレーバーが出そうな危うさがある。

お久しぶりのサマローリ・グレンギリー1971の加水仕様。
サマローリでグレンギリーで1971というと、8年59.6%が伝説的なボトルの一つとして君臨しているわけですが、その陰には43%加水で25~26年熟成のグレンギリーもあるのです。
シェリーカスクでの熟成で300本のボトリング。リフィル系の樽かシェリー感は淡く、バットにしては本数が少ないため、リフィルホグスでの熟成か、あるいは他社から小分けに原酒を購入したのかもしれません。

その香味は加水らしく柔らかい香りと口当たり、所謂パフューム香はありませんが、1980年代流通のギリーオフィシャルボトルにあるような「後一歩でパフュる」系のフローラルなフレーバー。動物性の油、油脂のようなニュアンス、そして染みこむようなハイランド系のピートフレーバーが、何とも"らしい"と感じます。

状態としては写真からも伝わるように、Goodコンディションで、変なヒネもなく見るたびに惚れ惚れしてしまいます。
ただボトル個体差かもしれませんが、以前テイスティングした時よりもフローラルさ、後一歩の感覚が強くなったような印象があり、ひょっとすると経年によって刻々とソーピーな方向に変化しているのかもしれません。
GMのブラウンコニッサーズに代表されるように、加水系のボトラーズリリースは、そういうフレーバーのない蒸留所でも経年でソーピーなフレーバーが出る事例があり。何よりグレンギリーは1970年代後半(あるいは1980年代)あたりから病にかかる蒸留所ですから、可能性は十分ありそうです。

このボトルを最初にテイスティングしたのは6年前になります。
テイスティング後、目白の田中屋の上の棚のほうでこのボトルを見かけ、手の届く値段だったのでどうするかなーと思っていたらいつの間にか売り切れていて・・・そして先日の持ち寄り会で、まさにそのボトルが目の前にあり、開封を任せて頂きました。いやほんと、ウイスキー業界は狭いですね(笑)。



余談ですが、サントリーがグレンギリー12年の正規輸入を止め、平行品等で販売されていたノンエイジのファウンダーズリザーブに切り替えるみたいですね。
近年のグレンギリーはスモールバッチ系のリリースが充実しており、そうしたラインナップを正規で拡充して販売して欲しいと常々希望していたのですが・・・。実質的に縮小したような形になってしまいました。
ファウンダーズは海外評価はそこそこですが、熟成感は12年より一段落ちる印象があり、個人的には少々残念です。

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