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I.W.HARPER
GOLD MEDAL
Kentucky Straight Bourabon Whisky
1960-1970's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後〜1週間程度
評価:★★★★★★(6-7)

香り:しつこさのないメローで艶のある甘さ。シロップ漬けチェリー、カステラ、奥にはコーンフレークを思わせる軽い香ばしさ。角の取れたチャーオークのウッディネスで、麩菓子、キャラメリゼを思わせるほろ苦さも感じられる。

味:マイルドで引っかかりのない口当たり。薄めたメープルシロップ、チェリー、ドライオレンジのほのかな酸味を伴うコクのある味わい。
余韻はドライ、穀物感は多少あるがオーキーな甘みでしっかりとまとまっている。

バーボン特有のメローな香味にフルーティーな酸味のアクセント。樽が支配的なコテコテした香味というわけではなく、どちらかと言えば品の良い樽感と言える。味の濃さに反してコクがあって、物足りなさは感じない。例えるならダシをちゃんと引いた椀のよう。ライトなバーボンとはこうあるべきと言える、その理想形。


IWハーパーのスタンダード銘柄である、ゴールドメダル。バーンハイム蒸留所のバーボン、IWハーパーが誕生したのは1877年。名付けのエピソードはwebを参照頂くとして。。。(こちらのページが判りやすくまとめられています。ホント、BIBの表記とTAXは謎です。→ウイスキーの庭様)

ブランドヒストリーとしては、1885年の万国博覧会で金賞を受賞した事を皮切りに、1900年代にかけてあわせて5つのメダルを国際博覧会で受賞したことが語られていますが、当時のIWハーパーはライウイスキーで別物と言える仕様。コーン主体のマッシュビルで知られるIWハーパーがリリースされたのは、禁酒法と第二次世界大戦後の1950年代に入ってからとなります。

また、IWハーパー・ゴールドメダルは、40〜43%という加水仕様もあり、オールドは温度環境の変化に伴う濁りが出てしまっているものが少なくありません。
そのため、中々ベストなモノを飲める機会が少なかったりするのですが、今回はラベルの見た目に反し奇跡的に状態の良いゴールドメダルに当たり、その美味さを堪能させて頂きました。



何が良いって、長熟バーボンに見られるリッチなチャーオーク感とは違う、軽やかで品の良い甘みが香味の主体でありながら、しっかりとコクがあること。
ストレートで引っかかりのない口当たりは勿論、ロックにしても香味がしゃばしゃばにならない。ライトタイプのバーボンの理想形ってこういうのだよなと、感じさせてくれるような構成なのです。

飲み方はハイボールにしても勿論美味しいのですが、流石にそこまで水が入ると、その後の時代と比較して大きな違いが現れにくいこともあり、どっちかと言えばストレートかロックでじっくり楽しみたいという印象でもあります。

(IWハーパー、1990年代ジャーディン時代(左)と、1970年代サントリー時代(右)。ジャーディン時代の味も悪くないが、比較するとドライでコクが軽くなりつつある。ここまでくるとハイボール要員。)

余談ですが、IWハーパーと合わせてよく語られるのが、マッシュビルのコーン比率。連邦アルコール法で定めるコーンウイスキーの基準(81%以上)の範囲まで使われているという話ですが。。。
どうやら現在の本国流通のIWハーパーは、コーンが73%、ライ18%、モルト9%で、そこまで使われていないようです。(15年は86%なので、コーンウイスキー基準の範囲内。)

だから何が、という違いを感じ取れるほどの経験はないのですが、特にバーボンは日本で語られる情報と現地の情報が違っていたり、一部抜けている事が結構あるので、こうして記事をまとめるたび、新たなトリビアに遭遇できるのです。