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ボウモア 1993-2003 ゴールデンカスク 65.5%

カテゴリ:
BOWMORE
The Gordon Cask
Distilled 1993
Bottled 2003
Bottle No,1 of 282
Cask #50056
700ml 65.5%

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封直後
場所:萌木の村
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:フレッシュで強い香り立ち。潮気とレモン、魚介っぽいアクセントに香ばしいピート香が合わさって、白身魚のポワレのよう。奥から乾いた木材、ハイトーンで軽いアクのようなニュアンス。時間経過でグレープフルーツやシトラス、柑橘を思わせる香味がさらに開く。

味:フレッシュな口当たりから、じわじわとコクのあるオイリーな甘み。グレープフルーツ、乾いた麦芽、時間経過でバニラやドライマンゴー。灰っぽいピーティーさを伴う。
余韻はスモーキーでグレープフルーツのワタを思わせるほろ苦さ、フレッシュで長く続く。

度数の高さゆえアタックも相応に強いが、ボウモアらしい柑橘系のフルーティーさとピートフレーバー、何より樽のくどさのないフレッシュなバランスが印象的。若さがポジティブに働いたが故の仕上がりと言える。ただし加水するとボディが薄くなり、アンバランスになってしまう。これも若さか。。。


萌木の村にて「飲みたいボトルは全部開封するから」という舩木さんの漢気により、開封直後をテイスティングさせて貰った、1993年蒸留の短熟ボウモア(しかもボトルNo,1!)。
同程度の熟成には"前田の9年"もありますが、あれは加水でしたので、シングルカスク&ハイプルーフ仕様のフレーバーのインパクトは得難いものがあります。
65%という度数の高さとボウモアの酒質がもたらす、フレッシュでコクのある味わい。ネガティブな要素少なく、樽使いも合わせて短熟の良さを認識出来る1本です。

ここでちょっと昔話。今では"当たり年"と言われるこのビンテージですが、今回のボトルのリリース当時は、特別なPRやビックビンテージなる売り込みもありませんでした。
というか同じ時期では、キングスバリーが1993年のボウモアとカリラをバッティングしてリリースしていたくらいで、今では考えられない人気のなさ(笑)。
まあ2000年代初頭はウイスキー人気も下火でしたし、ボウモアに至っては70〜80年代蒸留のパフューム系原酒が主体だったので、それも仕方ないのかもしれません。(その手の愛好家の方には否定的な書き振りで、申し訳ありません。)

そんな中でリリースされた、脱パフュームでビンテージ入りのボトルがこれ。
今より情報拡散が緩やかな時代。愛好家の間で「1993年のボウモアは化粧香が消えて美味しいらしいぞ」という評判がじわじわ広まり、今後どう変化するかわからないボウモアのハウススタイルもあって、"当たり年"という表現が使われていきました。
またこの2年後、whisky funのサージ氏が、BBRがリリースした姉妹樽1993-2005(#500061)を絶賛したことも流れを決定づけましたが、爆発的に有名になったのは2009年のキャンベルタウンロッホ周年記念や、2010年のパーフェクトドラム。そこから各インポーターを通じた当たり年リリースが、近いビンテージを巻き込んで急増していったわけです。

(ボウモア蒸留所の黄昏時。リリースの続いた当たり年は消え去り、この1〜2年は1990年代の原酒すら珍しい。今後同蒸留所のボトラーズリリースは益々貴重になっていくと言われている。Photo by K67)

以上の経緯から、ボウモアは1993年蒸留だけがある種神格化されつつあります。
しかしリリースを振り返ると、93年は樽使いや酒質が安定していたイメージがある一方で、90年代前半全般に突き抜けたボトルの存在と、同様の良さがあることも実績としてあり、決してグッドビンテージは93年だけではありません。

アイラモルト90年代の良さは、先日記事にしたラガヴーリン12年でも触れた話。理由は定かではありませんが、ラフロイグやカリラなどは80年代も良い出来でしたし、ボウモアに関してもパフュームでマスクされて分かりづらかっただけで、本来はアイラとしてこの時期までが良い時期で、その後麦芽品種や樽使いの変更などで変わっていってしまったのかもしれません。
何れにせよ、今飲むと考えることが多く、魅力の多い蒸留所です。

ボウモア 11年 1999-2010 ゴールデンカスク 58.2%

カテゴリ:

BOWMORE
The Golden Cask
Aged 11 Years
Distilled 1999
Bottled 2010
700ml 58.2%

グラス:グレンケアン
量:30ml
場所:BAR飲み(持ち寄り)
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:爽やかだがやや荒さ、えぐみのあるスモーキーな香り立ち。シトラスやレモンピール、和紙を思わせるニュアンスに加えて、ツンとした塩気、ヨードも感じる。

味:フレッシュでスパイシーな口当たり。塩スープを思わせる塩分と淡いコク、木のえぐみ、グレープフルーツ香料のような薄い果実味が感じられる。
鼻抜けは柑橘系とスモーキーフレーバー、荒さの残る舌触りに、ピーティーでドライな余韻。

個人的に1999年蒸留のボウモアはフルーティーさだけでいえば、当たり年に匹敵するポテンシャルがある、として度々紹介しているところでです。一方で2000年代以降寄りのアタックが強く紙っぽさが感じられるボトルも散見され、1993~1995あたりほどの安定感が無いのは難しいところ。

今回のボウモアはどちらかというと後者寄りで、フルーティーさもあるのですが樽感由来という印象は少なく、あとは塩気やピートの粗い部分がメインに感じられます。
使用されている樽は不明ながら、リフィルシェリーで熟成されたボウモアにありがちな酸味があまり感じられないため、リフィルバーボンバレル(あるいはホグス)あたりかもしれません。
当たり前と言えば当たり前ですが、ベースの酒質としてはこんな感じで、あとは樽によってどういう影響を受けたかというウェートが、より大きいのでしょう。

このボトルは先日BAR RASENにHPさんが持ち込まれたもの。カウンターで色々注文しながら、このボトルも美味しくいただきました(笑)。
フルーティータイプのボウモアが好みな自分としては「おや?」という感じではありましたが、10年ちょっとという比較的短期な熟成期間ですから、同じような樽構成でも20年くらい熟成させたものを飲んでみたいですね。

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