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カリラ 1990-2018 GMコニッサーズチョイス 50.7%

カテゴリ:
CAOLILA
Gordon & Macphaile
Connoisseurs Choice
Aged 28 years
Distilled 1990
Bottled 2018
Cask type Refill Sherry Hogshead
700ml 50.7%

グラス:
時期:開封後2-3ヶ月程度
場所:BAR 水楢佳寿久(ミズナラカスク)
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:華やかなオークと酸味のある綺麗な香り立ち。シトラスやピンクグレープフルーツ、蜂蜜、続いて木材の燃えかす、塩素とヨードが混じるしっとりとしたスモーキーさ。

味:口当たりはスムーズで薄めた蜂蜜や柑橘、グレープフルーツのワタ、コクのある甘酸っぱさを感じた後で、コゲ感伴うピートフレーバーが粘性を伴って広がる。柔らかいが濃厚で長く続くスモーキーな余韻。

熟成感のしっかりあるカリラ。樽感は綺麗にまとまっており、酒質由来の風味を邪魔しない。バランスの良さも魅力である。ストレートで。


昨年大幅リニューアルしたGMのコニッサーズチョイス。同銘柄はこれまでは一部例外を除いて、40〜46%の加水調整済みで複数樽仕様を主としていたところ。シングルカスクかつカスクストレングスでリリースされるグレードが登場し、現代の愛好家の嗜好に合わせてきた印象があります。

そのリリースは価格はそれなりにするものの、レベルの高いボトルが多いと評判で、実際自分がこれまで飲んだアバフェルディ、ハイランドパーク、プルトニー、そして今回のカリラ、どれも一定レベル以上の出来でした。  
また、カリラを始めアイラモルトは長期熟成の原酒枯渇が著しく、ボトラーズではシングルビンテージのリリースがザラという中で、今回のような熟成年数がでてくるのは歴史と規模のあるメーカーだからこそと思います。

(BARミズナラカスクにて、コニッサーズチョイスのアバフェルディ1993、カリラ1990、グレントファース2007。現地GMショップを訪問した際、篠崎オーナーが特に魅力を感じて購入した3本とのこと。)

度数は熟成を通じて程よいところまで下がり、樽感はえぐみやホグスヘッド系の過剰な華やかさのない、カリラのクリアな酒質を活かすには丁度いいバランス。
シェリーカスク由来と思しき要素は香味の甘酸っぱさとして多少感じられる程度で、元々シェリーの熟成が短いシーズニングカスクの2回目か、古樽を長期熟成で出し切ったあとの2回目か。。。品の良い樽感から恐らく後者でしょうか。

いずれにせよ酒質が活きるという点で、シェリーシェリーしない樽であったことがプラスに作用しており、さらに熟成させてもこれ以上にはならないだろうなという、まさに熟成のピークにある原酒だと感じます。
2010年ごろによくリリースされていた70年代〜80年代前半蒸留のカリラと比べると、同じ熟成年数でも個性の強さというか全体的な大きさは一つ劣る印象は致し方ないにしても、ここ数年の市場においては充分レベルの高い1本でした。

(オマケ:ミズナラカスクのフィッシュ&チップスは虎河豚。インスタ映えな写真。。。だが、カリラは合わせるようなボトルでなかったので、この後タリスカーハイボールを注文(笑))

アバフェルディ 25年 1993-2018 GMコニッサーズチョイス 58.8%

カテゴリ:
ABERFELDY
GORDON & MACPAHIL
CONNOISSEURS CHOICE
Aged 25 years
Distilled 1993
Bottled 2018
Cask type 1st fill Sherry Punchon
700ml 58.8%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR GOSSE
時期:開封後1ヶ月未満
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:注ぎたてはハーブっぽいニュアンスを伴う、ハイトーンなウッディネス。カラメルソースやカカオチョコレート。時間経過でレーズン、ベリー感も開いて濃厚なシェリー香が充実してくる。

味:香り同様にリッチなシェリー感。カラメルソースやベリージャムを思わせる粘性のある甘み。奥には微かな硫黄、かりんとうっぽさ。余韻はドライでスパイシー、古酒感を伴う懐かしい味わい。

カラメルっぽさ、蜜っぽい甘みでGMらしさのある香味と、それ以上にベリー系の香味を伴う古き良き時代を連想させるオールドタイプのシェリー感。微かにサルファリーなニュアンスもあるが、むしろそれがベリー系の香味を底上げしている。近年少なくなったグッドシェリーカスク。


ちょいと仕事が立て込んで、いつもよ早く出社してるのに帰宅は終電という生活が続いたので、更新作業まで手が回っていませんでした。
こういう時は休日に書きなぐって残るは微修正くらいにしておくのですが、休日も家庭行事と休日出勤で潰れるってね(汗)。

しかしそうは言っても放置すれば気持ちはどんどん冷めていく。こういう時はハイプルーフなウイスキーを煽って、気合を入れて書くしかありません。
さて今回は先日大幅リニューアルしたGMのコニッサーズチョイスブランドから、注目の1本にして、自分のお気に入り。既に一部ドリンカーの間では話題になっているので今更感はありますが、涼しくなってきた今こそ飲みたい、アバフェルディのシェリーカスクです。

このボトルの最大の特徴は、近年の濃厚シェリーといえばシーズニングスパニッシュオークがトレンドとして定着しつつある中で、アメリカンオークで商品用のシェリー(おそらくクリーム)が長期間入ってたと思しきカスクが、パンチョンを作る際のベースに使われたと考えられる香味にあります。


アバフェルディのスタンダードラインナップは、12年から28年まで麦芽風味や蜂蜜を思わせる甘みをベースにした、リフィル系のアメリカンホワイトオークカスクを中心に構成されているため、濃厚なシェリーカスクはあまりなじみが無いかもしれません。

しかし、過去にはオフィシャルのカスクストレングスで近い香味のものを、ほぼ同じビンテージから複数リリースしており(写真上一例)、個人的にアバフェルディはリアルシェリー系列の1st fillでも良い原酒を持っているのでは・・・と感じていたところ。その香味の共通項から、ひょっとして今回のリリースはGM所有ではなく、オフィシャルから買い付けた樽なのでは?とも感じたほどです。

まあこの際樽の出元はどこでも良いのですが。先にも触れたように、近年主流のスパニッシュオークのオロロソシーズニングは、樽材の特性からウッディなニュアンスが強く出すぎるため、どうしても甘みが重く、ベリー系のニュアンスを伴うフルーティーさは出づらくなります。また、スパニッシュオークだと、香木のようなアロマが強く混じるのも特徴的。
それが悪いと言うワケではないのですが、今回はそうしたタイプとは異なる樽感がアバフェルディらしいコクのある酒質が合わさって、粘性のある甘みを後押ししている印象。これはナイスリリースですね。

先日リンクウッド1973の記事で触れた、2010年ごろまで主流だったシェリーカスクリリースのひとつが、まさにこの系統なのです。
現在は急速的に市場から失われており、それをブランドリニューアル後の初期リリース枠にピックアップしてきた。この他、ハイランドパークやプルトニーなど、同じくコニッサーズチョイスからリリースされたボトルもそれぞれキャラクターを感じやすく、完成度の高いリリースは流石の一言。
原酒の選定でこうもレベルが上がるのか。このクオリティが維持されることを期待して、新生コニッサーズチョイスの今後の展開もたのしみにしています。

ストラスアイラ 35年 1937-1973 GM コニッサーズチョイス 43%

カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
Connoisseur's Choice
Over 35 years old
Distilled 1937
Bottled 1972-1973
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:KUMC
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★★(9)

香り:ウェアハウスを思わせる古く落ち着いた香り立ち、キャラメルナッツ、熟したオレンジ、燻した麦芽から土っぽいピート香、存在感のあるスモーキーさ。ほのかに貴醸酒のような古酒感や、陶酔感を感じる。グラスの残り香も素晴らしい。

味:まろやかでコクがあり、どっしりとした麦芽風味主体の口当たり。サルタナレーズン、林檎のカラメル煮。後半にかけてじわじわとピーティーでスモーキーなフレーバーが開き、鼻腔にも抜けていく。
余韻はカラメルソースやローストした麦芽風味、染み込むようなほろ苦さが長く続く。

ピートと麦芽風味の素晴らしい一体感。そこにリフィル系の枯れたオールドシェリー樽のアクセント。アルコールも立っており、状態は素晴らしい。少量加水するとスモーキーさが穏やかになる一方、陶酔感あるシェリー香、麦芽香が主体的になり、うっとりとするようなアロマが広がる。ただし味は水っぽさが強くなり、加減が難しい。


エドワード&エドワード表記、ジャッコーネ向けのコニッサーズチョイス。これはもう時代と経年がもたらした贈り物と言える、オールドモルトの良さが結実したようなボトルです。
懐古厨と言われようと、ラベル酔いと言われようと、良いものは良い。やはりスコッチモルトは麦とピートの酒なのだという、そのものの本質と、格の違いを感じさせられてしまう1本でした。

ストラスアイラは1950年にシーバスリーガル社の傘下となり、現在はペルノリカールグループにおける文字通り"キーモルト"を提供する、主要蒸留所であり続けています。
今回はその買収遥か前、当然設備や製法なども旧式だったと思われる時代の作。1940年代、30年代のモルトは平均して語れるほど多くの蒸留所を飲めていませんが、これまで飲んだモノに共通してあるのは分厚い麦感、そして内陸とは思えないほど存在感のあるピートの層。
おそらくボトリング当初はもっと強い主調があったものの、経年によってまとまった香味の形が、この時代のウイスキーを飲む醍醐味だと感じています。

また、コニッサーズチョイスは単一ビンテージで複数樽バッティングがあるのもポイント。バッティングによる香味の複雑さと安定化、今の原酒はそうでもしないとってのはありますが、香味の強いこの時代でそれをやってたらもう反則ですよ。
それをオフィシャルではなくボトラーズ1社が定常的にリリースしている点が、GM社が様々な蒸留所の準オフィシャルとして機能する、圧倒的な原酒保有量を垣間見る要素とも言えます。
いやはや、本当にスケールが違うメーカーです。

(今回のヤッテヤッタデス事例。主犯は自分では無いが、結局一口便乗したので同罪か。美味い、美味いがこれじゃなくても。。。あまりの罪深さに手が震えて、写真のピント合わせもままならない(笑))

なお、GM社は今年から既存ラインナップの全面的な見直し、リニューアルを始めています。
この動きは、GM社の100年を越える歴史の中で初めてのこと。近年のGM社は物凄い勢いでラインナップを拡充してきましたので、差別化がわかりにくいものや、継続しているのかもわからないシリーズもちらほら。ここで一気に整理して、選択と集中を行うのもアリだと思う一方、こういうのは大概値上げとセットになりがちですから消費者としては一抹の不安が。。。(JISさんの発表ではディスカバリーなるシリーズも誕生するようですし。)

既にリニューアルが発表されたのが、今回の記事でもあるコニッサーズチョイス。1968年にリリースが開始され、今年で半世紀、節目の年のリニューアル。
ラインナップにおける基本的な方針はこれまでと変わらずですが、カスクストレングスとウッドフィニッシュが正式の加わる模様。ラベル下部の色でラインナップを分けており、ゴールド:従来通り46%加水、シングルカスク並びにスモールバッチ含む。グレー:カスクストレングス。レッド:カスクフィニッシュタイプ。と整理されるようです。

気になる店頭価格は70ドルから500ドルの間くらいとのことですが、日本だと諸々込みで1万円弱くらい〜でしょうか。
後はどんな中身で来るか、続報を待ちたいです。

グレンエルギン 36年 1968-2004 GMコニッサーズチョイス 46%

カテゴリ:
GLEN ELGIN
Gordon & MacPhail
Connoisseurs Choice
Aged 36 years
Distilled 1968
Bottled 2004
Cask type 1st fill Sherry Casks
700ml 46%

グラス:木村硝子ティスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:皮付き葡萄、ほのかにベリージャム、カラメルソースのほろ苦さを伴う甘いリッチなアロマ。高貴なニュアンスがある。スワリングしていると麦芽の芯の部分、バニラを思わせる甘みが開いてくる。

味:まろやかだが少しベタつく口当たり。レーズンチョコレート、ほのかにカカオ、カラメルソース。ほろ苦さとあまずっぱさがしっかりと広がる。鼻抜けはベリーを含むフルーティーなシェリー香。
余韻にかけては麦芽風味、ややベタつく舌触りを残して長く続く。

ザ・GMという独特の甘みのあるまろやかなシェリー樽由来の香味から、淡く高貴な果実味。酒質由来の麦芽風味やほのかなピート香も感じられる。個性と樽感のバランスが取れた佳酒。加水調整によるひっかかりの少ない飲み口で、負担なく飲み続けられる。是非ストレートで。


現在のGMコニッサーズチョイスから、2世代前に当たる時期のボトル。個人的にはGMがGMであった時代というか、GMだからこそと感じるリリースでもあります。

それは色合いや風味に加え、このボトルが複数樽バッティングによるシングルモルトであること。
使われた原酒は1968年6月蒸留の1st fillシェリーカスク熟成のみで、味の傾向にブレもなく、恐らく当時のグレンエルギン蒸留所からニューポットをXX樽分として買い付け、まとめて自社保有の樽に詰めて熟成させていたのでしょう(結果蒸留時期が同じで味の系統も同じ樽が複数揃う)。

メーカーとしての規模に加え、長い歴史があるからこそ可能なリリース。
そのシェリー感は、近年主流になりつつあるスパニッシュオークの香木系ニュアンスを含むフレーバーではなく、カラメルソースのようなとろりとした甘みにウッディなほろ苦さが混じる独特のGMシェリーをベースに、ベリーや葡萄の果実味のある高貴なシェリー感のある構成。
先に書いたように樽の系統が複数樽の中で大きくブレている感じはなく、似た系統の樽でそれぞれ熟成されていると感じられます。

リリースの多かったGM社一連のシリーズ。店頭は難しそうですが、きっとまだBARや愛好家のストックとして眠っているモノも多いはず。
あともう2〜3本ストックしておきたいのですが、どこかに転がってないものか。。。

このグレンエルギンは、先日、友人との持ち寄り会に持ち込むので開封した一本。60年代のグレンエルギンというと、結構珍しいですね。GMなら大きくは外さないはず。。。と思ってましたが、やはりさすがの安定感です。
(さりげなく書かれているホワイトホース表記も個人的にグッときます。)

今から6年前、某ショップに売れ残っていたこのボトルを購入する際、同じコニッサーズチョイスで同じビンテージのグレンキースも在庫があり、どちらにするか悩んでエルギンにしたことをボトルを眺めていて思い出しました。

当時は3回蒸留時代のキースを買っておけば良かったかなと若干後悔したのですが、実はそのボトルは数年後に嫁経由で自分の手元に来るという奇跡的な縁を見せ・・・。なお、自分の好みを言えば、内容的にはダントツでこのシェリー樽熟成のグレンエルギンを買っておいて良かった。今のウイスキー市場を見ると、殊更そう感じます。

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