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アイルサベイ NA 48.9% オフィシャルボトル

カテゴリ:
 
AILSA BAY
Single malt scotch whisky
(No Aged)
PPPM 21
SPPM 11
700ml 48.9%

グラス:SK2、創吉テイスティング
量:100ml程度(シェア購入)
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★(4)

香り:ピーティーで若い酸味の混じる麦芽香、ハッカ、スワリングしていると淡い消毒臭、時間経過でシロップの甘みと根菜のアクやエグみを思わせる植物感が開いてくる。樽感は淡く、奥行きや複雑さはあまり感じない。

味:水っぽい飲み口からエッジの立った口当たり。じわじわと土っぽいピーティーさ、根菜、ニガリを思わせるえぐみと苦味に加え、ビスケットを思わせる甘みが感じられる。
余韻はピーティーで植物系の苦味が強くなっていく。香り同様、若さをピートで補っている印象で、熟成感は弱く酒質もプレーンであり複雑さもあまり感じれない。まだ若く、分離感のある味わいだ。


ウィリアムグラント社が、2007年に新設した第4蒸留所、アイルサベイ。そのファーストリリースです。
本蒸留所はグレンフィデックの兄弟蒸留所に当たり、その他にもバルヴェニー、そしてキニンヴィが有名です。
中でもキニンヴィは、原酒がほぼ100%ブレンド用であるため、飲めない蒸留所として知られているわけですが、グラント社はここにきてもう一つ、シングルモルトマニア注目の蒸留所を追加してきたわけです。
「どうせまた飲めない蒸留所だろ」とあまり意識もしていませんでしたが、どうやら昨今のブームを受けてシングルモルトも展開されていくようで、ウイスキー仲間との海外直接購入であっさり飲む機会に恵まれてしまいました。

アイルサベイ蒸留所は、ウィリアムグラント社がローランドに所有するグレーン工場、ガーヴァン蒸留所の敷地内に建設されており、位置づけ的にはローランドモルトに分類されます。また、ガーヴァン敷地内の建設場所はレディバーン蒸留所の跡地でもあり、閉鎖、グレーン蒸留所も含めると、アイルサベイはウィリアムグラント社の第6蒸留所であるとも言えます。
ローランドモルトとしては珍しくピーテッドタイプで仕込まれており、ピートレベルはブルイックラディ(ポートシャーロット)とほぼ同じ21PPM。もう一つの指標となるSPPM(Sweet Parts Per Million)は独自の表現方法で、甘味のレベルを意味するようです。
SPPMは比較対象がないため、現時点であまり意味はないですが、今後同社の製品に統一して使用されるなら面白い試みだと思います。


前置きが長くなってしまいましたが、今回のボトルは、そもそも最長で8年熟成というところ。味に奥行きがなく単調気味な構成となっています。
同蒸留所では、ニューメイクスピリッツを、一度ハドソンベイバーボンと呼ばれる25~100リットル程度の小さい樽に詰め、6~9ヶ月間熟成させて味を濃縮させ、その後ボトリングまでの期間をファーストフィルかセカンドフィルのバーボンバレルで熟成するという、一般的に行われている熟成方法とは逆の工夫もされているようです。しかし今回のボトルでは、メーカーコメントほどの樽感は感じられず、全体的に淡い仕上がりとなっているところ。土っぽいピーティーさと植物系のニュアンスの混じる根菜のような風味が主体で、若さはピートで中和されてなんとか飲めるかなというレベルの仕上がりです。他の蒸留所で例えるなら、近年の若いレダイグに似ている部分があるかなという印象も持ちました。

ハイボールにすると消毒液のようなアロマが強く立ってきます。飲み口はすっきり、その中に香ばしさも感じられ、やっぱりピーティーなモルトは炭酸との相性が良いんだなと思う反面、これじゃなくても良いように思うのは・・・。
今回はファーストリリースですし、旨さというより際立った個性を楽しむボトルだなと整理。面白い原酒がラインナップに加わったと思います。ブレンドの観点では原酒の幅が増えるのは良いことですし、今後のアイルサベイ並びにウィリアムグラント社の展開が楽しみです。

グレンフィディック 18年 スモールバッチリザーブ 2016年発売

カテゴリ:
GLENFIDDICH 
Aged 18 Years 
Small Batch Reserve 
Batch No,3306 
40% 700ml 
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ツンとした刺激とリフィルシェリー系の生っぽい木の甘さ。林檎、アーモンド、焦げた木、リッチで徐々に淡いピーティーさも感じる。

味:なめらかな口当たり、ボディはミディアム程度から少々厚め。パン生地の香ばしさと甘み、ドライアプリコット、リフィルシェリーのヌカっぽさ。
余韻はウッディで微かにスモーキー。ホットケーキシロップのような甘さが残る。
バッティングされた中でらしい複雑さ、ややシェリーの印象を強めに感じるが、良い部分も悪い部分もある。


サントリーがグランレゼルヴァ21年と合わせ、1月26日に発売した18年スモールバッチリザーブ。スパニッシュオークのオロロソシェリー樽の原酒とバーボン樽の原酒をバッティングし、3か月間マリッジした1本です。
あれ、18年って前からサントリーのラインナップにあったよね、しかも似たような原酒構成で。と思って調べてみると、ラインナップにあったのは18年エンシェントリザーブで、しかもいつの間にか終売になっていました。(昨年9月ごろに終売となったようです。)

正直自分はこの18年エンシェントリザーブは一度ブラインドテイスティングで飲んだきり(答えは忘れたが悩んだ末に外したことは覚えている)で、バーボン樽とシェリー樽のバッティングらしく、リッチな口当たりに加えて余韻が意外とピーティーだったくらいしか覚えていません。
そのため、前リリースとの比較は非常にあいまいではありますが、今回のスモールバッチリザーブ18年も同系統でありリッチな飲み口、しかしながら少々薄くなったかなという印象。
これは樽由来の甘さが少し薄くなったためか、香りではスパニッシュシェリーらしい木の生っぽい香り、味では酸味など、通常甘さの裏に回りがちなフレーバーがいくつか感じられます。
21年グランレゼルヴァがだれが飲んでもそれなりな評価だったのに対し、こちらは好みが分かれそうなタイプです。
飲み方としてはストレート以外にロック、少量加水は取り立ててプラスの変化はなく、濃いめのハイボールだとスムーズな飲み口にナッツのような香ばしさが感じられて中々いい塩梅でした。

ちなみに、旧ボトルとなるエンシェントリザーブの仕様と、今回のスモールバッチリザーブの仕様。
名前が違うだけでシェリー樽+バーボン樽で3か月以上追熟という仕様は同じ。どちらもロットナンバーで管理されている。
もちろんブレンド比率が違ってるんでしょうけれど、スモールバッチの意味って・・・なんなんでしょうね。エンシェントより各ロット(バッチ)の生産量が少ないのかな。

グレンフィディック21年 グランレゼルヴァ ラムカスクフィニッシュ サントリー正規品

カテゴリ:
GLENFIDDICH
21 Years Old
Gran Reserve
Rum Cask Finish
40% 700ml
評価:★★★★★★(6)
 
香り:華やかで軽やかな香り立ち。オーキーな乾いたウッディーさ、胡桃、洋梨、ドライアップル、あくまで軽やかで心地よい。時間と共に微かなスモーキーさも感じる。
 
味:スムーズでライトな口当たり、序盤はオークフレーバーに蜂蜜、青りんご、奥には麦芽風味。口当たりはライトだが後半にかけてフレーバーが広がってくる。
フィニッシュはややドライで、微かなピートフレーバーにオーク、オレンジピールやドライフルーツ、多層的なフルーティーさを伴って細く長く続く。
 

昨日1月26日に、サントリーから日本国内向け正規品として発売されたうちの1本。
ただ実際は2013年頃から免税店向けとして流通していただけでなく、日本国内にも昨年サントリーが発売を発表した時点で既に並行品として入ってきており、少々今さら感のあるボトルでもあります。この点に対する蛇足は後述するとして、まずはボトルの総括を。
 
グレンフィディックは12年を飲んでいただければわかるように、酒質の強いタイプではなく、穏やかで華やかな、まさにスペイサイドというウイスキーです。
そのため、シェリー系の原酒は個性が吹っ飛んでしまう傾向にあり、同傾向でマッチしやすいバーボン樽系の原酒でも長期熟成となれば樽要素が強く出て、いずれにしても酒質由来の要素は裏方に回る印象があります。
今回の21年はシェリー樽原酒とバーボン樽原酒をバッティングした後、ラム樽で4か月間のフィニッシュを兼ねたマリッジ。飲み口柔らかく、華やかな風味は例えるなら日本酒の大吟醸というイメージ。シェリーではなくバーボン系の特徴を感じる味わいで、らしさは裏方に回っていますが、癖の少ないフルーティーさに底支えとなる麦芽風味、そしてオフィシャルバッティングらしい多層的な味の広がりは、グレンフィディックの正常進化系として納得できる構成です。大多数の人が飲んで飲みやすく、美味しいと感じる味だと思います。
最近、現行品からオールドまで、グレンフィディックを飲む機会が多いのですが、1970年代以降のこの蒸留所の安定感は目を見張るものがありますね。
 
なお、飲み方としてはストレート向きで、ロック、ハイボール共に可もなく不可もなく。ロックだととにかく飲みやすく、悪くはないですが自分のようにハイプルーフに慣れた飲み手には水のようです。ハイボールだとオークフレーバーだけが残って、少々腰砕け気味逆に感じました。
 
 
以下は後回しにした蛇足的なこと。
今に限った話ではないかもしれませんが、消費者側から見ていると、正規品に対して並行品が流通をリードする場面が多く見られます。ことこの1年に限ってもノブクリーク、スキャパ、アードモアなど、正規品の発売が1年遅れはザラ。ラフロイグなんて市場に多様なボトルが流通していますが、今や半数以上が並行品です。
これは並行業者の努力が、我々のようなもう一歩踏み込みたいファンに、さらなる選択肢を与えてくれているわけですが。在庫が安定しづらい並行品に対して、一定量を長期に渡って供給出来る正規品が後追いで補完する、Win-Winの関係とも言えます。
しかし国によっては、~~向けというオリジナルボトルの発売があるなど、正規側がリードしているケースもあります。製造元との調整やら色々あってそう単純な話ではないんでしょうけれど、サントリーさんにはもう少しがんばって欲しいと、いち愛好家として願っています。

グレンフィディック 12年 オフィシャルボトル 2015年リニューアル品

カテゴリ:

GLENFIDDICH 
AGED 12 YEARS
OUR SIGNATURE MALT
40% 700ml 
評価:★★★★★★(5ー6) 

香り、若い洋梨と麦芽を思わせるフルーティーなアロマ。徐々に摩り下ろしたりんごのような白いフルーティーな甘さに変化し、スワリングしていくと麦芽香と若い酸味を感じるアロマが主体となってくる。
少量加水すると麦芽や蜂蜜のアロマが開く。

味、ふっくらしたパンをかじったような柔らかい麦芽風味の口当たり、おしろい、オレンジピール、中間はべったりした舌触りでほのかなピート香。
余韻はシリアル系の香ばしさを伴う麦芽風味でほろ苦く軽やかなスパイスと蜂蜜の甘さ。あっさりしており嫌味はあまり感じない。


2015年9月にさりげなくリニューアルされていたグレンフィディック12年、今後オフィシャル通常リリースの1つとして店頭に並ぶ、リニューアル後のボトルです。
リニューアルについてはサントリーからの公式発表もなく、海外サイトにひっそりと情報が載っていました。外観の変更点は
鹿のトレードマークがシャープになり、 ボトル下部分のラベルの変更などで先立ってリリースされたグレンフィディックオリジナルのデザインに合わせる形です。

New look for Glenfiddich 12 and 15 Year Old whiskies (Bar Magazine 2015/9/2)
http://barmagazine.co.uk/new-look-for-glenfiddich-12-and-15-year-old-whiskies/

このニュースに気が付いたのは10月の半ば。某酒販店関係者からは「前より良いよ」と言う話があったものの、しかし店頭在庫が掃けないとリニューアル後のラベルには切り替わらない。最近オフィシャルが良い流れなので早くどこかに入らないかな~と思っていたら、サントリー系列の日比谷BARに入っていたので飲んでみました。

これまでも何度か書いていますが、グレンフィディックは1960年代の魔のパフューム時代は別として、1970年代蒸留以降は今日に至るまでハウススタイルと言える個性を維持し続けている蒸留所です。(15年や18年は樽の影響が強くなるため、12年クラスが一番蒸留所の個性がわかりやすいです。)
それは洋ナシやリンゴを思わせる華やかな麦芽香。ここに厚みや強弱はあれど、1970年代以降はどの年代にもこうした特徴がみられます。

今回のボトルはその華やかさがわかりやすくなり、1〜2世代前のボトルよりフルーティーな方向にシフトしたように感じます。本質的には麦芽風味であることは変わりませんが、若いとげとげしさはあまり感じませんし、嫌味も少ない。後半の蜂蜜のような粘性のある甘みが、少々シャープになった印象もありますが、時間経過で開く印象もあります。
総合的には「よくなった」より「わかりやすくなった」と言うのが正しいかもしれません。

リニューアル後のラベルは、ビックカメラ酒販やアマゾンなどの回転が速い酒屋なら、すでに店頭に並んでいるようです。3000円前後で手ごろな価格ですし、ハイボールで飲むのも良好。この味が好きという方は日常的に飲めるボトルであるのは勿論、比較的ウイスキーを飲み慣れた人にこそ、改めて飲んで欲しい。その良さがわかる優良なスタンダードと思います。

グレンフィディック 44年 1964年蒸留 2009年ボトリング 58.1% キングスバリー

カテゴリ:


GLENFIDDICH 
Kingsbury Finest & Rarest 
Aged 44 years 
Distilled 1964 
Bottled 2009 
700ml 58.1% 
評価:無し 

香り:非常に豊潤で甘味と深みを感じる豊かなシェリー香、ベリー、葡萄を思わせる果実香もあり、香りは実に豊か。官能的。
ただし加水するとバランスが崩れてパフューム香が出てくる。

味:口当たりは濃厚で、一瞬の艶やかな甘味の後で、強いウッディネスとソーピーなパフュームフレーバーが口の中を支配、そのままビターでタンニンの渋みとソーピーな余韻へとつながる。

思うところあって久々に飲んでみたキングスバリーのグレンフィディック。
1964年蒸留で2009年ボトリングは度数違いで2種類リリースされたうち、まだ飲めると言われたほうの58.1%。このブログでグレンフィディックについて書く際に度々触れる、パフューム全開だった1960年代蒸留を代表する1本です。
キングスバリーの長期熟成フィディックは合計で5~6種類リリースされ、すべからく素晴らしいシェリー香の奥から湧き上がるパフュームフレーバー。
いかに素晴らしい樽を持ってしても、この個性は圧殺出来なかったのでしょう。
ところが先日そのうちの1本のサンプルをもらって飲ませてもらったところ、そのサンプルからはパフュームがあまり感じられず、ひょっとして時間経過で軽減されるのか・・・?と、確かめたくなったわけです。

実は今回のボトルは自分が進呈した(押し付けた)モノで、実に4年ぶりの再会。
抜けていたら極上特濃シェリーだけが残るはずですから、強奪して帰ってやろうとジャイアニズムも企んで。しかし結論は相変わらずのどパフューム。あのサンプルはなんだったんだろうと首をかしげました。

ならばと、これまた別なウイスキー仲間とのやり取りの中で「パフュームは葉巻と合わせたら美味しくいけそうじゃないか」という話があったことを思い出し、丁度いいからと挑戦してみました。
上等な葉巻で合わなかったら最悪ですので、ここは安いけどそこそこ吸い応えのあるビリガー・エキスポートを召喚。本来シェリーとシガーの相性は鉄板です。しかしこれまた結論は相変わらずのどパフュームで・・・。


パフュームフレーバーを出すボトルは最近数を減らしつつあり、ほぼ絶滅危惧種と言っても良い状態です。
しかしロングモーンの60年代や70年代から、無いはずのパフュームを感じるという事例が自分の身の回りで何件かありましたし、
ロングモーン以外でも、 愛飲していたボトルがある日突然パフュームフレーバーを伴うようになってしまう事例もあります。
つまり現行リリースもいつこの手のフレーバーが復活するかわかりません
原因については諸説あり定かではありませんが、もはやこれはウイスキーにおける病の一種みたいなモノですね。

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