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グレンキース 25年 1993-2018 AQUA VITAE 50.7%

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GLEN KEITH 
AQUA VITAE 
FIVE ELEMENTS "FIRE"
Aged 25 years 
DISTILLED 1993 
BOTTLED 2018 
Cask type Hogshead #155 
700ml 50.7% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:ジェイズバー
暫定評価:★★★★★★(6)

華やかでドライ、オーキーな香り立ち。バニラや黄色系のフルーティーさがイメージ出来、はっきりとしていて良いところが分かりやすい。口当たりは軽やかなボディから王林系の酸味の少ない林檎、微かにスペアミントのハーブ香が備わる。余韻はオーキーで、乾いたウッディネスを感じつつ華やかなフィニッシュが長く続く。

いわゆる近年のバーボンホグスヘッド樽とキースの組み合わせによる王道的味わい。華やかでオーキーで、だいたいの人が美味しいというタイプ。あとはどれだけボディが残っているか、ドライすぎないかというのがこのペアの個性になるといっても過言ではないが、このカスクは比較的バランスが良いタイプ。
少量加水しても悪くはない。

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先日のテイスティング会を見ていて、全員から評価の高かったボトルのひとつ。
ファイブエレメンツシリーズの火属性をあてがわれたグレンキースですが、まずヴィンテージ、樽、そして蒸留所の組み合わせで「まあ間違いないよね」と思っていたボトルであり、予想通り普通に美味しいボトルでした。

Fire(火)の解釈としては、似たようなコンセプトでは、ハイランドパークがオフィシャルから"ファイアエディション"をリリースしています。これはポートワインの樽を使っていて、色合いからの炎のイメージを重視していたところ。(そこまで赤く濃い仕上がりではありませんでしたが。)
一方でこのグレンキースは、オーキーな華やかさがゆったりと、それでいて強く主張してくるような香味構成で、色ではなく香味の主張でのFireのイメージで、成る程と思わされたのです。

さて、この手のボトルは普通に美味しいことから、面白くないとか、あるいは有り難みがないとか、そういう観点が邪魔して市場に残りがちです。
ただ面白いボトルというのは愛好家の興味はひくものの、ボトルを所有して日常的に飲みたいかというとそうではなく。やはり普通に美味しいという存在は有り難く、貴重なのです。あまりに普通にありすぎるから、ついつい軽視しがちなんですよね。

それこそグレンキースは今でこそリリースが潤沢ですが、1999年から2014年まで比較的長い間閉鎖されていたため、今後10年しないうちに熟成した原酒が貴重になってくるかもしれません。
近年のシングルモルトのブランド価値を考えれば、グレンキース30年10万円とかオフィシャルリリースがそのうちあったりして、気がつけばボトラーズ含めて高嶺の花になってしまうのではないか。。。とも危惧しています。

グレンキース 23年 1995-2019 富嶽三十六景シリーズ for モルトヤマ 53.4%

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GLEN KEITH 
Abeyhill (Kingsburry) 
Aged 23 years 
Distilled 1995 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
For Maltyama 
700ml 53.4% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで華やかな香り立ち。乾いたオークと干し草、レモンピール。スパイシーではあるが徐々に林檎やファイバーパイナップル等のドライフルーツを思わせるアロマ、バニラの甘さが開いてくる。

味:リモンチェッロ等の柑橘系のリキュールを薄めたような甘さから、すぐにドライでオーキーな華やかさと乾いた刺激。ナッツや洋梨、奥には麦芽を思わせる要素もあるが、樽感主体であまり目立たない。
余韻は華やかでドライ、微かに黄色系果実の戻り。ややエッジの立ったウッディネスとスパイシーな刺激を伴って長く続く。

ホグスヘッドで熟成した内陸原酒らしい、軽やかで華やかな構成。開封直後はツンとドライな刺激があるが、時間経過でポテンシャルを発揮する。グラスでの変化や類似リリースの傾向から、ボトル所有なら開封後1~2年後くらいで、余韻にかけてフルーティーさがさらに広がってくるような変化が期待できる。時間をかけてデレさせるべきボトル。
加水すると華やかさはぼやけるが、洋梨のピューレや麦芽風味を思わせるまろやかな甘味が感じられる。なお、ハイボールも悪くないがこのボトルじゃなくても感は否めない。


富嶽三十六景シリーズは、ここ数年積極的にプライベートボトルのリリースを行っている、富山のウイスキーショップ「モルトヤマ」のオリジナル。ファーストリリースのブナハーブンから数えて4作品目にあたります。
同店のオリジナルブランドのラインナップでは、富嶽三十六景は中長熟の原酒を選定し、全体を通して一定以上の完成度を目指しているシリーズで、近年のなかで間違いのないところが揃っているという印象です。

今回のグレンキースも、近年系スペイサイドの王道的な構成と言えるもの。ホグスヘッド樽(アメリカンオーク樽)のオーキーなフルーティーさが20年を越える熟成で酒質とほどよく馴染んでおり、ややドライな要素はありますが、それもキースらしさというか、熟成のピークに来ていることを感じさせます。
市場を見ると類似のスペックのボトルが結構リリースされていて、違いは樽がどれだけ効いてるかというところ。元々ボディがそこまで強くない酒質故に、軽やかでシャープな特徴を活かすなら、これくらいの味付けはちょうど良いように感じます。

グレンキースは1999年に操業を休止していましたが、近年のウイスキー需要増を受けて2013年に再稼働して現在に。
いわゆる生産調整というヤツですね。基本的にシーバスリーガルなどのブレンデッド向けの原酒ですが、1990年代に限らずボトラーズリリースが多いのは、冬の時代を中心に当時のブレンドメーカーに原酒が売られていたからと推察します。
なお、再稼働したグレンキースは、マッシュタン、ウォッシュバックなどの主要生産ラインを含む全面的なリニューアルを行っており、スチルの一部を残して全く新しい蒸留所に生まれ変わっています。
蒸留所側は休止前と同じ酒質を再現するよう心がけているとのことですが、近年の他蒸留所の動向を見ると、さらにライトで癖のない感じになりそうな。。。(何年ものが使われてるかわかりませんが、最近リリースされた蒸留所限定品のNASは、だいぶ軽い仕上がりでした。)

そう考えると、現在比較的市場にモノがあるグレンキースの90年代も、あの頃のフルーティーなキース、意外と良かったねと言われる時代が来るのかもしれません。
個人的な感覚ですが、グレンキースの熟成原酒は、過去のもの含めて開封から良さを発揮するのに時間がかかる。最近のリリースだけでなく、今より酒質が強かった1960~70年代でもそんな感じなので、ちょっと時間をかけながら楽しんでいくのがオススメです。
今回のボトルは、余韻にオーキーなフルーティーさがはっきりと開く変化が理想系。余韻部分だけ切り取ると、埋められた種から芽が出て花が咲くような、そんな成長が期待出来ると思います。


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今日のオマケ:リチャードハミルトン センチュリオン シラーズ 2002

週末飲んでたワイン。樹齢100年を越える古木から採れる葡萄を使って作られる、オーストラリアの濃厚シラーズ。毎年ラベルの年数が増えているのが特徴。穏やかながらフルボディなワインで、早飲みから10年以上の熟成にも耐えるという1本。
比較的新しいものは、シラーズらしい熟したようなベリー感とスパイシーさ、ギュッと歯茎を引き締めるようなタンニンが感じられますが、熟成した今回の1本は果実味やタンニンが落ち着いた代わりに黒土のような香りと枯れた木材、スパイスの種類も増えているような印象を受けます。

このワインは初日より2日目、時間をかける方が開きも良い。またスパイシーな肉料理との相性抜群。特にチョリソー、ステーキ等の焼き系はまず間違いない組み合わせなんです。ガッツリ行きたい日におすすめ。

グレンキース 1967-2002 GM コニッサーズチョイス 40%

カテゴリ:
GLEN KEITH
Gordon & Macphail
Aged 34-35 years
Distilled 1967
Bottled 2002
Cask type Sherry
700ml 40%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR Y's Land IAN
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ややドライで干し草と青みがかったニュアンスに加え、古酒感のあるシェリー感。カラメルソース、葡萄系の果実香は、イチジクの甘露煮やレーズンの甘酸っぱさ。

味:飲み口はまろやかでコクのある緩い甘み、シェリー感だが、すぐにピリピリとした刺激。枝付きレーズン、干し草、青い瓜、余韻にかけて淡くモルティーなフルーティーさが開く。ドライで微かにトーンの高いフィニッシュ。

三回蒸留らしい口当たりの鋭さと荒さ、青みがかったニュアンスを伴うドライな酒質だが、60年代のモルトにあるフルーティーさもほのかに感じられ、加水と良質なシェリーカスクで仕上がっている。酒質を樽が補っている典型例のようなウイスキー。


グレンキースは、1957〜1960年ごろの創業からしばらくの間、3回蒸留で原酒を作っており、今回のボトルもまさにその時期に該当します。
蒸留所を所有するシーバスリーガル(シーグラム社)は、当時シーバスリーガル12年に加え100パイパーズを展開し、拡張路線の真っ只中だった時代。クセの少ないローランドタイプの軽い原酒を、ブレンデッド用に調達する目的があったのでしょう。
その後の3回蒸留実施期間については諸説あるものの、1970年の拡張工事から2回蒸留が開始されているようです。

あくまで個人的な観点で言えば、3回蒸留は麦由来の香味を薄めてしまうだけでなく、酒質が尖りすぎる傾向があります。
今回のような長期熟成では、60年代蒸留に見られる原料由来の香味は淡くなるだけでなく、度数が落ちると中間にのっぺりとしたボディの無さも出てしまい、これが熟成でも薄まらない。よく言えばシャープな、辛口に言えば口当たりの荒さが、キャラクターと言えます。

この個性は熟成を経て、濃いシェリーカスクであっても主張してくるので、樽感との馴染みもあまり良いとは言えません。
結果、リフィル系の樽でプレーンかつハイトーンに仕上げたモルトとして個性を楽しむならともかく、3回蒸留は完成度を考えると難がある原酒が多いように感じます。

(ほぼ同時期蒸留のグレンキース。こちらはシェリー感が淡い分口当たりがさらに荒い。GMからは60年代のグレンキースが複数リリースされており、総じてローランドモルトにも通じる個性を感じることが出来た。)

今回のGMのコニッサーズチョイスは、マップラベルでは珍しい40%仕様のボトル。これより前のオレンジラベル時代は40%がスタンダードでしたが、このラベルは43〜46%の方が多かったように思います。
キースの60年代は、上述の通り原酒に違う意味で癖があるわけですが、今回はその強い加水と、当時のGMらしいこってりとしたシェリー感 が効いて、結果美味しく仕上がったボトルと言えそうです。

グレンキース 25年 1991-2016 ヴァリンチ&マレット 55.9%

カテゴリ:
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GLEN KEITH
Valinch & Mallet
Lost Drams Collection
Aged 25 years
Distilled 1991
Bottled 2016
Cask type Bourbon Hogshead
700ml 55.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@借り物ボトル・マッスルK氏
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ドライで華やかなウッディネス、ほのかにハーブ、林檎のコンポートを思わせるフルーティーさ。品の良いアロマで、あまり強くは香らない。

味:シャープでドライな口当たり。唾液と混じることで香り同様のフルーティーさとあわせて蜂蜜の甘み、樽由来のえぐみを微かに伴う。奥には麦芽、バタークッキーのような甘みもある。
余韻はドライでハイトーンなスパイシーさ。オーク系のフルーティーさがしっかりと長く、そして戻ってくるように広がる。

やや刺激もあるが、しっかりとフルーティーな樽感があり一口目が特に美味い。少量加水すると香りが開き、すりおろした林檎や熟した洋梨、柔らかい果実味のオーク香。味わいも口当たり柔らかくスウィートでフルーティー。バランスの良い味わい。


イタリアのボトラーズメーカーの作。以前ここのラフロイグが美味いと話題になり、存在は認識していましたが、改めて直近のリリースを見てみると、エイコーンが正規輸入とあって比較的まとまった種類が国内に展開されてる模様。値段はそれなりですが、面白そうなリリースもポツポツと見られます。

近年のグレンキースは繊細でシャープ、癖は少なく軽やかな口当たりから、林檎を思わせる果実香がハウススタイルとも言える銘柄。70年代から80年代は結構ふくよかで複雑さに通じる要素もあったのですが、90年代くらいから他のスペイサイド同様に酒質がライトでシャープな印象が強くなった気がします。
創業当時から現代に至るまで、ペルノリカール社(シーバスリーガル社)のブレンデッドの中核を担うモルト原酒であり、18年以上のグレードのシーバスリーガルに感じられる華やかさは、まさにグレンキースやストラスアイラといった近年のスペイサイドモルトの仕事を感じる要素となっています。

現在オフィシャルリリースが国内流通していませんが、ボトラーズリリースは比較的多く。仕様によっては硬さや刺激を強く感じるものもある反面、今回のように樽が効いたモノには、蜂蜜やコクのある甘さ、フルーティーさをしっかり感じるものあって、愛好家間では安定して美味しい銘柄の一つと認知されていると感じています。
特にこのバーボン樽系のグレンキースは、上記安定感もさることながら蒸留所のキャラクターを知る上でうってつけ。酒質と樽感との相性も良いですね。

ただ、グレンキース蒸留所は1999年に生産を一度休止しており、2013年に再稼働するまで原酒は作られていません。昨年、40%加水でノンエイジ仕様のオフィシャルボトルがリリースされたようですが、構成的には閉鎖前後の原酒を混ぜて使っているのではないかと推測。。。
1990年代のグレンキースは今後貴重な存在になっていくかもしれません。


ロイヤルサルート 21年 40% 近年流通品

カテゴリ:
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ROYAL SALUTE 
Blended Scotch Whisky 
21 years old 
2010's 
700ml 40% 

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1~2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:品の良いシェリー香。徐々に華やかなオークフレーバーも伴うドライな香り立ち。ライチ、麦芽、林檎のコンポート、嫌味の少ないモルティーさ。加水するとシェリー系のアロマが後ろに入るが、逆にオーク系の華やかなフレーバーが引き立つ。

味:スムーズで甘い口当たり。最初はとろみのあるシェリー系の甘さがあるが、中間からはほろ苦い乾燥した藁や麦芽系の風味、林檎のコンポート、ケーキシロップ、ほのかな植物感。一口一口のフレーバーは強くないが、余韻は蓄積するようにウッディーでドライ、若干のえぐみを伴い長く続く。
少量加水するとよりスムーズな飲み口で甘みが引き立つ。


ストラスアイラやグレンキースをキーモルトとした高級グレードのブレンデッド。
シーバスリーガルには公式サイトがありますが、ロイヤルサルートってなぜかオフィシャルサイトが見当たらないんですよね・・・。
近年日本で広く流通しているデザインのボトルですが、本国では既にラベルチェンジが行われているようで、一つ前のデザインという事になります。

オールドボトルは1970年代、1980年代をそれぞれ本ブログで紹介していて、状態の良いボトルを引けば熟成感あるオールドシェリー系の香味が楽しめることは紹介したところ。
では現行品はというと・・・以前開封した免税向けの1本はドライでエステリー系で、なんていうか飲み進めるのが苦しいほどでした。
ところが今回、ボトル整理中に出てきた抱き合わせ購入のサルート(開封は1年半頃前)は、現行品では中々のアタリ。ボディはライト傾向で近年のブレンドっぽいえぐみも感じられますが、品の良いかつてのGM系のシェリー香や、モルティーでオーク系の華やかさとフルーティーさ。突き抜ける旨さは無いですが、自宅でのんびり飲むと癒される味わいが楽しめます。

なんでしょうこの違い、ロット差? 
ボトルデザインから近年のモノであるのは間違いないのですが、箱がルビーフラゴン用だったりと、どういう経路をたどったのか所有者の自分がわからない怪しさのあるボトルでもあります。
飲み方としてはロックにすると冷やした中でも品の良い甘いアロマが健在。ドライさが和らぎ心地よく、飲み口はよりスムーズで余韻にかけて香味が広がっていきます。
氷に負けないというか、氷に耐えているイメージで、こういう飲み方も大丈夫だよと、作り手のメッセージを受け取った気がしました。

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